医療費控除はいくらから申請可能?申請対象と申請時期を解説

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医療控除の申請は、年間10万円以上の支出がある人が申請対象になります。そもそも医療費控除とは、1年間のうちに支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告によって所得控除を受けられる仕組みのことです。医療費控除の申請はいくらから申請可能か、還付金はいくら戻るのか解説します。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

医療費控除はいくらから申請可能?いくらから得になる?

この記事をご覧のあなたは、医療費控除の申請について疑問をお持ちのことでしょう。


自営業で仕事をして収入を得ておられる方にとっては馴染み深い「確定申告」ですが、一見収入とは何の関係もないように思える「医療費」も申告できるのをご存知でしたでしょうか。


確定申告で医療費控除を申請すれば、支払うべき税金が安くなるのですが、高い医療費を支払っていても今まで申告していなかった、という方は少なくありません。


そこで今回は、

  • 医療費控除とは?
  • 医療費控除はいくらから確定申告で申請が可能?
  • どんな種類の医療費でも対象になる?
  • 医療費控除で還付金を受け取れる条件と時期は?
これらの点を取り上げていきます。

最後までこの記事をお読みいただければ、今まではそこまで医療費控除について真剣に考えていなかったという方でも、その重要性について気付いていただけるでしょう。

ぜひ最後までご覧ください。

医療費控除とは

病気で通院が長くなったり、入院したり、それ以外にも医療費が多くかかると、大きな負担ですね。


そのようなとき、医療費控除がうけられるかもしれません。


医療費控除を簡単に説明すると、医療費を1年間で一定額以上払った年は、確定申告で申請すると税金の負担を軽減してもらえる、という制度です。


一定額は、以下のように定められています。

  • 総所得金額が200万円未満:総所得金額の5%
  • 総所得金額が200万円以上:10万円

10万円はいかないかな、と諦める人もいるでしょう。


ただ健康保険が適用されている医療だけではなく、インプラントやレーシック、出産や不妊治療など、保険が適用されない高額な治療も対象になることがあります。  


また生計を同一にしている家族であれば、全員の医療費を合算した額が、10万円を超えるかどうかとなります。


超えている場合、どのくらい税金が返ってくるのか気になりますよね。
 


還付金の計算方法や、申請方法・対象となる医療について詳しく説明していきます。

医療費控除はいくらから申請できる?申請は10万円以上の支出から対象

医療費控除とは、1年間のうちに支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告によって所得控除を受けられる仕組みのことです。


ここで言う所得控除とは本来の収入額ではなく、税金を計算するために必要な「見かけ上の収入額(課税所得)」を減らすことであり、適用されれば主に収入額に比例して増えていく税金の支払いを減らすことができます。


要は、たくさん医療費を支払った方は税制面で「節税」という優遇を受けられるのです。


実際はこの「たくさん」の部分が分かりにくいのですが、実際に医療費控除がいくらから受けられるのかというと、年間の医療費が10万円以上かかった人が対象となります。


ただし、病院で合計10万円を支払ったというだけで誰もが医療費控除の対象となるわけではありません


次からは、具体的にどのような場合に医療費控除が適用できるのかを取り上げていきます。


医療費控除はいくらから戻る?医療費控除の計算方法

医療費控除を受けるには以下の点を確認しまししょう。

  • 1月1日~12月31日までの1年間分
  • 自己負担額が、家族分合算して総所得の5%または10万円を超えている

この条件を満たせば、医療費控除が受けられ税金が戻ってきます。


ただし医療費控除には、対象の医療とそうでないものがあります。

また、かかった医療費と自己負担額が違う場合があります。


では、そのポイントを踏まえて、戻ってくる税金(還付金)の計算方法を順番に説明していきます。


ややこしそうですが、医療費の領収書と源泉徴収票があれば簡単です。
ワンステップずつ解説するので、ぜひ計算してみてください。

医療費控除の計算手順①年間の医療費を計算

医療費をすべて合計する前に、医療費控除の対象の医療費であるか確認しておく必要があります。


以下を参考に、対象になる医療費の領収書を用意し、家族1年分を合算しましょう。

内容対象になる対象にならない
治療・入院医師による診療費
通院時の交通費
(公共交通機関)
マッサージ治療
鍼灸施術費
視力回復の手術
(レーシックなど)
予防接種代
診断書の作成
健康診断
人間ドック
ガソリン代
駐車場代
タクシー代
歯科虫歯治療
発育時の矯正
噛み合わせ改善矯正
インプラント、義歯
美容矯正
ローン手数料
ローン利息
薬・医療器具医薬品代
医療器具の購入費
証明を受けたおむつ
コンタクト
近視遠視メガネ
体温計、血圧計
予防目的のもの
妊娠・出産妊婦検診、検査
助産師の分娩介助費
不妊治療費
流産手術費
里帰り移動費
妊娠検査薬

