厚生年金加入者が結婚すると年金はどうなる?ケースごとに解説!

厚生年金加入者が結婚すると年金の被保険者の区分がどうなるかはケースごとに異なります。厚生年金加入者のままの場合もあれば結婚によって変わる場合もあり、保険料の納付や将来の年金額にも関係します。この記事では厚生年金加入者が結婚した後の流れについて解説していきます。

厚生年金の加入者が結婚すると年金はどうなる?


結婚すると婚姻届の提出など様々な手続きが必要になりますが、年金に関する手続きもその1つです。


結婚によって保険料の納付方法や将来もらえる年金額が変わる場合があり、老後の生活に関わることでもあるので詳しく知りたい人も多いはずです。


さらに手続きが必要かどうかや手続きの内容はケースごとに異なるので、手続き漏れや保険料納付漏れを起こさないためにも年金制度への理解が欠かせません。


そこで今回のこの記事では「厚生年金加入者が結婚した場合の年金」について

  • 厚生年金加入者が結婚した後の三つのケース
  • 三種類の年金被保険者
  • 第三号被保険者について
  • 厚生年金加入者が結婚すると結婚祝い金がもらえる?
以上のことを中心に説明します。


結婚後、自身の給与から天引される厚生年金年金保険料や将来もらえる年金額について理解することが、老後の年金生活まで含めて夫婦で幸せな生活を送るために役立ちます。


ぜひ最後までご覧ください。

厚生年金加入者が結婚した後をケースごとに解説!

厚生年金加入者は給与から厚生年金保険料が天引きされますが、結婚後に年金制度上の被保険者の区分が変わると保険料の取扱いも変わる場合があります。


老後の年金額も変わり得るので理解しておくことが大切ですが、結婚後の自身の就業有無だけでなく配偶者の就業形態によっても変わるので注意が必要です。


ケースごとに1つ1つ整理して理解することが大切なので、以下では3つのケースについて解説していきます。

  1. 厚生年金加入者が結婚後退職して扶養に入る場合
  2. 厚生年金加入者が結婚後も仕事を続ける場合
  3. 厚生年金加入者と結婚した場合
結婚後の保険料の納付将来の年金額がどのように異なるのか、ケースごとに確認していきましょう。

ケース①:厚生年金加入者が結婚後退職して扶養に入る場合

厚生年金加入者が結婚して退職すると国民年金の第2号被保険者ではなくなります。


配偶者が厚生年金加入者で且つ以下の収入要件を満たす場合には、配偶者の被扶養者として第3号被保険者になります。


配偶者が会社を経由して被扶養者(異動)届を日本年金機構に提出しますが、手続き方法の詳細等は日本年金機構HPでも確認が可能です。


[収入要件]

  • 年間収入130万円未満。ただし60歳以上又は障害者の場合は年間収入180万円未満。
  • 同居の場合は収入が扶養者の収入の半分未満。別居の場合は扶養者からの仕送り額未満。

なお上記の収入とは過去のものではなく、被扶養者に該当する時点及び認定された日以降の年間の見込額のことを指します。


そして退職前には第2号被保険者として給与から天引きされる形で保険料を支払っていましたが、第3号被保険者になると保険料を納める必要はありません。


第3号被保険者期間は保険料を納めた期間として扱われて将来の年金額に反映され、保険料納付済期間が40年あれば老後に年間で約78万円をもらえます。


また結婚退職前に厚生年金加入期間があるので、老後に老齢厚生年金を受け取ることもできます。


老齢厚生年金の支給額は定額部分報酬比例部分からなり、計算式はそれぞれ以下の通りです。


[定額部分]

1,626円×生年月日に応じた率×被保険者期間の月数

※1,626円は平成31年度の値。物価変動等を考慮して年によって変動する値。

[報酬比例部分]

(平均標準報酬月額×生年月日に応じた率×平成15年3月までの被保険者期間の月数)+(平均標準報酬額×生年月日に応じた率×平成15年4月以後の被保険者期間の月数)

生年月日に応じた率などの詳細は日本年金機構HPで確認できますが、厚生年金の受給額の計算方法は複雑なので年金ネットで詳細な見込み受給額が確認できるほか、下記のような早見表で大まかな受給額がわかります。


