将来貰える年金受給額はいくら?平均受給額と受給額の試算方法を紹介

将来の年金受給額はいくらなのか、気になる人は多いと思います。国民年金と厚生年金の平均年金受給額と試算方法を紹介、ご自身の将来の年金受給額をシミュレーションしてみましょう。また、将来の不安が囁かれる年金制度の行方や私的年金の活用についても解説していきます。

平均的な年金受給額はいくら?平均受給額と受給額をシミュレーション

将来、年金はいくらもらえるのか、気になりますよね。


そもそも、年金制度は今後も問題なく存続するのか、年金がもらえなくなることはないのか、不安に思う人もいらっしゃるかもしれません。


平均的な年金受給額はいくら位なのかが分かり、将来もらえる年金額のシミュレーションができれば、年金制度への安心感が得られ、老後の生活への見通しも立ちやすくなると思います。


そこで、この記事では、

  • 年齢・性別ごとの平均年金受給額
  • 国民年金の平均受給額
  • 国民年金保険料を滞納した場合の試算
  • 配偶者特別控除の適用条件
  • 厚生年金の平均受給額と収入ごとの受給額目安
  • ねんきん定期便で確認できること
  • 年金制度破綻論について
  • 私的年金の活用

について、解説していきます。


この記事を読んでいただければ、平均的な年金受給額や将来自分がもらえる年金額の目安が分かると思います。


老後の見通しが立ちやすくなり、老後資金の不足が心配な場合は、私的年金の活用を検討するなど、現役期から準備を始めることもできます。


ぜひ最後までご覧ください。 

平均的な年金受給額を年齢、性別ごとに解説

政府統計「年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)平成29年」では、年齢・性別ごとの公的年金の平均受給額とその構成割合を見ることができます。


公的年金とは、日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が加入する1階部分の国民年金(基礎年金)と 会社員・公務員などが加入する2階部分の厚生年金から成り立っています。


性別・年齢別に見た公的年金の平均受給額(年額)

年齢男性
平均受給額

女性
平均受給額

64歳以下93.4万円34.4万円
65~69歳183.2万円105.0万円
70~74歳183.7万円107.5万円
75~79歳193.9万円114.6万円
80~84歳204.7万円125.6万円
85~89歳204.3万円130.0万円
90歳以上200.2万円123.6万円
65歳以上190.8万円114.8万円
合計182.8万円105.7万円


公的年金の平均受給額とその構成割合は、以下のようになっています。


公的年金の平均受給額(年額)

  • 男性:182.8万円
  • 女性:105.7万円


男性:公的年金受給額の構成割合

  • 受給額「200~300万円」が42.2%と最も多い
  • 受給額「100~200万円」が30.0%と2番目に多い
  • 80~84歳の平均受給額が最も高く、58.0%が200万円以上である


女性:公的年金受給額の構成割合

  • 受給額「50~100万円」が40.7%と最も多い
  • 受給額「100~200万円」が32.4%と2番目に多い
  • 85~89歳の平均受給額が最も高く、54.9%が100万円以上である

女性の公的年金受給額は、男性と比べると低くなっています。

これは、現在厚生年金をもらっている世代では、女性が結婚後に離職して専業主婦になり、厚生年金の加入者ではなくなった人の割合が多いためです。

厚生年金受給額は勤続年数と収入額によって変わるので、男性と女性の受給額では大きな差が見られます。

半数近くの女性の公的年金受給額が50~100万円であるということは、会社員としての期間が短かく、現在よりも女性が働き続ける環境が整っていなかったことも理由として考えられます。

また、国民年金の場合は保険料が決められているので、保険料を納付した期間や免除等の期間によって年金受給額が異なります。

専業主婦は国民年金への加入が任意だった時代があり、加入していなかった人は年金受給額が少ないと思われます。

国民年金の平均受給額は5.5万円

厚生労働省が公開している「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金(老齢基礎年金)の平均年金受給額(月額)は、平成29年度末現在で55,918円となっています。


