年金の支払いは何歳からいつまで払う?学生の猶予制度や払い方を解説

国民年金について「いつから払うか」「いつからもらえるか」をはっきりと理解している人は意外と少ないかもしれません。また、学生はどうすればいいのか等、年金の支払いにはなにかと疑問が生じます。お得な方法も含めて年金の支払いについて、詳しく解説します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

年金の支払い期間はどれくらい?学生も支払う?

国民全員が加入しなければならない国民年金ですが、いつから払うのか明確に分かるでしょうか?


「学生で収入がないのに払うの?親が払うの?」等、疑問に感じている人も少なくないでしょう。


また、保険料をいつまで払うのか分からず、いつから受け取るのかイメージが浮かばないという人もいるかもしれません。


年金には、支払う期間受給期間があります。払った後は受け取る番ですから、安心してください。


しかし、いつから受け取れるのかが分からないと、不安なまま納付を続けたり、途中で納付をやめてしまったりと、将来のためによくありません。


そこで、今回のこの記事では、「国民年金の納付」について、

  • 国民年金保険料を支払いスタートする年齢
  • 学生の納付
  • 加入手続き
  • 受給スタートの年齢
  • 得する年金の支払い方法

以上のことを中心に説明します。


この記事を読んでいただけたら、年金の支払いについて理解ができ、いつから受け取れるのかが分かり、安心して払えるようになります。


ぜひ最後までご覧ください。 


年金はいつから支払う?支払期間を紹介

年金には、厚生年金国民年金があります。


厚生年金は、会社勤めの方が国民年金にプラスして加入する年金です。


一方、国民年金は全員が加入する年金です。


「実は、国民年金にいつから加入しているのか、よく分かっていない…」という方もいるかもしれません。


ここでは、国民年金について、

  • 保険料はいつから払う?
  • 学生も払うの?
  • 加入するための手続き方法

をお伝えします。

国民年金の支払いは20歳から

国民年金の支払いがいつからスタートするかというと、20歳の誕生日の前日が含まれる月から。要するに、20歳の誕生月からです。1日生まれの方は、誕生月の前月からになります。


国民年金の納付期間は、60歳までの40年間です。


40年間、滞りなく保険料の納付をしていれば、満額の年金が受け取れます。


しかし、どこかで納付が漏れてしまった場合は減額になるため、65歳まで任意加入をして、継続して払うことが可能です。最長で40年分までです。


受給資格は、10年以上の納付が条件になりますが、この条件を満たせていない場合は、65歳から70歳まで任意加入をして払うことで期間を補えます。

学生には納付猶予制度が

学生で収入がない場合でも、国民年金の保険料を払うのでしょうか?


学生の場合は、学生納付特例制度があります。


学生の間、国民年金の納付を猶予してもらえる制度です。


あくまでも猶予扱いで、支払う必要がないわけではありません。


学生納付特例制度を利用する場合は、必ず申請をしてください。


手続きをせず放置すると、未納期間になってしまいます。


この学生納付特例制は、保険料を支払わなくても、国民年金に加入していた期間には合算されます。ただし、納付していない額が払ったことになるわけではありません。


10年以内に保険料をさかのぼって払うこと(追納)ができますから、将来受け取る年金額を担保するためにも、忘れずに追納しておきましょう。


学生期間が終了して3年度目以降に保険料を払う場合、保険料の負担が少し増えます。納付が遅れた分、利息を取られるようなイメージです。


少し損になるので、できるだけ早めに払うようにしてください。


(参考:日本年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度」)

