産休中の有給休暇取得は可能?出産手当金の受給金額の違いを解説!

産前休暇中は、出産手当金を受け取ることが出来ます。産前休暇中は、有給をとることも出来ますが、その場合、出産手当金が減額される場合もあります。産休中の有給消化は損なのか、またどのように有給休暇を使うと損しないのか分かりやすく説明しています。

産休中に有給休暇をとることは出来るのか

内容をまとめると

  1. 産後8週間は労働が禁止されているので、有給は使えない 
  2. 受け取り金額自体は有給休暇を取得した場合の方が高くなる
  3. 出産手当金は給与の3分の2
  4. 産前休暇に入る前に有給休暇を取得するべき!
  5. ボーナスがある場合は有給をとったほうがお得な場合もある

出産前に退職を考えていたり産前休暇中に有給が消滅してしまったりなど、産前休暇中に有給休暇を使いたいと思う人も少なくないでしょう。

出産のために休んでいるのに有給を使えるのか疑問があるかもしれませんが、産前休暇中でも有給休暇を取ることはできます。

しかし、産前休暇中に有給休暇を取るのは、メリットデメリットの両方があります。

そこで今回のこの記事では、「産前休暇中の有給休暇」について、
  • 産前休暇中に有給休暇を取得した場合の出産手当金額
  • 有給を使った場合の出産手当金の計算方法
  • 有給を使うと得なケースと損なケース
  • 産前休暇中に有給を使う場合の書類の書き方例
以上のことを中心に説明します。

この記事を読んでいただけたら、ご自身にとって最もお得な有給の使い方が分かります。ぜひ最後までご覧ください。

産休中の有給消化は可能

産休中でも有給消化はできます。しかし、出産手当金と有給では、もらえる金額が違います。「結局、どちらが得なのか?」ということが気になる点でしょう。

ここでは、有給休暇を取得した場合と出産手当金のみをもらった場合とで、金額にどのような違いが出るのか比べていきたいと思います。

どちらが得なのか、ご自身に当てはめて読み進めてください。

産前休暇中に有給休暇の取得をすると出産手当金は減額される

産休休暇中に有給休暇を取得する場合、その期間は出産手当金がもらえません。どちらももらうことはできないのです。

そのため、どちらも満額でもらいたい場合は、産休前に有給休暇を取得しておく必要があります。しかし、産休中の受取額が多い方がよければ、どちらの額が大きいかによって、産休中に有給休暇を取るかどうかを決めてください。

有給休暇は、産前の休暇にのみ使用できます。労働基準法における母性保護規定により、産後8週間は労働が禁止されているので、有給は使えません。

有給休暇は、そもそも労働日だけど休みを取る趣旨の休みのため、有給を産後に充ててしまうと産後すぐに就業させている会社とみなされて、会社が処罰の対象になる可能性があります。たとえお願いしても有給休暇を取らせてくれませんので注意してください。

では、受け取り金額は、有給休暇と出産手当金のどちらが高いのでしょうか?次の項目で説明していきます。

受け取り金額自体は有給休暇を取得した場合の方が高くなる

有給休暇と出産手当金のどちらをもらうのがお得なのかが気になるところですよね。


一般的に、受け取り金額は有給をもらう方が高いです。


出産手当金は、給与の約3分の2になります。時給の場合は、もっと少なくなります。有給は満額もらえる会社が多いと思いますので、この場合は有給の方が金額は高いです。


ただし、有給額は、会社によって給与の6割くらいの支給になるケースもあります。ご自身の有給額を確認してみてください。


もし、有給が6割くらいであれば、出産手当金の方が高いかもしれません。受け取り金額にこだわるなら、計算して検討してみる必要があるでしょう。計算方法は次の項目でご紹介します。

有給を使用した場合の出産手当金の計算方法

それでは、有給を使用した場合の出産手当金の計算方法をみていきましょう。


計算式は、

【支給開始日以前12ヶ月間の各標準報酬月額の平均額】÷30日×(2/3)×(42日-有給取得日数+56日)

です。


上記計算式の中で、「+56日」という日数は、出産後の固定日数です。その前の「42日」の部分は、出産日によって変動します。予定日より3日早く生まれたら39日、予定日より2日遅く生まれたら44日です。


式で見ると分かりづらいかもしれませんが、おおよそ、「月給を30日で割った額の3分の2」の手当をもらう日数分です。


この計算方法をご覧いただくと気づかれるかもしれませんが、1日の給与額の平均は、月額を30日で割って決めます。労働日数は22日前後になるはずですが30日で割る計算のため、1日の報酬の3分の2より出産手当金の額は少ないです。


特に時給で働いている場合は、1日の報酬を基準に考える人が多いかと思いますので、注意してください。有給より出産手当金はかなり少額になります。

給与が出産手当金よりも低い場合は差額を受け取れる場合も

上記の通り、基本的には、出産手当金は給与よりは低くなるのが一般的です。しかし、産休前の給与が減ったときは、給与の方が出産手当金より少ないケースがあります。


このケースで産前休暇中に有給を使う場合、出産手当金より有給額が少額になるのですが、出産手当金から差額がもらえる可能性があります。


また、会社の規定で手当が出ることもあるので、ご自身の給与が大幅に減っている場合は事前に確認しておくとよいでしょう。

出産手当金を満額貰うなら産前休暇前に有給消化するとよい

一般的には、産前休暇中に有給を使えば、もらえる額は多くなります。その代わり、有給を取った日数分は、出産手当金がもらえません。

「もらえる日数分を取りこぼさずもらいたい」と考えるなら、産前休暇に入る前に有給休暇を取得しましょう。

出産が予定より早くなった場合は、出産手当金の期間が減り、結果としてもらえる金額は減ります。出産までの日数はコントロールできませんから、産前は42日分もらえるとは限りません。当てにしないよう注意してください。