平成29年度の国民年金の満額年金支給額779,300円であり、月額にすると約64,942円となります。


この満額年金支給額を得るためには、20歳から60歳まで国民年金の保険料を毎月滞納や遅延なく納付し続けることが条件になります。


実際の国民年金の平均年金受給額は、満額年金支給額よりも、月額で約1万円少ないことが分かります。


ちなみに、平成31年度の満額年金支給額は780,100円、月額は65,008円にアップされています。


(参考)「平成 31 年度の年金額改定についてお知らせします」

国民年金保険料を滞納すると貰える年金が減額に

国民年金保険料を滞納すると、将来の年金受給額は減額されてしまいます。


具体的にどれくらいの年金金額が減額されるのか計算してみましょう。


平成31年度の国民年金は、最高40年加入で満額年金支給額は780,100円です。


1年滞納すると年金額は1/40がカットされ、1ヶ月滞納すると1/480がカットされる計算になります。


1ヶ月滞納した場合の減額は、以下のように計算できます。

約78万円÷480ヵ月(40年)=約1,600円

滞納期間が1ヶ月あると、年金金額は年ベースで約1,600円減額されます。


年金は原則65歳に受給スタートとなりますが、平均寿命は男性が81歳、女性が87歳となっています。


1ヵ月滞納した場合、生涯にわたって減額される年金金額は以下のように試算できます。

男性:約1,600円×16年×12ヵ月=約30.7万円

女性:約1,600円×22年×12ヵ月=約42.2万円

さらに、滞納月数が多くなれば、それに比例して生涯の減額される年金金額も大きくなります。

配偶者控除を受けるための年収が103万円から150万以下に拡大

2018年1月より、世帯にかかる税金に関わる「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の適用条件が改正されました。

夫の扶養に入りながらパートやバイトで働く妻の場合、税金の負担を抑えるために年収の壁を意識しながら働く人は多いと思いますが、具体的にどのように改正されたのか、見ていきましょう。

2017年までの「103万円の壁」

2017年までは、パートやバイトで働いている妻の年収が103万円以内であれば、配偶者控除が適用されて夫は38万円所得控除を受けられました。

2018年1月からの「150万円の壁」

2018年1月の改正により、配偶者特別控除の対象が拡大されて、妻の年収が103万円超150万円以下ならば、配偶者特別控除が適用されて夫は38万円の所得控除が受けられるようになりました。

(配偶者控除の対象となる妻の年収要件はこれまでと変更はありません)

この改正は、女性の社会進出を促進させることを目的としていて、パートやバイトの月収を約8万5,000円までに抑えていた妻は、最高12万5,000円まで増やせるようになりました。

また、妻の年収が150万円を超えても、201万円までは夫の収入等と妻の所得額に応じて段階的に配偶者特別控除が受けられます。

ただし、夫の所得が年間合計所得金額1,000万円(給与収入のみの場合は年収1,220万円)を超える場合は、配偶者控除および配偶者特別控除は適用されません。

厚生年金の平均受給額は14.7万円、収入ごとに受給額を解説

厚生労働省が公開している「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢厚生年金の平均受給額は、平成29年度末現在で月額147,051円となっています。


老齢厚生年金の受給額は、加入期間や保険料の納付期間、収入額などにより異なります。


将来、自分が年金いくらもらえるのか詳しく知りたい場合は、日本年金機構の「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認するとよいでしょう。


老齢厚生年金の計算方法は複雑であり、以下の①②を合算して求めます。

①平均標準報酬月額×0.007125(生年月日に応じた率)×平成15年3月までの加入月数

②平均標準報酬額×0.005481(生年月日に応じた率)×平成15年4月以後の加入月数

ここでは、平成15年4月以後の収入額×加入期間ごとの厚生年金受給額目安とその推移をご紹介します。

   

厚生年金受給額目安については、平成15年4月以後の加入期間中、ずっと同じ年収が継続したと仮定して、以下のように試算しています。

年収 × 0.005481 × 加入期間 = 厚生年金受給額目安(年額)

年収300万円の厚生年金受給額目安(年額)

加入期間受給額
10年16万円
20年33万円
30年49万円
40年66万円


年収500万円の厚生年金受給額目安(年額)

加入期間受給額
10年27万円
20年55万円
30年82万円
40年110万円


年収700万円の厚生年金受給額目安(年額)

加入期間受給額
10年38万円
20年77万円
30年115万円
40年153万円


年収1,000万円の厚生年金受給額目安(年額)

加入期間受給額
10年55万円
20年
110万円
30年164万円
40年219万円

配偶者の加給年金には特別加算額が上乗せされる

加給年金とは、厚生年金保険の受給権者が老齢厚生年金を受給できるようになった時点で、その人によって生計が維持されている配偶者または子がいる場合、年金額が加算される制度です。


