更新日:2024/04/23
学資保険の上限額が設定されている理由と、教育資金を準備する方法
学資保険に上限額が存在することはご存知でしょうか。その基準となる金額が「1000万円」ですが、これは必ず適用されるわけではありません。では限度額が適用されるのはどのような場合でしょうか。上限額と子供の教育資金の関係も含めて解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
学資保険には”上限額”が存在する場合がある
- 学資保険に上限額が適用されるケースとその金額
- 上限額にとらわれず学資保険を利用するには
- 学資保険以外を用いた教育資金の積み立て方
学資保険は基本的に上限はないが”死亡保障”があると上限付き
まず大切なこととして、基本的には学資保険に上限額はありません。
ただし、死亡保障を付帯させた場合には上限が設けられます。これはなぜでしょうか。
平成20年まで、死亡保障も含め学資保険に上限額は存在しませんでした。
しかし平成2年、父親が我が子に学資保険の死亡保障2000万円を掛けたうえで、子供死亡保険金目当てに子供を殺害するという事件が起こりました。
このような痛ましい事件が繰り返されないよう、未成年者(15歳未満)の死亡保障には上限額が設定されました。
死亡保障を付けた場合の、学資保険の上限額は1000万円
複数の保険会社を併用した場合も、上限額は合計で計算される
上限額は子どもが加入している全ての保険の合計で計算される
上限額による制限を受けずに教育資金を貯めるには
1000万円以上の学資保険をかけることも可能
金融庁が平成20年7月3日に発効した「未成年者・成年者の死亡保険について」から抜粋すると、保険金の上限を1000万円とする条件は以下のようになります。
- 被保険者を15歳未満の未成年者とする場合の死亡・傷害保険
- 被保険者の同意を得ずに保険を契約する時の、契約者と被保険者が異なる死亡・傷害保険
したがって、繰り返しになりますが死亡保険を付加しない限りは学資保険に上限額はありません。
仮に教育資金として学資保険で1000万円以上を受け取る契約を結びたいのであれば、死亡保障なしであれば問題はないと言えます。
しかし、死亡保障が必要と考える方もいらっしゃるでしょう。
そのような時には、学資保険以外の方法を併用することが有効になります。
教育資金の半分を学資保険、半分を別の方法でという考え方
例えば、貯蓄性のある生命保険で教育資金を貯めるという方法はいかがでしょうか。
学資保険の代わりになるものとして挙げられるものに「低解約返戻金型終身保険」があります。
低解約返戻金型終身保険とは、名前の通り終身保険の一種です。
長期にわたる契約を前提に、途中解約した時の返戻率が低く設定されていますが、しっかりと払込完了日まで保険料を払い込めば、そこからは解約返戻金が大幅に上がるという特徴があります。
さらに、満期を迎えればお金を引き出さなければならない学資保険に対し、低解約返戻金型終身保険は払い済みを迎えた後も据え置く(保険金をそのままにしておく)ことで返戻率は上がり続けます。
また低解約返戻金型終身保険は終身保険ですので、もちろん死亡保障が付いています。
被保険者が父親であれば、父親が死亡するとそこで保険金を受け取ることができるので、万が一の場合にも備えることもできます。
考え方によっては、半分は学資保険、残り半分は低解約返戻金型終身保険などので貯蓄するのも良いかもしれません。
参考:学資保険は生命保険料控除が受けられる
所得税
払込保険料 | 控除額 |
---|---|
20,000円以下 | 払込保険料の全額 |
20,000円超40,000円以下 | 払込保険料×1/2+10,000円 |
40,000円超80,000円以下 | 払込保険料×1/4+20,000円 |
80,000円 | 一律40,000円 |
住民税
払込保険料 | 控除額 |
---|---|
12,000円以下 | 払込保険料の全額 |
12,000円超32,000円以下 | 払込保険料×1/2+6,000円 |
32,000円超56,000円以下 | 払込保険料×1/4+14,000円 |
56,000円超 | 一律28,000円 |
まとめ:学資保険は死亡保障を付けた場合のみ、上限1000万円
学資保険の上限額に関して見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
- 学資保険を含め、死亡保険の付く子供の生命保険加入限度額は合計1000万円
- 上限額が設けられている理由は、子供死亡保険金目当ての事件を防ぐため
- 教育資金として1000万円以上を貯めたいのであれば、併用する方法として低解約返戻金保険がおすすめ
学資保険の上限額が1,000万円であるということではなく、子供を被保険者とする死亡保障の合計が1,000万円を限度としていることが分かりましたね。
ですので、加入する学資保険に死亡保障の特約を付加していなければ、いくらの学資保険に加入しても良いことになります。
ちなみに、実際にある学資保険で2,500万円の満期受取金で18歳払い済みでシミュレーションした時、月々の保険料は111,450円になりました。
子供の将来をどのようにサポートしていくか、各家庭でよくプランを考えておきたいものです。
とはいえ先々のことを予測するのは難しい面もありますし、考えるほどに不安や疑問も出てくるものですので、ファイナンシャルプランナーなどのプロに相談してみるというのもおすすめです。
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