大学院の学費はいくら?京都大学院の学費は高い?お金が一番安い大学院は?

大学院の学費の内訳、また国立の大学院、私立の大学院、公立の大学院、専門の大学院、通信の大学院の学費の平均を一覧で紹介。さらに理系と文系での学費の違いや比較なども紹介します。そして、なかには学費を自分で稼ごうと思っている方もいると思いますので、学費免除や補助制度についても解説します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

大学院の学費はいくら?

いまや、高校生の半分以上が大学進学をする中で、大学卒業後に更に深い知識や高度な技術を身に付けるために大学院へ進む人も増えています。特に、法学部や理系の学部では大学院への進学率が非常に高くなっています。


しかし、大学院へ進学すると、当然ながら引き続き2年から5年に渡り学費がかかることになります。そのため、大学院の学費は実際にはいくら必要なのか気になっている人も多いのではないでしょうか?


この記事では、大学院の学費について

  • 大学院の学費の内訳
  • 国立・私立・公立・専門・通信制の大学院の学費の平均
  • 理系と文系での大学院の学費比較
  • 大学院の学費免除や補助制度について

以上のことを中心に解説していきます。


この記事を読んでいただけたら、大学院に進んだ場合に実際どれくらい学費がかかるのか把握し、今後の資金計画や進路についても検討するうえでも参考になるかと思いますので是非最後までご覧下さい。

大学院の学費の内訳

大学院の学費の内訳は、大きく3つに分けることが出来ます。


  • 検定料
  • 入学費
  • 授業料
検定料とは、大学院へ進学するための試験にかかるお金のことで、国立大学の場合のは一律になります。そして、大学へ入学する時にも入学金がかかりますが、大学院へ進む場合には再度入学金が必要になります。

国立大学、私立大学、公立大学、専門職、通信制の大学院の学費の一覧

一言に大学院といっても、「国立大学」「私立大学」「専門職」「通信制」のうちのどの大学院に進むかによって学費は大きく異なります。


専門職というのは、法科大学院をはじめとして助産師や経営士など特定の職業のための大学院で「専門職大学院」と呼ばれるものです。


また、大学院には修士課程と博士課程があります。修士課程は最短で2年、博士課程は最短で3年で修了することが出来ます。そのため、博士課程まで修了する人は最短でも5年間かかるということになります。


ここでは、大学院の種類ごとの学費を具体例を含めながら説明していきます。

国立の大学院の学費:大学と同じ程度

国立の大学院は、大学同様に一律となっています。また、入学金と授業料の金額は大学とほぼ同様なのでイメージしやすいかと思います。



ここでは「東大」「東北大学」「京都大学」の3つの大学院の学費を紹介します。(法科大学院など専門職の学部は含めていません。)


東大大学院の学費

項目金額
検定料30,000円
入学金282,000円
授業料/年535,8000円
学費総額1,383,600円

(検定料について、書類選考の場合は10,000円)

東北大学大学院

項目金額
検定料30,000円
入学金282,000円
授業料/年535,800円
学費総額1,383,600円

京都大学大学院

項目金額
検定料30,000円
入学金282,000円
授業料/年535,800円
学費総額1,383,600円

(書類選考の場合の検定料は10,000円)

やはり国立の大学院3校の学費の差はありませんでした。これは、国立の大学院には学費に「標準額」というものが定められているためです。ただし、法科大学院などの専門職の学科の場合には、上記の金額とは異なります。この部分についてはこの後で改めて説明していきます。

私立の大学院の学費:国立と比較して割高

大学同様に私立大学の大学院の学費は国立より高い傾向があります。また、国立と違って学部によっても差が大きいことが特徴です。


ここでは「同志社大学」「立命館大学」「早稲田大学」の3つの大学院の学費を紹介します。(法科大学院などの専門職の大学院の学費は含めていません。)


同志社大学大学院

同志社大学の大学院では

  • 検定料は35,000円
  • 入学金は200,000円
の部分は全ての学部共通です。授業料は文系では多少の差はあるものの概ね同じです。理系学部は、学部ごとに差があります。

項目文系理系
授業料/年598,000~638,000円638,000~815,000円
学費総額1,634,000~1,815,000円1,670,000~2,096,000円

参考:同志社大学「博士課程(前期課程)または修士課程」


理系学部では、学部で約40万円の差が開きます。例えば、スポーツ健康科学研究科の初年度の授業料は638,000円ですが生命医学研究科は815,000円です。


立命館大学大学院

立命館大学大学院の学費は
  • 検定料35,000円
  • 入学金300,000円(2020年4月から200,000円)
の部分は共通です。授業料は2020年4月入学分以降変更の可能性があります。

