生活保護受給者が妊娠したらどうなる?出産費用はでる?

生活保護を受けている人が妊娠をしたとき、引き続き生活保護を受けられるのか?シングルマザーで妊娠したらどうなる?出産費用や検査費用はもらえるの?など、生活保護受給者の妊娠・出産にまつわる疑問や必要な手続きについて詳しく解説します。

生活保護を受給中に妊娠しても打ち切りにならないか

生活保護を受け取っている状態で妊娠した場合、生活保護は引き続きもらえるのかどうか気になるのではないでしょうか。


妊娠出産は漠然とお金がかかるイメージがあり、生活保護は受けられるのか?妊娠期間中の検診にかかる病院代や出産費用はどれくらいかかるのか、心配になるかと思います。


妊娠しても、基本的には生活保護は継続することは可能です。ただし、シングルマザーになるのか、相手の男性と結婚するのかなどの条件によって、受給条件が変わるので、注意が必要になります。


この記事では、

  • 妊娠しても生活保護は受けられるのかどうか
  • 妊娠・出産時に受けられる生活保護費用
  • 産婦人科検診などで利用できる妊娠・出産費用と手続き方法
  • 医療行為が行われたときに使える医療券と手続き方法
  • 出産後子供がいる場合に受けとれる生活保護の加算費

について解説します。具体的なケース例も紹介するのでぜひ最後までご覧ください。


妊娠しても生活保護は受けられる

妊娠した場合も、生活保護は引き続き受け取ることが出来ます。そして妊娠することによって、様々な加算が追加されることにより、もらえる金額も増えることになります。


妊娠出産、および子育て中に加算される金額は以下の通りです。

  1. 妊婦加算
  2. 産婦加算
  3. 母子加算

それぞれ、生活保護受給者が妊娠期間中に「妊婦加算」、出産後3~6ヶ月の期間中に「産婦加算」、出産後6ヶ月以降~18歳になるまで母子家庭で子育てをする場合に「母子加算」が支給されることになります。


支給額は住んでいる地域によっても異なりますが、例えば東京23区内に住んでいる妊娠6ヶ月の受給者の場合、月13,760円を追加で受け取ることが可能です。


ただし条件によっ支給の有無、支給額は変わるので、妊娠が分かったらすぐにケースワーカーや、最寄の福祉事務所窓口へ相談してみるのが安心です。

妊娠・出産時に受けられる生活保護に関わる費用

妊娠~出産の期間で生活保護としてもらえる費用は、前述の特別加算の他にも、発生する費用に対して補助金として支給されるものもありますので、紹介します。

具体的には、
  1. 妊婦検診などの妊娠中の定期健診にかかる費用
  2. 出産にかかる費用
  3. 医療サービスを利用するためにかかる費用
  4. 人工妊娠中絶手術に対する手術費用
について、利用できる生活保護を解説します。ぜひ最後までご覧ください。

産婦人科検診などで利用できる妊娠・出産費用と手続き方法

妊娠~出産には大きな費用が必要となりますが、生活保護を受けている場合は各種制度を利用することで費用負担を抑えることが出来ます。妊婦検診、および出産・入院時に利用できる制度を紹介します。


まずは、妊婦検診の補助です。妊娠中は妊婦検診として、産婦人科に定期的に通う必要がありますが、自治体から検診補助券が交付される場合が多く、ほぼ自己負担なしに検診に通うことが出来ます。申請が必要なので、妊娠が分かったら近くの地方自治体窓口に相談してみてください。ただし、妊娠かもと思って初めて病院に行く場合、初診料がかかるので注意が必要です。


次に、出産・入院時に利用出来る制度として、出産扶助・入院助産を紹介します。出産扶助は、生活保護の一つとして定められた扶助で、出産にかかる費用について補助金の支給を受けることが出来ます。25万円程度(双子の場合は2倍)の基準額と、最大8日間の入院費用実費、ガーゼ・包帯等の衛生用品の購入費として5,400円の合計額が支給され、40万円程度の金額が支給されます。


また、入院助産は低所得世帯と対象として補助制度で、自治体の指定する病院にて出産することを前提に、かかる費用の大半または全額を免除される制度です。


自治体によって制度内容は異なりますので、ケースワーカーに相談するか、自治体窓口に問い合わせをしてみましょう。

医療行為が行われたときに使える医療券と手続き方法

妊娠・出産にあたって手術などの医療行為が必要になった場合は、医療扶助が適用できます。診察・検査費用、薬剤・治療材料購入費、医療的行為・手術費用、入院費用などの医療費全額が、医療扶助で免除されます。


医療扶助の利用にあたっては、医療券が必要です。生活保護受給者から福祉事務所に対して医療サービスを受けたい旨申請をすると、福祉事務所から医療券が発行されるので、受給者は必要事項を記入した上で病院等の医療機関に提出します。また、医療券は複数回利用出来るので、2回目以降は福祉事務所に行く必要はありません。


なお、医療扶助を利用して受診できる病院は、福祉事務所が指定する医療機関である必要があり、指定外の病院を受診する場合は、全額自己負担となってしまうので注意が必要です。


最寄の福祉事務所窓口の場所は厚生労働省ののホームページに掲載されているので参考にしてみてください。 

 (参考:厚生労働省 福祉事務所について)  

