年金の受給額を計算する方法とは?厚生年金や遺族年金・障害年金の受給額について解説

老後を安泰に過ごすために、自分自身の受給額を計算したり、シミュレーションすることによって賢い年金の運用ができます。また、一口に年金といっても国民年金と厚生年金さらには、養老年金・遺族年金・障害年金など様々な年金があります。ここではそれぞれの年金受給額の計算方法と年金受給額を増やす方法についても解説します。

最も手軽に将来の年金受給額を知る方法&計算式と年金を多くもらう方法を紹介


必要な年金が「2000万円」とも言われる時代において、老後に対する不安はさらに強まっていますから、誰もが自分自身の年金状況について詳しく知っておくことは必須です。


しかし、実際のところ惰性で年金を支払っているという方が多く、自分が老後にどれだけの年金を受け取れるのか、またどうすればその年金額を増やせるのか、という点を理解している方は少ないのです。


また、年金といっても老後に受け取る養老年金、家族が亡くなった時に受け取る事ができる遺族年金、障害を負った時に受け取る事ができる障害年金があります


そこでこの記事では、

  • 将来受け取る年金受給額はどのように計算するの?
  • 年金受給額のシミュレーションとは?
  • 年金受給額をもっと簡単に知る方法とは?
  • 将来の年金受給額を増やすためにできることとは?

以上の点を取り上げます。


この記事を読んでいただければ、老後に受け取ることができる年金以外にも様々な年金受給額の計算方法や調べ方について理解し、より年金制度を賢く利用するための足がかりにしていただけるでしょう。


ぜひ、最後までご覧ください。

将来受け取る年金受給額の計算方法

将来、どれだけの年金を受け取ることができるのかを知る最初の方法は、自分で年金額を計算するという方法です。


年金額は、これから取り上げる「国民年金」と「厚生年金」それぞれにおける計算式を把握していれば、簡単に計算することができます。


皆さんも、ぜひ自分で年金額を計算してみましょう。

国民年金受給額の計算式

まず、国民年金の受給額計算です。


現在の国民年金の平均受給額は、5,5万円で自身の国民年金の受給額は以下の計算式で求められます。


受給満額×(A+B+C+D)÷40年(加入可能年数)×12


  • A:全額免除月数×8分の4
  • B:4分の1納付月数×8分の5
  • C:半額納付月数×8分の6
  • D:4分の3納付月数×8分の7

この計算式は、20歳から加入し60歳まで40年間支払い続けることにより、受給満額の780,000円(平成31年時点)を受け取ることができる、ということを表しています。

年金は未納するのではなく、支払い免除を受けることによってA・B・C・Dそれぞれの事例のように年金額が加算されます。

ですから、年金は可能な限り支払い続けることが大切だということが分かります。

年金受給額を早見表を使用して手軽にシミュレーション

次に会社員や公務員の方が加入する厚生年金の受給額について見ていきましょう。


厚生年金の受給額の計算方法は後述しますが、非常に複雑です。そこで、すぐに厚生年金の受給額の概算がわかるこちらの早見表をご覧ください。


こちらの表では、受け取れる厚生年金の金額がひと目で分かるようになっています。


縦の『平均給与』が一ヶ月あたりの給与平均で、右が厚生年金に加入している期間です。


その交差した部分を見ると、厚生年金でもらえる大まかな金額を知ることができます。


では、実際にこれらの概算金額がどのように計算されているか、厚生年金受給額の計算式を次から見てみましょう。

厚生年金受給額の計算式

厚生年金の受給額は、以下の計算式で求められます。


受給総額=①定額部分+②報酬比例部分+③加給年金額  


①定額部分

1,626円(平成31年度単価)×生年月日に応じた率(定額単価:A)×被保険者期間の月数

A:定額単価表(抜粋)※「S」=昭和

生年月日定額単価
~S2.4.11.875
S2.4.2~S3.4.11.707
S5.4.2~S6.4.11.654
S10.4.2~S11.4.11.413
S15.4.2~S16.4.11.208
S20.4.2~S21.4.11.032
S21.4.2~1.000

②報酬比例部分(A+B)

報酬比例部分は、以下の2種類を計算し、どちらか上回った方の金額が適用されます。
  1. 本来水準:年金制度改定(2004年後)の水準に沿った計算
  2. 従前額保障水準:年金制度改定前(1994年)の水準を再評価して計算
報酬比例部分の金額は次の2つの式を加算したものとなります。
  • A:平均標準報酬月額×生年月日に応じた率×平成15年3月までの被保険者期間の月数
  • B:平均標準報酬額×生年月日に応じた率×平成15年4月以降の被保険者期間の月数
この計算における「平均標準報酬月額」とはいわゆる「給料の平均額」のことであり、Aの場合ではボーナスを含めない金額、そしてBの場合ではボーナスを含めた金額を用います。

