人工授精の費用は?医院による値段の違いや手順による料金の違い

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人工授精(aih)の一回の費用ってどのくらいなの?と不妊治療のトータルの平均料金にお困りだと思います。実際に、妊娠率を上げるために人工授精をお考えだと思いますが、医院や流れにより費用は違います。今回、医院や手順での金額の違いから費用が安くなる保険まで紹介します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

人工授精(aih)の一回当たりの平均費用ってどのくらい?流れに応じた料金プラン

不妊治療の一つに人工授精(aih)があります。人工授精と聞くと、「費用がかかりそう」「保険はきかないだろう」というイメージを持つ人も多いでしょう。


そこで今回は、人工授精(aih)について、

  • 人工授精の流れや平均的な料金プラン
  • 人工授精を含めた不妊治療にかかる費用
  • 人工授精にかかる費用のクリニックごとの違い
  • 人工授精でかかる費用負担が増える場合
  • 人工授精でかかる費用負担を抑える方法
について、初めての人でもわかりやすく説明します!


妊娠の確率を上げるための人工授精を、お金のために諦めたくないですよね。


人工授精を考えているけれど費用負担が心配、という人はぜひ参考にしてみてくださいね。



人工授精の一般的な流れとは?

不妊治療にも様々な治療方法があります。人工授精(aih)は精子がうまく子宮に入れないケースで行われる不妊治療です。


そのため、治療内容を簡単に説明すれば精子を女性の子宮へ直接注入することになります。


人工授精の一般的な手順

人工授精の一般的な手順は以下の通りです。


  1. 精子を採取する
  2. 精子を洗浄・濃縮する
  3. 精子を子宮内に直接注入する

これらを女性の排卵前日または当日に行います。


人工授精で行われる治療は、精子を子宮内に注入するところまでになるので、子宮内に注入された後の過程は自然妊娠と同じです。


人工授精で注入された精子が卵子に受精し、子宮へ着床すれば妊娠が成立します。


人工授精で妊娠できる確率

人工授精で妊娠できる確率は1回あたり5%〜10%ほどです。


人工授精で妊娠する人の9割ほどは、4回〜6回までのうちに成功すると言われています。


そのため、4回〜6回を目安に人工授精を行い、その後体外受精に切り替えると有効です。

人工授精の内容による料金プラン

人工授精は自費診療が基本となります。


人工授精の初診費用

人工授精の初診費用は検査内容等によっても料金が変わります。

項目詳細料金
初診料エコーなし4,000円

エコーあり6,000円
感染症検査
18,000円
風疹抗体2,000円
精液検査5,000円


人工授精の診療費用

実際に人工授精をする場合には、人工授精費用だけではなく、様々な検査費用がかかる場合があります。


なかには保険が適用される検査などもありますので、わからないことはクリニックに相談すると良いでしょう。


人工授精費用・検査費用料金
人工授精20,000円
ホルモン検査2,000円
着床期検査3,000円
子宮卵管造影7,000円
精液検査5,000円
フーナーテスト4,500円


人工授精を含めた不妊治療全体でかかる費用

もちろん不妊治療は人工授精(aih)だけではありません。


国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、15.6%のカップルが不妊検査・不妊治療を経験したことがあると答えていることからも、不妊治療がますます身近なものになっていると言えるでしょう。


そこで気になるのが、不妊治療にかかる金額の平均です。


まず妊活全体にかかる費用は平均して約35万円と言われています。


ただし、妊活というのは、

  1. 基本的な検査
  2. 一般不妊治療:タイミング法・人工授精
  3. 高度不妊治療:体外受精・顕微授精
と治療段階が存在しています。


そして、

  • 一般不妊治療にかかる平均金額は約134万円
  • 高度不妊治療にかかる平均金額は約193万円
と言われています。

つまり、不妊治療が進むにつれてかかる費用も増えると言えます。

人工授精を受けるにあたってクリニックでの費用や料値段の違い

人工授精にかかる費用はクリックによって異なります。実際に、2つのクリニックの費用を比べてみましょう。


AクリニックBクリニック
人工授精21,000円
薬代含まず
20,000円
薬代含む
子宮卵管造影7,500円7,000円
風疹抗体2,190円2,000円
精液検査1,500円5,000円