項目文系理系
授業料/年750,000~900,000円850,000~1,204,800円
学費総額1,500,000~1,800,000円1,700,000~2,409,600円


立命館大学では、同じ分野を専攻する学部でも、英語のみで学ぶコースがいくつかの学部に用意されています。同じ学部内でもそちらを選択すると学費が少し高くなることから同じ文系内でも学費に開きがあります。

また、理系でも学部によって差があります。(この数字には、薬学研究科や法務研究科などの専門職のが学部は含めていません。)


早稲田大学大学院

早稲田大学大学院の学費の
  • 検定料35,000円
  • 入学金200,000円
の部分は学部間で共通です。

項目文系理系
授業料/年624,000~1,998,000円901,000~1,491,000円
学費総額1,660,500~3,386,500円2,295,000~2,709,500円

早稲田大学大学院は、学部数が非常に多くなっています。一般的には、文系学部は理系学部に比べて学費が安いですが早稲田大学大学院の場合は、そんなことはなく文系学部でも理系学部の学費を超えている学部もありました。また、通常博士課程は2年間ですが1年生の学部もありました。

私立大学の大学院の学費は、国立と異なり学校間での差は勿論のこと、学部による差も大きくなっています。そして、国立大学の学費と比べると高額なことが分かります。

公立の大学院の学費:出身によっては割安になる制度あり

公立大学院の学費は、国立の大学院とあまり大きな差はありませんが、入学金に差が出る場合があります。これは、大学の場合同様に、大学院のある地域の出身であれば入学費が安くなるという制度があるからです。


ここでは、山梨県立大学の大学院の学費を紹介していきます。山梨県立大学の大学院は看護研究科のみのなりますが、学費については以下の通りです。


  • 検定料30,000円
  • 入学金470,000円


ただし、「入学の日1年前から引き続き山梨県に住所を有する者」は学費が282,000円になります。他県から入学する人と比べると20万円近く入学金が安くなります。


項目金額
授業料/年535,800円
学費総額1,071,600円

参考:山梨県立大学「授業料、入学料等」


年間授業料については、国立と同じ金額になります。また、入学金も上記の条件を満たしている場合には国立大学と同額です。このことから、公立大学大学院の学費は国立と同じと考えて良いでしょう。

法科大学院など専門職の大学院の学費:他の大学院よりも割高

今まで紹介してきた大学院にも、法科大学院が設置されているところがいくつかありましたが、学費は他の学部に比べると高くなっています。この理由としては、より実務的な内容を学ぶために少人数での教育を行うために教員数を増やしていることや、実際に弁護士の方を講師として授業を行っているためです。


例えば、一番初めに紹介した東京大学の大学院では、基本的にどの学部も年間授業料は535,800円でしたが法科大学院の場合には804,000円となります。(検定料と入学金は同じです)


次に早稲田大学の法科大学院では、年間授業料が1,160,000円になります。また、その他にも実習費が100,000円かかります。


このように、金額はやはり国立大学の法科大学院の方が圧倒的に安くなるものの他学部にくらべると学費は高くなります。


専門職の大学院は法科大学の他にも助産師や教師など様々あります。今回は、その中で経営学に関する専門職の大学院のグロービス経営大学大学院を紹介します。


項目金額
検定料不明
入学金80,000円
授業料/年1,499,000円
学費総額2,998,000円

参考:グロービス経営大学大学院「学費(費用)・奨学金・教育ローン」


入学金は安いものの学費は300万円近くになります。グロービス経営大学大学院では全てを英語で学ぶカリキュラムを選択するとさらに上がり400万円近くなります。


このように、専門職の大学院は場合によっては私立理系の大学院よりも高い場合もあります。

通信制の大学院の学費:平均的には安い

大学院には通学生だけではなく通信制の大学院もあります。大学でも通信制の学費は通学生に比べると安くなっていますが、大学院においてもその傾向は同じです。ただし、通信制の場合には、大学内でも学部が限られていることがほとんどです。学費は安いですが、学びたい学部があるかどうかという問題もあります。


