更新日:2024/03/27
国立大学四年間の学費総額は?学部別の授業料や私立大学との比較も
国立大学の学費は私立大学の学費と比較して安いと言われていますが、卒業まで合計いくらなのでしょう。国立大学の学費総額(入学金や施設費など)、学部別学費の差、年々値上がりしている国立大学の学費の推移、私立大学との学費比較を紹介します。また学費免除制度も紹介します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 国立大学四年間の学費合計は?学部別授業料や私立大学との比較
- 国立大学の学費の内訳(施設費や入学金含む)!私立大学との比較
- 国立大学・私立大学の学費①入学金と授業料
- 国立大学・私立大学の学費②教科書代や実験・実習費
- 国立大学・私立大学の学費③:交通費や生活費
- 理系や文系、医学部など学部の違いで学費は割高になる?
- 大学四年間でかかる学費総額を私立・公立・国立大学で比較
- 国立大学の学費の推移は今後どうなる?
- 国立大学の学費の推移:学費値上げの理由は?
- 国立大学の学費の推移:今後値上げする可能性はある?
- 学費支払いに悩む方必見!国立大学の学費免除制度や奨学金制度
- 国公立大学の学費免除制度について
- 国公立大学の奨学金制度について
- まとめ:国立大学で卒業までにかかる学費。私立大学との比較
目次
国立大学四年間の学費合計は?学部別授業料や私立大学との比較
大学に進学しようと思ったとき、気になるのが学費ですよね。「できれば、学費の安い国立大学に行ってほしい」と思う親御さんも多いでしょう。
- 大学進学に当たって、実際いくらかかるのか
- 国立大学と私立大学とでいくら学費が違うのか
- 入学金:28万2,000円
- 年間授業料:53万5,800円
- 学費の内訳(私立大学との比較)
- 学科・学部による学費の違い
- 国立・公立・私立による学費の違い
- 国立大学の学費の推移「国公立大学の学費は値上げする?」
- 学費免除・奨学金制度
国立大学の学費の内訳(施設費や入学金含む)!私立大学との比較
大学の学費と聞くと「授業料」を想像する人も多いと思いますが、実は大学の学費にはそれ以外のものも含まれています。
大学の学費に含まれる項目は以下の通りです。
- 入学金
- 授業料
- 実験・実習費
- 施設設備費
- 教科書代
- 交通費
- 生活費
国立大学は、最初に説明した通り入学金・授業料は一律です。また、実験・自習費や施設設備費も授業料に含まれます。
しかし、授業を受けるのに必要な「教科書代」や定期代等の「交通費」は別途必要です。
また、自宅から通えない場合には、上記の学費に加えて家賃などの「生活費」も必要です。
国立大学・私立大学の学費①入学金と授業料
大学の学費の大部分を占めているのが、入学金と授業料です。
そこでここでは、国立大学・私立大学・公立大学の入学金・授業料の違いを比較していきます。
項目 | 国立大学 | 私立大学 | 公立大学 |
---|---|---|---|
入学金 | 28万2,000円 | 25万2,030円 | 39万3,426円 |
授業料/年 | 53万5,800円 | 90万0,093円 | 53万7,809円 |
参考:文部科学省の「平成29年度入学者に係る学生納付金調査結果について」
ここで注意してほしいのが、私立大学の学費です。
私立大学の学費は、大学や学部による差が大きくなっています。
特に、私立大学の理系学部・医学部・薬学部は上記の学費よりも高額になっている傾向にあります。
また、国立大学と合わせて「国公立大学」と言われることのある公立大学では、その公立大学がある都道府県の出身かどうかで学費の割引制度があります。
このように大学や学部によっても違いがありますので、こちらの金額はあくまで平均値として参考にして下さい。
とは言え、国立・私立・公立の入学金だけを比較すると、意外にもほとんど変わらないことに驚きますね。
ただし授業料と合わせてみると、やはり私立大学の方が圧倒的に学費が高くなることが分かります。
私立大学の入学金や学費についてはこちらの記事をご覧ください。
国立大学・私立大学の学費②教科書代や実験・実習費
それでは、入学金・授業料以外の学費はどうでしょうか。
ここでは「教科書代」「実験・実習費」「施設設備費」について解説します。
教科書代
教科書代は、国公立大学でも私立大学でもかかります。
また必要になる金額は、学部や学科、また履修する科目によっても差があります。
大学の教科書は、1冊平均3,000円~5,000円ほどの場合が多いです。
そのため、年間で5万円程度が教科書代としてかかります。
