更新日:2020/05/09
排卵誘発剤の副作用とは?錠剤や自己注射に伴う吐き気などはホント?
排卵誘発剤は腹痛や吐き気などの副作用があると聞いたことはありませんか?実際に、先生には言われなかったけど、不正出血やめまい、頭痛を経験している人はかなり多く、心配になってインターネットで体験談を見ていると思います。この記事を見れば、本音や体験談がわかります。
目次を使って気になるところから読みましょう!
【排卵誘発剤の副作用】薬や注射でめまいや腹痛の日々はホント?
この記事をご覧のあなたは、排卵誘発剤について調べておられることでしょう。
いわゆる「妊活」および不妊治療の際に用いられる「排卵誘発剤」には様々な種類があり、文字通り排卵率および着床率を上げる効果が期待できます。
ただし「排卵誘発剤」を使うことによって起こる「副作用」についての不安を抱く方も多く、それが不妊治療を行うかどうかの判断をする上で障壁となっている方もおられるでしょう。
そこで今回は、
- 排卵誘発剤での副作用にはどんなものがある?
- 排卵誘発剤の種類ごとの副作用とは?
- 排卵誘発剤を使用する前に注意するべき点とは?
排卵誘発剤での副作用:卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
不妊治療に用いられる排卵誘発剤には、代表的な副作用があります。
それが「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」です。
卵巣過剰刺激症候群とは、排卵誘発剤を注射することによって引き起こされる副作用であり、その名の通り卵巣への過剰刺激によって、女性の体に様々な症状を引き起こします。
ときには重症になることもある卵巣過剰刺激症候群ですが、実際にどのような症状が出る可能性があるのでしょうか。
吐き気、めまい、頭痛
- 吐き気
- めまい
- 頭痛
体重増加
次に挙げる卵巣過剰刺激症候群の副作用は、体重増加です。
卵巣過剰刺激症候群は、その名の通り卵巣が「過剰に刺激を受ける」ことにより発症するものです。
卵巣が過剰刺激を受けるとどうなるのかというと、
- 卵巣が肥大
- 腹水が貯まる
このような症状が見られるようになります。
これらの症状により引き起こされるのが、「体重が増加する」という現象です。
排卵誘発剤を使用している方が「なんとなくお腹に水が溜まっている感じ」ぐらいの症状を訴える段階でも体重増加が起きている可能性があります。
腹痛
卵巣過剰刺激症候群において次に起こりうる代表的な症状が「腹痛」です。
これも卵巣が肥大して腹水が貯まることにより発生する症状の一つなのですが、腹痛は吐き気や嘔吐などの症状と共に現れることもあります。
実際に卵巣過剰刺激症候群を患った方の中には、排卵誘発剤の注射をしてから約2週間後に腹部膨張や腹痛などの症状が見られるようになり、結果的に緊急入院が必要になった方もおられます。
参考:https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1r01.pdf
最初は軽症に思えても後から重症化する可能性があるため、
- 体重増加
- 腹痛
- 腹部膨張
- 吐き気・嘔吐
特にこれらの症状を同時に発症した場合は、排卵誘発剤の副作用の中でも危険な部類に含まれます。
重症化する可能性が高いので、すぐに医師の診察を受けるべきでしょう。
尿量が少なくなる
卵巣過剰刺激症候群を発症すると、尿量が少なくなる(乏尿)場合があります。
なぜそのような症状が出るのかというと、排卵誘発剤の副作用によって腎臓の機能が低下するからです。
では、具体的にどのくらいの尿量で乏尿だと言えるのでしょうか。
基本的に成人の1日あたりの尿量は、誤差も考えると1,000~2,000ml程度とされています。
そして、乏尿と診断されるのは1日の尿量が400ml以下となった場合であり、これだけ尿量が少なくなると危険信号です。
自分で1日(1時間)あたりの尿量を計測するのは簡単ではないため、やはり正確な診断をしてもらうためには医師の診察が必要です。
