更新日:2024/03/07
老後の年金いくらもらえる?厚生年金と国民年金の支給額合計を計算!
年金に対する将来不安が高まっていますが、実際の所、老後の年金はいくら貰えるのでしょうか?この記事では、自身の正確な年金受給額の確認方法と概算、将来的な年金破綻の可能世や、受給額の引き下げに関わるマクロ経済スライドについてわかりやすく解説します!
目次を使って気になるところから読みましょう!
老後の年金受給額はいくら?厚生年金と国民年金の合計支給額
多くの人が不安に感じている老後の年金。いくらもらえるのか年金受給額が気になる人も多いはずです。
最近では「老後の生活資金が2,000万円不足する」というニュースが話題になっていて、急に老後のことが心配になったという人もいると思います。
その一方で年金に関しては、根拠もなく漠然とした不安感だけを抱いている人が多いことも事実です。
年金に関する正確な知識がないと、年金額や準備すべき貯蓄額も分からないので老後の備えもできません。
そこで今回のこの記事では「老後の年金額」について
- もらえる年金の種類
- 平均的な年金額
- 年金制度が破綻する可能性
- 年金額に影響するマクロ経済スライド
以上のことを中心に説明します。
この記事を読んでいただければ、ネットなどで飛び交う様々な情報に惑わされることなく、自信を以て老後への備えができるようになります。
年金の仕組みや老後の生活設計を考える上で役立つ知識を理解することで、老後への不安なく今の生活を送れますし、老後も不安なく生活できるはずです。
ぜひ最後までご覧ください。
貰える年金には3つの種類が
年金が支給される制度は職業によって異なるので、いくらもらえるのかも職業によって変わります。
自営業者やフリーターは国民年金のみ、会社員や公務員は国民年金と厚生年金の2階建て年金です。
そして公的年金は老後にしかもらえないと勘違いをしている人が多いものの、障害になった場合や加入者が亡くなって遺族が残された場合にも支給されます。
公的な年金制度からもらえる年金は次の3種類です。
- 老齢年金:老後の生活を支えてくれる年金
- 障害年金:障害になったときに支給される年金
- 遺族年金:残された遺族の生活費用になる年金
以下ではそれぞれの年金について、概要・支給額・支給条件を分かりやすく解説していきます。
老齢年金
[概要]
老後の生活費用として生活の支えになるのが老齢年金です。国民年金からは老齢基礎年金、厚生年金からは老齢厚生年金が支給されます。
[支給額]
老齢基礎年金の年金額は満額で約78万円です。ただし加入期間の長さや保険料免除期間の有無によって年金額は変わるので、満額もらえるとは限りません。
老齢厚生年金がいくらもらえるのかは給与額や加入期間、家族構成などで変わります。
そして支給開始年齢は65歳が原則ですが、申請をして繰上げたり繰下げることで60歳~70歳の間で変更が可能です。
繰上げた場合には「0.5%×繰上げ月数」の割合で年金額が減額され、繰下げた場合には「0.7%×繰下げ月数」の割合で年金額が増額されることになります。
[支給条件]
年金制度への加入期間が10年以上あると65歳から支給され、亡くなるまで一生涯もらえます。
ただし老齢厚生年金は以前は60歳から支給されていました。現在は徐々に支給開始年齢が65歳に引き上げられている段階で、支給開始年齢が異なる人もいます。
例えば会社員であれば、誕生日が1961年4月1日以前の男性と1966年4月1日以前の女性は、65歳以前から老齢厚生年金の支給対象になります。
障害年金
[概要]
障害状態になった場合に生活の支えになるのが障害年金です。国民年金からは障害基礎年金、厚生年金からは障害厚生年金が支給されます。
[支給額]
いくらもらえるのかは障害等級によって異なります。
障害基礎年金の場合は2級では約78万円、1級ではその1.25倍です。障害厚生年金がいくらもらえるのかは給与額や加入期間、家族構成などで変わります。
[支給条件]
障害基礎年金は障害等級1級又は2級に該当した場合が、障害厚生年金は障害等級1級~3級に該当した場合が支給対象です。(日本年金機構:障害認定基準)
そして障害基礎年金も障害厚生年金も「初診日に被保険者であること」が原則の支給条件になります。
