住民税非課税世帯の年収の条件は?利点や非課税になるケースも紹介

住民税非課税世帯になる年収の条件をご存知ですか?住民税が非課税になると色々なメリットが生まれます。しかし、住民税についていまいち理解していない人も多いのではないでしょうか。今回は、住民税について説明し、住民税非課税世帯になる年収の条件も説明します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

住民税が非課税になる世帯は年収がいくらから?

毎年6月頃にお知らせが届く住民税。しかし住民税は馴染みがない人も多く、よく分からないという人もいるはずです。


また最近のニュースで、大学の教育無償化の対象が住民税非課税世帯であると知って、非課税世帯とは何なのかを知りたい人もいるでしょう。


そもそも住民税の仕組みや非課税世帯の条件を理解していないと、受けられるはずのメリットを逃してしまうことにもなりかねません。


そこで今回のこの記事では「住民税が非課税になる世帯の年収の条件」について

  • 住民税が非課税になる年収の基準
  • 住民税が非課税になる世帯の事例紹介
  • 非課税世帯に該当した場合のメリット

以上のことを中心に説明します。


この記事を読んでいただけたら、今までよく分からなかった住民税のことが理解できるはずです。


何より税金は私達の生活に身近なものです。仕組みを理解して非課税制度によるメリットを活かせれば、日々の生活の負担を減らすこともできるはずです。


ぜひ最後までご覧ください。


住民税が非課税世帯対象になるための条件

まず住民税が一体どのような税金なのかを確認しましょう。


住民税は、地方自治体が行政サービスを提供する際の費用に充てるために徴収しています。


教育や福祉、防災などの各種サービスを受けられるのは、普段から住民税を払っているからです。


そして住民税には均等割所得割があり、それぞれに道府県民税市町村民税があります。名称は自治体ごとに異なり、県民税や市民税と呼ぶ場合もあります。


[均等割]

一律に定額で課税されるのが均等割です。標準的な金額は道府県民税1,000円市町村民税3,000円です。


ただし平成35年までは、東日本大震災からの復興費用に充てるため、各々1,500円と3,500円になります。


またこれは単に標準的な金額なので、都道府県や市町村によって異なる場合があります


[所得割]

収入に応じて課税されるのが所得割です。税率は市町村民税6%道府県民税4%で、合計10%になります。


なお均等割と所得割は、1月1日時点で住所を有する自治体に納付することになります。


ただし、全ての人から住民税が徴収されるわけではありません。


生活しやすい社会を作るために、その費用として徴収されるのが住民税です。年収が少ない世帯にまで税金を負担させて生活を苦しくしては本末転倒です。


そのため年収が一定の基準を下回る場合には、住民税を非課税にする仕組みになっています。


そこで住民税が非課税になる条件について、以下で詳しく見ていきたいと思います。

住民税の均等割と所得割が非課税になる年収の基準

非課税になるかどうかは年収で決まります。均等割と所得割の非課税基準は、それぞれ以下の通りです。


均等割の非課税基準

所得金額≦35万円×(控除対象配偶者・扶養親族の数+1)+21万円

「控除対象配偶者・扶養親族の数+1」は世帯人数のことです。また21万円は控除対象配偶者又は扶養親族がいる場合のみ加算される金額です。


なお35万円・21万円の金額は、自治体により異なる場合があります。ご自身がお住まいの自治体の県民税や市民税の均等割は、必ず確認するようにしましょう。


所得割の非課税基準

所得金額≦35万円×(控除対象配偶者・扶養親族の数+1)+32万円

32万円は控除対象配偶者又は扶養親族がいる場合のみ加算される金額です。


なお、均等割・所得割の非課税を判断する上記の式に出てきた所得金額は、年収そのものではありません。


例えば給与所得者であれば、年収から給与所得控除額を引いた後の金額です。


その金額が非課税基準を下回ると、住民税非課税世帯に該当することになります。


ややこしく、難しい内容だと思いますので後にさまざまなパターンをシミュレーションしながら解説します。

住民税の均等割と所得割がどちらも非課税になる場合

なお、住民税がそもそも課税されない場合があります。それは以下の2つのケースです。

  • 生活保護法による生活扶助を受けている人
  • 障害者、未成年者、寡婦または寡夫で前年の所得金額が125万円以下の人

これはその人の状況を考慮して、社会政策的な配慮から定められている非課税基準と言えます。

住民税がかからない所得に関して

住民税を計算する際、そもそも所得金額の中に含めないものがあります。


いくつかありますが、例えば以下のようなものが挙げられます。

  • 障害年金や遺族年金
  • 出張旅費や通勤手当等で必要と認められるもの
  • 相続や贈与により取得した財産
  • 損害賠償金
そもそもこれらのお金は、税金を徴収すべきではないものや、他の税金(相続税・贈与税等)が徴収されるため住民税まで課税すべきではないものになります。

参考:所得税が非課税になる年収はいくら?

