生活保護を受けていると結婚できない?バレると廃止や打ち切り条件にひっかかる?

生活保護を受給している人は、結婚することができるのか、また結婚後も生活保護を受給し続けることができるのかや注意すべき点について詳しく解説します。そして結婚がバレた場合どうなるのかや、生活保護受給者の結婚に伴うよくある質問もご紹介します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

生活保護を受けていると結婚できない?廃止や打ち切りになる?

生活保護を受給しているときに結婚の機会があると、結婚しても問題ないのか不安になるでしょう。

結論をお伝えすると、生活保護を受けていても結婚はできます。しかし、結婚することで、家計の状況は変化しますから、生活保護への影響は少なからず考えられます。

ケースワーカーが状況を確認した上で、今後の生活保護をどうするかが決まることになりますが、結婚するにあたり、どのような注意点があるのか知っておくとよいでしょう。

そこで今回のこの記事では、

  • 生活保護を受けている時に結婚するとどうなるのか?
  • ケースワーカーに相談しておくべきケース
  • 結婚報告をしなかった場合どうなるか?
  • その他結婚と生活保護に関する疑問

以上のことを中心に説明します。


この記事を読んでいただけたら、生活保護を受けている時の結婚について理解できます。ぜひ最後までご覧ください。


生活保護を受けていても結婚はできる

生活保護を受けていても結婚はできますが、生活保護の受けとり額などに変化が生じます。場合によっては、生活保護の受給対象から外れることもあるでしょう。


ここでは、生活保護を受けているときの結婚について、

  • 生活保護を受給している同士での結婚のケース
  • 相手が生活保護を受給していないケース

それぞれのケースで、どのような変化があるのかお伝えします。

生活保護同士は支給額が減る場合もある

双方ともに生活保護を受けている状況で結婚した場合は、生活保護が継続される可能性が高いですが、受給額は減るかもしれません。


生活保護は、世帯を単位として考えられます。


これまで別々に家賃や光熱費が必要だったものが、結婚によって一本化されることになり、生活費が減るのが一般的。その生活の実態にあわせて、生活保護の受給額も減額される可能性があるのです。


受給額が減ると思うと不安になるかもしれませんが、生活費自体が減っているはずなので、生活レベルはこれまでと変わらないでしょう。


生活保護の打ち切り条件については別の記事で詳しくまとめてあるためそちらの記事を参考にしてみてください!

相手が生活保護受給者でない場合は辞退届を提出

結婚相手が生活保護を受けていない場合は、相手の経済状況により、2つの可能性があります。


生活保護をやめる

もしくは、

生活保護を受けていなかった方が生活保護の受給を申請する


このどちらかです。


生活保護は、世帯単位のため、結婚したら片方だけ受給して片方は受給しないということができません。受給するにしてもしないにしても、二人合わせての手続きになります。


結婚相手に収入があり生活保護の対象にならない場合は、「辞退届」を提出して生活保護から外れる手続きが必要です。

結婚前にケースワーカーに相談すべきケース

生活保護は制度が複雑で、受給できるかどうかやその額は、地域やケースワーカーの判断によって変わってきます。


そのため、複雑な事情をもって結婚をする場合は、事前にケースワーカーに相談しておきましょう。


ここでは、結婚前にケースワーカーに相談すべきケースとして、

  • 障害年金を受給しているケース
  • 妊娠を伴うケース
  • 結婚相手が外国人のケース

についてみていきたいと思います。

どちらかが障害年金を受給している場合

まずは、どちらかが障害年金を受けている場合は、ケースワーカーに相談しておくとよいでしょう。障害年金との関係で、結婚後の生活費がどうなるのか少し複雑になるからです。


障害年金と生活保護は、障害年金が優先され、不足する部分を生活保護が補う関係です。


結婚後は、状況によって、生活保護の受給額が変わることが予想されます。結婚前にケースワーカーに相談しておきましょう。


障害年金額は結婚によって変更はありませんが、生活保護受給者の配偶者に生活力があれば、生活保護は打ち切りになる可能性もあります。


生活保護は、あくまでも世帯として生活できるかどうかを基準に判断されます。

障害者同士の場合

双方ともに生活保護障害年金の両方を受給しているケースもあります。


それぞれの障害年金額は結婚しても変わりません。しかし、双方ともに不足分を生活保護で補っていた場合、結婚に伴い、生活保護の2人の合計額は減る可能性が高いです。


先ほどもお伝えしたように、二人別々に暮らしていたときより生活費自体が減るので、その分が減ると考えられます。


障害年金を受給している同士の結婚も、事前にケースワーカーに相談しておきましょう。

妊娠した場合

妊娠して結婚する場合は、妊娠していない結婚のときと同様、配偶者の状況によって生活保護の辞退もしくは配偶者とともに生活保護の申請のどちらかになります。


母子家庭になる場合は、生活保護が継続されます。ただし、子の父親がどのような状況か確認されるでしょう。


結婚の有無にかかわらず、生活保護を受けているときに妊娠した場合も、ケースワーカーに相談してください。


妊娠・出産に伴い、生活保護費に加算されるお金があります。

  • 妊娠が確認された翌月から支給される妊婦加算
  • 出産後、最長6ヶ月間もらえる産婦加算
  • ひとり親の場合に支給される母子加算(父子家庭も可)
  • 児童がいる世帯向けの児童養育加算

