更新日:2024/03/07
現在の国民年金の平均受取額は5.5万円!少ない...将来の受給額は?
老後に貰える年金の額が気になる、年金貰えるの?といった疑問や不安をお持ちの方は多いと思います。この記事では、平均的な年金受給額や将来の受給額について解説。また、国民年金だけでなく、iDeCoのような年金制度を利用し、老後の年金受給額を増やす方法も解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
国民年金の平均受給額は5.5万円 満額で6.5万円
「老後の蓄えとして年金以外に2000万円の貯蓄が必要」という衝撃的なニュースを聞き、将来に不安を感じている方は多いのではないでしょうか?
このニュースをきっかけに具体的に対策を考え始めた方もいらっしゃると思います。
その際、「私の年収や条件では、将来平均してどのくらい年金がもらえるのだろうか?」「そもそも年金制度が崩壊してしまうのでは?」という疑問も当然でてくるでしょう。
そこで、この記事では
- 平均的な月々の年金支給額(公的年金の種類別)
- 年金受給額を決定する「マクロ経済スライド」という仕組み
- 将来のために今からできる対策
以上のことを中心に解説していきます。
この記事をお読みいただければ、年金に対しぼんやりと抱いていた不安要素が明らかになり老後の生活のために今何をすべきかお分かりになると思います。
ぜひ最後までお読みください。
国民年金の平均受給額5.5万円
- 学生時代に「学生納付特例制度」を利用
- 転職時に会社に属していないタイミングが1ヶ月以上ある。
- 昭和61年3月以前に専業主婦をされていた時期がある。
厚生年金の平均受給額は14.5万円
厚生年金は、会社員や公務員の方に適応される公的年金です。
平成29年に厚生労働省がおこなった調査では、厚生年金を受給している人は月々平均14.5万円の年金が支給されているという結果が出ています。
このように厚生年金に加入している人は、老後に年金を受け取るとき国民年金に加入している人よりも多く年金が受給できます。
これは厚生年金の保険料は、月々の給料の平均額に対して18.3%と国民年金に加入の方よりも多く保険料を支払っていることが理由に挙げられます。
18.3%の厚生年金保険料には、国民年金保険料も含まれているため、年金の受け取り時には国民年金分と厚生年金分を合算した金額がもらえます。
ちなみに、厚生年金保険料18.3%のうち、半分は勤務先の会社が負担するしくみになっています。
全額自己負担にならない点は大変メリットがあるといえます。
ただし、先ほどお伝えした月々の平均受給額14.5万円には注意点があります。
男性と女性を合わせた全体の平均数値となっており、性別で平均受取額に大きな差が出てくることが明らかになっています。
65歳で受け取る年金額は、男性は平均17.5万円・女性は平均11万円というデータが出ております。
女性の平均年金額が少なくなる理由として、子育てや出産等により働き続けることが難しいこと、生涯年収が男性よりも低い傾向にあることが挙げられます。
働く期間が短くなれば、厚生年金の加入期間もそれに応じて短くなります。
年収が低下しますと、それに比例して納める保険料額も少なくなるため、受け取る年金額も減ってきます。
将来の年金受給額は?年金は破綻する?
ここまで国民年金と厚生年金にそれぞれ加入した場合、平均すると年金がいくらもらえているのか最新のデータをもとに解説してきました。
ただこれからの日本は、より少子高齢化が進み、年金を支える若者が減っていくことでしょう。
そのような中で「そもそも私たちが老後を迎えるとき年金はもらえるの?」「年金制度自体が崩壊している可能性もあるのでは?」と疑問を感じる方もいらっしゃると思います。
そこで公的年金の今後の見通しについて、国が導入しているマクロ経済スライドという年金の算出方法の解説を交えて説明します。
非常にカンタンな内容となっているため、ぜひ引きつづき読み進めてください。
将来の受給額に大きく作用するマクロ経済スライド
平成16年、政府は「マクロ経済スライド」という新しい年金額を計算する仕組みを導入しました。
結論としては「マクロ経済スライド」導入により私たちが将来受け取れる年金額は、減少していくと考えてよいでしょう。
「マクロ経済スライド」はこれから年金制度を支える現役世代が減っていき、年金を受け取る高齢者の割合が増加しても年金制度が崩壊しないようにするために、打ち立てられた対策です。
平成16年までは毎年、日本国内の物の価値や日本で働いている人の給与額の変化に応じて、高齢者に支給する年金額も同じ水準を保てるように調節してきました。
しかし、そのままでは現役世代が払う年金保険料は高くなり、重くのしかかる一方のため年金制度は不安定になります。
それを回避するために、少子高齢化の進み具合を「マクロ経済スライド」という仕組みを使い考慮して、高齢者に支払う年金額を調節していくという方法を採用しました。
実際に平成31年度の年金額改定に利用された数値を使い、「マクロ経済スライド」導入前後での年金額の変化を説明していきます。
平成31年度の「マクロ経済スライド」を利用しての年金額の改定結果は、物価変動率や賃金変動率に対して以下のとおりでした。
平成31年度現在 物価変動率…1.0% 賃金変動率…0.6% →0.1%年金額の引き上げ
同じ物価変動率と賃金変動率を利用し、平成16年以前の旧計算方法で算出すると…
旧算出方法:物価と賃金の変動率の低い方をそのまま採用 →0.6%年金額の上昇
平成31年度の数値を使い算出方法による違いを検証すると、0.5%も支給額が減ったということになります。
国民一人ひとりの年金支給額は減るため、年金制度は破綻はしにくくなりましたが、
その時代の価値に見合った年金額を将来もらえなくなったことを意味しています。
今後さらに少子高齢化が進むことで、年金の支給額は減る一方であることが予測されます。
年金は破綻する?