ただし、給料の平均額を求める際には、給料の合計に「再評価率」を乗算してから月数で割る必要があります。

平成31年度における厚生年金の再評価率は、項目が多く複雑なため日本年金機構が公開している表をご参照ください。

加えて「平均標準報酬月額」に乗算する「生年月日に応じた率」の値は、次の表を用います。

①本来水準(抜粋)
生年月日~平成15年3月平成15年4月~
~S2.4.19.5007.308
S2.4.2~S3.4.19.3677.205
S5.4.2~S6.4.18.9686.898
S10.4.2~S11.4.1
8.3516.424
S15.4.2~S16.4.17.7715.978
S20.4.2~S21.4.1 7.2305.562
S21.4.2~
7.1255.481

②従前額保障水準
生年月日~平成15年3月平成15年4月~
~S2.4.110.0007.692
S2.4.2~S3.4.19.8607.585
S5.4.2~S6.4.19.4407.262
S10.4.2~S11.4.18.7906.762
S15.4.2~S16.4.18.1806.292
S20.4.2~S21.4.17.6105.854
S21.4.2~7.5005.769
報酬比例部分の乗率(日本年金機構)

報酬比例部分は、以下の2種類を計算し、どちらか上回った方の金額が適用されます。

③加給年金額

以下の条件に当てはまる場合、①と②の金額に一定の「加給年金額」が加算されます。
  • 配偶者がいる場合:224,500円の加給
  • 子どもが1~2人いる場合:224,500円の加給
  • 3人目以降の子どもがいる場合:74,800円の加給
さらに、配偶者がいる方は生年月日に応じて「特別加算」が行われます。
生年月日特別加算額加給年金額の合計
S9.4.2~s15.4.133,200円257,700円
S15.4.2~s16.4.166,200円290,700円
S16.4.2~s17.4.199,400円323,900円
S17.4.2~s18.4.1132,500円357,000円
S18.4.2~165,600円390,100円

以上により算出された「定額部分」・「報酬比例部分」・「加給年金額」全てを加算したものが、厚生年金受給額の目安となります。

厚生年金は国民年金よりも受給額の計算がかなり複雑であるため、実際に計算する場合は次から紹介する早見表を用いてまず手軽にシミュレーションしてみることをおすすめします。

遺族年金の受給額の計算方法と早見表

これまでは公的年金の養老年金の受給額の計算方法について見てきましたが、次は遺族年金の受給額の計算方法と受給額の早見表を紹介します。


遺族基礎年金の受給額の計算方法と早見表


亡くなられた方が国民年金に加入していた際に受け取る事ができる遺族基礎年金、その受給額の計算方法は以下のようになります。

780,100円+子の加算

子の加算加算額
第1子・第2子各224,500円
第3子以降各74,800円
以上が遺族基礎年金の受給額の計算方法になります。

しかし遺族基礎年金の受給には様々な条件があります。

上記の図のように遺族年金は18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子、つまり高校を卒業する年齢に達していない子、または、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子のある配偶者か上記に該当する子が受け取る事ができます。(参照:日本年金機構HP)

遺族厚生年金の受給額の計算方法と早見表

遺族厚生年金の受給額の計算方法は遺族基礎年金に比べてかなり複雑になります。
まずは早見表で受給額を見てみましょう。

このように遺族厚生年金の受給額は亡くなられたかたの収入によって大きく変化します。遺族厚生年金の受給額の計算方法については日本年金機構のHPをご覧ください。

旧遺族共済年金の受給額の早見表


現在は厚生年金に統合された共済年金ですが、亡くなられた方が共済年金加入者だった場合は遺族共済年金を受け取る事ができます。

ここでは旧遺族共済年金の受給額の早見表を紹介します。

障害年金の受給額の計算方法

次に障害年金の受給額の計算方法を紹介します。


障害年金にも国民年金加入者の方が受け取る事ができる障害基礎年金と障害厚生年金があり、それぞれの計算方法について解説していきます。


障害基礎年金の受給額の計算方法

障害基礎年金の受給額の計算式は障害等級ごとに以下のようになります。

【1級】 780,100円×1.25+子の加算

【2級】 780,100円+子の加算

子の加算加算額
第1子・第2子224,500円
第3子74,800円

遺族基礎年金同様に子の条件は、18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子または、20歳未満で障害等級1級または2級の障害者になります。(参照:日本年金機構)