ここでは、「武蔵野大学」と「名古屋学院大学」の通信制大学院の学費を紹介します。


武蔵野大学大学院・人間社会研究科

武蔵大学大学院の通信教育部では通学生の学費の約35%の学費で修士課程を取得することが出来ます。学費については以下の通りです。

  • 入学金40,000円
  • 研究指導料80,000円
  • 授業料220,000円
  • スクーリング受講料1科目あたり7,500円
  • 学費(2年間)540,000円~
武蔵野大学大学院の通信制は、かなりリーズナブルな学費になっていて通学生の半分以下の金額になります。国立の大学院と比べてもかなり安いといえます。

名古屋学院大学大学院・英語学研究科

  • 入学金200,000円
  • 授業料540,000円
  • 学費(2年間)1,280,000円~
名古屋学院大学の大学院の通信制も、国立大学の大学院と同じくらいの金額になっており私立の大学院に比べてみると安くなっています。

このように通信制は、学部は限られるものの自宅で学ぶことが出来ることに加えて学費が安いというメリットがあることが分かります。

国立文系・理系、私立文系・理系の大学院の学費の比較

では、国立文系・国立理系・私立文系・私立理系の大学院の学費を比較して高い順に並べると一般的には以下のようになランキングになります。

  1. 私立理系
  2. 私立文系
  3. 国立文系・理系

つづいて、各大学院の相場を次の通り表にまとめました。


項目国立文系・理系私立文系私立理系
検定料30,000円35,000円前後35,000円前後
入学金282,000円20万~30万円20万~30万円
授業料/年535,800円60万~90万円80万~150万円
学費総額1,383,600円150万~200万円170万~250万円


国立の場合は最初に説明した通り「標準額」が定められていることから文系も理系も学費は変わりません。しかし、私立になると、学部にもよりますが理系学部の方が研究や実習費がかかることから学費が高くなる傾向があります。


国立と私立を比べると、以外にも入学金はあまり変わらないものの授業料が圧倒的に変わってきます。ただ、私立の場合には、学部間の差もあることや、同じ学ぶ分野であっても学校間による差も大きいため、この数字はあくまで目安と言えます。

大学院にも学費免除・補助制度がある

ここまで、大学院の学費についてみてきましたが、やはりかなり大きい金額が必要になることが分かります。大学進学だけでも、かなりの学費がかかりますが、大学院へ進学するとなると引き続き金銭的に大きな負担がかかることになります。


そのため、大学院へ進学をしたくても自分で学費を稼がないといけないなど経済的に難しいという人もいると思います。そのような場合に、大学院にも学費免除や補助制度がありますので紹介します。


まず、国立の大学院には授業料免除制度があります。この制度は、簡単に言うと「授業料を支払うことが難しい家計で成績優秀者」が授業料を無料または減額してもらうことの出来る制度です。基準は以下の通りです。


なお、収入基準については世帯人数ことに基準が決まっており、今回は4人家族世帯の場合の基準を記載しています。詳細は、文部科学省のホームページに掲載されていますの確認してみて下さい。


<全額免除>世帯人数4人の場合

  • 世帯収入1,920,000円以下
<半額免除>

  • 世帯収入3,640,000円以下
<成績基準>

  • 各大学が定める標準単位数を修得し、成績状況が一定の評価される水準以上であること


成績に関しては、各大学によって基準があります。北海道大学の大学院修士課程場合の基準は次のように定められています。


  • 研究科(学院)等で定められている標準修得単位数以上を修得したもので、免状申請時までの修得科目の学業成績が2.0以上のもの
(成績評価 秀:4、優:3、良:2、可:1)


成績については、単位の修得だけではなく一定の評価以上が必要ということになります。家計が厳しくても、学ぶ意欲のある優秀な生徒が利用することの出来る制度と言えます。

大学院の学費のまとめ

大学院の学費について説明してきましたが、いかがだったでしょうか?


大学院の学費についてまとめると

  • 国立の大学院は学費は一律で1,383,606円
  • 私立の大学院は、学校や学部による差が大きいが、文系150万~200万円、理系170万~250万円のところが多い
  • 法科大学院をはじめとして専門職の大学院は高額になる傾向
  • 公立の大学院は、授業料は国立と変わらないが入学金は住んでいる場所で安くなる
  • 通信制の大学院は学部は限られるものの安い
  • 学費は、国立文系・理系<私立文系<私立理系
  • 基準を満たせば、授業料が無料になる制度もある
大学院への進学には、高額な費用がかかります。しかし、特に理系学部では半分以上の生徒が大学院へ進学しているという傾向もあり、その方が就職にも有利になる場合も多いです。


今後の進路を考える中で大学院への進学を検討する場合には、是非この記事を参考に資金計画も一緒に考えてみて下さいね。

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