更新日:2021/10/10
年収850万円以上の人が節税するには控除改正内容を確認すべき!
2020年に控除改正がされたのをご存じでしょうか。基礎控除は増えたものの給与所得控除は引き下げられ年収850万円ほどの方は税負担が重くなってくる可能性があります。節税をするために控除改正後の内容を確認し、資産形成も積極的に行っていきましょう。
内容をまとめると
- 年収850万円の割合は約9%
- 年収850万円の手取りは約620万円~650万円と税金と社会保険料で200万以上
- 年収850万円の生活レベルは独身の場合ゆとりがあるが、配偶者と子供がいる場合は将来に備えて資産運用をした方が良い
- iDeCoや積み立てNISA、ふるさと納税、不動産運用などの制度や資産運用を用いて節税や資産形成を有効に行うことも重要
- 資産形成や生活のやりくりの見直しはプロに相談するのがおすすめ!特にFP相談サービスの1つである「マネーキャリア」は優秀!
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 年収850万円の注意点①:2020年から基礎控除が引き上げられた
- 参考:基礎控除について簡単におさらい
- 改正内容:基礎控除が一律10万円引き上げられた
- 年収850万円の注意点②:2020年から給与所得控除が引き下げられた
- 参考:給与所得控除について簡単におさらい
- 改正内容:年収850万円以上の場合は給与所得控除の上限が195万円に引き下げられた
- 年収850万円以上の割合は約11%
- 年収850万円稼ぐ場合の手取りと税金をシミュレーション
- 年収850万円の手取りは約620万円~650万円
- 年収850万円の所得税は約45万円~55万円
- 年収850万円の生活レベルとは?多額の税金を払う生活の実態
- 事例①:独身で年収850万円の場合
- 事例②:子どものいる家庭で世帯年収850万円の場合
- 年収850万円の場合に適正な住宅ローンと家賃の金額を解説
- 年収850万円で持ち家なら住宅ローンは約4250万円が限度
- 年収850万円で賃貸物件に住むなら家賃は約21万円が限度
- 年収850万円以上の場合はチェック!年末調整時に確認すべき控除申請の2つのポイント
- ポイント①:子育てや介護をしている場合は所得金額調整控除が適用される
- ポイント②:親を経済的に支援している場合は税負担が軽減される可能性がある
- 年収850万円以上の場合に効果的な3つの節税対策
- 節税対策①:iDeCoや積み立てNISAを活用する
- 節税対策②:ふるさと納税をする
- 節税対策③:不動産投資など資産運用も検討する
- 年収850万円でも資産形成しないと生活は苦しい!不安なことはプロに相談!
- 年収850万円の節税対策や手取りに関するまとめ
目次
年収850万円の注意点①:2020年から基礎控除が引き上げられた
2020年に控除改正がされたことはご存じでしょうか。
特に年収850万円ほどある方は税負担額に影響があります。そのため改正後の内容についてしっかり理解しておかなければいけません。
まずこの項目では
- 基礎控除についての簡単なおさらい
- 改正内容:基礎控除が一律10万円引き上げ
参考:基礎控除について簡単におさらい
基礎控除とは所得控除の一種です。所得税率を求める際に差し引くことができる金額を指します。
医療費の負担を軽くするためにに医療費控除、日常生活の不測の事態に備えるための保険料にかかる負担を軽くする生命保険控除など控除枠はさまざまです。
これらは利用した人に限り利用できる控除枠です。
一方で基礎控除は全国民に平等に適応される控除枠です。
最低限必要な費用については税金をかけないという考えのもと制定されています。
改正内容:基礎控除が一律10万円引き上げられた
基礎控除の改定前
合計所得金額 | 控除額 |
---|---|
2,400万円以下 | 38万円 |
2,400万円超2,450万円以下 | 38万円 |
2,450万円超2,500万円以下 | 38万円 |
2,500万円超 | 38万円 |
所得に関係なく一律で38万円の控除がありました。
改定後
合計所得金額 | 控除額 |
---|---|
2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 |
2,500万円超 | 0円 |
所得合計によって控除額が変わる累進課税方式に変わりました。