これまで住民税について見てきました。


しかし、税金が非課税になるのか、つまり家計の負担が減るのかという点では、所得税も重要です。


そこで所得税の計算方法と非課税になる年収についても、以下で見てみましょう。


まず給与から引かれる所得税の計算式は、次のようになっています。

  • 給与所得ー給与所得控除額=所得金額
  • 所得金額ー所得控除額=課税所得金額
  • 課税所得金額×所得税率ー控除額=所得税額

そして給与から引くことができる給与所得控除額は、年収の大きさによって次のように変わります。

給与等の収入金額給与所得控除額
180万円以下収入金額×40%
(65万円に満たない場合は65万円)
180万円超

360万円以下
収入金額×30%+18万円
360万円超

660万円以下
収入金額×20%+54万円
660万円超

1,000万円以下
収入金額×10%+120万円
1,000万円超220万円

(国税庁HPより抜粋:給与所得控除


表からも分かるように、年収が低い場合でも最低65万円を引くことができる仕組みです。


そして2つ目の式に出てくる所得控除額は、その人ごとに適用できる控除が異なるものの、基礎控除額38万円は誰でも適用できます。


つまり、65万円と38万円を合計した103万円は、給与所得者であれば年収から控除できます。年収が103万円以下であれば所得税はかからないということです。


なおご家族がいる場合などには、所得控除として配偶者控除や扶養控除が使える場合もあります。その場合は非課税基準額が変わることになります。


所得控除の詳しい内容は国税庁HPに掲載されているので、是非確認してみて下さい。

どんな家庭が住民税非課税世帯になる?ケース別の計算例

それでは具体的な事例を使って、実際に住民税の非課税基準を計算してみたいと思います。


住民税の非課税基準世帯構成などで異なりますが、ここでは以下のケースを考えたいと思います。

  1. サラリーマンで一人暮らしの場合
  2. 子供一人(父が会社員、母がパート)の場合
  3. 子供二人(父が会社員、母がパート)の場合
  4. シングルマザーの母子家庭の場合

年収がどれくらいならば住民税非課税世帯になるのか、ケースごとに見ていきましょう。


なお、均等割と所得割では、均等割のほうが非課税基準が厳しくなっています。均等割の非課税基準に該当すれば、所得割も含めて住民税が非課税になります。


そのため以下では、均等割の非課税基準に該当するかどうかを基準にして計算していきます。

サラリーマンで一人暮らしの場合

まずはサラリーマンで独身・一人暮らしの場合を考えてみましょう。均等割の非課税基準の計算式は、以下のようになります。

所得金額≦35万円×1=35万円

控除対象配偶者・扶養親族はなく、35万円に掛ける人数は1人です。また21万円の加算もありません。


そのため、所得金額が35万円以下であることが非課税の基準になります。また給与所得控除額として最低でも65万円を引けることを先程紹介しました。


つまり年収が100万円であれば、給与所得控除額65万円を引いた後の所得金額が35万円になります。


このケースにおける非課税基準額は年収100万円ということです。

子供一人(父が会社員、母がパート)の場合

次に「父:会社員、母:パート、子供1人」の3人世帯のケースを考えてみましょう。均等割の非課税基準の計算式は、以下のようになります。


なお母は控除対象配偶者に、子供は扶養親族に、それぞれ該当するケースとして考えます。

所得金額≦35万円×(控除対象配偶者1人+扶養親族1人+1人)+21万円=126万円

つまり、所得金額が126万円以下であることが非課税の基準になります。


そして年収が205万円であれば、給与所得控除額79.5万円(205万円×30%+18万円)を引いた後の所得金額が126万円以下になります。


このケースにおける非課税基準額は年収205万円ということです。

子供二人(父が会社員、母がパート)の場合

今度は「父:会社員、母:パート、子供2人」の4人世帯のケースを考えてみましょう。均等割の非課税基準の計算式は、以下のようになります。


なお母は控除対象配偶者に、子供は扶養親族に、それぞれ該当するケースとして考えます。

所得金額≦35万円×(控除対象配偶者1人+扶養親族2人+1人)+21万円=161万円

つまり、所得金額が161万円以下であることが非課税の基準になります。


そして年収が255万円であれば、給与所得控除額94.5万円(255万円×30%+18万円)を引いた後の所得金額が161万円以下になります。


このケースにおける非課税基準額は年収255万円ということです。

シングルマザーの母子家庭の場合

最後にシングルマザーのケースを考えてみましょう。


この場合には、そもそも住民税が非課税になる「障害者、未成年者、寡婦または寡夫で前年の所得金額が125万円以下の人」に該当するかどうかで決まります。


年収が204万円であれば、給与所得控除額79.2万円(204万円×30%+18万円)を引いた後の所得金額が125万円以下になります。


このケースにおける非課税基準額は年収204万円ということです。


なお、この基準を超えた場合でも、均等割の非課税基準を満たしていれば住民税非課税世帯に該当します。

住民税が非課税になるとどうなるか

それでは実際に非課税世帯になると、どうなるのでしょうか?

まず健康保険制度では、加入している制度や自治体によって差はありますが、自己負担額が軽減される場合があります。

そして高額療養費の支給を受けられる基準額も低くなっているので、医療費が高額になった場合でも支給を受けやすくなります。

また自営業者などの場合、住民税非課税世帯に該当する年収額であれば、国民年金保険の保険料免除基準にも該当する場合があります。

なお最近発表された大学教育無償化では、対象者が住民税非課税世帯です。

このように、住民税非課税世帯を対象にしている他制度を活用できる場合もあれば、結果的に他制度の年収基準にも該当して活用できる場合もあります。


さらに自治体によっては、住民税非課税世帯への独自の負担軽減策や給付を実施している所もあります。


もしも非課税世帯に該当した場合は、他にも活用できる制度がないかどうか、ぜひ調べてみて下さい。

まとめ:住民税非課税世帯について

「住民税が非課税になる世帯の年収の条件」について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?


この記事のポイントは

  • 均等割と所得割の非課税基準とそもそも住民税が非課税になるケース
  • 世帯構成が異なる場合の非課税基準の計算事例
  • 非課税世帯に該当すると適用される各種制度

でした。


この記事を読んでいただけたことで、住民税のことがよく理解できたことと思います。


今回紹介した知識を使って、ご自身の場合には非課税基準がいくらなのか、ぜひ計算をしてみて下さい。


住民税という税金の知識が単に役に立つだけでなく、非課税世帯に該当した場合に受けられる各種制度を知っていれば、日々の生活の中でも役立つはずです。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。

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