障害厚生年金の受給額の計算方法

障害厚生年金の受給額は1級から3級で異なり、また報酬比例によって受給額が異なります。

【1級】
(報酬比例の年金額) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(224,500円)〕

【2級】
(報酬比例の年金額) + 〔配偶者の加給年金額(224,500円)〕

【3級】
(報酬比例の年金額) 最低保障額 585,100円

報酬比例の年金額に関しては日本年金機構のHPを参照に確認してみてください。

将来の年金受給額を知るにはねんきん定期便とねんきんネットを活用しよう

将来の正確な国民年金や厚生年金の年金受給額を知るためには、以下のサービスを活用できます。

  • ねんきん定期便:年1回誕生月に郵送で書類が送付されるサービス
  • ねんきんネット:登録すればネット上で加入状況を参照できるサービス
日本年金機構から郵送で加入者に送付されてくるねんきん定期便には、
  • これまでの年金加入期間
  • 加入実績に応じた年金額
  • 保険料納付額の累計
これらの情報が記載されており、ひと目で重要な情報が分かるようになっています。

また、その『ねんきん定期便』をネット上の電子版で確認することができるサービスが、『ねんきんネット』です。

ねんきんネットは年金加入者であれば誰でも登録できるサービスであり、パソコンやスマートフォン等の端末から情報を参照することができます。

将来の年金受給額を増やす為にはどうすればいい?年金の増額方法を紹介

老後に安定した生活を送るために、「年金額を増やす」ということを誰もが意識されていることでしょう。


誰もが年金に持っているイメージとしては「支払う金額が多くなればなるほど将来もらえる年金額も高くなる」というものですが、本当にそうなのでしょうか。


では、将来の年金受給額を増やす具体的ないくつかの方法を見ていきましょう。

国民年金の任意加入制度を活用して年金受給額を増やす

国民年金には「任意加入制度」があります。


これは60歳を迎えてからでも年金に加入することができる制度のことであり、今までの支払いによる基礎年金の受給額が満額に達していなくても、受給額を増やすことができる制度です。


任意加入制度が適用されるには、以下の条件があります。

  • 日本国内に住所がある
  • 年齢が60歳以上、65歳未満
  • 過去の納付月数が40年(480カ月)未満
  • 厚生年金・共済組合等の保険に未加入である
この条件に当てはまる場合、受給額を増やすことができます。

年金の受給開始時期を遅らせて年金受給額を増やす

年金は、原則受給年齢が「65歳以上」となっています。


しかし、基礎年金は65歳未満でも受け取ることができる「繰り上げ受給」と、66~70歳の受給を選べる「繰り下げ受給」が可能です。


繰り上げ年金では早めに年金を受け取ることが可能ですが、定年を迎えても仕事をしながら収入を得ている方にとってはあまり意味がなく、損となってしまいます。


そこで今度は「繰り下げ受給」を受給してみるとどうなるでしょうか。


年金の繰り下げ請求をすると、

請求時年齢年金の増額率(%)
66歳~66歳11カ月8.4~16.1
67歳~67歳11カ月16.8~24.5
68歳~68歳11カ月25.2~32.9
69歳~69歳11カ月33.6~41.3
70歳~42.0

以上の年金増額率が適用されて、受給額が上がります。


老齢基礎年金の繰下げ受給(国民年金機構)


この年金増額率は繰り下げした月数に0.7を掛けて算出されたものであり、受給時期を遅らせれば遅らせるほど増額率が高くなることが分かります。

未納・免除分の年金を追納して年金受給額を増やす

国民年金には定期的に保険料を支払うという方法だけではなく、「追納」という制度があります。


年金制度においては収入が低い場合等に支払いの免除や猶予を受けることができますが、免除や猶予を受けた期間分だけ、受給できる金額が一定の割合で低くなります。


そこで、支払い免除や猶予を受けて下がった受給分を『追納』という形で支払うことにより、受給額を増やすことが可能です。


さらに、年金保険料を追納すると所得税と住民税が軽減されるというメリットもあります。

まとめ:年金受給額を簡単に知る方法について

今回は、年金受給額の計算方法や、賢い受給の仕方などについて取り上げてきましたがいかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは、

  • 国民年金、厚生年金は支払保険料の金額や加入期間等が分かれば自力で計算できる
  • 遺族年金と障害年金の受給額を計算する事ができる
  • 「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用しよう
  • 「任意加入制度」や「追納」等の方法により年金の受給額を増やすことは可能
以上の点です。

老後に不安を持っている方こそ、自分の年金受給額を把握したうえで、さらに受給額を
増やすにはどうすれば良いかということを考えることは大切です。

まずは自分の年金状況を確認して、老後の生活に対する見通しが立てられるように今から準備しておきましょう。

ほけんROOMでは、この記事以外にも役に立つ記事を多数掲載していますので、ぜひご覧ください。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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