生活保護が廃止になる条件や停止との違い、再申請の方法を紹介

生活保護が廃止になるのはどんなとき?廃止になったらどうなる?廃止・停止・打ち切りの違いとは?について詳しく解説します。また、生活保護廃止に必要な書類や廃止になるまでの流れ、廃止後の手続き、再申請の仕方についても詳しく解説します。

生活保護が廃止になる条件とは?


さまざまな理由で働けない人が受給している生活保護ですが、その受給要件は厳しいものです。


やっと受給できた生活保護が環境の変化により廃止になってしまうと、生活ができなくなるのではないかと不安になってしまいますよね。


そこで、この記事では「生活保護の廃止の条件や停止・打ち切りとの違い」について、

  • 生活保護が廃止となるのはどんな条件が揃ったときか
  • 生活保護が廃止になったときに必要な手続き
  • 生活保護廃止後にもらえる給付金など
  • 生活保護の廃止と停止、打ち切りの違いや手続きについて

以上のことを中心に解説していきます。


ぜひ最後までご覧ください。

生活保護が廃止になる10の条件とその理由

生活保護は、基本的に生活を自立させられるだけの収入があったり、大きな資産があるうちは受給することはできません。


不正受給を減らすため、生活保護を申請するときには身の回りのお金に関することを調査されたり、申告が必要になります。


そして受給を開始したあとも、本人が就職したりなど状況が変われば、廃止となり生活保護を受給できなくなります。


生活保護が廃止になる具体的な条件については、以下で詳しく解説していきます。

生活保護受給者自身が辞退届を提出して承認されたとき

まずは、受給者本人が生活保護の辞退届を提出し、役所に承認されたとき、生活保護は廃止となります。


収入の目途が立つなど、自分自身で生計を立てることができると判断した場合は生活保護受給者自身で辞退の届け出を役所に行うことによって、受給を辞退することができます。


このとき、生活保護が廃止となります。

就職して収入の見込みができたとき

生活保護は、さまざまな事情や理由により働くことが難しい人が受給するものです。


本人の努力により、就職して継続的に収入を得る見込みができたときには、生活保護は廃止となります。


収入の状況は年末調整や確定申告により役所にも把握されることとなりますので、受給者自身が申請しなくとも廃止となることもあります。


ただし、最低生活費よりも収入が下回っている場合は、廃止とはならず生活保護の減額となる場合もあります。

結婚または同棲で世帯収入の計算結果が十分と判断されたとき

生活保護は、自分自身で生計を立てることができない場合に受給するものですが、経済力のある人と結婚または同棲したときは、パートナーに生活を頼ることになるでしょう。


生活保護は生計を一にする人を含め、世帯ごとの収入も支給の判断基準となります。


世帯単位で見て充分な収入があると判断されたときには、生活保護が廃止となり得ます。

転居・転出など他の都市へ引っ越しをするとき

生活保護は、居住地のある地区の役所に申請し、その地区で受給するものです。


転居転出などで他の自治体へ引っ越しをする場合は、今まで住んでいた地区での生活保護は廃止となります。


このときは、転出先の地区で改めて生活保護受給の申請をすることとなります。