最低限の生活にかかる税負担をかけないという目線からみると控除額がまだまだ足りないように感じます。しかし2,400万円以下の所得世帯にとっては10万円の引き上げがありましたので税負担が若干軽くなるのは事実です。
一方で2,400万円超えの世帯は控除額が減り税負担があがっています。
自分の場合はどのぐらい税負担に変化がでたのか確認してみると良いでしょう。
年収850万円の注意点②:2020年から給与所得控除が引き下げられた
給与所得控除は引き下げられています。
- 給与所得控除について簡単におさらい
- 改正内容:年収850万円超えの場合は給与所得控除の上限が195万円に引き下げられた
参考:給与所得控除について簡単におさらい
給与所得控除とは給与から一律で控除される金額のことです。
- 給与所得者の経費計上のため
- 給与所得者増加による公平性のため
改正内容:年収850万円以上の場合は給与所得控除の上限が195万円に引き下げられた
給与所得控除改正前
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 |
---|---|
162万5,000円以下の場合 | 65万円 |
162万5,000円を超え180万円以下の場合 | 収入金額×40% |
180万円を超え360万円以下の場合 | 収入金額×30%+18万円 |
360万円を超え660万円以下の場合 | 収入金額×20%+54万円 |
660万円を超え850万円以下の場合 | 収入金額×10%+120万円 |
850万円を超える場合 | 220万円 |
改正後
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 |
---|---|
162万5,000円以下の場合 | 55万円 |
162万5,000円を超え180万円以下の場合 | 収入金額×40%−10万円 |
180万円を超え360万円以下の場合 | 収入金額×30%+8万円 |
360万円を超え660万円以下の場合 | 収入金額×20%+44万円 |
660万円を超え850万円以下の場合 | 収入金額×10%+110万円 |
850万円を超える場合 | 195万円 |
850万円を超える場合の控除額変更が一番大きく25万円枠が少なくなっています。そのため税負担が重くなりました。
850万円以下は各10万円が引き下げになっています。基礎控除が10万円プラスになっている代わりにこちらは10万円マイナスです。
背景に働き方の多様化が存在します。現在は会社に勤めて給与をもらう人の他にもフリーランスとして働く人も多くなってきました。そのため給与控除よりも基礎控除を引き上げた方が公平性が保てるのです。
また定年退職後の公的年金で生活を送る人も増えたため(少子高齢化社会)そちら層にも配慮をした結果となっています。
年収850万円以上の割合は約11%
年収850万円以上の割合は令和元年民間給与実態統計調査によると約9%です。
詳細をみてみると
給与 | 割合 |
---|---|
800万円超900万円以下 | 2.9% |
900万円超1,000万円以下 | 1.9% |
1,000万円超1,500万円以下 | 3.5% |
1,500万円超2,000万円以下 | 0.8% |
2,000万円超2,500万円以下 | 0.2% |
2,500万円超 | 0.3% |
で800万円超えは9.6%となっています。
平成27年は850万超えは約8.8%で、平成29年は9.3%なので少しずつですが年々850万円を超える世帯は増えていると言えるでしょう。
そして増えた世帯が多くなるということは控除額の改定で影響が出る人も増えるということです。給与が上がった場合などには一度税額がどのぐらい変わるのかチェックしておくべきでしょう。
年収850万円稼ぐ場合の手取りと税金をシミュレーション
年収850万円を稼ぐ場合の手取りと税金のシミュレーションをしてみましょう。
実際には
- 年収850万円の手取りは約620万円~650万円
- 年収850万円の所得税は約45万円~55万円
年収850万円の手取りは約620万円~650万円
年収850万円の手取りは約620万円~650万円となります。つまり200万円以上税金と社会保険料を納めているのです。
支払項目は
- 所得税
- 住民税
- 社会保険料
- 健康保険
- 介護保険
- 厚生年金保険
- 雇用保険
- 労災保険
