ベーシックインカムと生活保護は違いは?導入によって社会保障はどうなる?

「ベーシックインカムの導入で生活保護はどうなる?廃止されるの?」「そもそもベーシックインカムと生活保護の違いって?」と生活保護受給者や、お金に興味のある方は思うはず。今回は、ベーシックインカムの意味や導入メリット、社会保障の充実など知っておくべき情報を詳しく解説します。

ベーシックインカムと生活保護は何が違う?


近年、AIの進歩に伴い、ベーシックインカムの導入をマニフェストに掲げる政党もあるほど、ベーシックインカムという制度が徐々に有名となってきています。


ベーシックインカムを導入すれば、嫌な仕事を無理して続けることなく好きなことを仕事にできると言われていますが、実はベーシックインカムにはデメリットもあるのです。


この記事では厚生労働省を参考に、ベーシックインカムと生活保護について、

  • ベーシックインカムと生活保護の違い
  • ベーシックインカムのメリット
  • ベーシックインカムが生活保護受給者に与えるデメリット
  • ベーシックインカムと生活保護の同時受給は可能か
  • ベーシックインカムの導入の可能性
上記を詳しく解説していきます。

この記事を読んでいただけたら、ベーシックインカムと生活保護について理解することができるので、現在生活保護を受給している方や、ベーシックインカムの制度について気になっている方の参考になると思います。

ぜひ最後までご覧ください。

ベーシックインカムと生活保護の違い

ベーシックインカムの概念は、生活保護と同様に「国民の最低限度の生活を保障する」というものです。


ただ、ベーシックインカムと生活保護の制度の内容には異なる点がいくつかあります。


ここからは、ベーシックインカムの意味や制度の内容、生活保護との違いについてわかりやすく解説していきます。


実際にベーシックインカムを導入した国はどのような結果を得られたのかも合わせて紹介していくので、ぜひご覧ください。

ベーシックインカムとは?意味や導入国を解説

ベーシックインカムは、全国民に最低限度の生活を保障する制度です。個々の年齢・性別・年収などは一切関係なく、最低限度の生活を送るために必要な現金から支給されます。


仮に最低限度の生活を送るために必要な金額が20万円だとすると、全国民が何もせずに20万円を手にすることができるということです。


国内では最近になってベーシックインカムが騒がれ始めていますが、実は海外では1970年代頃から、既にベーシックインカムの導入実験が行われているのです。


過去に導入実験を行った国には、カナダ・フィンランド・アメリカのアラスカなどがあります。ただ、どの国も地域の一部に限定したり、所得制限を設けての導入実験となっています。


そのため、本格的なベーシックインカム制度の導入実験は行われていません。


ただ、導入実験をした地域では、精神疾患の患者数や死亡率の減少、また犯罪件数の減少がみられたという良い結果が出ています。


現在、本格的に導入している国は未だありませんが、以前から導入実験を行っているヨーロッパ諸国は今後もベーシックインカムの試験的な導入を繰り返し、本格的な導入に踏み切るのではないかと思われます。

生活保護とは?

ベーシックインカムと聞くと、生活保護と何が違うのか気になる方もいると思います。


生活保護の概念はベーシックインカムと同じく、最低限度の生活を保障するというものです。


食費など生活に関わる費用はもちろん、教育費や医療費・介護費、葬祭費なども必要に応じて援助を受けられるようになっています。また、住民税や所得税などの税金や、年金も免除となっています。


ただ、ベーシックインカムのように全国民への支給ではなく、あくまでも生活に困窮している方に限定し、個々の程度に合わせた現金の支給がされています。


そのため、生活保護を受給する際には事前に資産や就労可能な状況かどうかの審査などが行われ、この審査に通らないと支給が受けられないようになっているのです。


またベーシックインカムは収入の増減に関わらず一定額を支給する制度ですが、生活保護は収入が増えると、保護費が減額となったり打ち切りになるという違いがあります。

ベーシックインカムが生活保護にとって変わるメリット


ここまで、ベーシックインカムと生活保護の意味についてお話してきました。ベーシックインカムと生活保護は概念的には同じ意味を持っていますが、内容は異なることがお分かりいただけたかと思います。


では、実際ベーシックインカムは生活保護と比べてどんなメリットがあるのでしょうか。ここからは、ベーシックインカムが生活保護にとって変わるメリットについて説明していきます。

生活保護の不正受給の解消

生活保護は生活困窮者個々の状況により必要な額を支給する制度であるため、生活保護受給者は毎月の収入を申告しなければならないことになっています。


ただ、収入が増えることによる保護費の減額や打ち切りを避けるために、収入額を偽って申告し、不正受給をしている方も少なからずいます。


2016年時点では生活保護の不正受給額が169億円にも上り、大きな社会問題となりました。


ただこの不正受給の問題はベーシックインカムの制度を導入すれば、解消することが可能と言われています。


何故なら、ベーシックインカムでは収入など関係なく全ての人に一定額が支給されるため、不正受給という概念ごとなくなることになるからです。


不正受給がなくなれば、その分のお金を必要な箇所に回すことができるので良いのではないかと言われています。

社会保障が保障される

生活保護は収入によって保護費の減額や打ち切り、また税金なども免除の対象外となってしまうため、働き始めるとたちまち生活が厳しくなってしまうことがあります。


ただベーシックインカムであれば収入などは一切関係なく、最低限度の生活を送るために必要な生活費や医療費、税金などを含めた金額が支給されるため、社会保障は保障されることになります。