などです。


具体的には、地域によって違うので、どのようなお金が加算されるかもケースワーカーに確認してください。

結婚相手が外国人の場合

結婚相手が外国人の場合も、とても複雑なので、事前にケースワーカーに相談すべきケースです。


原則として、「日本人の配偶者等」の在留資格があれば、結婚相手の外国人も一緒に生活保護を受けられます。

結婚報告をせずにバレるとどうなるのか

結婚すると減額や打ち切りの可能性がある場合、報告せずに生活保護を受け続けるとどうなるのでしょうか。


結果的に、結婚したことは、いずれ分かります。


ケースワーカーが家庭訪問した際に気づくことが多いでしょうが、定期的な戸籍の確認でもバレます。


結婚報告をしていなくてバレた場合は、生活保護がなくても生活できる状況であれば、生活保護が打ち切りになるでしょう。最悪の場合、さかのぼって打ち切りになる可能性もあります。不正受給となれば、その期間分の受給額を請求されることも。


結婚はいずれ知られます。結婚相手も経済的に苦しい状況であれば生活保護は継続しますから、不安がらず、必ず報告するようにしてください。

そのほか生活保護と結婚に関するよくある質問例

生活保護を受けているときの結婚に関して、制度上の注意点を紹介してきました。


生活保護は、文字通り生活に密着した制度ですから、より具体的な疑問や不安が生じるかと思います。


ここからは、生活保護と結婚に関して、

  • 引っ越し費用
  • 身辺調査
  • 離婚した場合
  • 結婚相手の家族に生活保護受給者がいる場合
  • 結婚指輪はどうなる?

といったよくある質問をご紹介します。

結婚後の引っ越し・転居費用は出るか

結婚すると、どちらかもしくは双方が引っ越しをして新生活をスタートします。この際の引っ越し費用や家の転居に伴う退去・入居の費用は、生活保護で出してもらえるのでしょうか?


残念ながら、結婚に伴う引っ越し費用は出ません。


引っ越し費用が生活保護から出るケースとしては、「入院していて退院の際に帰る家がない」「今より家賃が安い住居に引っ越しをする」など、条件があります。結婚の場合は、これらの条件に当てはまるとは考えづらいので、引っ越し費用は出ないと考えておくとよいでしょう。


ただし、今の家から退去する際の敷金の返戻金の返還を免除してもらうなど、何らかの形で応援してもらえる可能性はあります。ケースワーカーに相談してみましょう。

相手が警察官だと家族の身辺調査をされるか

警察官が結婚するときは、身辺調査をされることが知られています。生活保護を受けている場合、警察官との結婚で身辺調査が影響しないか不安になるかもしれません。


警察官の身辺調査で問題になるのは、犯罪です。自分や家族が生活保護を受けていても結婚は可能です。


ただし、家族が生活保護を受けている場合で、相手に知られずに結婚できるかというと、バレる可能性が高いかもしれません。結婚にともなって、援助ができないかといった確認が入るからです。


過去の生活保護受給歴はバレません。

離婚して母子家庭となっても受給できるか

離婚して母子家庭になった場合、児童扶養手当などの母子家庭を援助する給付金が優先されます。また、元夫からの養育費や親族からの援助が受けられるようであれば、それも優先されます。

こうした給付金や援助で最低生活費に満たない場合は、生活保護が受けられます。

生活保護は、命のセーフティーネットです。対象になるかどうかは、戸籍がどうなっているのかではなく実際の生活がどうなっているかによって判断されます。

離婚が成立していなくても、別居していて生活が別世帯になっているのであれば、生活保護の申請ができます。

結婚相手の親や兄弟、親戚に生活保護受給者がいたらやめるべきか

結婚の話が進んだときに、結婚相手の家族に生活保護受給者がいると分かったら、動揺してしまうかもしれません。「結婚をやめた方がいい」という意見を言われることもあるでしょう。


生活保護を受けている人が結婚後どのように関わってくるかは、結婚相手次第です。役所からは、援助できないかと相談を受ける可能性があります。このとき、「別世帯で関係がない」と援助を断るのであれば、理屈の上では、結婚生活に影響を受けることはありません。


正解・不正解のない問いなので、じっくり話し合い、慎重に検討した上で納得いく答えを出すしかないのではないでしょうか。

生活保護受給者は結婚指輪もとられるのか

生活保護を受けるとき、資産となるものは手放さなければいけません。貴金属も資産として処分の対象になりますが、結婚指輪はどうでしょうか?


結婚指輪も貴金属ではありますが、所有している意味が他のアクセサリーとは別物ですので、通常、結婚指輪までとられることはないと考えられます。


処分の対象となる資産は次のようなものです。

  • ローンの残っている持ち家
  • 住んでいない土地・家
  • 自動車(通院などの事情があれば所有できる)
  • 貴金属
  • 保険
  • 株券
  • 投資用口座
  • 消費者金融や銀行カードローンのカード

ローンが残っていない持ち家で、実際に住んでいる家は、処分せずにそのまま住むことができ、家賃分が生活保護の受給額から差し引かれることになります。

生活保護受給者が結婚式に参列してもよいか

生活保護を受けているときに、結婚式の招待が来たら参列してもいいものか迷う人もいるでしょう。


結婚式に参列してはいけないというルールはありません。参列はしてもいいのです。


ただし、生活保護から結婚式用にお金をもらえるわけではないので、参列の際の衣装や祝儀は節約して準備しなくてはいけません。


生活保護の受給額は、生活ギリギリの額ですから、捻出するのも大変です。現実的に参列可能かどうかはよく検討してください。

生活保護受給者が結婚できるかどうかのまとめ

生活保護と結婚について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは、 

  • 生活保護を受けていても結婚できる
  • 結婚後の生活状況により減額の可能性がある
  • 生活保護を受けるかどうかは世帯統一
  • 生活保護は、実際の生活実態に即して判断される
  • 生活保護と別の給付金や年金があれば、給付金・年金が優先

でした。


生活保護は、制度が複雑で、実際の運用は地域やケースワーカーによって異なるのが現状です。気になることがあれば、役所に相談してください。


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