ただし障害基礎年金では20歳前の傷病による障害や、元被保険者が60歳以上65歳未満のときに障害になった場合でも支給されることがあります。
また障害年金が支給されるためには、原則として被保険者期間全体の3分の2以上の期間に渡って保険料を納付していなければいけません。
自分で保険料を納付する国民年金の場合には、納付漏れには特に注意が必要です。
長期未納によって未納期間が3分の1以上あると、万が一の場合に障害基礎年金を受給できなくなります。
保険料の納付漏れがないように必ず納付し、納付が難しい場合は保険料免除申請を活用するなど、未納にならないように適切に対応することが大切です。
遺族年金
[概要]
年金加入者が亡くなった場合に残された遺族の生活を支えるのが遺族年金です。国民年金からは遺族基礎年金、厚生年金からは遺族厚生年金が支給されます。
[支給額]
遺族基礎年金の年金額は約78万円です。遺族厚生年金がいくらもらえるのかは給与額や加入期間などで変わります。
[支給条件]
死亡当時に生活を維持されていた家族が支給対象で、遺族基礎年金は「子がいる配偶者又は子」、遺族厚生年金は「配偶者・子・父母・孫又は祖父母」です。
ただし年齢要件もあり、子と孫は「18歳に達する日以後の最初の3月31日まで」又は「障害等級1級又は2級に該当する障害状態で20歳未満」が条件となります。
また妻以外の者が遺族厚生年金を受け取るためには55歳以上でなければいけません。
以上が老齢年金・障害年金・遺族年金の3つの年金の概要になります。
しかしどの年金も詳細な制度内容は非常に複雑です。
支給対象になるのかどうかやいくらもらえるのかは、年金事務所などに問い合わせて確認することをおすすめします。
年金が支給されない場合でも一時金の支給対象になる場合もありますし、配偶者加給年金額や中高齢寡婦加算のように年金額が増える場合もあります。
受給漏れを起こさず、年金制度を正しく活用することが大切です。
20代から50代の貰える国民年金と厚生年金の概算
年金制度自体が複雑なこともあって、年金がいくらもらえるのか分かっていない人が多いのが現状です。
もらえる年金額は一体どれくらいなのか、正しく理解しておかなければいけません。
厚生労働省が発表した厚生年金保険・国民年金事業年報(平成29年度)によると、年金額(月額)の平均は自営業者などでは約5.5万円、会社員や公務員などでは約15万円となっています。
ただしこれはあくまで平均値です。いくらもらえるのかはその人ごとに異なります。
年金受給額が変わる要因は色々とありますが、以下では事例をいくつか紹介したいと思います。
- 20代の学生時代に学生納付特例を申請していて且つ追納しなかった
- 30代から付加保険料も納付するようになった
- 40代のときに会社を辞めて自営業者になり厚生年金被保険者でなくなった
- 50代で勤めていた会社から出向になって給与額が変わった
1つ目のケースは、国民年金における特例制度を使っていた場合の事例です。
保険料の免除申請や納付猶予制度、学生納付特例を適用していた場合には年金額が減ることがあります。
後々に追納をしなければ年金額に反映されないため、いくらもらえるのかが変わります。
2つ目のケースはもらえる年金額が増えるケースです。
国民年金では月額400円の付加保険料を納付することができます。20代や30代など若い頃から付加保険料を納付すると、その分年金額が増えることになります。
3つ目のケースは、厚生年金の被保険者から国民年金の被保険者に途中で変わる場合です。
2階建て年金になっていて多くもらえる厚生年金の被保険者ではなくなるため、最後まで厚生年金に加入していた場合に比べて年金額は減ることになります。
4つ目のケースは勤務先が変わる場合です。
厚生年金の年金額は給与額をベースにして計算されるので、勤務先が変わって給与が変われば当然年金額も変わることになります。
そしてこれは40代や50代で出向先に移籍するような場合以外にも、20代や30代で転職をする場合にも言えることです。
このように年金をいくらもらえるのかは様々な要素によって変わります。
そこで自分の場合には年金額が一体いくらなのか、シミュレーションをしていくらもらえるのかを確認することが大切になります。
【正確な受給額を知りたい】年金定期便、ねんきんネットを活用!