年金制度を存続させるための対策のひとつとして政府は「マクロ経済スライド」を導入していることをお伝えしました。
「マクロ経済スライド」以外にも、政府はさまざまな対策をとっています。
また、年金制度を破綻させられない理由もあります。
そのため将来、年金がもらえなくなる可能性は限りなく低いです。
詳しくは年金破綻は嘘?年金が破綻しない理由と保険料を払うメリットを解説!という記事でわかりやすく説明しています。
ご覧いただくことで、より納得感が得られると思います。
国民年金を多くもらう方法を紹介!
先ほど国民年金の平均受給額は、月々5.5万円とお伝えしました。
「こんなに平均的にもらえる年金額が少ないの?」「せめて満額の6.5万円くらいは欲しい」とお感じになられた方もいらっしゃると思います。
そこで、より多く年金額が欲しい方に向けて、ぜひ知っていただきたい国民年金の支給額を増やす方法をお伝えしていきたいと思います。
なお、この後で紹介する「国民年金付加年金制度」以外にも、国民年金の年金額を増やす方法に60歳~65歳の5年間も引き続き国民年金に加入する「任意加入制度」があります。
これからお話しすることにも絡む内容のため、以下を参考にお読みになられることをお勧めします。参照:日本年金機構 あなたも国民年金を増やしませんか?
付加年金制度を利用して国民年金を増やす
国では、「国民年金付加年金制度」という仕組みを設けています。
これは月々の国民保険料にプラスして付加保険料400円を支払うことで、将来受けとる年金額を増やしてくれるものです。
「国民年金付加年金制度」は誰でも加入できるわけではありません。加入対象は次に該当している方たちです。
- 「第一号被保険者」
- 「任意加入被保険者」
「第一号被保険者」とは、自営業やフリーランス、農業や漁業を仕事にされている方、無職の方などを指しています。
「任意加入被保険者」とは、国民年金を増やすために加入義務期間を終了した60歳以降も自らの意思で国民年金保険料を支払い続けている方のことを指します。
加入できる期間は原則20歳~60歳までの合計480ヶ月です。国民年金の加入義務期間と同じ期間になります。
しかし60歳を過ぎた時点で、合計480ヵ月加入が出来ていなかった場合は、65歳まで延長して加入することができます。
それでは、付加年金保険料を支払うことで将来の年金額にどれくらい反映されるのか見ていきましょう。
付加年金で上乗せされる年金額は、「200円×付加年金保険料を納めた月数」と定められております。
最大の480ヵ月を納めた場合、次のようになります。
200円×480ヵ月=96,000円
この96,000円が毎年、国民年金に上乗せして支給されます。
月々にすると8,000円支給額が増えることになります。
月々の掛け金400円に対し、老後に月々8,000円として帰ってくると考えると大変メリットのある制度ではないでしょうか。
少しでも多く国民年金の給付額を増やされたい方は、加入しておくことをお勧めします。
ゆとりのある老後のために、iDeCoやつみたてNISAなど私的年金について解説
これまで公的年金制度の全体像についてお話をしてきました。
今後、公的年金制度だけを頼りに老後を生きていくのは大変難しいことがお分かりいただけたかと思います。
「公的年金だけで老後を過ごせないなら、高齢になっても働かないといけないのか」と心配になりますよね。
こうした時代的背景をもとに公的年金の不足分を補うべく、ここ数年さまざまな金融商品が誕生しています。
一般的には、「私的年金」と呼ばれています。
ここからは、私的年金の概要と、企業に属していない方でも始めることのできる2つの私的年金を取り上げ、説明していきたいと思います。
年金の3階部分に当たる私的年金
年金は大きく公的年金の「国民年金」と「厚生年金」、自ら備える「私的年金」の3種類に大別されます。
それぞれの年金が積み上がっていく形で年金が形成されるため、3階建ての構造になっていると言われています。
2階部分は厚生年金になります。厚生年金は、企業に属している人や公務員のみが加入できます。給与額や所属機関に勤めた期間により、年金額が変わります。
