更新日:2019/07/11
つみたてnisaに控除はある?iDeCoや従来のnisaと節税効果を比較!
つみたてnisaの収益が非課税ということを聞いたことがある人は多いでしょう。では、収益は控除の対象になるのでしょうか?この記事では、iDeCoや従来nisaと比較して、つみたてnisaにはどどのくらい控除や節税効果があるのか、どれが最もお得なのかを解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
つみたてnisaは控除の対象になる?
つみたてnisaで資産運用を考えているけれど、税金の控除はどうなっているんだろう。
大切な資産だから、節税のことも考えてできるだけお得なやり方で運用したい。
このように考えている方は多いことでしょう。
残念ながら、つみたてnisaの節税のメリットは税金の控除によるものではなく、投資信託の運用益が非課税になるというものです。
そうはいっても、ちょっと意味がよくわからない、という方もいると思います。
そこで、この記事では「つみたてnisa」について
- 税金の控除は適用されないこととその意味
- 利用するメリットと節税効果
- iDeCo(個人型確定拠出年金)との比較
- 従来型nisaとの比較
つみたてnisaに控除は適用されない
つみたてnisaに税金の控除は適用されません。
また、従来型のnisaも控除対象となっていないため、控除は適用されません。
iDeCoは税額控除の対象となっており、掛金の支払や運用して得た利益を受け取る際に、控除を受けることができます。
しかし、つみたてnisaや従来型nisaは対象となっていないのです。
そのため、iDeCoと違って掛金に所得控除は適用されず、その分、所得税がかかることとなります。
さらに、繰越控除の適用もないため、つみたてnisaを利用した資産運用でマイナスが生じた場合には、その分を翌年以降に繰り越すことができません。
ここでは、これらの点についてくわしく解説します。
つみたてnisaにおける非課税とは何が違う?
税金の控除と非課税とでは意味が違います。
税金の控除とは、税金がかかる対象(就労、商品販売、各種サービスの提供などによって得られる所得)から一定の金額を差し引くことで、その対象にかかる税金を下げることです。
たとえば、年間の所得が700万円あったとすると、本来ならこの金額すべてが所得税の対象となります。
しかし、税金の計算にあたっては、社会保険料や生命保険料、さらには医療費といった特定の項目に該当する金額が所得金額から差し引かれることとなっています。
これらの金額を所得金額から差し引くことを控除と呼び、控除する金額を控除額といいます。
いわば、控除とは実際の所得金額から特定の項目を差し引くことで、税額計算の対象となる所得金額を引き下げる手続きのことをいうのです。
先ほどの例でいうと、控除額を200万円とした場合には、所得金額700万円から控除額200万円を差し引いた500万円が税額計算の対象となり、その分、税金が安くなるわけですね。
なお、控除の手続きは、確定申告の際に生命保険料控除証明書などの控除証明書を添えて行うのが一般的です。
これに対して、非課税とは、社会政策上の理由などから、商品の販売やサービス提供などによって得られた利益のうち、特定のものについては税金が課されないことをいいます。
控除と違い、税金が課される利益から一定の金額を差し引くものではありません。
控除と非課税では、それぞれの対象とするものが違っていると考えるとわかりやすいでしょう。
つみたてnisaがうたっている非課税とは、特定の投資信託の運用から得られた利益については税額計算の対象とならないというものです。
つみたてnisaの運用による利益は非課税の対象であって、税額控除の対象ではないため、確定申告をすることで、税金を安くするものではないのですね。
掛け金に所得控除が適用されない
つみたてnisaの掛け金には所得控除は適用されません。
このことは従来型のnisaでも同じです。
そのため、掛け金を積み立てている期間、その金額を所得から控除して税金を安くすることはできず、デメリットといえるでしょう。
しかし、iDeCoの場合、掛け金は全額所得控除の対象となります。
iDeCoは60歳まで積み立てを行う商品ですが、その期間中に支払った掛け金全額が所得控除の対象となるため、節税面でメリットがあります。
繰越控除が適用されない
つみたてnisaには繰越控除の適用がありません。
繰越控除とは、株式や投資信託の運用によって損失を被った場合に、その損失分を翌年以降の株式などの譲渡所得から、最長で3年間、繰り越して控除することができる制度をいいます。
いわば、資産の運用によって被った損失を、翌年に得た利益から差し引くことで、最長で3年間、税金を安くすることができる制度です。
ちなみに、繰越控除の適用を受ける場合には確定申告を行う必要があります。
つみたてnisaには繰越控除が適用されないため、運用期間中に損失を被ったとしても、翌年以降の利益から損失分を控除することができません。
そのため、つみたてnisaには節税面でのデメリットがあることとなります。
つみたてnisaのメリットや節税効果は?