自分がもらえる年金額を正確に知りたい場合には、日本年金機構から送付される年金定期便や便利なシステムであるねんきんネットを活用する方法があります。
年金定期便は毎年誕生月に送付される資料で、加入実績に応じた年金額などを確認できます。
なお50歳未満の人と50歳以上の人では年金定期便の記載事項に違いがあるので注意が必要です。
50歳未満の人では納付済の保険料を基準にして算出された年金受給額が記載されています。
一方で50歳以上の人では同じ条件で60歳まで継続した場合の年金受給見込額が記載されています。
そしてねんきんネットは日本年金機構が提供しているシステムで、登録してマイページを開設すればパソコンやスマホで年金情報が簡単に確認できます。
自身の年金記録や将来の年金見込額の確認に加えて、年金額のシミュレーションを行うことも可能です。
詳細な条件を設定してシミュレーションを行っていくらもらえるのかを計算できますし、年金に対するイメージをより具体的に持つこともできるはずです。
年金定期便やねんきんネットをぜひ活用して下さい。
年金は破綻する?年金制度の今後について解説
年金制度自体が継続できないのではないかと考えている人も多いと思います。
「年金がいくらもらえるのか」ではなく「そもそも年金はもらえない」と考える人は少なくないはずです。
少子高齢化によって年金財政を支える現役世代の数が減って、財政的に制度を維持できないと考えているからです。
しかしこの考え方には大きな間違いがあります。年金制度の財源は保険料だけではないので、保険料納付者の数の減少だけで考えるのは無理があるからです。
年金財政の財源を含めて、年金制度の仕組みや今後の見通しについて正しく理解しなければいけません。
年金制度の破綻の可能性は殆ど無い
少子高齢化が進む結果として、保険料を負担している現役世代より年金をもらう高齢者世代のほうが多くなっていくことは事実です。
やがてバランスが取れなくなり年金制度自体が崩壊するだろうというロジックは一見正しそうに見えます。
しかし実は年金制度は保険料だけで成り立っているわけではありません。年金の財源のうち半分は国庫負担という形で税金で賄われています。
つまり全世代で負担する税金によって年金財政の半分が支えられていて、現役世代だけで年金財政全体を支えているわけではないということです。
また保険料として支払われたお金が全てそのまま年金として支給されるわけではなく、積立金として年金積立金管理運用独立行政法人が運用を行っています。
「平成29年度年金積立金の運用状況について」を確認すると分かりますが、確実な運用が行われている結果として積立金の金額は年々着実に増えています。
平成29年度末時点で約164兆円もの積立金があり、直近では平均3.2%/年もの高い収益率を達成しています。
積立金も年金財政を力強く支えていて、財源が不足したり破綻したりしないと言える理由です。
そして年金制度が破綻する可能性が殆ど無いと言える理由は他にもたくさんあります。
しかしここでは紹介しきれないので、以下で掲載されている記事もぜひ読んでみて下さい。
~公的年金に関するおすすめの記事~
年金破綻は嘘?年金が破綻しない理由と保険料を払うメリットを解説!
年金制度の仕組みや破綻しない理由、老後の備えに必要な考え方などが詳しく紹介しています。
公的年金だけでは老後資金が2,000万円不足?
