年末調整の中に数種類の控除があるけど、学資保険料はどうなるの?

学資保険に加入していた場合、年末調整で行われる数種類の控除の中から、生命保険料控除を受けることができます。ここでは、年末調整で行う数種類の控除内容と、学資保険に加入している場合の生命保険料控除について、詳しく解説したいと思います。

学資保険の年末調整の種類を解説

サラリーマンなどの会社員の場合、年末が近づくと勤め先の会社で、年末調整が行われます。

年末調整とは、その年の収入や税制面で控除を受けることができる数種類の金額を差し引き、所得税や住民税を決定するものとなります。

自営業などであれば、確定申告を行わなければなりませんが、会社員の場合は、本人に代わって会社が申告を行ってくれるのです。

学資保険に加入していた場合も、控除を受けることができますので、必ず年末調整で申告をする必要があります。

学資保険は年末調整の控除対象である

銀行の預貯金などで教育資金を準備している場合、税制面で優遇されることはありません。

しかし、学資保険の場合は、子どもが被保険者となり、貯蓄に万が一の時の保障が付加されているので、一般の生命保険と同様の種類として扱われるため、生命保険料控除の区分に入ります。

契約者自身が、一般の生命生命保険に入っていて、生命保険料控除の限度額に達していたとしても、今は、新制度と旧制度の2種類に分かれて保険料控除の計算が行われます。

年末調整の際には、きちんと計算し、必要であれば学資保険の控除照明を提出して、生命保険料控除を受けることができます。

年末調整の保険料控除の種類

年末調整における税制面での控除には、様々な種類があります。
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
せっかく加入していても、税制面の控除を受けることを忘れてしまうと、所得税や住民税が上がってしまう可能性があります。

生命保険料控除や、地震保険料控除、小規模企業共済等掛金控除は、その年に支払った金額に対しての控除証明書が、契約者本人に郵送されます。


年末調整の際に、この控除証明を提出しなければ、自動的に控除が受けれるものではありませんので、注意が必要です。

生命保険料控除

生命保険料控除は、3つの種類に分かれて控除を受けることができます。

年末調整で申告する際には、生命保険料控除の欄に、一般の生命保険料と介護医療保険料を記入します。

新制度と旧制度の2種類に分かれて計算されますが、新制度と旧制度の合計額は、生命保険料控除額、介護医療保険料控除額、それぞれ4万円が限度となります。

また、生命保険料控除とは別枠で、個人年金保険に加入していた場合は、個人年金保険料控除を受けることができます。

この控除も、限度額が4万円となっています。

地震保険料控除

平成18年に税制改正が行われたため、ある一定の要件を満たさなければ受けることができない控除となります。
  • 平成18年12月31日までに締結した契約
  • 満期返戻金のあるもので、保険または共済期間が10年以上
  • 平成19年1月1日以降に、契約内容の変更をしていない
このような要件を満たす長期損害保険契約などに関する損害保険料であれば、地震保険料控除を受けることができます。

旧長期損害保険料と地震保険料の金額の合計額が、地震保険料控除の
控除額となりますが、この控除にも上限額が決められており、2種類の控除の合計は5万円が限度となります。

社会保険料控除

会社員の場合、毎月の給与から社会保険料控除が差し引かれています。

年末調整を受ける場合、個人で申告するのではなく、会社が変わりに申告をしてくれるので、書類などを提出する必要もありません。

ただし、生計を一にする扶養親族の国民健康保険料などを支払った場合、社会保険料控除に合算することができるので、該当するようであれば記入するようにしてください。

また、以前に国民健康保険の未納などによって、分割払いをしている場合も、その年に支払った分割保険料も、控除の対象となります。

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済の掛け金があれば、掛け金に応じて控除を受けることができます。

また、小規模企業共済等掛金には、いろいろな種類があります。
  • 小規模企業共済の掛け金
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)掛け金
  • 心身障害者扶養共済の掛け金
最近では、個人型確定拠出年金(iDeCo)の名前をよく聞くようになりました。

