厚生年金に加入しない方法はあるの?社会保険に入らないとどうなる?

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厚生年金に加入しない方法を探している方、バイトやパートで社会保険に加入しない方法を探してるけど、社会保険についてよく分からない方はいませんか?厚生年金保険は一定の条件を満たした方は入らなければなりませんが、条件を満たさない方は加入しない方法があります。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

厚生年金に加入しない方法はあるの?社会保険・健康保険についても解説

将来年金がもらえるか不安、バイトやパートで手取りが減るから社会保険に加入しない方法を探している、という方は多いと思います。


国民のほとんどが加入することが義務付けられている国民年金は、加入しない方法というのは基本的にありません。


一方、厚生年金は一定の条件を満たした方は強制的に入らなくてはいけませんが、入りたくない場合は条件次第で加入しなくても良いものとなっていますので、厚生年金に適正に加入しない方法はあります


そこで、この記事では「厚生年金に加入しない方法を検討している方」について

  • 厚生年金に加入しなくてはいけない条件
  • 加入しなくても良い条件のある厚生年金の概要
  • 厚生年金を理解する上で必要な健康保険について
  • 厚生年金に入らない場合のメリットとデメリット
以上のことを中心に解説していきます。

この記事を読んでいただければ、社会保険(厚生年金・健康保険)に関しての基本的知識を得ること、厚生年金とは何か、加入しない方法のメリット・デメリットの理解を得ることに役立つかと思います。



社会保険(厚生年金・健康保険)に加入しない方法はあります。

社会保険(厚生年金・健康保険)の場合は、国民年金保険のように基礎年金保険ではないため、一定の加入条件を満たさなければ、加入する義務が生じるわけではありません。


ですので、加入しない方法として、社会保険の加入条件を満たさないことが必要となります。


社会人であるか、学生であるかによって条件が変わりますし、属している企業によっても加入義務が生じるか、生じないか変わってきますので、最後まで読んで自分が当てはまる条件を確認しましょう!

厚生年金保険の加入条件に該当する場合

厚生年金保険に加入しなくてはいけない条件について説明したいと思います。


基本的に、厚生年金保険の加入条件に該当する場合は、以下の2つの条件を満たしているかどうかで決まります。


  • 所定労働時間および所定労働日数が通常の社員のおおむね4分の3以上 
  • 2か月以上の期間を定めて雇用される者

また以上の2つを満たしていなかった場合でも、以下の5つの条件すべてを満たしている場合は、厚生年金保険の加入条件となってしまいます。

  • 所定労働時間が週20時間以上
  • 1か月の賃金が8.8万円以上(年収約106万円)
  • 予定勤務期間が1年以上
  • 勤務先の企業の従業員が501人(厚生年金被保険者数)以上
  • 学生でない(夜間学部や定時制の場合は、加入対象となる場合もある)

なので以上の5つの条件のうち1つでも満たしていない場合は加入条件を満たしません。


厚生年金保険の加入条件に該当しない場合

さきほどの厚生年金保険の加入条件から、加入条件に該当しない場合は、基本的に以下の2つ満たしている場合となります。


  • 所定労働時間および所定労働日数が通常の社員のおおむね4分の3以下
  • 2か月以内の期間を定めて雇用される者


ここから就労期間と時間によって厚生年金保険の加入条件に該当しているか該当していないか判別することができることが分かると思います。


また追記ですが、以下の場合も加入条件には該当しません。

  • 業務委託の契約の従事者
  • 個人事業で従業員が常時5人未満の事業主
  • 日雇いの場合
  • 個人事業の飲食店、美容院、旅館、農林水産業(従業員が5人以上いても加入対象となりません)

※ただし、製造業や、小売業等の場合は従業員が5人以上いると加入の義務が生じてしまいます。

なので社会保険に加入しない働き方は以上に該当するものとなります。

バイトでも入らなくてはいけない社会保険とは?