つみたてnisaには控除の適用がないため、節税面でのデメリットが大きいイメージがあります。
しかし、つみたてnisaには、節税や利用に関して次のような大きなメリットがあります。
- 利益が非課税であること
- 少額から積立が可能であること
- 手数料が安いこと
利益が非課税
つみたてnisaは、運用によって得られた利益が非課税です。
積み立てできる金額は年間で40万円までとされ、運用期間は20年間が限度となっています。
通常、株式や投資信託の運用によって得た利益には20.315%の税金がかかりますが、つみたてnisaには、かかりません。
たとえば、資産運用によって10万円の利益がでた場合、通常なら約20%、金額にすれば2万円が税金として差し引かれることとなります。
しかし、つみたてnisaであれば、この分の税金を支払う必要がありません。
運用できる期間は最長で20年間あり、その間に得た利益は全額が非課税。
さらに利益の払い出しを受ける際にも税金がかからないので、節税面で大きなメリットがあるといえるでしょう。
少額から積立が可能
つみたてnisaのメリットとして、少額から積み立てが可能であることがあげられます。
つみたてnisaを取り扱っている金融機関のなかには100円から積み立てできるところもあり、まとまったお金がない場合でも投資をすることが可能です。
投資というと、一部の資産家が行うものといったイメージがありますが、つみたてnisaは誰でも気軽に投資を始めることができる金融商品ということができるでしょう。
注意しなければならないのは、投資とは損失を被る可能性が常にあるもの、という点です。
少額から始めることができるといっても、つみたてnisaも投資の1つであり、運用の状況によっては元本割れを引き起こし、思わぬ損失を被ることがあります。
そのため、投資は生活に余裕がある場合に行うべきであり、たとえば、貯蓄がほとんどない状態で投資を始めることは避けるべきでしょう。
手数料が安い
つみたてnisaを利用するにあたっては、手数料が安いこともメリットの1つです。
投資信託を利用して資産運用を行う場合、購入時手数料、信託報酬といった手数料が必要となります。
しかし、つみたてnisaでは信託報酬の他に手数料がかかりません。
また、低コストでありながら、投資信託の運用はすべて投資のプロである金融機関担当者が行うので利用者自身があれこれと悩む必要もありません。
そのため、コストを抑えることができるだけではなく、運用もプロにまかせて投資ができることがつみたてnisaのメリットとなっています。
ちなみに、信託報酬とは、投資信託の利用料というべきもので、投資信託を保有している期間、支払わなければならない費用のことです。
iDeCo(個人型確定拠出年金)とつみたてnisaを比較
iDeCo(個人型確定拠出年金)とつみたてnisaを比較すると次のようになります。
iDeCo | つみたてnisa | |
---|---|---|
対象者 | 20歳以上60歳未満の人(国民年金保険料未納者は不可) | 20歳以上の人 |
利用可能期間 | 60歳まで | 20年間 |
非課税枠 | 職種によって異なる (企業年金のある会社員は月1万2000円) | 年間40万円 総額800万円 |
所得控除の有無 | 掛け金全額が所得控除の対象となる | なし |
投資対象商品 | 株式、投資信託、預金、保険 | 金融庁が定めている条件を満たす投資信託 |
投資方法 | 毎月一定額を積み立て | 毎月一定額を積み立て |
手数料 | 口座開設、管理、信託報酬などの手数料がかかる | 信託報酬のみの手数料がかかる |
出金時期 | 60歳まで引出しができない | いつでも引出しが可能 |
積立金額 | 1回につき5000円以上から可能 | 1回につき100円以上から可能 (金融機関によって異なる) |