年収850万円の所得税は約45万円~55万円
年収850万の所得税は約45万円~55万円です。
所得税は
(課税される所得金額×所得税率)−控除額
で求められます。
課税される所得金額は年収から給与所得控除や基礎控除等を差し引きます。
給与所得控除は上記の表を使い計算すると850万円×10%+110万円=195万円です。さらに基礎控除が48万円、社会保険料を15%として127万5千円とします。
850万円ー195万円ー48万円ー127万5千円=4,795,000円が課税される所得金額です。
所得税の税率表によると
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
が該当するため4,795,000×20%+427,500円=531,500円が所得税となります。
ちなみに住民税は
給与所得ー所得控除=課税標準額
で求めたものに税率を掛けますが税率は都道府県によって異なります。
年収850万円の生活レベルとは?多額の税金を払う生活の実態
年収850万円の生活レベルとはどのようなものでしょうか。
850万円と聞くと豊かな生活を思い浮かべるかもしれません。
事例として「国民生活基礎調査」「賃金構造基本統計調査」「家計調査報告」を参考に
- 独身で年収850万円の場合
- 子どものいる家庭で世帯年収850万円の場合
事例①:独身で年収850万円の場合
家賃 | 120,000円 |
---|---|
食費 | 83,000円 |
水道光熱費 | 14,000円 |
通信費 | 11,000円 |
交際費 | 74,000円 |
その他 | 77,000円 |
貯金 | 64,000円 |
合計 | 443,000円 |
事例②:子どものいる家庭で世帯年収850万円の場合
生活モデル(夫婦と子供1人)
家賃 | 133,000円 |
---|---|
食費 | 80,000円 |
水道光熱費 | 22,000円 |
通信費 | 18,000円 |
交際費 | 53,000円 |
その他 | 87,000円 |
貯蓄 | 71,000円 |
合計 | 464,000円 |
独身の方のモデルと比べるとそこまで大きな金額差がないようにも感じます。
ただしこちらは未就学児の場合を想定しているため、年齢があがるにつれて教育費がプラスされます。
フコク生命によると
すべて国公立 | すべて私立 | |
---|---|---|
幼稚園 | 約45万円 | 約95万円 |
小学校 | 約193万円 | 約959万円 |
中学校 | 約146万円 | 約422万円 |
高校 | 約137万円 | 約290万円 |
大学(自宅通学) | 約477万円 | 約643万円 |
合計 | 約998万円 | 約2,409万円 |
年収850万円の場合に適正な住宅ローンと家賃の金額を解説
年収850万円の場合に適正な住宅ローンと家賃について解説します。
限度の目安は
- 持ち家なら住宅ローンは約4250万円
- 賃貸物件に住むなら家賃は約21万円
年収850万円で持ち家なら住宅ローンは約4250万円が限度
住宅ローンの借入額は年収の5倍までが目安とされていますので、年収が850万円の場合は約4250万円が限度となります。
年収850万円であれば、その他の借入によほど問題がないかぎりローン審査は問題ないでしょう。
ちなみに目安は5倍ですが、フラット35利用者調査によると年収倍率が以前より増え6.7倍になっています。昔が高かった金利が今はマイナス金利と呼ばれるまで下がっていることも影響しているようです。
5倍以上の借入検討も良いですが、人によってライフスタイルは大きく異なります。生活費や急な出費のことを考えたうえで、返済額に無理はないか事前にしっかり吟味しなければなりません。
賃貸とは違い、家賃が低い所に引っ越す等の手段がとれないため特に慎重になるべきです。
ちなみに返済金を減らすには住宅ローンの頭金を金額の2~3割程度用意しておくことが望ましいため頭金の準備は事前にしておきましょう。総額を抑えることで利息も抑えることができます。
年収850万円で賃貸物件に住むなら家賃は約21万円が限度
賃貸物件に住むのであれば、手取り収入の3分の1が適正家賃です。
仮に650万円が手取り額とすると月々約54万円となりその3分の1ですから約18万円となります。
ちなみに年収の30%(年収850万円の場合は月21.3万円)を超えると生活を圧迫すると言われています。住居資金に重点を置きたい方もいると思いますので、その他の生活費を少し抑えつつ家賃割合を増やしても良いですが、21万円以上にならないよう気を付けましょう。
