更新日:2024/08/07
甥や姪のために学資保険に加入できる?学資保険契約時の注意点も解説
甥や姪、孫のために学資保険に加入する方は増えています。しかし、甥や姪、孫のために親以外でも学資保険に加入できるか疑問に思っている方も多いでしょう。ここでは、叔父や叔母、祖父母が、甥や姪、孫のために学資保険に加入する方法や、学資保険加入時の注意点を解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
甥や姪、孫のための学資保険 親以外でも学資保険は加入可能?
子どもの教育資金の準備といえば、学資保険を活用されている方も多いと思います。
実際、文部科学省の統計によれば、幼稚園から大学まで全て公立の場合でも9,425,172円、全て私立の場合だと22,866,032円もの教育費がかかることになります。(文部科学省 家計負担の現状と教育投資の水準)
また、最近はご自身の甥や姪、孫のために学資保険を検討される方も増えているようです。
この記事のポイントは、
- 甥や姪、孫のために学資保険に加入可能か?
- 甥や姪、孫のために加入可能な学資保険の紹介
- 甥や姪、孫のために学資保険に入るときの注意点
- 祖父母が孫のために学資保険を契約するケース
甥や姪、孫など3親等以内の親族なら契約可能な保険が増えている
学資保険は子どもの教育資金を貯めるための保険ですから、両親のどちらかが契約者となり加入するのが一般的です。
一方で、孫の教育資金の助けをしたい祖父母の方や、甥っ子や姪っ子の教育をサポートしたい叔母や叔父の方から、学資保険の申し出も増えてきています。
そういったニーズに応えるため、最近では3親等以内の親族であれば契約者になれる学資保険も増加しています。
祖父母は2親等に当たり、曾祖父母や叔父・叔母(伯父・伯母)とその配偶者は3親等の親族にあたります。
つまり、3親等以内の親族が契約者になれる学資保険であれば、孫のために祖父母が、甥や姪のために叔母や叔父が、契約者となり学資保険に加入することは可能です。
子どもを扶養する両親がいない場合に限るなど、保険によって加入条件や提出書類が違うので、加入時には保険会社に確認が必要です。
甥や姪、孫のために学資保険に入るときの注意点
両親からだけでなく、叔父や叔母、祖父母から教育資金をサポートしてもらえれば、子どもは心強いでしょう。
しかし、叔父や叔母が甥や姪のために、祖父母が孫のために、学資保険に加入するには、いくつか気をつけたいポイントがあります。
学資保険の加入の際には、以下のことに気をつけましょう。
- 甥や姪、孫の両親に相談、承諾を得てから契約を
- 契約者の年齢制限と、甥や姪、孫の年齢を確かめよう
- 貯蓄性や返戻率を確かめよう
まずは甥や姪、孫の両親に相談、承諾を得てから契約を
まず一つ目のポイントは、契約の際に甥や姪、孫の両親に相談することです。
叔父や叔母、祖父母が学資保険に加入する場合、契約者が叔父や叔母、祖父母、被保険者が甥や姪、孫(子ども)になります。
両親が子どもを扶養していて、両親以外の人が学資保険の契約者になる場合、両親の承諾が必要となり、契約書類上で自署による同意が求められます。
祖父母が子どもを扶養している場合には、祖父母の扶養証明が必要になります。
祖父母が学資保険に加入するには、加入条件として孫との「同居」が条件になる保険会社もありますので、確認が必要です。
また、学資保険の契約者と保険金の受取人が異なる場合、学資金や満期保険金は贈与税の対象となります。
受け取る学資金や満期保険金が年間110万円を超えると贈与税の課税対象となるため、注意が必要です。
様々なトラブルを避けるためにも、甥や姪、孫のために学資保険に入ることを検討する時点で、両親には早めに相談することをおすすめします。
契約者の年齢制限と、甥や姪、孫の年齢を確かめよう
二つ目のポイントは、契約者(叔父や叔母、祖父母)の年齢と被保険者(子ども)の年齢を確認することです。
学資保険の契約時に気をつけるべきなのは年齢です。
学資保険に加入するとき、契約者の年齢は制限されており、保険会社にもよりますが男性で60歳位、女性で65歳位となっています。
被保険者である子どもの年齢も、上限は6-7歳位と小学校入学前で制限されているのが一般的です。
契約時点でこの制限以上の年齢になっていた場合、学資保険に加入できないので注意が必要です。