人工授精は5〜6回ほどかかることもあるので、人工授精にかかる費用はもちろん、その他の検査にかかる費用などについてもあらかじめ医師から聞いておくと良いでしょう。


また現在では、不妊治療を専門としている医師の在籍するクリニックもあります。


不妊治療のクリニック選びに悩む人も少なくありませんが、不妊治療のプロともいえる専門医に診てもらうことをお勧めします。

人工授精を受けるにあたって不妊治療の専門医のいるクリニックの費用例

では不妊治療の専門医のいるクリニックで人工授精をする場合にかかる費用を具体的に説明します。


ここでは不妊専門クリニックでの費用を参考に説明していきます。


まず、不妊治療を始めるにあたり、初診として様々な検査があります。

  • 初診料(エコーあり):6,000円
  • 感染症検査:18,000円
  • 風疹抗体:2,000円
  • 精液検査:5,000円
初診料の合計は31,000円となります。

またこの他にも着床期検査やホルモン検査など、妊娠のより成功しやすくすための検査もあります。
  • ホルモン検査:2,000円
  • 着床期検査:3,000円
  • 子宮卵管造影:7,000円
  • フーナーテスト:4,500円
検査料の合計は16,500円となります。

そして実際に人工授精をするにあたりかかる金額が1回20,000円です。なおこのクリニックでは、この20,000円の中に薬剤料や投薬料が含まれています。

ただし、必要があれば注射料金などが加算になることもあります。


つまり、不妊治療の専門医がいるクリニックで1回人工授精をするためには67,500円ほどかかることになります。

もちろん、1回人工授精をすれば必ず妊娠に成功するわけではありません。

おおよそ5回〜6回ほど行う中で妊娠するケースが多いので、このクリニックの場合では人工授精にかかる総額は147,500円〜167,500円ほどを見積もっておくと良いでしょう。

人工授精を受けるにあたって安全で安いクリニックの費用例

もちろんクリニックによって人工授精にかかる費用は変わります。


ここでは先ほどのクリニックよりも安く人工授精ができる例をご紹介します。


このクリニックでは人工受精1回あたりの治療内容は

  • 排卵日・人工受精実施日を特定する診療
  • 人工受精
です。


排卵日・人工受精実施日を特定する診療では、

  • 診察料:220円
  • 検査料:1,590円
の合計1,810円がかかります。


そして実際に人工受精をするときには

  • 人工受精費:18,100円
  • hCG注射:1,060円
  • 薬代:7,582円(12日分)
の合計26,742円がかかります。


この他に検査などを受ければさらに費用はかかりますが、このクリニックで人工授精を1回するのには28,552円ほどかかることになります。


不妊治療にはなにかとお金がかかります。そのため、少しでも経済的な負担を抑えるために、このような安全で安いクリニックを探すことも大切です。


しかし、「どうしてもこのクリニック・先生で不妊治療をしたい」という思いをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。


そこで、不妊治療の助成制度を利用することも一つの手段として挙げられます。


残念ながら、人工授精の場合は国からの助成制度はありませんが、住んでいる地方自治体によっては人工授精の段階から助成金を受け取ることができることもあります。


例えば神奈川県大和市では、

  • 法律上婚姻している夫婦
  • 治療日・申請日において夫婦が大和市に住民登録をしている
  • 公的健康保険に加入している
  • 神奈川県不妊に悩む方への特定治療支援事業要綱の助成決定を受けている
  • 大和市の市税などに滞納がない
などの条件を満たすことで、人工授精にかかる費用に対して助成を受けることができます。

なお大和市の助成金額は、1回の治療にかかった金額のうち、神奈川県からの助成金額の2分の1まで(上限は51,000円)となっているようです。

多くの地方自治体では体外受精から助成を受けられるようですが、なかには大和市のように人工授精でも助成を受けられることがありますので、確認してみることをおすすめします。

【注意】人工授精を受けて疾病やケガにより費用が上がることも!