ただし、生活保護の支給の基準は自治体ごとに判断されるため、以前の居住地では受給できていた生活保護が、転出先では受給できないといったケースも考えられます。

死亡や失踪、居住実態不明など生活保護受給者がいなくなったとき

生活保護受給者が死亡または失踪したとき、もしくは居住実態不明などになったときも、生活保護は廃止されます。


居住実態不明とは、役所の調査などで実際にその人がその場所に住んでいるのか、存在するのかが確認できないような状態のことを指します。


受給者の実態がなければ金銭等の支給のしようがないため、このような場合はすべて生活保護が廃止となるのです。

働ける状態にあるのに就職せず働かないとき

生活保護は、働きたくてもさまざまな事情で働くことができない場合に支給されるものです。


五体満足や精神状態に異常があると認められない場合などは、働く意思がなくとも働くことができる状態とみなされ、生活保護が廃止となる場合があります。


人間社会は相互扶助が基本であり、働くことができるのであれば働くべきという考えのもと、単に怠けたいだけの場合や働きたくないだけの人にまで生活保護は支給されません。


生活保護を受給するのは、やむを得ない事情により働くことができない場合だけです。

犯罪を犯して逮捕され、起訴後に刑務所へおくられたとき

いくら生活が苦しいからといっても、犯罪を犯して逮捕された場合には生活保護に対する猶予はありません。


起訴されて刑務所へ送られた場合には、すぐに生活保護は廃止となります。ただし、家族がいる場合には逮捕された人の分を除き、引き続き生活保護が支給されます。

預金・貯金・車などの資産が認められたとき

生活保護は、お金がなかったり、稼ぐことができない場合に支給されるものですので、資産を所有していると認められる場合には、生活保護が廃止となることがあります。


資産とは、預金や貯金などの現金以外にも、車や住宅などの不動産といったものも含まれ、このような資産を所有していると生活に困窮しているとはみなされず、生活保護が廃止になります。

年金担保貸付の制度を利用したとき

公的年金の受給資格のある人が、その年金を担保に資金の融資を受ける年金担保貸付の制度を利用したとき、生活保護は廃止となります。


年金は老後の基礎的な生活を維持するためのものであり、これを担保にして貸付を受ける一方で生活保護を受給することは、本来の年金の目的から逸脱する行為とみなされます。


そのため、年金担保貸付を利用した場合は生活保護が廃止となるのです。

不正受給が発覚したとき

生活保護は、万が一不正受給が発覚した場合には廃止となります。


資産を隠して申請していたり、収入があることを偽っていたなど、本来生活保護を受給できる要件が整っていない人が生活保護を受給していてそれが発覚すると、不正受給とみなされます。


生活保護は不正受給にはたいへん厳しいので、万が一不正受給が発覚すると即座に廃止となります。

生活保護を廃止したらどうなる?廃止後の手続きが必要なこと

生活保護が廃止になると、免除されていた税金を再び支払う必要があったり、健康保険にも再度加入することとなります。


生活保護を廃止するためには、「辞退届」を役所に提出したうえで承認されたときに廃止となりますがその後は以下のような税金や健康保険料の支払が必要となりますのでご確認ください。