なお収入要件を満たさず被扶養者に該当しない場合は第1号被保険者になります。その場合は市区役所または町村役場での手続きが必要です。


詳細な内容は日本年金機構HP「国民年金第2号被保険者である配偶者の被扶養者にならない場合」にも掲載されているので必ず確認するようにしましょう。


そして保険料の支払い方法には現金納付や口座振替などいくつかの方法がありますが、ご自身にとって一番便利だと思う方法を選んで納めることになります。


ただし会社を辞めたタイミングによって納付開始月が変わるので注意しなければいけません。


また配偶者が自営業者などの第1号被保険者である場合も、結婚退職後のご自身の区分は第1号被保険者になります。


そして第1号被保険者と第3号被保険者では保険料納付義務の有無の違いはあるものの、将来もらえる年金額の考え方や計算方法は基本的には同じです。


結婚退職後に第1号被保険者になった場合に将来もらう年金額は、上記で説明した第3号被保険者になったケースと同様に考えれば計算することができます。

ケース②:厚生年金加入者が結婚後も仕事を続ける場合

厚生年金加入者が結婚後も仕事を続ける場合には、引き続き厚生年金保険に加入することになります。


この場合には国民年金の加入者区分も第2号被保険者のままなので変更ありません。


ただし結婚によって氏名・住所が変更になる場合は健康保険・厚生年金保険で手続きが必要です。会社を通じて氏名変更届・住所変更届を提出します。


なおマイナンバーと基礎年金番号が結び付いている人はこの届出は原則不要です。


詳細な内容は日本年金機構HPにも掲載されているので、確認してみると良いでしょう。

ケース③:厚生年金加入者と結婚した場合

結婚相手が厚生年金加入者である場合でケース分けをしてみると、以下のように整理することもできます。


まずご自身が厚生年金加入者で結婚後も仕事を続けて厚生年金に加入し続けるならば、国民年金の被保険者区分も変わることなく第2号被保険者のままです。


ご自身の年金の保険料は引き続き給与から天引きされる形で徴収されます。


一方で結婚後に退職して厚生年金の加入者でなくなって扶養に入る場合は、収入要件を満たすかどうかがポイントになります。


要件を満たして扶養家族に該当する場合には第3号被保険者になり、保険料を納付しなくても老後に年金をもらえます。


しかし収入が多くて要件を満たさない場合は第1号被保険者として保険料を納めなければいけません。


ご自身のパート収入だけでなく配偶者の給与額によっても変わる部分なので、日本年金機構HPも活用しながら確認するようにしましょう。

補足:結婚して姓が変わると必要な年金関連の手続きについて

結婚して姓が変わることで必要になる氏名変更手続きについても、手続きの有無や手続き方法がケースごとに異なるので整理して確認をしておきましょう。


まずマイナンバーと基礎年金番号が結び付いている人であれば、氏名変更に関する届出は原則不要です。


しかし結び付いていない人やマイナンバーを有していない人は手続きを行わなければいけません。


結婚後も働き続けて厚生年金に加入し続ける場合には被保険者氏名変更届を事業主を経由して提出します。


扶養に入って第3号被保険者になる場合には配偶者の勤務先の事業主に変更届を提出し、第1号被保険者になる場合には市区役所または町村役場に提出します。


結婚後にどの被保険者の区分になるかによって届出の提出先が異なるので注意が必要です。


なおマイナンバーと基礎年金番号との結び付きの状況は年金ネットや年金事務所で確認ができます。


詳細な内容は日本年金機構の「年金に加入している方が結婚したときの手続き」や「国民年金第1号被保険者の住所・氏名変更手続き」でも確認が可能です。


結婚したら様々な手続きが必要になりますが、氏名変更手続きが必要な場合には忘れずに提出しましょう。

三種類の年金の被保険者について

厚生年金の加入者の結婚後の手続きなどについてご理解いただけたと思いますが、そもそも日本国民は20歳から60歳まで年金制度への加入が義務付けられ、被保険者となります。
 

この被保険者には3つの種類があります。
第一号被保険者は自営業、第二号被保険者は会社員、第三号被保険者は専業主婦など、とざっくり理解されている方が多いと思いますが、厳密にはそれぞれ細かい条件が規定されています。 


 第一号被保険者とは、自営業や農業・漁業を営む方、学生、無職の方で、年齢は20歳以上60歳未満その配偶者で第ニ号被保険者でない方も、第一号被保険者となります。 


第ニ号被保険者とは、会社員や公務員のことですので、厚生年金や共済に加入している方のことです。会社に勤務していれば年齢の下限はありません。ただし会社員でも、65歳以上で老齢年金をもらっている方は対象外となります。 


第三号被保険者とは、第ニ号被保険者に扶養されている配偶者(妻/夫)のことで、年齢は20歳以上60歳未満となります。
 


いかがでしょうか。
厳密にはそれぞれ年齢などの規定があるのをおわかりいただけたと思います。 


この3種類の被保険者のうち、第三号被保険者についてより詳しくご説明していきたいと思います。

第三号被保険者についてより詳しく見てみる!