腰痛
排卵誘発剤の副作用によって腹水が貯まると、お腹のあたりが重く感じるという症状が出る場合があります。
それに伴って、腰痛に悩まされるようになる場合もあります。
この副作用もやはり慢性的な腰痛と見分けが付きにくいですが、排卵誘発剤を使用するようになってから発症するようになった腰痛は要注意です。
お腹の膨らみや腹痛などといった症状と併発している場合は特に重症化する可能性があるため、すぐに医師の診察を受けるべきです。
不正出血
生理周期以外の期間に出血することを「不正出血」と言います。
排卵誘発剤を使用してから数週間のうち、比較的早い時期に不正出血が見られる場合があり、周期外での出血ということで不安に感じる方も多くおられます。
多くの場合、これは排卵誘発剤の副作用に含められるほどの症状として診断されることは少なく、重大な症状ではないことがほとんどです。
ただし、長期間に渡って不正出血が見られる場合は治療が必要となる場合もあるので、やはり医師の診察を受けるべきでしょう。
排卵誘発剤の副作用とは?錠剤の種類と体験談
一口に「排卵誘発剤」と言っても、実は様々な種類があります。
そして排卵誘発剤の種類によって副作用が異なる、という点も重要なポイントです。
では、代表的な排卵誘発剤にはそれぞれどのような副作用があるのでしょうか。
排卵誘発剤の種類ごとにそれぞれ見ていきましょう。
排卵誘発剤:クロミッド(クロミフェン)
30代女性
クロミッド服用して今まで経験したことないぐらいの吐き気
40代女性
クロミッド使用経験あるけど、そんなに変わらない。
まず、クロミッド(クエン酸クロミフェン)は、排卵誘発剤として用いられる内服薬(飲み薬)の一つです。
不妊治療では広く用いられている薬の一つであり、すでに不妊治療を行っている多くの方が使用しています。
クロミッドは、卵巣刺激ホルモン(FSH)を分泌する脳の「下垂体」という部分に直接働きかけることで、ホルモン分泌を促す効果があります。
卵胞の発育を促進するという点で不妊治療において一定の効果を期待できる反面、
- 腹水
- 胸水
- 下腹部の圧迫感、腹痛
- 目のかすみ、虚血性視神経症
- 精神の不安定
排卵誘発注射:ゴナドトロピン製剤(ゴナールエフ、hmg)
次に紹介する排卵誘発剤は、「ゴナドトロピン製剤」です。
これは注射剤として用いられる排卵誘発剤であり、クロミッドやセキソビットといった内服薬で効果が見られないような場合に用いられることもあります。
この「ゴナドトロピン」は脳から分泌されるホルモン(FSH)であり、直接注射することで排卵率の向上および卵胞の発育を促進することなど、より高い効果が期待できます。
ただしその反面、内服薬よりも副作用を発症する確率は高く、
- 卵巣過剰刺激症候群
- 多胎
20代女性
体調の変化は何も感じなかった。
40代女性
吐き気と頭痛
排卵誘発剤を使う前の注意点
排卵誘発剤を用いた不妊治療は高い効果を期待できます。
ただ、今まで取り上げたように副作用には十分注意しなければならないのも事実です。
最初は軽症であっても、合併症が重症化した場合は母体に大きな負担が強いられることになります。
ですから、これもやはり「早期発見・早期治療」の大原則が重要であり、自分自身で体の調子を管理していかなければなりません。
特に、薬の服用に関しては自己判断で決めてはいけません。
不妊治療に関しては必ず医師の指示に従い、投与後も基礎体温の記録などを欠かさずに行うようにしましょう。
まとめ:排卵誘発剤、注射を使用する前に副作用を知っておく
今回は不妊治療に伴う排卵誘発剤について様々な点を取り上げてきましたが、いかがでしたでしょうか。
この記事のポイントは、
- 排卵誘発剤で発症する可能性のある副作用は、慢性的に思える軽度なものから重大なものまでいくつもある
- クロミッドは腹水や目のかすみなどの副作用を低確率で発症し、クロミッドを用いた場合はさらに卵巣過剰刺激症候群や他対象のリスクが高まる
- 排卵誘発剤を使用する際は、医師と事前によく相談し、自己判断で薬を服用したりしないよう注意が必要である