定時制高校の学費は平均いくら?公立私立、通信制高校との違いも解説

定時制の高校を検討している方は学費が気になると思います。今回、定時制高校の学費や入学金、教科書代などはいくらか解説します。また、全日制や通信制高校との学費の比較、学費が安い定時制高校ランキングも紹介します。学費が心配な方に向けの奨学金についても紹介します。

定時制高校の学費は平均いくら?授業料が安い定時制高校も紹介

内容をまとめると

  1. 公立の学費平均額は451,000円、私立の学費平均額は1,040,000円
  2. 学校によって特徴、学費が大幅に違うため事前の検討が重要
  3. 編入の場合、中退した学年の単位は履修できず、新たに学費が必要になる
  4. ⾼等学校等就学⽀援⾦制度を申請すれば授業料を安く抑えられる


定時制高校は他の全日制高校や通信制高校と比べると入学者数の割合が少ないため、知人や友人など周りからの情報が、あまり得られないと思います。


定時制高校にも公立と私立があり、選べるコースには学年制や単位制、3年制や4年制と卒業にかかる年数に違いがあります。


そのため、入学する定時制高校によって学費に大きな差があるため、経済的な負担がどれくらいになるのかなど、気になる点が多いのではないでしょうか。


実は、定時制高校でも国から授業料に充てるための支援金が支給される制度や、授業料以外の教育費に充てるための奨学給付金が支給される制度もありますので、経済的な不安を抱えている方は、これらを加味したうえで入学を検討することができます。


この記事では、

  • 定時制高校の学費の概要、定時制と全日制の違い
  • 定時制高校の公立と私立の学費の内訳と平均
  • 定時制高校と通信制高校の学費の比較
  • 全国の私立定時制高校の学費ランキング
  • 定時制高校に編入する時期と学費の注意点
について詳しく紹介します。

この記事を読んでいただければ、定時制高校の学費にいくら必要なのかが、わかりますので定時制高校入学を検討する手助けになるかと思います。ぜひ最後までご覧ください。

定時制高校の特徴!全日制や通信制高校との違いも解説

一口に高校と言っても、さまざまな種類があります。


多くの皆さんは、学校の違いと言えば学習内容の専門科(工業科、商業科など)であるか普通科であるかという点に目が行くのではないしょうか。


もちろん、学習の内容も重要ですが、高校には学習内容の他に学習形態ともいうべき違いが存在します。


それが、全日制、定時制、通信制という区別です。


ここからは定時制高校の特徴を中心に、全日制、通信制との違いを明確にしつつ進めていきたいと思います。

定時制高校とは?

定時制高校は全日制高校と同様に平日は毎日通学が必要ですが、単位制や学年制、在籍年数、授業時間、時間帯など高校によりさまざまです。


公立定時制高校の学年制は、4年制で午前(4時限)、午後(4時限)、夜間(4時限)の3通りの授業時間が選択できます。各学年で必要な教育課程を修了すれば進級・卒業が可能です。


公立定時制高校の単位制は、最短3年コースで1日に多くの授業に出席し、在籍3年間での卒業を目指します。必履修教科・科目を含む74単位以上を修得できれば卒業が可能です。


私立定時制高校は学年制が主流で、3年制か4年制を選択することができます。


学年制で3年制の場合、授業の時間帯以外は全日制高校と内容はほぼ同じで、1日に5~6時間の授業を受けます。


4年生の場合は公立定時制高校の学年制と内容はほぼ同じです。

全日制や通信制高校との違いを解説

もともと定時制高校では、夕方から夜の時間帯で授業が行われることが主流でした。


昼間働きながら高校に通おうとする人が多かったためです。


基本的には全日制高校と同じく、平日に学校に通いますが、一日の授業時間が短いために4年かけて卒業する仕組みでした。


近年では、働きながら通う人に加えて家庭の事情や不登校などが原因で全日制高校に通えない人も増えたために、定時制高校の形態にも変化が見られます。


大きな変化としては、授業開始が全日制と同じように昼間に変更されたり、ほぼ全日制と同じ日程で学校が運営されていたりしているようです。


また、学年生ではなく単位制を採用する学校も増えており、4年間ではなく3年間で卒業できる制度もあります。


昼間あるいは朝から授業を開始して、一日の授業時間をのばすことで、3年間での卒業を可能にするわけです。


こうした実態から、近年の定時制高校は単位制の全日制高校に近いものとなっており、4年で卒業するか3年で卒業するかを選べる学校になっているといえるでしょう。

定時制高校の学費の内訳と平均、公立と私立の違い

公立定時制高校と私立定時制高校の卒業までにかかる学費には大きな差があります。


公立の定時制高校の学費は公立の全日制高校とあまり大差はありません。


学費の大半は生徒・保護者が負担する教材費や修学旅行の積立金などの学校徴収⾦です。


私立の定時制高校は初年度の学費の金額が多く、年間の授業料だけ見ても、公立の約4倍~15倍以上の開きがあります。


公立、私立問わず下記の学費が必要になります。

  • 入学料
  • 授業料
  • 学校徴収金
  • 交通費など
学費の年額の平均額は、文部科学省に定時制高校の学習費調査資料がないため、全日制の情報をもとに比較しました。
  • 公立の学費平均額:451,000円
  • 私立の学費平均額:1,040,000円
公立定時制高校の学費の情報は、平成31年度東京都立高等学校定時制課程通信制課程入学案内を参考に記載しています。