しかしなかには、医学部などのかなり専門的な学科で1冊5万円もする参考書が必要になる場合もあるので注意しましょう。
大学の教科書は、大学内にある大学生協で購入すると少し安い値段で購入できます。
しかし高校までの教科書に比べると1冊にかかる値段が高くなっていますから、同じ授業を履修していた先輩などから譲ってもらうと教科書代が安く済みます。
また、パソコンの購入が必要な場合もあります。
大学では、情報処理の授業やたくさんのレポート作成があるため、パソコンの機種・ソフトが指定されていることもあります。
この場合、15万円から20万円のパソコン購入代金も必要になってきます。
実験・実習費
学部 | 実験・実習費 |
---|---|
法学部 | 8,000円 |
商学部 | 5,000円 |
政治経済学部 経営学部 情報コミュニケーション学部 | 10,000円 |
文学部 | 5,000円 |
国際日本学部 | 10,000円 |
理工学部 | 70,000~90,000円 |
農学部 | 40,000~80,000円 |
総合理学部 | 50,000~90,000円 |
国立大学・私立大学の学費③:交通費や生活費
ここでは、大学四年間にかかる「交通費」や「生活費」を解説します。
大学生活は四年間もありますから、交通費や生活費にかかる金額によっては、大学四年間にかかる学費が高くなることもあるので注意が必要です。
交通費
自宅からバスや電車を使って通学する場合、定期代など交通費が必要になります。
交通費に関して、実家から通学する人のほうが高くなる傾向もあります。
この理由としては、一人暮らしをする場合、大学へ近い場所にアパートを借りることが多く交通費が安く済むからです。
例えば、池袋から駒澤大学に通っている場合の1ヶ月の定期代は6,750円(池袋駅から駒沢大学駅まで片道330円)になります。
年間で考えれば8万1,000円もかかります。
東京の大学となると周辺の県からも通学してくる学生が多くいます。そのため、通学距離によっては1ヶ月の交通費が高額になる場合もあります。
生活費
年間生活費 | 自宅 | 一人暮らし |
---|---|---|
国立 (一人暮らし率66.2%) | 112万2,300円 (9万3,525円/月) | 176万5,800円 (14万7,150円/月) |
私立 (一人暮らし率35.5%) | 181万0,800円 (15万0,900円/月) | 249万5,300円 (20万7,942円/月) |
公立 (一人暮らし率56.2%) | 113万0,300円 (9万4,192円/月) | 168万1,900円 (14万0,158円/月) |
理系や文系、医学部など学部の違いで学費は割高になる?
- 入学金:20万円
- 在籍基本料:6万円
- 授業料
- 施設設備費
- 実験実習料
学部(学科) | 授業料 | 初年度納付金合計 |
---|---|---|
文学部 経済学部 | 87万円 | 132万3,350円 |
法学部 | 87万円 | 133万3,350円 |
商学部 | 87万円 | 132万9,850円 |
総合政策学部 環境情報学部 | 103万円 | 157万1,350円 |
理工学部 | 126万円 | 184万3,350円 |
医学部 | 304万円 | 384万3,350円 |
看護医療学部 | 103万円 | 183万5,850円 |
薬学部(薬学科) | 168万円 | 242万3,350円 |
薬学部(薬科学科) | 141万円 | 215万3,350円 |
大学四年間でかかる学費総額を私立・公立・国立大学で比較
入学金 授業料 施設設備費 | 学費合計 | |
---|---|---|
国立大学 | 28万2,000円 214万3,200円 払うことがある | 242万5,200円 |
公立大学 | 39万3618円 215万4,532円 払うことがある | 254万8,150円 |
私立大学・文系 | 22万9,997円 314万2,324円 60万5,376円 | 397万7,697円 |
私立大学・理系 | 25万4,309円 442万2,464円 74万0,152円 | 541万6,925円 |
私立大学・医歯系 (6年間) | 107万3,083円 1,720万6,812円 528万9,054円 | 2,356万8,949円 |
このように、国立大は最も安く、私立大(文系)と比べると100万ほど安く、私立大(理系)と比べると約半額で通うことができます。
国公立大に入学するのは簡単ではありませんが、学費の面から見れば非常に魅力的であると言えるでしょう。
国立大学の学費の推移は今後どうなる?