ここまで人工授精にかかる費用について具体的なシミュレーションをお伝えしてきました。


ここで注意しなければならないのが、人工授精を行うのにあたって疾病が発覚することがあり、それに伴ってその治療費がかかることがあるという点です。


人工授精を行う際には、妊娠がより成功しやすくなるように、排卵や子宮の状態を確認する検査を受けることがあります。


その際、

  • 子宮内膜症
  • 子宮筋腫
などの疾病が発覚することも少なくありません。

これらの疾病は妊娠しにくくなることがありますので、人工授精をするのにあたって治療を行うケースがあります。

投薬だけでの治療もあれば、入院・手術をして治療をすることもあります。

また、人工授精をすることで疾病にかかってしまう可能性もゼロではありません。

この場合、人工授精の他に、疾病に対する治療費がさらにかかることになります。

そこでこのようなケースを想定して、あらかじめ医療保険に加入しておくと安心して不妊治療を始めることができるでしょう。

不妊治療中の医療保険:子宝エール

現在、不妊治療を受けている人が増えていることもあり、不妊治療のための保険も登場しています。


その一つが、不妊治療中の医療保険「子宝エール」です。


子宝エールは、アイアル少額短期保険株式会社の保険商品で、

  • 不妊治療中で保険に加入できなかった
  • 不妊治療中だと保障されないものもある
など、不妊治療中の保険に悩む女性のための医療保険です。

以下の記事で詳しく解説しているので、興味のある方はぜひご覧ください。

人工授精は医療費控除の対象

高額になりやすい人工授精ですが、実は人工授精にかかる費用は医療費控除の対象になります。


医療費控除とは、治療に払った医療費が1年間で一定額を越える時、手続きをすれば税金が安くなって税金還付として受け取ることができる制度です。



医療費と聞くと、病気やケガによる通院・入院での治療がイメージされるかと思いますが、人工授精にかかる費用も医療費として、医療費控除の対象になります


ただし、医療費控除の対象となる医療費は細かく決まっているため、必ず確認が必要です。

簡単に説明すれば、

  • 人工授精費用は医療費控除の対象
  • クリニックで処方された薬代は医療費控除の対象
  • 妊娠検査薬は医療費控除の対象外
となっており、治療にかかった費用であれば基本的に医療費控除を受けることができます。

もちろん、妊娠が成功してもしなくても医療費控除を受けることができるので、人工授精を複数回行なった場合は全て医療費控除の対象になります。

また、これ以外にも、

  • 不妊治療の一環としてのマッサージ指圧師・鍼灸師・柔道整復師の施術費用
  • 不妊治療を受けるための通院等にかかった交通費(公共交通機関に限る)
  • 医師紹介の紹介状手数料
なども医療費控除の対象になります。

年間で支払った医療費が合計10万円を越えることで控除を受けることができますので、不妊治療中の人は積極的に活用しましょう!

医療費控除については「医療費控除の申請対象はいくらから?還付金はいくら以上戻るの?」もぜひご参照ください。

まとめ:人工授精は自分の状態と費用を確認してから決めて、妊娠の確立を上げる

今回は、人工授精にかかる費用や不妊治療にかかる費用を安くするサポートについて詳しく解説してきました。


この記事のポイントは、

  • 人工授精は精子を子宮に直接注入して自然妊娠の確率を高める不妊治療の一つ
  • 人工授精費用だけではなく、検査費用や投薬費用などもかかる
  • 人工授精にかかる費用はクリニックによって異なるが5回〜6回程度受けることになることを考慮しておく
  • 地方自治体の助成金や医療保険・医療費控除を活用して経済的負担を軽くすると良い
でした。

人工授精では、ただ人工授精をするだけではなく、妊娠しやすくするための体づくりも重要になります。
そのための治療を受けるにあたり、人工授精以外の治療費用がかかることもあります。

様々なクリニックや助成制度・保険や控除制度を比較検討して、納得のいく不妊治療を行なっていきましょう。

ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事を多数掲載しています。ぜひご覧ください。

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