学費の平均額は、平成28年度子供の学習費調査の結果についてを参考に記載しています。

入学料

公立定時制高校の入学料

公立定時制高校の学年制、単位制ともに入学料(東京都の場合)は2,100円です。


私立定時制高校の入学料

現在、私立定時制高校は全国に12校ありますが、入学料の金額が学校によって異なるため、実例を記載します。


学校名入学料(入学金)
小林西高等学校75,000円
駿台学園高等学校80,000円
綾羽高等学校130,000円
国士舘高等学校150,000円
愛知黎明高等学校180,000円
中央大学高等学校200,000円
一燈園高等学校250,000円

入学料の情報は学校のホームページなどで案内されているもののみを記載しておりますが、実際に入学を検討される場合は、問い合わせや資料請求などでご確認ください。

授業料

公立定時制高校(学年制)の授業料

公立定時制高校の学年制の授業料(東京都の場合)は、月額2,700円で年額にすると32,400円かかるため卒業するまでに必要な授業料は、

年額32,400×4年=129,600円


公立定時制高校(単位制)の授業料

公立定時制高校の単位制の授業料(東京都の場合)は、1単位につき1,740円です。

卒業までに74単位以上の修得が必要なため、卒業するまでに必要な授業料は、


1単位1,740円×74単位=128,760円

私立定時制高校の授業料

私立定時制高校の授業料は年額10万円台~40万円台と金額に幅があり、3年制と4年制があるためその年数分授業料が必要になります。

⾼等学校等就学⽀援⾦制度

平成26年度から⾼等学校等就学⽀援⾦制度が導入され、国公私立問わず授業料の支援金が支給されます。

対象範囲は都道府県⺠税所得割額及び区市町村⺠税所得割額を合算した額が 507,000 円未満の世帯(年収約910万円未満) です。

支給限度額は、以下の通りです。
  • 公立定時制高校の学年制は月額2,700円
  • 公立定時制高校の単位制は1単位につき
    1,740円
  • 私立定時制高校の学年制は月額9,900円(単位制の場合は支給額が異なります。)

また、私立定時制高校の場合で市町村民税所得割額が以下に該当すると、就学支援金が加算されます。

  • 0円(非課税)の場合は基本額の2.5倍
  • 100円~51,300円未満の場合は基本額の2倍
  • 51,300円~154,500円未満の場合は基本額の 1.5倍

学校徴収金

学校徴収金とは、授業や校外学習などの学校の教育活動において必要となる経費で、生徒・保護者が負担する必要があります。

  • 教材費
  • 校外学習や修学旅行の積立金
  • 給食費(給食がある場合)
  • 部活動費
  • 生徒会費
  • PTA会費
  • 寮費(全寮制や希望入寮者のみ)
その他に、私立定時制高校では学校によって名目はさまざまですが、下記のような学校徴収金があります。
  • 施設費、施設設備費、冷暖房費など、施設利用にかかる費用
  • 教育充実費
  • 校納金
  • 後援会・支援会費
費用額は学校により違いますので、事前に確認が必要です。

交通費などその他の費用

学校までの交通費

定時制高校は全日制高校と比べると学校数が少なく、お住いの地域の近くに学校がない場合もあるため、学費以外に交通費がかかる可能性があります。


学校の所在地を確認し、自宅から通える範囲なのか、交通費が負担にならないか十分に検討する必要があります。


物品購入費

指定の制服がある定時制高校では通学に必要な制服・靴・カバンなどの購入が別途必要です。

とくに消耗品の制服や靴は劣化したり、お子さんの成長期にともない買い換えることも想定しておく必要があります。

定時制高校と通信制高校の学費の比較

通信制高校の学費は公立か私立、学習スタイル(自宅学習コース・通学コース)によって学費がまったく違うため、比較して検討することが重要です。


通信高校の学費平均はこちらの記事をご覧ください!