最近話題になっている「老後資金が2,000万円不足する」というニュース。
金融庁の資料で不足額が2,000万円と記載されたことで、最近になって老後不安が一気に高まりました。
しかし多くの人が単に老後不安を煽られただけで、正確な情報を知らないことも確かです。
そもそも不足額を2,000万円と試算した際の前提条件を理解しなければいけません。
この報告書では年金で生活する高齢夫婦無職世帯の平均的な姿として、収入額と支出額を比較しています。
その場合には毎月5万円の不足額が生じて、この状態が30年続いた場合には不足額の合計が約2,000万円になるという計算です。
しかしこれはあくまで無職の世帯の話です。60歳や65歳を過ぎても働き続けている人は増えていますし、年金以外の収入があるケースも多いはずです。
また年金額1つ取っても、いくらもらえるのかは世帯ごとに異なります。
つまり老後の不足額が2,000万円になる世帯とは、単なる一例に過ぎないということです。
老後でも働き続けた場合には収入がどれ程あるのか、年金は一体いくらもらえるのか。前提条件次第で不足額は変わりますし、不足しない場合もあり得ます。
年金に関する試算結果や情報は鵜呑みにせず、前提条件などを含めて確認することが大切です。
自分の場合にはいくらもらえるのか、自身の状況を踏まえて前提条件を正しく設定して、年金額や必要額・不足額を計算するようにしましょう。
【知っておきたい】年金の引き下げに大きく関わるマクロ経済スライドって?
もらえる年金額は一定というわけではありません。
平成16年からマクロ経済スライドという制度が導入されたことによって、年金額の引き下げが行われる可能性があります。(参照元:厚生労働省「マクロ経済スライドってなに?」)
年金を将来いくらもらえるのかを知るためには、マクロ経済スライドに関する知識も必要です。
そこで以下では制度概要や導入の経緯について分かりやすく説明していきます。
マクロ経済スライドとは?
給付すべき年金額はその時代の物価や賃金の水準を考慮して決めなければいけません。
そして長期的に見れば物価や賃金は上昇していくことになるので、年金額もその上昇に応じて金額が増えていくことになります。
しかし年金額の上昇分をそのまま現役世代に負担させると負担が大きくなりすぎます。そのため年金額の伸びを調整する仕組みがマクロ経済スライドです。
具体的には年金額を計算する際、年金制度の被保険者総数の減少や平均余命の伸びを考慮します。
そうすることで物価や賃金ほどには年金額が上昇せず、公的年金制度の財政が長期的に問題なく維持できる仕組みです。
なお保険料収入などの財源の範囲内で年金給付を行うことができますが、年金をいくらもらえるのかが変わる可能性があるということでもあります。
マクロ経済スライド導入の経緯
マクロ経済スライドが導入されたのは平成16年です。
それまでは将来の保険料の見通しを示して、年金の給付水準と保険料負担を見直していました。
しかし少子高齢化が急速に進む中で、保険料負担の見通しは上がり続けるばかりで、年金制度自体にも不安や懸念の声が上がりました。
そこで平成16年に年金制度に関する様々な改革が行われ、国庫負担が3分の1から2分の1に引き上げられると共に、積立金を活用することも決まりました。
そして年金額の上昇に対して保険料が上がり過ぎないようにするため、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みとしてマクロ経済スライドが導入されました。
まとめ:老後の年金受給額の確認方法と年金制度の今後
「老後の年金額」について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?
この記事のポイントは
- 年金には老齢年金・障害年金、遺族年金の3種類がある
- 老後の年金額(月額)は自営業者などで約5.5万円、会社員や公務員などで約15万円である
- 年金制度が破綻する可能性は殆ど無いので心配する必要はない
- マクロ経済スライドによって年金の給付水準は自動的に調整されている
でした。
この記事を読んだことで、年金制度の仕組みや年金の種類に関する知識だけでなく、自分がいくらもらえるのかを確認する方法も理解できたはずです。
年金制度が破綻する可能性は殆ど無いことや老後資産の不足を過剰に心配する必要がないことも分かり、老後への不安もなくなったと思います。
老後の生活設計を含め、ライフプランニングでは正しい知識と正しい対策・準備が大切です。身に付けた「正しい年金知識」をぜひ活用していって下さい。
ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。