国民年金の保険料はいくら?お得な割引制度も

国民年金の保険料は、毎年見直されていて、今年がいくらなのか正確に分からず払っている人も少なくないでしょう。


平成31年度の国民年金保険料は、月16,410円です。


少し高いと感じるかもしれませんが、実は、国民年金には、お得になる割引制度があるのです。


お得な割引制度とは、前納早割。簡単にご紹介いたします。


前納

6ヶ月、1年、2年分をまとめて払うことで割引される制度です。前納については、あとから詳しく説明いたします。


早割

早割は、本来翌月末までに納めれば良い保険料を、当月末までに支払うことで割引される制度です。


条件があり、口座振替で支払わなければいけません。年600円の割引特典が受けられます。


年600円だとあまり得した気持ちにならないかもしれませんが、40年払った場合、24,000円の得です。


国民年金の納付期間が終了したあかつきには、「得したお金で温泉旅行に行く!」などの楽しみがあるのもいいのではないでしょうか。

国民年金加入のための手続を解説

国民年金は、20歳になったら自動で加入されるわけではありません。


住所地の市区役所または町村役場で手続きが必要です。


手続きの流れは、

  1. 年金機構から書類が届く
  2. 市区役所または町村役場に提出する
  3. 年金手帳が届く
  4. 国民年金保険料納付所が届く
  5. 保険料を納める

の5ステップ。


20歳の誕生月くらいに年金機構から「国民年金被保険者関係届書」が届きます。


この書類に必要事項を明記して、市区役所または町村役場に提出します。近くの年金事務所でも提出できます。


学生納付特例を申請する際は、国民年金加入手続きと一緒に手続きできるので、学生証も持参しましょう。


手続きが完了すると、「年金手帳」が届きます。


年金手帳は、就職の手続きに必要になる他、将来年金を受け取る際にも必要なものです。


紛失しないよう、大切に保管してください。


その後、年金保険料を払うための「国民年金保険料納付書」が届きます この納付書を使って、保険料を支払うことになります。


保険料の支払い方法は、口座振替クレジットも可能です。


口座振替の早割前納で割引がありますから、利用するとお得です。

  • 早割:通常翌月末引き落としのところ、当月末引き落としにする。
  • 前納:6ヶ月、1年、2年分をまとめて払う。

前納については、のちほど詳しくご紹介します。


また、20歳での加入手続きの他に、会社を辞めた時にも手続きが必要ですから、覚えておきましょう。

支払い期間が足りない場合は年金が受け取れない?対処方法を紹介

国民年金は、現在、10年間支払い期間があれば、年金を受け取ることができます。


もし、10年間に足りない場合でも、救済措置があります。


60歳から最長で70歳まで任意加入することで、支払い期間を補うことができるのです。


年金を払えなかった未納期間があると、「どうせ受け取れないから…」とあきらめて、その後の納付を止めたくなるかもしれませんが、もらえないことはありませんから、安心してコツコツ支払っていきましょう。

年金の支給は何歳から?



ここまでは、保険料の支払いについて確認してきました。


長い年数をかけて納付する年金ですが、本音のところでは、受け取る時のことが気になるのではないでしょうか?


ここでは、国民年金の受給について、

  • 年金はいつから受給できるのか?
  • 貰える金額
  • 受給のタイミング

について詳しく解説します。

年金の受給開始は65歳から

国民年金はいつから受給できるのでしょうか?


受給開始年齢は、原則として満65歳からです。


ただし、繰上げ受給繰下げ受給もできます。  


繰り上げ受給

65歳よりも早く年金の受給をスタートすることです。繰り上げていつから受給スタートできるかというと、60歳~64歳


繰上げ支給の請求をした時点(月単位)に応じて年金が減額されます。減額率は一生変わりません。

減額率=0.5%×繰上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数

つまり、繰り上げ受給をすると、長く貰える分、毎月の額が少なくなります。


繰上げの方法には「全部繰上げ」と「一部繰上げ」があるので、必要に応じて利用しましょう。


繰り下げ受給

繰り下げ受給とは、65歳より遅く年金の受給をスタートすることです。具体的にいつからかというと、66歳~70歳で受給開始できます。


繰り下げ受給をした場合、繰り上げ受給とは逆で、年金額が割り増しされます。

増額率=0.7%×65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までに月数

割増率は一生変わりませんから、余裕があれば繰り下げすることで、毎月の年金額に余裕が生まれます。

貰える金額はいくら?何年支払ったらもらえる?

では、実際にもらえる年金額は、いくらになるのでしょうか?