iDeCo(個人型確定拠出年金)およびつみたてnisaともに表中の非課税枠と利用可能期間の範囲で得た運用益すべてが非課税となります。
また、資産の運用期間中の節税メリットが大きいのは、掛け金が全額所得控除の対象となるiDeCoです。
そのため、節税メリットのみで考えれば、iDeCoのほうがお得感があります。
しかし、運用益の出金時期についていえば、つみたてnisaが自由に引き出せるのに対して、iDeCoは60歳まで引き出すことができません。
また、制度を利用できる人の年齢条件や1回ごとの積立金額についても、つみたてnisaのほうが自由度が高く、利用しやすくなっています。
iDeCoは、もともと定年退職後の年金として考えられているので、出金時期や利用条件について、つみたてnisaとの間にこのような差が生じてしまうのです。
そのため、短期的な運用を検討するのであれば、つみたてnisaのほうがメリットが大きいでしょう。
つみたてnisa、iDeCoともに、取り扱っている金融機関で、運用益や節税メリットをシミュレーションしてくれるので、興味のある方はそちらを利用するのもよいかもしれません。
なお、iDeCoとつみたてnisaは併用が可能です。
iDeCoの利用条件にあう方は、つみたてnisaとの併用を検討するのもよいでしょう。
従来のnisaとつみたてnisaを比較
従来型のnisaとつみたてnisaとの比較は次のようになります。
従来型nisa | つみたてnisa | |
---|---|---|
対象者 | 20歳以上の人 | 20歳以上の人 |
利用可能期間 | 5年間 | 20年間 |
非課税枠 | 年間120万円 総額600万円 | 年間40万円 総額800万円 |
所得控除の有無 | なし | なし |
投資対象商品 | 国内外の株式・投資信託 | 金融庁が定めている条件を満たす投資信託 |
投資方法 | 制限なし | 積立に限定 |
手数料 | 外国株式購入手数料・信託報酬がかかる | 信託報酬のみの手数料がかかる |
出金時期 | いつでも引出しが可能 | いつでも引出しが可能 |
従来型nisaがつみたてnisaと異なるのは、非課税枠の範囲であれば、国内外の株式や投資信託を自由に選択して運用できる点です。
また、投資の方法も積み立てだけではなく、まとまった資金を一括して投資することができます。
資金を運用できる期間はつみたてnisaと比べて短いですが、非課税枠は大きく、短期間でまとまった資金を運用するのに適しているといえるでしょう。
一方、つみたてnisaは、積み立てによる投資以外認められていませんが、少額の資金で投資を始めることができ、運用期間も従来型nisaと比べて長期となっています。
また、投資することができる投資信託は金融庁が定める条件をクリアしたものに限定されています。
そのため、投資によるリスクは従来型nisaと比べて低く、投資の初心者にはメリットがあるでしょう。
さらに、金融機関によってはつみたてnisaを利用した資産運用シミュレーションを行っているところもあるので、利用してみるのもよいかもしれません。
なお、従来型nisaとつみたてnisaとは併用することができないので、注意が必要です。
まとめ:つみたてnisaは控除されないがメリットはある
つみたてnisaのメリットや節税効果について、従来型nisaやiDeCoと比較しながら解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回のこの記事のポイントは、
- つみたてnisaには、掛け金の所得控除や損失の繰越控除は認められない
- つみたてnisaは、少額の資金から投資が始められることと運用益は全額非課税であること、さらに自由に資金を引き出すことができることが主なメリット
- iDeCoは、掛け金が全額所得控除の対象となるだけではなく、運用益も全額が非課税となるため、つみたてnisaや従来型nisaより節税効果が高い