第三号被保険者とは、会社員や公務員に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者であるとお伝えしました。


また、会社員や公務員の配偶者が拠出する年金保険料によって、本人は年金を払わなくてもよいということもよく知られていますよね。
「130万円の壁」という言葉を聞いたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 


この第三号被保険者ですが、第二号被保険者の方と結婚すれば誰でもなれるわけではありません。
第三号被保険者になるにはいくつかの条件が設定されていますし、第三号被保険者になった時には届出が必要となります。 


第三号被保険者になるには、どのような条件が必要か以下で詳しくご説明していきます。

第三号被保険者の条件

上で述べたように、専業主婦/主夫であれば無条件で第三号被保険者になれるというわけではありません。
第三号被保険者になるためには、3つの条件を満たすことが必要となります。 


  • 20歳以上60歳未満であること 

基本的に、国民年金の加入期間の20歳以上60歳未満であることが最初の条件です。  


  • 配偶者が第二号被保険者であること 

前述したように、夫または妻が会社員か公務員で第二号被保険者であり、厚生年金か共済に加入していなければなりません。  


  • 一定以下の収入であること 

夫/妻が第二号被保険者であっても、本人の年収が130万円以上の場合は第三号被保険者にはなれません。つまり、本人の収入は130万円未満であることが必要です。 

それに加えて、同一世帯の場合は夫/妻の年収の半分未満、別居の場合は夫/妻の仕送り額よりも少ないことも条件となります。

第三号被保険者が受け取れる年金の金額

次に第三号被保険者が受け取れる年金の金額についてご説明します。

 

第三号被保険者が受け取れる年金は、以下の計算式で求めることができます。 

780,100円 × 保険料を支払った月数 / 480 


それぞれ説明すると、 

  • 780,100円:2019年4月からの老齢基礎年金の満額 
  • 保険料を支払った月数:第一号、第二号、第三号被保険者として保険料を払った月数の合計 
  • 480:12ヶ月×20歳から60歳までの40年間 

となります。 


従って、40年間ずっと払ってきた方は満額の780,100円をもらえることになります。 


ただし、下で詳しくご説明しますが、第三号被保険者は第二号被保険者に扶養されているためご自身での保険料の納付は必要ありません。

第三号被保険者になるメリットとデメリット

まず第三号被保険者のメリットから見ていきましょう。 


上でも少しお伝えしましたが、第三号被保険者は年金保険料を支払う必要がありません。これは、配偶者である第ニ被保険者の会社員または公務員の扶養に入っているからです。 


そして年金保険料を払わなくてよいにもかかわらず、第三号被保険者である期間は、年金の納付期間として扱われるため、将来受け取れる年金の支払期間としてカウントされるのです。 


保険料を払わなくても、将来その分の期間の年金をもらえるのは非常に魅力のあるメリットですよね。
 


また、会社員や公務員の配偶者の扶養に入っていることで、健康保険の保険料も負担する必要もありません。 


年金保険料や健康保険料は、普通は当然払わなくてはならない固定費です。この固定費を払わなくてもよいということは、家計にとっては非常に大きなメリットといえます。


一方のデメリットとしては、もらえる年金が第二号被保険者よりも少ないことです。
満額でも780,100円(2019年4月からの老齢基礎年金の満額)となります。 


払っていない期間も納付期間としてカウントされる点では、費用対効果は大きいといえるかもしれませんが、冷静に考えるともらえる金額は決して多くはないということがいえます。
 


ちなみに第一号被保険者も、老齢基礎年金の満額は780,100円で決して十分な金額ではないのですが、第一号被保険者の場合、国民年金に加えて付加年金や国民年金基金などの上乗せの年金を付加して、もらえる年金の金額を増やすことが可能です。 


しかしながら、第二号被保険者にはこのような追加の年金制度の仕組みがないこともデメリットのひとつです。 


そしてもう1点ですが、加入記録漏れが生じている場合があります。 


特に、基礎年金番号が導入された平成9年1月より前に第三号被保険者となった場合、旧姓の加入記録が抜けている可能性があるようです。ねんきん定期便などでしっかり確認するようにしましょう。