上記以外にも医療系介護サービスも控除の対象になるケースが多いです。


なお、クレジット決済の場合など、引き落としが翌年になる場合も、決済した年で計算します。

医療費控除の計算手順②医療費控除額を計算する

気をつけなければならないのは、対象になる医療費であっても、全額控除対象とは限りません。


入院給付金や、出産一時金などは、もらっていませんか?

そのような医療費を補填した金額は、差し引くことになっています。


例えばこんなケースでお金をもらっていることが多いでしょう。

  • 健康保険法などの規定により支給を受ける出産一時金、高額療養費など 
  • 各自治体などが行う医療費補助や、不妊治療などの助成金 
  • 生命保険や医療保険からもらう保険金、入院給付金など 
  • 損害賠償保険など事故の際に医療費をもらう場合 
  • 会社からのお見舞金など
このような場合、必ず正確な金額が確認できるものを準備して下さい。
控除申請の際、確定申告書にも正確に記入する必要があります。

そして、自分が本当に負担した医療費から10万円を引いたのが医療控除額です。

医療費控除の計算手順③所得税率を確認する

戻る税金(還付金)の計算には所得税率を確認します。


所得税率は課税所得に応じて変わります。


課税所得は以下の、(a)ー(b)で計算します。

源泉徴収票で、(a)の金額と(b)の金額を確認しましょう。

  • (a)給与所得控除後の金額:支払金額より一定額を経費として引いた総所得
  • (b)所得控除の合計額:各種保険などの控除合計額(社会保険や厚生年金、配偶者控除など、医療費控除は含まれていません)

例えば(a)が550万円(b)が150万円の場合 

(a)550万円ー(b)150万円で400万円が課税所得となります。


所得税率は課税所得に応じて決まっているため、国税庁所得税率表で確認します。


上記の例の場合、課税所得が400万円なので、所得税率は20%となっています。

医療費控除の計算手順④医療費控除額と所得税率をかける

最後は、戻る税金(還付金)を医療控除額所得税率で計算します。


以下の家庭の場合で、実際に還付金額を計算してみましょう。

  • 医療費控除対象の医療費:48万円
  • 保険金受け取り:13万円 
  • 年収:730万
  • 給与所得控除後の金額:550万
  • 所得控除の合計額:150万