ベーシックインカムで労働意欲が向上?その他のメリット

ベーシックインカムには上記以外にも次のようなメリットがあると言われています。

  • 労働意欲の向上
  • 労働環境の改善
ベーシックインカムは、生活保護のように収入が上がったら減額や打ち切りになるわけではないため、働けば働くほど使えるお金が増えることになります。

そのため、より豊かに過ごすために働こうと思う方が増え、労働意欲の向上につながるとされています。

更にベーシックインカムは、労働環境の改善にもつながると言われています。これは、最低限度の生活が保障されるということで起こる現象です。

例えば、現在生活費を稼ぐために嫌な仕事を無理して続けている方がいるとします。

ただベーシックインカムで最低限度の生活が保障されれば、仕事を辞めやすくなり、好きなことを仕事にすることも可能になります。

そのためブラック企業はもちろんのこと、人間関係や待遇が悪い職場などは辞職する人が急増し、結果的に企業側が労働環境の改善をすることになるということです。

ベーシックインカムが生活保護受給者に与えるデメリット


ここまで、ベーシックインカムが生活保護に代わって得られるメリットについてお話してきました。


メリットを聞くと、とても良い制度だと思うかもしれませんが、実はこの制度にもデメリットがあります。


ここからはベーシックインカムが生活保護受給者に与えるデメリットについてお話していきます。


生活保護受給者は今まで生活保護として支給してもらっていたものが、ベーシックインカムに切り替わります。


収入が増えても関係なく支給してもらえるので、生活保護よりも良いと思うかもしれません。


ただ、ベーシックインカムを導入するには財源が不足しており、ベーシックインカムを導入することになると、必然的に税金が高くなることになります。


生活保護の場合は税金が免除されていましたが、ベーシックインカムでは税金の免除はされないため、結果的に生活保護受給者には高額の税金が負担になるというデメリットがあります。

ベーシックインカムの導入で生活保護は廃止に?同時受給は無理?


ベーシックインカムで支給される金額の中には生活費はもちろんのこと、医療費や教育費、葬祭費など全ての保障が含まれており、ベーシックインカムで支給される金額で最低限度の生活ができるということをお話しました。


ただ、このベーシックインカムの導入には、大規模な財源の確保が必要となってきます。


そのため、ベーシックインカムの導入をする際には、最低限度の生活を保障する代わりに、現在ある生活保護などの社会保障は全て廃止にすることになると言われています。


生活保護を含めた全ての社会保障がベーシックインカムに統一されるため、ベーシックインカム導入後は生活保護との同時受給は無理と言えます。

ベーシックインカムの日本での導入可能性

ベーシックインカムを導入すれば最低限度の生活は保障されると言われていますが、その分税金が大幅に上がり、現在ある生活保護などの社会保障も全て無くなることになります。


最低限度の生活が保障されるとはいえ、生活が厳しい方が出てくることは十分考えられ、その際の保障はどうするのか、また財源の確保はどのようにするのかなど、国内で導入するには様々な課題が残されています。


そのため、現時点の日本では導入する可能性が低いと言えます。


ただ海外での導入が進めば、国内でも徐々にベーシックインカムの導入が検討されていくのではないでしょうか。

まとめ:ベーシックインカムの導入で生活保護は廃止にするのは現実的に不可能

ここまで、ベーシックインカムと生活保護についてお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは、

  • ベーシックインカムは全国民を対象に現金が支給されるもの
  • ベーシックインカムは収入が増減しても支給額は変化しない
  • ベーシックインカムを導入すると、税金が高くなる
  • 現時点ではベーシックインカムの導入や生活保護の廃止は不可能
以上のことでした。

AIが劇的な進歩を遂げている現代では、失業する方が急増していくのは間違いありません。その対策として、ヨーロッパでは既に試験的な導入をしている地域もあり、良い効果も出ているようです。

しかし、日本ではベーシックインカムを導入するための財源の確保や、生活困窮者に向けての保障をどうするのかなどベーシックインカム導入前に検討しなければならない課題が多々あります。

そのため、現時点でまだベーシックインカムを導入するのは不可能だと思われますが、仮にベーシックインカムの導入がなされた場合は、生活保護などの社会保障は廃止になるのではないかと思われます。

ベーシックインカムには良い点も多々ありますが、デメリットがあることもしっかり押さえておくと良いと思います。

ほけんROOMでは、他にも保険に関する記事を多数掲載しておりますので、よろしければご覧ください。
この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

ランキング