私立大学に比べると学費は安い国立大学ですが、実は学費が年々値上げされており、私立大学との学費の差は小さくなってきています。
文部科学省の資料をもとにして、国立大学と私立大学の学費の推移を表にまとめました。
年度 | 国立大学 | 私立大学 |
---|---|---|
昭和50年 | 36,000円 | 95,584円 |
昭和55年 | 180,000円 | 355,156円 |
昭和60年 | 252,000円 | 475,325円 |
平成2年 | 339,600円 | 615,486円 |
平成7年 | 447,600円 | 728,365円 |
平成12年 | 478,800円 | 789,659円 |
平成17年 | 535,800円 | 830,583円 |
平成22年 | 535,800円 | 858,265円 |
平成27年 | 535,800円 | 868,447円 |
平成29年 | 535,800円 | 900,093円 |
国立大学の学費は、ここ数年変わっていません。
しかし、これからも学費値上げ・変動が起こらないと断言することはできません。
そこでここでは、国公立大学の学費についての最近の動向について解説していきます。
国立大学の学費の推移:学費値上げの理由は?
いかに国立大学といえども、国内の物価上昇が影響して学費は増額されることもあるでしょう。
しかし、他に大きな要因がもう一つあります。それが「国立大学の法人化」です。
法人化して何故学費が高くなる?
法人化すれば大学をこれからも運営していくために、大学独自で、ある程度採算がとれる仕組みを工夫しなければいけないことになります。
そのため、大学に入って利益を得る人達(つまり学生)から、しっかりお金を出してもらうという「受益者負担」へ国立大学の方針が変化したと言えます。
学費値上げは大学の独自色を打ち出す好機
国立大学で自主財源を増強する努力は、単なる“儲け”ではなく独自色を打ち出す良い機会とも言えます。- 東京工業大学:[値上げ]年額53万5,800円→2019年度より63万5,400円(9万9,600円UP)、[理由]国際化の推進や教育環境等の整備、学生の国際交流活動の充実を目指したい。
- 東京藝術大学:[値上げ]年額53万5,800円→2019年度より64万2,960円(10万7,160円UP)、[理由]世界で活躍するトップアーティストの育成を推進、「実技指導」の重点強化等を目指す。
- 千葉大学:[値上げ]年額53万5,800円→2020年度より64万2,960円(10万7,160円UP)、[理由]「千葉大学グローバル人材育成“ENGINE”」の財源確保が目的、学部・大学院生の全員留学等を目指す。
国立大学の学費の推移:今後値上げする可能性はある?
国立大学の学費は、大学側が勝手にその金額を決められるわけではありません。
法人化したとは言え、公益性の高い分野であることに変わりないのです。
そのため、国立大学の学費は2割増の64万2960円まで増額を認める、と文部科学省が一定の制約を設けています。
当然、一定の制約はあるものの前述した国立大学のように、独自色を打ち出したい大学が今後増加して、その制約内で学費値上げに踏み切る場合もあるでしょう。
最近、文部科学省では各国立大学の裁量で学費が決められる、「学費の自由化」についても検討され始めています。
ただし、国立大には学生の教育の機会均等という使命もあり、学費の自由化がなされるかどうかは不透明と言えます。
学費支払いに悩む方必見!国立大学の学費免除制度や奨学金制度
国立大学の学費は、私立より安いとはいえ、大きな金額です。更に、今後の推移として学費の値上げが懸念されています。
そのため、進学を希望している人の中には支払いが難い場合もあると思います。しかし、国立大学には学費免除制度や奨学金制度も用意されています。
「大学に進学したいけど、お金に不安がある」という人はぜひ参考にしてみてくださいね。
国公立大学の学費免除制度について
まず、学費免除制度について説明していきます。
この制度は、簡単に説明すると、家計が厳しく、学費の支払いが難しい場合でも成績優秀者であれば学費免除または減額をしてくれる制度です。
基準については以下の通りですが総所得については世帯人数により規定があります。