医療費控除額を出す

48万円ー13万円ー10万円=25万円

課税所得を計算し、所得税率を確認

550万円ー150万円=400万円

課税所得400万円の場合、所得税率は20%

医療費控除額✕所得税率=還付金額

25万円✕20%=5万円


よって、戻る税金(還付金)は約5万円ということになります。


もし家族の中に収入を得る人が複数いる場合は、所得が高い人が申請した方が、還付金額が高くなります。


※医療費控除額により所得税率が変わることかあり、還付額も変わる可能性があります。

医療費控除の申請手続きって?申請のやり方と還付金が返ってくる時期

医療費控除の申請手続きから還付までは以下の流れになります。

  1. 確定申告書、医療費の明細書を作成
  2. 書類を税務署へ提出(送付)
  3. 還付金受け取りまで2ヶ月以内

書類は、規定フォーマットで作成します。

国税庁ホームページよりダウンロードするか税務署の作成コーナーに行きましょう。


電子申告(e-tax)は自宅のパソコンやスマホにインストールし入力し送信する、または印刷したものを税務署へ持参か郵送します。


還付金額によっては、書類作成や税務署へ行くことの手間から、申請しない人も多かったと思います。


しかしH29年度より医療費の領収書添付が不要となり、電子申告(e-tax)であれば自動計算で自宅で申請できます。


マイナンバーカード制度によりスマートフォンでの申請も始まりましたので、申請作業はますます簡略化され申告しやすくなっています。


還付手続きは5年間いつでも可能ですので、ぜひ手続き方法を確認して申請してみてください。

医療費控除で還付金を受け取る第一歩は確定申告

会社に勤めている方には年末調整という仕組みがありますが、自営業の方は確定申告を自ら行い、税金面を確定させる必要があります。


確定申告で申告するものは主に「収入」に関わる点ですが、税金の計算をするのに重要なのは「課税所得」であり、この課税所得は控除が可能です。


まさに医療費控除はその一つであり、確定申告の際に医療費を申告することによって、会社員の方は還付金を、自営業の方は節税というメリットを受けられます。


何よりもまず、医療費控除を受けるために必ず必要な第一歩は「確定申告」であることを覚えておきましょう。

医療費控除申請時の必要書類

医療費控除の申請時に必要なものは3点です。

  • 医療費控除の明細書
  • 確定申告書AまたはB
  • マイナンバーカード

医療費控除の明細書

健保組合から届く「医療費のお知らせ」などがある場合、医療費明細書の右上欄に金額を記入します。

医療費のお知らせは1年区切りが1~12月でないことが多く、お知らせで記載されている全額と今年の分だけ記入する欄があります。


一覧には手元の領収書に沿って、氏名・病院ごとに医療費を記入。

また、補填された保険金や、医療費控除額を記入します。


医療費のお知らせがなく領収書のみから作成する場合は、国税庁の医療費集計フォームを使用すると簡単です。


この明細書を作成すれば領収書などの提出は不要です。


確定申告書AまたはB

還付金の申告であれば簡易版の確定申告書Aを、自営業者など、所得税と一緒に確定申告する場合は確定申告書Bを使用します。


個人番号にはマイナンバーカードの12桁の数字をわすれず書きましょう。

そして明細書及び、源泉徴収に記載されている金額を確定申告書へ転記します。


わからない箇所がある場合は、国税庁の令和元年度分確定申告書の記載例を確認するか税務署へ確認してくださいね。


マイナンバーカード

確定申告ではマイナンバーカードが必要です。

窓口では確認がありますので必ず持参下さい。

郵送の場合はコピーを台紙に貼り付けて送付します。
手続きをしておらずカードが手元にない場合は、通知カードと本人である公的証明書が必要となります。

源泉徴収票は、マイナンバーによる情報一元化が進んでいるため、令和元年4月より確定申告での添付不要となりました。 

ただし税務署内での作成や書き方などを相談する時は持参するようにしてください。

申請した還付金が戻るのはいつ?還付金が戻るタイミング

医療費控除における還付金は、実際にいつ受け取ることができるのでしょうか。


還付金は確定申告時期である2~3月にかけて、申告日から1~1ヶ月半程度で受け取ることができ、電子申告(e-Tax)を利用している場合はさらに短い期間で受け取りまでが完了します。


ですからきちんと期限通りに確定申告をした方は、およそ4月から5月にかけて還付金を受け取ることができます。


早目に還付金を受け取りたい方は、積極的にインターネットでの電子申告を活用しましょう。

医療費控除を申請する際の注意点

平成29年度から領収書等の提出はなくなりましたが、税務署から求められることもあるため、医療費として申告した金額のわかる領収書や明細、健保組合からの「医療費のお知らせ」は証拠として5年間は保管しておかなければなりません。

平成29年より前の年の申告については領収書の添付が必要です。


また、対象の交通費などを申請する場合、領収書がでないものは、日付や目的、金額など、その都度自分で書き留めておきましょう。


なお、還付申請期限は、医療費が発生した翌年の1月から5年後の12月31日までの5年間と長いですが、郵送の場合、消印有効のため期限直前にならないようにしましょう。

医療費控除の申請対象は制限あり!上限は200万円まで?