第三号被保険者の資格を失った場合の対応方法

第三号被保険者になるには条件があるとお伝えしましたが、この条件からはずれ、第三号被保険者の資格を失った場合にはどうすればいいのでしょうか。 


20歳以上60歳未満の国民は、なんらかの年金制度に加入することが義務付けられているので、そのままにして未納期間が長く続けば続くほど、将来受け取れる年金の金額は少なくなってしまいます。 


従って、第三号配偶者の資格を失った場合、第一号被保険者か、第ニ号被保険者のどちらかに移行する手続きを行わなければなりません。

それぞれの手続きを見ていきましょう。


  • 第一号被保険者に変わる場合 

配偶者である第ニ号被保険者の方が退職や自営業への転職、65歳を超えた、死亡した時などが該当します。 

お住まいの自治体の年金事務所への届出が必要です。

第三号被保険者の資格を失った日から14日以内に手続きを行います。 


  • 第ニ号被保険者に変わる場合 

第三号被保険者の年収が130万円を超えた場合が該当します。 

本人の勤務先に第ニ号被保険者となる旨の手続きを行います。

自治体の年金事務所への届出は必要ありません。 

配偶者である第ニ号被保険者は、勤務先に「被扶養配偶者非該当届」を提出します。

参考:第三号被保険者が離婚した場合はどうなる?

さて上で、第三号被保険者が資格を失った場合の手続きをご紹介しましたが、第三号被保険者が離婚してしまった場合も、その資格を失うことになりますよね。 


その場合、第一号被保険者か第ニ号被保険者に移行することになると思われますので、上でご説明したどちらかの手続きをとることになります。また、元配偶者は、被扶養配偶者非該当届を勤務先に提出します。
 


一方、もらえる年金についてですが、第三号被保険者は年金保険料を納めていなくても、年金の受給期間としてカウントできるメリットがありましたよね。このメリットは離婚するとどうなってしまうのでしょうか。
 


結論からいうと、結婚していた期間に元配偶者が払った厚生年金保険料に対する年金は、その半分を分割してもらうことができます。ただし、対象は厚生年金のみで、国民年金は対象外です。
 


これは、年金分割の制度というもので、第三号被保険者が、離婚してから2年以内に年金事務所で手続きすることで受け取ることができます。


最近では結婚している夫婦の3組に1組が離婚するともいわれているように、我々の周りでも離婚するご夫婦はそれほどめずらしくありません。 


ただ離婚に関して特に元妻の方から、将来受け取れる年金のことを心配するという声を聞くことがあります。女性の場合、男性よりも賃金が低い傾向にありますし、ある程度の年齢で離婚する場合、再就職も簡単ではないことも不安に感じると思われます。 


しかし、離婚しても第三号被保険者であった期間の厚生年金保険料の納付期間に該当する分の半分の保険料を受けとる権利があるのであれば、少しは安心できるかもしれませんね。

厚生年金加入者が結婚すると結婚祝い金がもらえる?

結婚すると祝い金として一定額を自治体や健康保険組合、会社からもらえる場合があります。


これは各組織ごとの独自の規定であり祝い金の支給がない場合も当然ありますが、結婚したら自治体や健康保険組合、会社に確認してみると良いでしょう。


それなりにまとまった金額をもらえる場合もあり、結婚費用や引っ越し費用など何かと支出が多くなるタイミングにもらえるお金なので役立つはずです。

まとめ:厚生年金加入者が結婚した後の流れは様々なケースがある


「厚生年金加入者が結婚した場合の年金」について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?
 


この記事のポイントは 


  • 厚生年金加入者が結婚した後は、
    会社員として続けて働く場合は第ニ号被保険者のまま、会社員などの配偶者の扶養に入る場合は第三号被保険者、自営業の配偶者の扶養に入る場合は第一号被保険者となる 


  • 第三号被保険者の条件は、
    20歳以上60歳未満、第ニ号被保険者の配偶者であること、年収が130万円未満であることの全てを満たしていなければならない  


  • 第三号被保険者のメリットは、
    保険料を納めなくても、第三号被保険者の期間ももらえる年金の納付期間としてカウントされる


  • もらえる年金は、780,100円 × 保険料を支払った月数 / 480 で計算できる
     


  • 第三号被保険者が離婚した場合でも、元配偶者が払った厚生年金の半分を受け取る権利がある 


  • 厚生年金加入者が結婚すると、自治体や健康保険組合などから祝い金をもらえる場合がある 


会社員や公務員として働いていた方でご結婚の予定がある方は、老後のライフプランも含めて、ご夫婦で今後の働き方などをしっかり検討していただければと思います。
 


ほけんROOMでは、年金以外にもお金に関する記事が多く掲載されておりますので、是非そちらもご覧ください。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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