国民年金に上乗せされる形になるため、2階部分と表現されます。
ここまでが、国が行っている年金制度であり「公的年金」とされています。
3階部分は「私的年金」にあたります。
公的年金と組み合わせることで、年金額を手厚くすることができます。
先ほど紹介した「公的年金」は、加入者本人の意思の有無に関わらず加入しているものでしたが、「私的年金」とされる3階部分への加入は「任意」となる点が大きく違っています。
そのため、商品や運用方法も自由に選ぶことが可能となっています。
税制上のメリット・利便性・元本保証の有無などの条件が変わってくるため、ご自身にあった商品を見極めることが大切です。
また、私的年金は一つに限定することなく組み合わせることも可能です。
つみたてNISAとiDeCoについて解説!
ここでは、私的年金の中でも「つみたてNISA」と「iDeCo(個人型確定拠出年金)」について説明していきます。
つみたてNISA | iDeCo | |
---|---|---|
税制上のメリット | 運用後の利益は非課税 | 運用後の利益 月々の掛け金が 非課税 ・ 受け取り時の 税金が軽減 または 無税の場合もある。 |
運用できる期間 | 最大20年 | 60歳まで |
お金の引き出し条件 | いつでも引き出し可能 | 60歳になるまで 引き出し不可 |
元本保障 | なし | 一部あり |
つみたてNISAとiDeCoの大きな違いは、積立をする目的が老後資金のために制限されているか否かです。
つみたてNISAは目的に制限がないため、いつでも引き出しが可能になっています。
一方iDeCoは、老後の資産形成が目的で作られた制度のために60歳を過ぎないと引き出すことができません。
しかし、iDeCoはつみたてNISAに比べ税金対策に優れており節税効果も高い点や、元本保障の商品を選べる点は魅力的でしょう。
※元本保障とは…資産形成のために掛けた金額分(元手)より、受け取り額が少なくなってしまうことがないことを意味しています。
どちらもメリット・デメリットが存在します。
加入を考えるときは、資金積み立ての目的をはっきりさせておくと良いと思います。
また、つみたてNISAとiDeCoは組み合わせることも可能なため、資金に余裕のある方は併用を検討されるのもお勧めです。
つみたてNISAとiDeCoについて特徴的な点を比較してきましたが、より深く知りたい方は以下を参照すると良いと思います。
iDeCo 参照サイト …iDeCo公式サイト
つみたてNISA参照サイト…つみたてNISAとは
まとめ:年金の平均受給額と年金を多くもらう方法
これまで公的年金制度の平均的な支給額・公的年金制度を存続させるために政府が行っていること・受け取り年金額を増やす方法について説明してきましたがいかがでしたでしょうか?
この記事のポイントは
- 公的年金制度がなくなることは考えにくい
- 公的年金だけの備えでは、将来は安泰ではない
- 私的年金などで公的年金の平均的な不足分をカバーしよう
でした。
老後の資金対策は、少ない投資額でも良いので、早めにはじめることがお勧めです。
早めにはじめることで、投資期間も伸びるため、運用利益が高く見込めます。
今回紹介した「つみたてNISA」や「iDeCo」といった投資商品は、ドルコスト平均法という長期間の投資をすることでリスク回避を狙っている商品です。
そして金融商品によっては個人年金保険など年齢が高くなるにつれて運用利率が低くなっていくものもあります。
ぜひ早めの加入を心掛けてください。
また私的年金は、ここで紹介した以外にもいくつもの種類が存在しているため、ご自身にぴったりな積立方法を選ぶためにも、ある程度の種類は把握しておきたいですね。
ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険やマネーライフに関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。