では、医療費を10万円以上支払った人であれば、誰でも医療費控除の対象となるのでしょうか。


基本的に医療費控除の対象となるのは、

  • 治療を受けた(医療費を支払った)本人
  • 生計を共にしている本人の家族
主にこれらの人たちです。

医療費は同一生計内の家族間で合算することができるため、誰か一人の治療費が10万円を超えている必要はなく、たとえば家族全員で10万円を超えていれば申請できることになります。

ただし、単純に10万円支払っていれば適用になるというものではなく、そこから各種保険金によって補償された金額は差し引くことになります。 ですから、たとえ医療費を10万円以上支払っていても、医療保険に加入しておりそれによって十分賄われている場合は医療費控除の対象とはならないのです。 

また、総所得額が200万円以下の人が総所得額の5%を計算したとき、計算結果が5%よりも少なければ、たとえ医療費を10万円以上支払っていてもそちらの数字が優先適用されます。 逆に言えば医療費が10万円に満たない場合でも、その医療費が総所得額の5%を超えている場合は、総所得額が200万円以下の人は医療費控除が適用できるというわけです。 

これらの条件を踏まえて医療費控除の計算式にしてみると、 
  1. 医療費の合計 ー 保険金 = A 
  2. 10万円 or 総所得額の5% どちらか少ない方がB
  3. A ー B = 医療費控除額(計算結果) このようになります。

先ほど述べた生計を共にしていると判断されるのは必ずしも同居している家族でなくても良いので、別居している子供の医療費を親が支払っている場合や、その逆の場合も医療費控除の対象となります。

ただし夫婦が事実婚の場合や、夫婦が完全な別居状態にあり生計を共にしていることが認められない場合は、医療費控除の合算ができません。

医療費控除で対象となる医療費と対象外の医療費

医療費控除はその名の通り発生した医療費に対して税金の控除対象となる仕組みです。


では、どのような内容の治療で発生した治療費でも、医療費控除の対象となるのでしょうか。


基本的に医療費控除の対象となるのは、「治療のために支払った費用」であり、そうでない場合(美容整形など)は対象外となります。


その「治療のために支払った費用」は必ずしも病院代である必要はなく、

  • 処方してもらった薬代
  • 自分で薬局で購入した薬代
  • 出産費用
  • 眼科・歯科系の治療費
  • 病院までの交通費
このような種類の費用も医療費として申告額の中に含めることができます。


やはりここでもポイントとなるのはその費用が「治療のための費用かどうか」であり、たとえば美容目的も持ち合わせている、成人してからの歯科矯正の場合は対象外となる場合が多いです。

医療費控除額=実際に戻ってくるお金ではない

勘違いしやすい点として、控除額還付額を混同してしまう方がおられます。


このように、

  • 控除額:課税所得から控除される金額
  • 還付額:払いすぎた税金が実際に戻ってくる金額

控除額と還付額は異なります。


上限「200万円」はあくまで医療費控除によって控除される額の上限であり、実際に手元に戻ってくるお金ではないことを覚えておきましょう。 


それでもやはり大きな節税となるため、高額医療費を支払っている対象者は申請するべきです。


この医療費控除における控除額と還付額の関係性については、次の見出しから掘り下げていきます。

参考:10万円以下でも医療費控除が受けられることがある

医薬品控除には、「セルフメディケーション」による治療も含まれます。


セルフメディケーションとは、自分で行う治療行為のことであり、たとえば症状が軽度の風邪をひいたときに市販の薬を自分で購入して治療することも「セルフメディケーション」に含まれています。


実は自分で治療のために薬を購入した費用も医療費控除に含めることができ、その仕組みを「セルフメディケーション税制」とも言います。


これが適用となるのは「スイッチOTC医薬品」を購入した場合であり、年間でスイッチOTC医薬品を12,000円以上購入している場合に、特例として控除が受けられます。


現在「スイッチOTC医薬品」として認可されている医薬品は1700種類以上あり、非常に多くの薬に対応できます。

参考:対応薬品一覧(厚生労働省)


ただしこの制度はあくまで特例であるため、医薬品控除と同時に適用とはならない点には注意が必要です。

まとめ:医療費控除は医療費の自己負担額が10万円以上の人が申請対象

今回は医療費控除の申請対象について様々な点を取り上げてきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは、

  • 医療費控除とは高額な医療費を支払っている場合に所得控除が受けられる仕組み
  • 医療費控除は10万円から申請可能だが、年収200万円以下の場合は必須ではない
  • 医療費控除は保険外の治療も対象となるが、医療目的でないと認可されない
  • 医療費控除の還付金が受け取れるのは申請からおよそ1~1カ月半後
以上の点です。

医療費控除は「たくさん医療費を支払っていればお金が戻ってくる制度」と勘違いされやすい仕組みでもあります。

この機会に医療費控除の対象となる条件を覚えておき、支払ったすべての費用がすぐに参照できるようにまとめておきましょう。

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