ただし住宅ローンの方でも触れましたが、ライフスタイルによって支出できる額は大きく変わります。家計のキャッシュフローはきちんと把握しておきましょう。
年収850万円以上の場合はチェック!年末調整時に確認すべき控除申請の2つのポイント
年収850万円以上の場合年末調整では
- 子育てや介護をしている場合は所得金額調整控除が適用
- 親を経済的に支援している場合は税負担が軽減される可能性
ポイント①:子育てや介護をしている場合は所得金額調整控除が適用される
850万円を超える給与所得者は
- 本人が特別障害者に該当する
- 年齢23歳未満の扶養親族を有する
- 特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族を有する
{給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円) - 850万円}×10%=控除額
ポイント②:親を経済的に支援している場合は税負担が軽減される可能性がある
親を扶養にいれ経済的支援をしている場合は「老人扶養控除」が適応される可能性があります。
条件は以下の通りです。
- 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)
- 納税者と生計が同一
- 年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)
- 12月31日現在の年齢が70歳以上
老人扶養親族 | 控除額 |
---|---|
同居 | 48万円 |
同居外 | 58万円 |
年収850万円以上の場合に効果的な3つの節税対策
年収850万円以上の場合に効果的な節税対策3選
- iDeCoや積み立てNISA
- ふるさと納税
- 不動産投資など資産運用
節税対策①:iDeCoや積み立てNISAを活用する
iDeCo
老後資産を自分で決めた金額、運用方法で準備する制度です。
節税効果は大きく
- 掛金が全額控除
- 運用益が非課税
- 受取時の税金優遇
節税対策②:ふるさと納税をする
ふるさと納税は節税というよりもお得な制度としてうまく利用することでメリットがあります。
制度の概要は寄付金額から2,000円引いた額が控除分として戻ってくるというものです。
例えば10,000円を寄付した場合、8,000円は控除分として戻ってきますが2,000円は通常の出費です。ただし返礼品をもらえるためこの場合実質「2,000円でさまざまな地域の返礼品が買える」と捉えてもらっても問題ないでしょう。
返礼品で10,000円寄付すると新米10キロが返礼品として選べる県があります。通常のスーパーで購入すると3,000円以上しますが、ふるさと納税を利用することで2,000円で手に入れることができるのです。
日常で使う美味しいお米が1,000円以上安く手に入るのですからお得ですよね。
ただ注意点としては節約という意味ではお米のように日常生活で使うものを選んだ方が良いということです。
仮に高級チョコレートを頼んだとしたら節約というよりはご褒美という出費が増えることと同じになってしまいます。
節税対策③:不動産投資など資産運用も検討する
不動産投資など資産運用は節税効果とともに利益を上げることが目的です。
不動産投資は赤字分を給与所得と損益合算できるため課税所得を小さくできます。不動産所得は不動産収入から経費を引いたものですが、
- 管理費
- 修繕費
- 減価償却費
- ローンの金利
- 保険料
年収850万円でも資産形成しないと生活は苦しい!不安なことはプロに相談!
年収850万円は豊かな生活ができる水準にみえますが、控除の変更などにより以前よりも税負担が重くなっています。
老後にゆとりのある生活を送りたいのであれば資産形成が必要です。
もし不安に感じ、老後に向けて資産形成をするのであれば一度プロに相談することをおすすめします。
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年収850万円の節税対策や手取りに関するまとめ
年収850万円の方に関する
- 控除改正について
- 手取りと差し引かれる項目
- 節税対策
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