ここまで社会保険(厚生年金と健康保険)に加入しない方法を見てきましたが、厚生年金等の理解を深めるために、社会保険ついてもう少し詳しくみていきたいと思います。


まず社会保険とは、広義に言えば、「医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険」の総称のことです。


社会保険という言葉が使われる場合、主に会社員が対象となる健康保険と厚生年金のことを指すことが多い気がしますが、


実際には狭義にいうと、主に会社員が対象となる「医療保険、厚生年金保険、介護保険」のことになります。


国民年金と厚生年金保険の2つは「公的年金」と呼ばれます。

年金保険とは、積み立てた金額に応じて、老後の生活を保障する老齢厚生年金等や、事故等で障害を負った場合に支払われる障害年金などを指します。


また、健康保険等は「公的医療保険」と呼ばれます。

公的年金とは違い、ケガや病気、出産、死亡の際に費用の一部を補助したり、給付したりするものです。


そして残りの3つが介護保険、労災保険、雇用保険となります。


ちなみにパートやアルバイトの社会保険についてさらに詳しく知りたいという方は別の記事で解説しておりますの、そちらを参考にしてみてください。

社会保険(厚生年金保険・健康保険)とは?

多くの場合に指される社会保険(厚生年金保険・健康保険)とは、

会社に勤める従業員などを対象にした年金制度で、
国民年金(基礎年金)に上乗せする形で保障されます。


会社に勤める際に通常加入するのは、

雇用保険、健康保険、厚生年金保険になります。


雇用保険とは、一時的に働けなくなった時や職が見つからないときのための保険です。

ですので、医療費の負担を軽減するもの等ではなく社会保険とは異なります。


雇用保険の場合は、社会保険と比べて加入条件が広いです。

社会保険の場合は、

  • 適用事務所は常時5人以上の場合

が加入条件でしたが、 雇用保険の場合は、

  • 適用事業所は従業員を1人でも雇っている場合

加入する義務が生じます。


 個人の雇用条件も社会保険とは異なります。

社会保険の場合は、

  • 所定労働時間および所定労働日数が通常の社員のおおむね4分の3以下 
  • 2か月以上の期間を定めて雇用される者

が条件でしたが、雇用保険の場合は

  • 所定労働時間(休憩時間を除く労働時間)が1週間で20時間以上
  • 雇用見込みが31日以上ある  

の際に加入する条件となります。


保険料は会社と従業員の折半によって支払われるので、個人が支払う保険料負担が減少するというメリットがあります。

厚生年金と国民年金の違い

以上を踏まえて、もう一度厚生年金と国民年金の違いについて厚生労働省のデータよりまとめると


国民年金(基礎年金)とは


  • 日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が加入するので、一般的に加入しない方法はない
  • 国民年金の保険料は定額
  • 自営業者、農業、漁業などに従事している人は国民年金の保険料を自分で納める
  • 会社勤めの厚生年金保険や共済組合に加入している場合は、国民年金の保険料を直接納めない
  • 厚生年金や共済組合に加入している人に扶養されている配偶者も直接納めることはない

厚生年金とは


  • 加入条件に該当する人が納める年金なので、条件によって加入しない方法がある
  • 毎月の給与をベースに計算した金額と、ボーナスに対して保険料率をかけて金額を企業と折半した額
  • 会社が国民年金と一緒に支払う

のようになります。

なので、負担額が全員定額ではないこと、加入条件があるかどうか、納入の仕方が異なります。

厚生年金に加入しないメリットとデメリット

厚生年金はすべての人が加入の義務があるわけではないので、加入しない方法がありますが、そこにはもちろんメリット・デメリットがあります。


厚生年金に加入しない方法の方が手取りが増える、将来年金がもらえるか不安だから今貯蓄をしておきたいという気持ちも分かりますが、厚生年金に加入した際のメリット・デメリットを理解し、最適な選択肢を得ることが重要です。