もし、職場復帰の予定がある場合は、有給休暇を取得するかどうかは、産休中の収入だけではなく、職場復帰後の生活についても考慮しておくとよいでしょう。

お子さんの急な病気やケガで休む日は増えるものです。保育園に行き始めると、園の行事もあります。有給を復帰後に持ち越せる場合は、ゆとりをもって残しておくと安心です。

有給・無給問わず社会保険料は免除

産休中は、社会保険料にメリットがあります。それは、有給・無給問わず社会保険料が免除されること。そのため、産前休暇中に有給を使っても、保険料は引かれません。いつもより少しもらえたと感じかもしれませんね。

有給の社会保険料が免除されるなら、ボーナスはどうでしょうか?ボーナスは、査定期間に働いていれば支給対象になる会社が多いので、産休中に支給されることもあるでしょう。

実は、産休中にボーナスが支給された場合も、社会保険料は免除されます。ボーナスは「社会保険料が高い」と感じている人が多いので、これはお得ですね。

ただし、免除されるのは、社会保険料のみです。雇用保険料と所得税は引かれます。

社会保険料の免除期間は、産休に入った月から休暇が終る前月まで。産休が月末に終わる場合はその月までです。

産前休暇中に有給を使う場合の出産手当金の申請書の書き方と記入例

では、出産手当金を申請するときに提出する書類について書き方をご紹介します。

出産手当金の申請書は、「被保険者記入用」「被保険者・医師・助産師記入用」「事業主記入用」がセットになっています。本人が記入するのは、「被保険者記入用」です。

記入する箇所は、
  • 氏名・捺印
  • 生年月日
  • 住所
  • 保険者の記号番号:分からない場合は、マイナンバーを記入する。
  • 振込口座

有給を使う場合は、上記に加えて、
  • 出産のために休んだ期間の報酬の有無
  • 報酬額と支払い期間
を記入します。支払期間には有給を取った期間、報酬額は有給取得日数分の給与額を記入してください。

その他、詳しい記入方法は、協会けんぽの公式サイトに書かれていますので参照しながら記入されてください。

出産前に退職する人は、退職日の有給使用がおすすめ

出産前に退職すると出産手当金はもらえないと思っている人も少なくないようですが、出産前に退職する人も、条件を満たせば出産手当金をもらうことができます。

退職する場合に出産手当金をもらえる条件の1つが「退職日に出勤していないこと」です。退職日に出勤してしまうと、出産手当金の対象外になってしまうので注意してください。

そこで、退職日には有給休暇を使って休みましょう。これで出産手当金の条件が1つクリアします。

他の条件は、
  • 退職日までの1年以上、社会保険に継続して加入している
  • 退職日が出産日(出産予定日)から42日(多胎の場合は98日)以内である
です。「出産手当金の受給ができる条件を満たしていて、退職日に働いていないこと」と考えてください。

退職後は、当然ながら有給休暇は消滅します。退職予定があるようでしたら、産前休暇に入る前に有給休暇を消化しておくのがおすすめです。もらえるお金をすべてもらえるので損がありません。

出産手当金は減額でも有給を使用したほうが得する場合

ここまで見てきた通り、有給を使うと、出産手当金は減ります。満額もらいたいなら、有給は産前休暇前に使っておくと良いのですが、出産手当金が減ったとしても、産休中に有給を使うとお得になるケースがあります。

それは、ボーナスが支給される場合です。

産前産後の休暇中は、一般的に給料はもらえません。しかし、会社によってはボーナスがもらえることがあります。

ボーナスの条件は会社によりまちまちですが、「ボーナス支給日に会社へ在籍していること」という条件が多いので、産休中であっても、ボーナスをもらえるかもしれません。

有給の残りを上手く使うことで、退職日が延長され、ボーナスがもらえるようなら、使わない手はありません。

ボーナスの支給額にもよりますが、出産手当金よりボーナスの方が受け取れる金額が多くなるようなら、産前休暇に有給を充てた方がお得です。

ただし、ボーナスの規定は就業規則次第。きちんと確認して、上手に有給を使ってください。

産休中の有給休暇の取得は可能かまとめ

産休中の有給休暇について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。

この記事のポイントは、
  • 産休中でも有給休暇は取れる
  • 産休中に有給を使うと、出産手当金は減る
  • 出産手当金を満額もらいたいなら、有給は産休前に使うとよい
  • 出産手当金は、およそ月給の3分の2
  • 出産手当金より有給額の方が高いことが多い
  • 産休中の有給やボーナスは社会保険料が免除される
  • 退職する場合は、退職日に有給を使うとよい
  • ボーナスの条件によっては産休中に有給を取得すると得になる
でした。 

産休に入る前に有給を使えば、産休中は出産手当金をすべてもらうことができます。ただし、産休前に有給を消化できないまま退職するようであれば、有給を消化するとよいでしょう。

雇用形態や会社の就業規則によるので、ご自分のケースにあてはめて検討してみてください。

ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。 

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