2019年の年金額は、満額で年間780,100円です。


満額とは、国民年金を40年間漏れなく納付した場合に受け取れる金額のことです。


40年に満たない場合は、足りていない月の分だけ減額されます。


例えば、25年分しか払っていない場合は、

780,100円×25年÷40年=487,563円

という計算になります。月額にすると、40,630円です。


「学生納付特例の追納をしていない」「退職後、免除してもらった時期がある」等、満額をもらえない人も少なくありません。


厚生労働省の「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平成29年度末の国民年金受給額の平均は、5万6千円です。

年金はいつ支払われるの?

年金がいつから貰えるかとは別に、支給されるタイミングも知っておきたいですよね。


実は、毎月支給ではありません。


年6回支給され、偶数月の15日に前月までの2ヶ月分がまとめて支給される仕組みなのです。


例えば、4月と5月分の年金は、6月15日に支給されるということです。


15日が金融機関の休業日の場合は、前営業日に支給されます。


2ヶ月分が入ってくるので、調子にのって使ってしまわないように注意が必要です。

年金を受け取るにはどんな手続きが必要?

年金を受け取る際は、手続きが必要です。


支給開始年齢になったからといって、請求手続きなしで自動的に支給されるわけではありません。


年金が受給できるようになる前に、年金機構から案内が届きますから、手続きを忘れることはないでしょう。安心してください。


受給スタートの誕生月の3か月前に、「年金請求書(事前送付用)」と「年金の請求手続きのご案内」という書類が年金機構から届きます。


書類を受け取ったら、年金事務所または街角の年金相談センターへ提出しに行きましょう。


この請求書の提出は、書類が届いてすぐに持参しても受付してもらえません。


いつから受付してもらえるかというと、支給開始年齢(お誕生日)の前日以降です。


手続きの際の持参物は、

  • 年金請求書
  • 戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか
  • 受取先金融機関の通帳等
    (本人名義)
  • 印鑑

です。


その他、諸条件により追加で書類が必要なことがありますから、ご自身の手続きに必要な書類は確認してから持参するようにしてください。

国民年金が払えない場合は?免除や猶予制度を利用しましょう


20歳から60歳まで、40年間も続く国民年金の支払い期間。途中で何があるか分かりません。


保険料を支払えないこともあるでしょう。


そんな時は、免除猶予制度があります。


免除・猶予の申請をしておくことで、支払っていない期間でも、加入していた期間としてカウントしてもらえるため、申請することがとても大切です。


免除や猶予は、前年の所得が一定基準より低い場合に認められます。


「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」とあり、前年の所得によって、どの程度免除されるかが決まります。


また、失業した場合は、前年の給与所得に関わらず、失業保険と合わせて国民年金の免除申請をすることができます。


免除された場合、加入期間には含まれるため、受給資格期間に関しては問題ありません。しかし、支払ったことになるわけではなく、そのままでは受給額が少なくなります。


そこで、国民年金では、払えなかった保険料をそのままにしないために、追納できる制度が用意されています。


遡って支払えるのは、5年前までです。


余裕が出てきたときに、支払っておくと将来の受給額が目減りせずに済みますから、積極的に追納するようにしましょう。


5年という期限があることに注意してください。

厚生年金の支払い方法と加入期間を解説

国民年金のみに加入している人もいますが、厚生年金にも加入している人や、一時期加入していたという人は多いです。


この場合は、厚生年金も国民年金とあわせて受給することになります。


ここでは、

  • 厚生年金はいつから支払うのか
  • 厚生年金にはいつからもらえるのか

について、簡単に確認しておきましょう。

厚生年金の支払い方法と加入期間

厚生年金にはいつから加入するのでしょうか?

実は、厚生年金は、会社でお勤めし始めた時からなのです。

手続きは会社でしてくれるため、自分がいつから厚生年金に加入しているかよく分からない人もいるでしょう。

加入期間は、お勤めしている間で、上限は70歳まで。

転職回数が多いと、いつからいつまで厚生年金に加入していたか分からなくなりやすいのですが、しっかり把握しておきたいです。

厚生年金の支払い方法は、給与からの天引きです。

また、納付額の半分は、会社が負担してくれています。会社勤めの特権です。

それでは次に、厚生年金の受給ができるのはいつからかというと、国民年金と同じで65歳から

国民年金の受給資格を満たしていれば、厚生年金への加入期間が1ヶ月でも厚生年金の受給権が発生します。

勿論、受け取れる額は、加入していた期間分です。

厚生年金の請求は、国民年金と一緒に手続きをおこないます。受け取る際も、国民年金との合算です。

「厚生年金は国民年金とセット」と覚えておくと良いでしょう。

将来貰える年金を増やす為には?お得な公的年金の制度や私的年金について解説

年金には、お得な仕組みがあることをご存じでしょうか?