配偶者への加給年金の支給には、以下の条件があります。

  • 配偶者が65歳未満である
  • 配偶者が老齢厚生年金(20年以上)・退職共済年金(20年以上)・障害年金を受けていない


配偶者の加給年金額は、224,500円です。


これに加えて、老齢厚生年金受給権者の生年月日に応じて、33,200円165,600円特別加算されます。


特別加算の支給を受けるためには、届出が必要です。


配偶者加給年金額の特別加算額

受給権者の生年月日特別加算額加給年金額の合計額
昭和9年4月2日~
昭和15年4月1日
33,200円257,700円
昭和15年4月2日~
昭和16年4月1日
66,200円290,700円
昭和16年4月2日~
昭和17年4月1日
99,400円323,900円
昭和17年4月2日~
昭和18年4月1日
 132,500円357,000円
昭和18年4月2日以後 165,600円390,100円


配偶者が65歳になると、加給年金は打ち切られてしまいます。


しかし、配偶者が老齢基礎年金を支給される資格を持っていれば、その基礎年金に振替加算という上乗せがされます。


振替加算の金額は、配偶者の生年月日によって決まり、年齢が高くなるほど貰える金額が多くなります。


振替加算の支給には、以下の条件があります。

  • 配偶者の生年月日が昭和41年4月1日以前である
  • 配偶者が老齢厚生年金(20年以上)・退職共済年金(20年以上)・障害年金を受けていない

自分が将来貰う年金額を知る方法

自分が将来もらえる年金見込額は、日本年金機構の「ねんきんネット」や「ねんきん手定期便」で確認することができます。


ねんきんネットは、これまでの年金記録や将来の受給年金額など、年金に関する情報をパソコンやスマートフォンで確認できるインターネット上のサービスです。


「年金見込額試算」では、さまざまな条件を設定することで、将来受け取れる老齢年金の見込額をシミュレーションできます。


「かんたん試算」は、現在と同じ条件で、60歳まで年金制度に加入し続けるという条件を自動設定して、素早く見込額を試算できます。


その試算結果に基づいて、年齢ごとに年金見込額と給与の年収との合計をグラフで表示させて推移を見ることもできます。


ねんきんネットを利用するには、インターネット上で個人情報を登録し、ユーザーIDとパスワードを取得する必要があります。


登録の際には、基礎年金番号の入力が必要になるので、年金手帳年金証書などで確認しておきましょう。

ねんきん定期便を活用して受給額を確認

ねんきん定期便」は、日本年金機構から毎年誕生月に送付されてきます。


年金保険料の納付実績や将来の年金受給額目安を表やグラフで確認することができます。


ねんきん定期便では、50歳未満の人50歳以上の人で記載内容が大きく異なるので、注意が必要です。


50歳未満の人

これまでの加入実績に基づいて計算された金額のみが記載されています。


60歳までに納める予定の保険料は反映されていないため、記載されている年金受給額は少なく感じるかもしれません。


50歳未満の人は、これからの働き方や年金制度の変更により、年金受給見込額が変わる可能性が大きいため、このような記載になっています。


50歳以上の人

現在と同じ給与水準で60歳まで働き続けたと仮定した年金受給額が記載されています。


60歳以降も働き続ける場合は、老齢厚生年金が別途加算されます。


また、国民年金の未納期間があった場合、60歳以降に任意加入で納付すると、老齢基礎年金が別途加算されます。


ねんきん定期便では、記録漏れや誤りがないか、加入履歴をよく確認しましょう。


特に、以下に該当する人は注意が必要です。

  • 転職回数が多い
  • 結婚して姓が変更された
  • 名前の読みが複数ある

年金は払い損に?年金破綻論について解説。

「将来年金制度は破綻して、年金がもらえなくなるのではないか」と心配する人は少なくないと思います。


そう考えると、「今支払っている保険料は無駄になってしまうのではないか」という気持ちになってしまいますよね。


しかし、実際には年金制度が破綻したり、将来年金がもらえなくなることはありません。


(参考)年金破綻は嘘?年金が破綻しない理由と保険料を払うメリットを解説!


