配偶者控除での夫の年収制限は?旦那の扶養から外れるとどうなる?

配偶者控除における夫の年収制限や妻の年収制限を把握しておけば、節税につなげられます。「最大限に配偶者控除を受けられるよう夫の年収をふまえて働きたい」という方は必見です。また、旦那の扶養から外れるとどうなるのかについても、表を用いてわかりやすくまとめました。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

配偶者控除における夫の年収制限はいくら?


夫婦共働き世帯にとって、夫の扶養に入りながら働いている妻は配偶者控除を考えなくてはいけませんよね。


年収103万円や130万円の壁とは聞きますが、これらの違いについてよくわからないという人も多いのではないでしょうか。


そこで、今回の記事では、

  • 配偶者控除とは?
  • 配偶者控除の改正による夫の年収制限・有利になる世帯
  • 【夫の年収・妻の年収別】配偶者控除・配偶者特別控除額一覧表
  • 旦那の扶養から外れるとどうなる?
以上のことを解説します。

この記事を読めば、これから働こうと考えている世帯にとって、妻や夫の年収が変わるだけで控除額がどれくらい変わるのかなどがわかるでしょう。ぜひ、最後までご覧ください。

配偶者控除とは?条件を紹介!

配偶者控除とは、納税者に収入が無い、もしくは年収が少ない配偶者がいた場合に税負担が軽減される制度のことです。


年収が少ないというのは、103万円以下のことを言います。


配偶者控除には、

  • 配偶者である(民法上)こと(内縁関係は該当しない)
  • 納税者と生計が一緒であること
  • 年間の合計所得金額が38万円以下であること
  • 給与のみの場合は給与収入が103万円以下であること
  • 自営業者の家族従業員になっていないこと(青色・白色申告者の事業専従者ではないこと)
これらの条件があります。

また、2018年からは申告する本人の収入も、
  • 1000万円以上ではないこと
所得合計に対して条件が加わったのです。

なお、所得控除や基礎控除などを差し引いた額から1000万円ですので、給与で言えば1220万円になります。

これまでは夫の収入が500万円でも1500万円でも関係ありませんでしたが、年収が高い世帯は受けられなくなりました。

この条件が増えたからと言って、実際条件に当てはまる人は少ないかもしれません。ですが、夫の収入が高い世帯は注意が必要です。

配偶者控除の改正による夫の年収制限・有利になる世帯

配偶者控除は改正により、申告する夫の年収も条件に加わりました。それにより、有利になる世帯もあるのを知っていますか。


ここでは、夫の年収制限について、

  • 夫の年収制限は1220万円である
  • 夫の年収が1120万円(所得900万円)以内の世帯は有利になる
  • 妻の収入が150万円まで適用されるようになった!?
以上のことをより詳しく解説します。

配偶者控除の改正はなんとなく耳にしたことがあっても、それがどのように変わったのかよくわからない人も多いと思います。

ここで、夫の年収制限について解説するのでぜひご覧ください。

夫の年収制限は1220万円(所得1000万円)

2018年より、夫と妻の年収があるラインを超えることで、配偶者控除・配偶者特別控除が受けられなくなりました。


配偶者控除は、

  • 夫の年収が1120万円を超えると1170万円以内、1220万円以内と控除額が徐々に減額されていき、1220万円を超えると0円になる
配偶者特別控除は、
  • 配偶者(妻)の年収…201万円を超える
  • 夫の年収…1220万円を超える
配偶者と夫の年収に応じて段階的に控除額が減額されていき、上記の年収を超えた場合は控除額が0円になります。

改正前は夫の年収関係なく、配偶者の年収のみ気にしていればよかった配偶者控除。夫の収入が高い場合は気を付けなくてはいけなくなりました。

夫の年収が高くても関係なく、ご自分の収入をお小遣いとして貯めている妻は控除額が0円になりますし、夫婦共働きで頑張っている妻も注意が必要になってきます。

夫の年収が1120万円(所得900万円)以内の世帯は有利に

夫の年収が1220万円の世帯とは異なり、夫の年収が1120万円の世帯は配偶者控除・配偶者特別控除が受けやすく有利になりました。


配偶者特別控除が改正により拡大されて、配偶者の年収が103万円~150万円以下であれば所得控除が38万円受けられるようになりました。


また、仮に150万円を超えたとしても、段階的に控除額は減額されますが201万円まで配偶者特別控除は適用されます。


そのため、手取りが一気に減ることなく働けるようになったという訳です。


ただし、社会保険上の壁(106万円・130万円)と言われるものは改正されておりませんので、このラインを超えると配偶者は社会保険に加入し、保険料を負担しなくてはいけなくなります。


有利にはなりますが、配偶者は稼ぐのであれば一定のラインを超えるまで稼がなくては、かえって損する可能性が出てきてしまいます。


なお、年収(扶養)の壁に関する解説は次以降で行いますので、併せてチェックしてみてください。

妻の収入が150万円まで適用されるようになった!?