将来貰える年金額に不安があるなら、お得になる制度や年金を増やせる制度の利用をおすすめします。


ここでは、

  • 公的年金のお得な制度
  • 私的年金

について、解説します。

国民年金をお得に受けとる事ができる付加年金と前納制度

国民年金には、お得な制度があります。毎月淡々と納付しているだけでは、少しもったいないかもしれません。


ここでは、付加年金前納制度についてお伝えしたいと思います。


付加年金

付加年金は、ベースとなる国民年金にプラスで納付することで、将来受け取れる年金額を増やせる制度です。


どのくらいプラスになるのかは次の通りです。

  • 納付は、月々400円プラス
  • 受給は、「200円×付加保険料納付済期間の月数」

これだけでは分かりづらいと思いますから、具体的に支払い額と受給額を計算してみます。


30年間(360月)付加保険料を納付した場合は、保険料の総額は、

400円×360ヶ月=144,000円

です。


受給額は、

200円×360ヶ月=72,000円(年)

です。月6,000円プラスで貰える計算になります。


2年受給すれば元をとるので、お得度が高いです。


付加年金がいつから受給できるかは、国民年金と一緒です。


前納制度

前納制度は、まとめて前払いすることで納付する際に割引される制度です。


現金払いで、

  • 1年度分の前納:年間3,500円割引
  • 2年度分の前納:2年分で14,520円割引

となります。


現金払いは、コンビニエンスストアなどで払込用紙を使って納付する方法です。


口座振替もあります。


口座振替の割引額は、以下の通りです。

  • 1年度分の前納:年間4,130円割引
  • 2年度分の前納:2年分で15,760円割引

口座振替の方が、現金払いより割引が大きくなってお得です。


前納制度は、支払い総額が少ないのに他の人と同じ額を受け取れるので、ぜひ利用してください。

iDeCoや個人年金保険、つみたてNISAについて解説

公的年金でも受け取れる額を増やす方法がありましたが、やはり、それだけでは限界があります。


公的年金だけでは不安に感じているなら、私的年金を検討してみてください。


税制上も優遇されます。


私的年金には、

  • iDeCo
  • 個人年金保険
  • つみたてNISA

があります。


iDeCo

個人型確定拠出年金です。掛金を拠出し、自分で運用方法を選び、掛金と運用益をもとに給付を受けることができます。


60歳まで解約ができませんが、老後の年金を増やしたいなら最適です。


個人年金保険

個人年金保険は、貯蓄型の保険です。一定期間保険料を払い込み、将来、年金として受け取ることができます。


一般的には、払込期間は60歳までで、受け取りをスタートする年齢は契約によって決められます。


つみたてNISA

長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度のことです。少額から積み立てることができて、運用益で資産を構築します。


つみたてNISAの良いところは、積み立て額の変更やお休み、売却がいつでも可能な点です。

まとめ:20歳になったら国民年金への加入が必要

国民年金の保険料納付についてに説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは、

  • 加入は20歳からだけど、学生なら猶予制度がある
  • 受け取りは65歳からで、繰り上げ・繰り下げ受給も可能
  • 繰り上げすると年金額が減り、繰り下げすると年金額が増える
  • 付加年金・前納制度を利用するとお得
  • iDeCoや個人年金保険、つみたてNISAで私的年金の構築も検討しよう

でした。


国民年金には、いくつかお得になる制度が用意されています。また、私的年金を構築することも可能です。


国民年金の納付について理解して、利用できそうな制度は上手に利用しながら、老後の資産構築に取り組んでいきましょう。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。


参考:日本年金機構

   金融庁

   厚生労働省

   内閣府

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