それでは厚生年金に加入しない方法のメリット・デメリットをみていきましょう。


会社が厚生年金に加入しない方法のメリットとデメリット

従業員から厚生年金に加入したくないと言われることもあるかと思います。

会社が厚生年金に加入しない方法を取るとどのようなメリットがあるのでしょうか


メリット

  • 会社負担が発生しない

厚生年金は従業員との折半となるため会社負担が発生しません。一見良く見えますが、実はデメリットの方が多いです。


デメリット

  • 加入義務があるのに未加入であることが判明した場合、過去の未加入時期分の未払い額を支払わなければならない
  • 社会的信用を失う可能性がある
  • 従業員に対して長く安心して働ける環境を提供できない
  • 経費として認められることができない

それでは加入した場合の会社のメリットはいかがでしょうか。

加入した場合

メリット


  • 退職金の準備金になる
  • 経費として計上できる
  • 企業のイメージアップにつながる

従業員の退職金を自社のみで準備することが昨今厳しくなってきている中、厚生年金基金の上乗せ給付を退職金の資金として活用できます。

また、厚生年金のうち会社が負担する部分は、その全額が損金として扱われ法人税上の実質負担が軽くなります。

厚生年金は退職金だけでなく、さまざまな福祉事業が充実しているため、従業員のモチベーション向上をしたり、優秀な人材の定着等に一助になります。


以上に見てきたように企業側からすると厚生年金に加入しない方法はメリットよりもデメリットの方が多いように思えます。

従業員にとってのメリット・デメリットもみてみましょう。



従業員が厚生年金に加入しないメリットとデメリット

従業員が厚生年金に加入しない方法のメリット・デメリットをみてみると


メリット


  • 手取りが増える
  • 年金に頼らず確実に手元にお金を残せる

厚生年金に加入している場合は会社が国民年金と一緒に納めていますが、加入しない場合は、直接国民年金を納める金額のみが負担になるので手取りが増えます。

昨今年金が将来受け取れるのか不安な方が多いと思いますが、加入しない方法であれば現在から貯金をすることが出来ます。



デメリット


  • 老後の生活を保障する老齢厚生年金を受け取れない
  • 病気やケガで障害が残った時の障害厚生年金が受け取れない
  • 被保険者が亡くなった時に遺族に支払われる遺族厚生年金を受け取れない
  • 会社が折半してくれないので自己負担額が減らない(国民健康保険と国民年金は全額自分で支払う)

こちらは現在の財政状況によりメリット・デメリットを理解したうえでご自分にとって加入しない方法の方がいいのか判断していただければと思います。


厚生年金に加入した場合

メリット

  • 会社と折半しているため負担に比べて多くの年金が受け取れる
  • 年金に支給要件を満たすのが公的年金よりもはやい
  • もしものことがあっても終身支給される
  • 失業給付期間でも厚生年金の加算部分は支給される

公的年金は原則的に被保険者期間が10年以上が支給要件となっていますが、厚生年金基金の場合は加入期間が1か月以上なら納めた期間に相当する年金が支給されます。


受給者が10年未満で亡くなってしまった場合にも、残りの年金相当額が遺族に支払われます。


60歳以上60歳未満の公的年金を受けている人が雇用保険の給付需給をしている際も、厚生年金の加算部分は支給停止の対象にならないことが一般的です。


まとめ:厚生年金保険に加入しない方法は、条件次第!

厚生年金に加入しない方法とそのメリット・デメリットについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは

  • 厚生年金に加入しなくても良い条件
  • 厚生年金を理解するための社会保険の基礎知識
  • 厚生年金に入らないメリット・デメリット

でした。


厚生年金保険に加入しない方法は、厚生年金保険の加入条件を満たしているか、満たしていないかが重要となります。


また厚生年金に加入しない方法にもメリット・デメリットがあり、それを理解したうえで最適な選択肢を取ることが重要です!


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