家計基準の詳細については、文部科学省のホームページの詳細をご覧下さい。
成績については、各大学に基準が定められています。ちなみに、つくば大学の学力基準は以下の通りです。
- 新入生の場合は、入学試験の合格をもって優秀とみなす
- 2年生以上は、各学校の標準の修得単位数を修得していること、かつ成績の平均値が3.2以上
(成績は、A:5点、B:3点、C:2点で計算)
成績については、単位の修得はもちろん評価も関係してきます。この制度は、学ぶ意欲がある生徒で家計が苦しい場合に利用することの出来る制度です。
国公立大学の奨学金制度について
奨学金には、卒業したら借りたお金を返す貸与型と返す必要がない給付型の2つのタイプがあります。
また「併用可」とされているものであれば、何種類かを一緒に使うこともできます。
奨学金は様々な団体が行っていますが大きく分けると次の4つです。
- 日本学生支援機構(JASSO)
- 大学による奨学金制度
- 地方自治体による奨学金制度
- 民間団体による奨学金制度
<日本学生支援機構(JASSO)>
奨学金の中では、最もメジャーでしょう。
これには、貸与型(無利子タイプ・利子付きタイプ)と給付型があります。
条件 | 借りれる額/月 | |
---|---|---|
無利子タイプ (貸与) | 世帯収入 成績基準あり | 2万〜5万1,000円 (通学方法で変わる) |
利子付きタイプ (貸与) | 世帯収入の基準のみ | 2万〜12万 |
給付 | 非課税世帯や生活保護世帯 成績基準あり | 2万〜4万 (通学方法で変わる) |
これらの奨学金は併用することも可能です。
<大学の奨学金制度>
大学が独自の奨学金を出していることがあります。
こちらも、貸与型と給付型があります。
ただ、入学時ではなく、大学での成績による評価が審査基準となる場合が多く、2年次以降に申し込みすることができるパターンも多いようです。
<地方自治体の奨学金>
地方自治体の教育委員会が窓口となり奨学金制度を実施していることがあります。
出身地や保護者が住民であることを条件とし、所得制限や成績基準があります。
募集人数はあまり多くない場合が多いようです。住んでいる地域に制度があるかどうか一度確認してみると良いでしょう。
<民間団体の奨学金制度>
あしなが育英会や交通遺児育英会、新聞奨学生など民間団体が奨学金制度を実施していることもあります。
もちろん、これらは誰でも利用できるわけでなく、親を亡くした場合など限られた人が対象となります。
また、一般企業でも奨学金制度を設けているところが多くあります。
まとめ:国立大学で卒業までにかかる学費。私立大学との比較
国立大学の学費について説明してきましたが、いかがだったでしょうか?
国立大学の学費についてポイントをまとめると
- 国立大学の学費は標準額が決まっているので、全ての学部・学科で同じ学費
- 国立大学の基本的な学費は入学金28万2,000円、年間授業料53万5,800円で総額242万5,200円
- ただし入学金や授業料の他にも、教科書代や交通費がかかる
- 国立大学は実験・実習費や施設設備費は授業料に含まれている(例外あり)
- 私立大学は国立大学よりも100万〜倍以上の学費がかかる
- 推移として、国立大学の学費は年々上昇しており今後も値上げする可能性は十分にある
- 学費を払うことが難しい場合には、学費免除制度や様々な奨学金制度が用意されている
しかし、学費の推移に関しては、私立大学の学費との差は昔と比べて小さくなってきていること、先ほども説明したように国立大学の学費は更に値上げすることも考えられます。
また、大学でかかる学費は入学金や授業料のみならず、教科書代や通学のための交通費などもかかります。
さらに、自宅から通えない場合には学費の他に生活費もかかるため、金銭的負担は決して小さいものではありません。
支払いが難しい場合には、学費免除や様々な奨学金制度もありますので、是非検討してみて下さい。
また、まだお子様が小さい場合には、学資保険に加入して大学の費用に備えるのも1つの方法かと思います。
なかには国立大学に進学後、大学院進学も検討されている方もいるかと思います。大学院の学費については、別の記事にて紹介しておりますので是非ご覧ください。
大学進学を考えている人は、この記事を資金計画の参考にしてみて下さいね。