その理由は、3つあります。


年金債務の存在

年金債務とは、将来年金を受け取る権利を持っている人が受給できる年金金額のことです。


この年金債務は現段階で700兆円に上ると言われています。


仮に年金制度が破綻して、この年金債務700兆円が支払えないとなった場合、国は国民から訴訟を起こされる可能性があります。


国がこの訴訟に敗訴した場合、事実上の国家破綻となってしまいます。


生活保護の存在

万が一、年金制度が崩壊した場合、収入のない高齢者の最低限の生活を維持するために、国は生活保護を支給しなければなりません。


全ての年金受給者を生活保護でまかなうとすると、その分は国税を注入しなければなりません。


破綻させないために様々な工夫がなされている

①②のように、年金制度が破綻すると、国と国民双方のデメリットが大きいため、年金制度を維持するために様々な対策が講じられています。


その結果として、「年金制度は破綻しない」という状態を維持できているのです。

豊かな生活を送るための資金づくりを

豊かな老後生活を送るためには、公的年金に加えて、以下のような方法で老後資産形成をするのがおすすめです。

  1. 私的年金の活用
  2. NISA・つみたてNISAの活用


1.私的年金の活用


私的年金とは、公的年金に上乗せする保障制度であり、国民年金基金・確定拠出年金・確定給付企業年金・民間の保険会社などが販売する個人年金保険などが該当します。


老齢厚生年金の支給開始年齢は段階的に65歳へと引き上げられているため、公的年金だけでは空白期間不足分を補えない可能性があります。


まずは、公的年金いくら受給できるのかを試算して、空白期間や不足分を補うのに適した私的年金および年金金額を検討しましょう。


私的年金を活用することにより、老後資金を計画的に準備でき、安心して老後の生活を送れるようになります。


私的年金の中で人気が高いのは、iDeCo個人年金保険です。


iDeCoは、対象商品である定期預金・投資信託・保険などを自ら運用し、60歳以降に年金または一時金で運用資産を受け取ります。


iDeCoメリットは、以下の通りです。

  • 掛け金の所得控除
  • 運用益が非課税
  • 運用資産受取り時に控除を受けられる


個人年金保険は、現役時代に保険料を払込んでいき、老後に一定額を年金で受け取ります。


個人年金保険のメリットは、以下の通りです。

  • 万が一の保障を確保しながら貯蓄もできる
  • 生命保険料控除が受けられる

2.NISAつみたてNISAの活用

NISA・つみたてNISAは、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる「少額投資非課税制度」です。

NISA・つみたてNISAは併用することができず、1人につき1口座のみ開設できます。

NISAは、ある程度まとまった資金を運用したい人、個別株投資をしたい人、短期~中期の資産運用をしたい人などに向いています。

一方、つみたてNISAは、少額から積立の投資信託を購入したい人、長期かつリスク分散した資産運用をしたい人に向いています。

NISA・つみたてNISAの違いは以下のようになります。

NISAつみたてNISA
投資対象株・投資信託・
ETF・REIT
金融庁が指定した
一部の投資信託
年間非課税投資枠120万円40万円
非課税期間5年20年
制度の終了年2023年2037年

まとめ:公的年金の平均受給額と将来の年金受給額について

平均的な年金受給額や将来の年金受給額を確認する方法について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは、

  • 女性の平均年金受給額は男性よりも大きく下回る
  • 国民年金の平均受給額は満額支給額よりも月1万円程低い
  • 国民年金保険料を滞納すると、受給年金額が減額される
  • 配偶者特別控除は妻の年収150万円以下に拡大された
  • 厚生年金受給額は勤続年数と収入額により異なる
  • ねんきん定期便やねんきんネットで年金受給額が試算できる
  • 年金制度は破綻せず、年金がもらえなくなることはない
  • 公的年金にプラスして私的年金を活用するのがおすすめ

でした。


公的年金の平均受給額は、年額ベースで男性182.8万円、女性105.7万円です。


国民年金の平均受給額は、月額5.5万円、厚生年金は月額14.7万円です。


厚生年金受給額は勤続年数や収入額により、大きな違いが見られるので、ねんきん定期便やねんきんネットで確認してみましょう。


年金制度は今後も破綻することはなく、将来年金がもらえなくなることはありませんが、豊かな老後生活を送るためには公的年金にプラスして私的年金を活用するのがおすすめです。


みなさんもこれを機に、自分の年金受給額を確認してみてはいかがですか?


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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