妊娠させた相手がバレることなく、おろす費用を受け取れるか

生活保護受給中に望まない妊娠をしてしまった場合、中絶するための費用を生活保護として受けとることが出来ます。


ただし、夫婦の場合は配偶者、未婚の場合は彼氏など、妊娠させた相手が中絶費用を負担することが原則なので、福祉事務所が妊娠させた相手を把握している場合は、生活保護を受け取ることはできません。


相手に借金があり援助が受けられない、相手がだれかわからない等、特別な理由がある場合は、まずは福祉事務所の窓口に相談してみると良いでしょう。

出産後子供がいる場合に受けとれる生活保護の加算費

離婚などにより、シングルマザーとして子どもを育てる場合、通常の生活保護に加えて、母子加算、および児童養育加算を受けることが出来ます。


母子加算とは、ひとり親世帯(母子世帯、父子世帯等)の生活保護受給世帯に対して、子ども一人に23,170円(在宅・1級地)が支給されます。18歳以下の子どもがいる場合は等しく受給できる補助金です。


次に、児童養育加算です。子どもを育てる生活保護受給世帯と、一般家庭との間で教育などの面で不均衡が生まれないようにするための制度で、毎月10,000~15,000円の支援金を受け取ることが出来ます。支給期間は義務教育期間の中学校卒業までです。

補足:母子家庭が利用できる母子寡婦福祉資金

母子家庭が利用できる補助制度の一つに、母子寡婦福祉資金があります。20歳未満の児童を育てる母子家庭に対して、自身の就労準備や、子どもの教育に費用が必要になった場合に、地方自治体などから貸付を受けられる制度です。貸付利率は無利子であり、返済期間は3~20年と長期なので、無理なく返済をしていくことが出来ます。


ただし、この制度を利用する場合は生活保護を併用して受給することはできないので、注意が必要です。また、申請をしてから審査が完了するまでに1ヶ月以上かかる場合もあるので、まとまったお金が必要になることが分かっている場合は、前もって準備しておくといいでしょう。

生活保護受給者が未婚で妊娠した場合のよくある相談

未婚の生活保護受給者が妊娠した場合、極端な例では、ケースワーカーや福祉事務所担当者による誹謗中傷や、周りの人たちからの心無い発言も聞かれるようです。次項以降で、よくある相談事例を紹介しますので、参考にしてみてください。


様々なケースで生活保護の打ち切りを迫られたりすることもあるようですが、生活保護は法律で定められた権利です。正当な受給理由があれば各種制度の利用は、誰でも平等に請求することが出来ますし、生活保護を受給しているからといって妊娠・出産に対して制約を受けることはありません。


正しい知識を身に着けると同時に、身近に信頼できる相談者を見つけておくと安心です。

相手が子供を認知してくれずシングルマザーで出産する場合

結婚しないまま妊娠が発覚したものの、相手が子どもを認知してくれなかったり、妊娠を報告した後音信不通になってしまったりするケースを紹介します。


生活保護を受けるための条件として、「援助してくれる家族・親族(親・子・配偶者・兄弟)がいない」というものがあり、配偶者や彼氏など生計を同じくしている人がいるのであれば、生活保護は不要として、支給の打ち切りを言われることもあるようです。


親には子どもを養育する義務があるので、相手としっかりと話をする必要がありますが、様々な事情から相手が認知してくれなかった場合は、シングルマザーとして子どもを育てていくことになります。条件が揃っているのであれば、妊娠後も生活保護や出産扶助を受けることは可能なので、まずはケースワーカーや福祉事務所に相談してみてください。

母子家庭で2人目を妊娠した場合

母子家庭で子どもを育てているところで、二人目の妊娠が分かったケースです。相手が子どもを認知していたり、離婚後に再婚していたりと、生活保護なしに生活していくことが出来ると判断された場合は、生活保護は打ち切りとなります。


ただし、前述のケースと同じく相手と連絡が取れない場合は、一人で子どもを育てていく必要がありますので、引き続き生活保護は受けられると考えられます。


2人目以降は子育てにかかる負担が大きくなるので、自由に働けない状況になりやすく、なかなか生活保護から抜け出せないことも多いようです。


結婚以外の生活保護の打ち切り条件については別の記事でも詳しくまとめているので是非参考に見て見てください。

18歳の高校生の学生が未婚で子供を妊娠した場合

このケースでも、彼氏や配偶者、親など生活資金を援助してくれる人が存在しているかどうかで生活保護の受給可否が変わります。


未成年が子どもを育てながら生活していくことはかなり大変です。妊娠後に出産するかどうかは個人の判断ですが、産むと決めたのであれば、生活保護も活用しつつ責任をもって子育てをしていく必要があります。

妊娠しても生活保護はもらえるのかのまとめ

いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは

  • 妊娠しても生活保護は引き続き受給することが出来る
  • 妊娠・出産による加算や、出産扶助などの特別支給がある
  • 妊娠だけを理由に生活保護の打ち切りとされるのは誤りである

でした。


生活保護は、うつ病や病気で退職せざるを得なかったり、障害者や高齢者など、働けない人の生活を守るために法律で認められた権利です。ただし制度自体が複雑で、なかなか理解しにくい一面もあります。


女性の場合、妊娠・出産となると体調の変化などからどうしても働けない状況になりますから、生活に困窮している場合は、一人で悩まずに信頼できる人に相談するのが大切です。


ケースワーカーや福祉事務所などの行政に相談しにくいのであれば、理解のある友人と一緒に話を聞いたり、NPO法人に相談するなども検討してみてください。


ほけんROOMでは生活保護に関する記事をマネーライフカテゴリ内で他にも紹介しているので是非参考にしてみてください。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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