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、その年にしはらった掛け金全額が控除の対象となります。

毎年10月頃に国民年金基金連合会から、拠出証明書が届きますので、年末調整の際には、添付資料として提出する必要があります。

学資保険は生命保険料控除の対象である

教育資金の準備として学資保険に加入する方法があります。

学資保険に加入していた場合、銀行などによる貯蓄と違い、生命保険と同様の扱いとなるため、その年に支払った保険料は、生命保険料控除の対象となります。

10月頃に、加入する保険会社から控除証明書が契約者に届くので、大切に保管しておき、年末調整の際には申告して控除を受けるようにしてください。

なお、学資保険に加入する際、一時払いで保険料を支払った場合には、契約した年に一括で支払った保険料に対して控除を受けることになりますので、毎年控除を受けることはできません。

生命保険料控除の3種類

生命保険料控除には
  • 一般の生命保険料控除
  • 介護医療保険料控除
  • 個人年金保険料控除
このように、3種類に分けて控除を受けることができます。

一般の生命保険とは、主に死亡保障のことを指します。
介護医療保険とは、医療保険やがん保険などが含まれます。


種類の控除に共通することは、新保険料と旧保険料の制度があることです。

3種類のそれぞれの限度額は4万円となっているので、3種類の合計で12万円まで生命保険料控除を受けることが可能です。

なお、個人年金保険料控除を受けるためには、税制適格特約が付加されていないなど、要件を満たしていなければ、一般生命保険料控除の対象となるので、注意が必要です。

学資保険の年末調整の控除額

学資保険に加入していた場合、月払いや半年・年払い、全期前納をしていた場合には、毎年その年に支払った保険料に対して、生命保険料の控除を受けることが可能です。

ただし、生命保険料控除は、学資保険に対して必ずしも支払った保険料の全額が、控除の対象となるわけではありません。

新保険料
控除額
20,000円以下
支払い保険料の全額
20,000円超~40,000円以下
支払い保険料×1/2+10,000円
40,000円超~80,000円以下
支払い保険料×1/4+20,000円
80,000円超
一律40,000円

旧保険料
控除額
25,000円以下
支払い保険料の全額
25,000円~50,000円以下
支払い保険料×1/2+12,500円
50,000円超~100,000円以下
支払い保険料×4/1+25,000円
100,000円超
一律50,000円
このように、2種類の控除は計算方法が相違するので、知っておいて損はありません。

学資保険の控除額は最大4万円(旧制度の場合は最大5万円)

学資保険に加入していた場合、年末調整で一般の生命保険料控除を受けることができますが、他の生命保険料と合算して限度額までとなるので、注意が必要です。

例えば、月額の保険料が6,000円の学資保険に加入していた場合、年間の保険料支払い額は、72,000円となります。

年末調整で控除を受ける際の計算方法(新保険料)は
72,000×1/4+20,000円=38,000円
限度額の4万円まではまだ控除を受けることができるので、他の生命保険料控除があれば、2種類の生命保険料控除を使って限度額まで、控除を受けることができます。

しかし、学資保険の毎月の保険料が10,000円だった場合、年間の保険料は120,000円となるので、一律40,000円となります。

この場合は、限度額まで控除を利用しているので、他の生命保険料控除を使っても、意味はありません。

学資保険の節税についてはこちらで詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。

まとめ

子どもの教育資金の準備のために学資保険に加入した場合、年末調整の際に、生命保険料控除を受けることができます。

その年に支払った保険料の金額に応じて、控除の金額はかわりますが、控除証明書を添付資料として、控除を受けることになります。

年末調整での保険料控除は、税金面で大きな影響を与えますので、忘れずに控除を受けることが必要です。

万が一、年末調整で控除を受けることを忘れてしまった場合には、確定申告によって所得の修正が可能ですので、源泉徴収票を添付した上で、控除を受けるようにしてください。

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