ここでは、初年度の学費で比較しています、


公立の通信制高校

  • 入学金・授業料・その他の費用:30,000円前後

公立の場合は比較的に安く学費が抑えられます。


私立高校につきましては、定時制・通信制を両方設けている学校がありますので、具体例を挙げて比較します。


科学技術学園高等学校 通信制 週1日・週2日クラス

  • 入学金:30,000円
  • 授業料:1単位9,000円 1年間で履修する単位数はおおむね20~30単位のため、180,000円~270,000円
  • 施設費:30,000円
  • 運営費:10,000円
合計金額は、およそ250,000円~340,000円です。

科学技術学園高等学校 通信制 通学型クラス
  • 入学金:30,000円
  • 授業料:1単位9,000円 1年間で履修する単位数はおおむね20~30単位のため、180,000円~270,000円
  • 施設費:30,000円
  • 運営費:10,000円
  • 教育充実費:240,000円
合計金額は、およそ490,000円~580,000円です。

科学技術学園高等学校 定時制
  • 入学金:200,000円
  • 授業料:408,000円
  • 施設設備費:180,000円(入学時のみ)
  • 校費:40,000円
  • 修学旅行積立金:105,000円
  • 学年費:60,000円
  • 生徒会費:6,000円
  • 父母の会費:7,000円
合計金額は、1,006,000円です。

その他に教科書・学習書の費用が別途必要です。

公立・私立ともに、学校により学費に違いがありますので事前に確認するようにしましょう。

全国にある私立の定時制高校の学費の安いランキング一覧

全国の私立定時制高校について、学費のランキングを調査しましたのでご覧ください。年間授業料の安い順に記載しましたので、ぜひ参考にしてみてください。

順位学校名年間授業料
1位小林西高等学校(宮崎県小林市)

0円

2位駿台学園高等学校(東京都北区)約14万円
3位綾羽高等学校(滋賀県草津市)約27万円
4位福井南高等学校(福井県福井市)約28万円
5位国士舘高等学校(東京都世田谷区)約32万円
6位愛知黎明高等学校(愛知県弥富市)約34万円
7位科学技術学園高等学校(東京都世田谷区)約41万円
8位中央大学高等学校(東京都文京区)約45万円
9位一燈園高等学校(京都府京都市山科区)約49万円
10位神村学園高等部 伊賀分校(三重県伊賀市)不明
10位天理高等学校(奈良県天理市)不明
10位太平洋学園高等学校(高知県高知市)不明
※小林西高等学校の定時制(衛生看護科)の1・2年生の授業料は西諸医師会が負担するので不要です。3・4年生になると納入金(授業料・施設費・校納金)月額20,700円(年額248,400円)が発生します。

北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、鹿児島県、沖縄県には私立の定時制高校がありません。

参考①:定時制高校に編入する時期と学費の注意点

編入とは以前通学していた高校を中退し、あらためて違う高校に入学することを言います。


編入できる時期は、4月の新年度からです。


1年生の途中で中退した場合は、単位を引き継げない(単位未修得)ため、一から再入学となります。


2年生の途中で中退し編入する場合は、1年生の単位を修得しているため、2年生の新年度から入学することができます。


3年生の途中で中退し編入する場合は、同様に3年生の新年度から入学することができます。


学年制の高校から、単位制の定時制高校へ編入した場合も単位の引継ぎが可能ですが、学校によって1年間に取得できる単位数が違うため、在籍していた高校に確認が必要です。


また、編入を検討している高校に卒業に必要な単位数を確認することも重要です。


学費については、編入時に入学金・学校徴収金・交通費・物品購入費などが新たに必要になり、新学期が始まれば授業料も発生しますので、検討時に必ず確認するようにしましょう。

参考②:定時制高校と通信制高校どっちがいいか迷ったら

現在のところ、多くの定時制高校が単位制を採用しており、加えて昼間でも通えるようになってきています。


また、通信制高校でも特定のスクーリング日だけでなく毎日通うことができる学校もあります。


全日制、定時制、通信制という形態の違いが薄くなってきているのは確かなようです。


定時制高校に通うか通信制高校にするかを悩んだとき、決め手になるのは、学校としての違いと自分の学習スタイルであるといえそうですね。


例えば、毎日学校に通って高校生としての学校生活を重視したいという人は定時制高校が向いています。


一方で、通える範囲に定時制高校がない人や毎日学校に通うことが難しい人は通信制高校が向いているでしょう。


通信制高校は、特定の日に設けられているスクーリングを受けることで、授業に参加したと認められるからです。


このように、学校としての違いと自分の状況の両方を考え、適切な学校を選べるよう検討うしてください。

まとめ:定時制高校の学費や教科書代・制服代

公立・私立の定時制高校の学費について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは、

  • 学校によって特徴、学費が大幅に違うため事前の検討が重要
  • 編入の場合、中退した学年の単位は履修できず、新たに学費が必要になる
  • ⾼等学校等就学⽀援⾦制度を申請すれば授業料を安く抑えられる
です。

全日制高校と比べると、学校数が少ないため職場や自宅から通える範囲であるか、交通費が高くならないかなど、通学する本人や家計への負担がどのくらいになるのかを十分検討することが重要です。

学費についても、不安に思われている方が多いと思いますが、先に紹介した⾼等学校等就学⽀援⾦制度のほかに、授業料以外の教育費を支援する高校生奨学金給付制度もありますのでぜひ参考にしてみてください。

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