夫の扶養に入っている妻の多くが、103万円という金額を気にしているのではないでしょうか。


これは、配偶者控除が受けられる年収のラインでしたが、今は改正されて150万円まで引き上げられたのです。


これにより、妻の収入も、

  • 月収およそ8万5,000円のところ、12万5,000円まで稼げるように
約4万円も多く稼げるようになりました。

今まで調整しながらシフトを組んでいたという妻も、稼げる年収のラインが高くなったので働きやすくなったと言えます。

ただし、扶養に入っている学生(子ども)は配偶者特別控除の対象外となるため、103万円を超えると親の扶養から外れてしまいます。

親の所得税が増加することになるため、アルバイトをする学生は注意が必要です。

【夫の年収・妻の年収別】配偶者控除・配偶者特別控除額一覧表

夫と妻の年収で、配偶者控除・配偶者特別控除額がどのように変わるのかを表で見てみましょう。

年収1120万円以内1170万円以内1220万円以内
103万円以内38万円26万円13万円
150万円以内38万円26万円13万円
155万円以内36万円24万円12万円
160万円以内31万円21万円11万円
167万円以内26万円18万円9万円
175万円以内21万円14万円7万円
183万円以内16万円11万円6万円
190万円以内11万円8万円4万円
197万円以内6万円4万円2万円
201万円以内3万円2万円1万円
201万円以上---

(オレンジの枠(103万円以内)は配偶者控除・その他は配偶者特別控除)


妻の年収が変わることで、控除額が段階的に変わっていきます。


また、夫の年収も1120万円・1170万円・1220万円以内と3つのラインにわかれており、控除額が変わります。


2人の収入が高くなれば、それだけ控除額も減額されていきますので、今までの働き方を見直さなくてはいけない夫婦もいるかもしれません。

旦那の扶養から外れるとどうなる?

よく、年収がいくら以上になると扶養から外れるという言葉がありますが、実際に外れてしまった場合どのようなことが起こるのでしょうか。


ここでは、

  • 「扶養」には2つの意味がある
  • 旦那の扶養から外れた場合の一覧表
以上のことについて解説します。

扶養には様々な年収の壁がありますが、正しく理解しておかないと何の話をしているのかわからなくなってしまいます。

旦那の扶養内で働きたいと考えている妻は、しっかりと扶養についての知識を身につけておきませんと、うっかり外れてしまった場合大変なことになるかもしれません。

「扶養」には2つの意味がある

扶養には大きくわけて、

  • 税金計算上の扶養
  • 社会保険上の扶養
2つの意味があるのを知っていますか。

税金計算上というのは、扶養控除・配偶者控除の対象になるかどうかという意味の扶養です。

妻と夫の年収に応じて、先ほどの「【夫の年収・妻の年収別】配偶者控除・配偶者特別控除額一覧表」で解説した金額の控除が受けられます。

もう1つの社会保険上というのは、妻が年収130万円以上の収入がある場合、夫の社会保険の扶養から外れてしまいます。

つまり、妻が130万円以上稼げば、税金計算上では201万円以内なら控除が受けられますが、社会保険はご自身で加入する義務が発生するということです。

年収の壁は主に6種類あり、それぞれにどのようなラインがあるのかについては、次の見出しで解説します。

旦那の扶養から外れた場合の一覧表

年収〇〇万円の壁は主に6種類あり、わかりやすく表で見てみると以下のようになります。

年収税金計算上の扶養社会保険上の扶養
100万円の壁住民税が発生するというライン-
103万円の壁所得税が発生するというライン-
106万円の壁-社会保険に加入するライン
130万円の壁-夫の社会保険から外れるというライン
150万円の壁配偶者控除が受けられるライン-
201万円の壁配偶者特別控除が受けられるライン-

オレンジ色のついている106万円・130万円の壁が社会保険上の扶養のラインであり、その他の4つの壁が税金計算上の扶養のラインとなります。


ご自身で社会保険に加入しなくてはいけないラインまで働くとなると、保険料・年金を支払わなくてはいけなくなるため、単純に考えると手取りが減ってしまいます。


年収が増えても手取りが減ってしまう、働き損というラインに入る可能性があるため、妻が沢山稼ぐ場合はきちんと考えなくてはいけません。

配偶者控除における夫の年収制限のまとめ

配偶者控除における夫の年収制限や扶養の種類、年収の壁についてなどを解説しましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは、

  • 配偶者控除の条件に、申告する本人の収入が1000万円以上ではないことも加わった
  • 夫の年収が1120万円(所得900万円)の世帯は配偶者控除・配偶者特別控除が受けやすくなった
  • 妻の年収が変わると、控除額は段階的に変わっていき201万円を超えると控除が受けられなくなる
  • 扶養には税金計算上・社会保険上の2種類がある

以上となります。


扶養の壁となる年収のラインは6種類ありますが、それぞれに税金計算上と社会保険上で扶養の意味が異なります。


ご自身の年収が何のラインにあたるのか、きちんと理解したうえで夫の年収と見比べて計算することが大切です。


配偶者の年収が201万円まで控除の対象にはなりますが、妻が稼ぎすぎることで、かえって働き損になる可能性もあるということをきちんと理解しておきましょう。


保険ROOMでは、他にも読んでおきたいお金に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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