国民健康保険・社会保険などの健康保険へ加入する

生活保護受給中は、医療費については免除されていましたが、生活保護が廃止になれば再び健康保険に加入しなければなりません。


会社に就職するなどで社会保険に加入する場合は、会社がその手続きを行ってくれるためあまり深く考える必要はありません。


また就職せずに生活保護が廃止となったときは、国民健康保険への加入が必要ですので手続きを行いましょう。

住民税・固定資産税の減免が解除される

生活保護の受給中は、住民税固定資産税の支払は減免されます。


生活保護が廃止になると、これらの減免が解除され、再び納税の義務が生じます。

就職したら就労自立給付金がもらえる

生活保護はやむを得ない理由で働くことができない人に支給されるものですが、就職することができれば、就労自立給付金がもらえます。


およそ6か月以上、継続して生活を自立させられる収入があると認められた場合にもらうことができます。

介護保険料の負担限度額が変わる

生活保護受給中は、健康保険への加入はできないのですが、介護保険は別で被保険者となります。


よって、介護保険料の負担が発生しますが、生活保護受給中は、介護保険料の本人負担は生活保護費によって賄われることとなります。


生活保護が廃止となると、介護保険料も個人の負担に戻ります。

障害年金を遡求請求した場合は生活保護費を返還する

生活保護を受給する要因として、身体障害や精神障害などにより働くことができなくなったことなども挙げられます。


しかし、障害の程度によっては年金保険のうち、障害年金を請求することができる場合があります。


障害年金は障害を患ったときに遡って遡及請求することができ、これが認められた場合、障害年金を受給することができます。


しかし、老齢基礎年金などと同様に年金と生活保護は重複して受給することができず、その間に生活保護を受給していた場合は生活保護費を返還しなくてはなりません。

後期高齢者制度への加入手続きをおこなう

生活保護受給者が75歳以上の場合、本来ですと後期高齢者医療制度の対象者となるのですが、加入することができません。


しかし生活保護が廃止となると後期高齢者医療制度への加入か必要となります。75歳以上で該当の人は、手続きを行っておきましょう。

生活保護廃止の流れと必要な手続き

生活保護が廃止となるためには、単に役所に廃止と申告するだけではありません。


生活保護廃止のためには、きちんと書類を作成して自ら廃止手続きを行うか、もしくは不正受給などの場合は強制的に廃止となります。


それぞれ手続きがありますので、以下に詳しく解説していきます。

自ら辞退届を提出してやめる場合

生活保護が廃止となるひとつの方法は、自ら生活保護を廃止とすることです。そのためには、まず役所に「辞退届」という書類を作成し、申請します。


そのうえで、生活保護受給者本人が、客観的に自立した生活を送ることができると認められた場合に生活保護は廃止となります。

参考:生活保護廃止の手続き

不正受給などなんらかの理由により廃止となる場合

一方、生活保護の不正受給など何らかの理由により廃止される場合は、自分で申請することなく廃止となります。


ただし、万が一不正受給により生活保護が廃止となった場合でも、その後再申請できなくなるわけではありません。

廃止日のタイミングによっては生活費の返還が必要

生活保護の支給は、日割り単位で行われています。


生活保護費は月始めの1日に支給されますが、生活保護の廃止日が月の途中となった場合には、残りの月末までの期間分は生活保護費の返還が求められることがあります。


そのときは返還しなければならないので注意しましょう。

生活保護の廃止・停止・打ち切りの違いと再申請の方法

生活保護の受給ができなくなる形態として、「廃止」「停止」「打ち切り」の3種類があります。


いずれも生活保護費が支給されないという観点では同じ状態なのですが、それぞれ主に再申請時において違いが現れます。


この違いについては、以下で詳しく解説します。

廃止・停止・打ち切りの違い

これらの違いとして、まず「廃止」とは生活保護受給者ではなくなることで、支給や税金の免除などが今後一切受けられなくなる状態です。

これに対して「停止」とは、生活保護受給者ではあるけれども、生活保護費が支給されていない状態のことです。

廃止の人は生活保護の再申請時に再度調査期間がありますが、停止の人は再申請すればすぐに生活保護費の支給が再開されます。

また、生活保護を受けながら仕事などで収入を得て、その収入が最低生活費を超えるような状態が続く場合には、生活保護費の支給がなくなることがあります。

この場合は生活保護が「打ち切り」となります。

生活保護を再申請する方法

生活保護は、廃止や打ち切りとなったときでも再申請をすることができます。


その方法としては、まず最寄りの福祉事務所にて受給の相談を行います。


そして、その結果やはり生活保護が必要だということになれば、福祉事務所を通して役所に申請書を持って生活保護の申請をすることとなります。

生活保護の廃止についてのまとめ

生活保護の廃止の条件や停止、打ち切りとの違いなどについて見てきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは、

  • 生活保護は収入や資産が十分にあると認められるときは廃止となる
  • 生活保護が廃止となったときは廃止や健康保険加入などすべき手続きをしっかり行う
  • 万が一生活保護を不正受給していた場合は返還が必要となる
  • 生活保護は廃止と停止、打ち切りで再申請時の扱いが異なる

です。


生活保護は生きていくのに必要な最低限のお金を稼ぐことができない人にとって大変にありがたい制度です。


しかし生活保護は税金が原資である以上、廃止になる条件が揃ったときはきちんと廃止手続きを取り、自立した生活を送ることができるようにしましょう。


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