また、契約時に子どもの満年齢が高くなるほど、契約者の年齢の上限が下がるため、契約者の年齢が制限に達していなくても、加入できない場合もあります。
甥や姪の年齢が同じなら、男性より女性の方が上限年齢が高いので、条件が合えば叔母を契約者とすることで加入するできるケースもあります。
出生前の契約に関しては、契約者は両親に限るとされている学資保険も多いです。
ですから、契約者(叔父や叔母、祖父母)と被保険者(子ども)の年齢を、加入を検討している保険と照らし合わせて、必ず確認しましょう。
貯蓄性や返戻率を確かめよう
三つ目のポイントは、貯蓄性や返戻率を確認することです。
学資保険は、貯蓄性を重視する保険と、保障性を重視する保険に分かれます。前者は返戻率が高いものの保障が少なく、後者はそれとは反対に返戻率が低いものの保障が充実しています。
どちらのタイプを選ぶかは人それぞれですが、貯蓄性や返戻率の高さは選ぶときの魅力の一つです。
ただ、このような返戻率が高い学資保険には、病気や入院などの医療保障が付帯していなかったり、死亡保障が小さかったりするものも多く、貯蓄としての用途しか果たせない保険となっています。
一方で、返戻率が低くても、東京海上日動あんしん生命のこども保険のように、死亡保障が充実していて、運用に応じて5年ごとに配当がつく保険もあります。
貯蓄性や返戻率を確認することも重要ですが、保障内容もよく検討した上で、子どもの教育資金を準備してあげたいものです。
参考:祖父母が孫のために学資保険を契約するケースも
少し難しい話になりますが、祖父母が孫(子ども)に生前に資産を相続させる目的で、学資保険の契約者となるケースもあります。
例えば、加入した学資保険が満期を迎える前に、契約者である祖父母が亡くなることが想定されるケースです。
その場合、契約者が亡くなった時点での解約返戻金相当額が相続財産となります。実際に保険を解約する必要はありません。
他の相続財産と合わせた評価額が基礎控除額内であれば相続税はかかりません。
相続財産の評価額の計算は財産の種類などにより様々であり、また基礎控除額も相続人数によって異なります。
その他、相続後の満期保険金等は、受け取り方や金額によっては所得税がかかることもあるので、そちらも確認しておくと良いでしょう。
一方で、保険の満期時に契約者が生存している場合は、解約返戻金は贈与税の課税対象となります。
贈与税の基礎控除額は年間110万円以内なので、年間110万円を超えない限り課税対象とはなりません。
生命保険料の贈与を行なう場合、保険会社によっては贈与契約書の作成が必要になる場合もあり、気を付けなければなりません。
詳細については、税理士などに相談して確認しておくと安心です。
祖父母と孫向け学資保険のプランも登場
被保険者である子どもの年齢が低い内に契約し、保険料払込期間を短く設定することで高い返戻率で給付金を受けられるものなど、祖父母が孫の教育資金を準備する手段として活用しやすいプランも用意されています。
契約プランは受取総額や子どもと契約者の年齢、保険料の払込方法(払込期間や月払い・年払いなど)により異なります。
祖父母世代の70代でも加入できる学資保険は、以下の2つです。
- 住友生命の学資保険「こどもすくすく保険」
- 特徴:契約者年齢:子どもが0歳の時、男性69歳、女性75歳まで
- どんな人におすすめか:契約者の年齢が高い人
住友生命の学資保険は、契約者の年齢が祖父母世代にまでしっかり対応しています。
- JA共済の子ども共済「学資応援隊」
- 特徴:契約者の年齢が75歳まで、健康に不安があっても契約できる
- どんな人におすすめか:契約者の年齢が高い人、健康に不安がある人
JA共済の子ども共済は、払込免除不担保特則を付加することで、年齢も健康状態も気にせず加入できるので安心です。
祖父母世代の方が学資保険に加入するには、契約者の年齢だけでなく、健康状態告知の問題もあるので、分からないことは保険会社に相談してみましょう。
まとめ:甥や姪・孫のための学資保険契約条件をよく確認してから加入を
甥や姪、孫のための学資保険、について見てきましたが、いかがでしたか。
少子化の影響もあり、子ども1人にかける教育資金は昔よりも多くなっています。
特に子どもの教育資金となると、負担が重い両親に代わって叔父や叔母、祖父母が応援したいと思うことは多いですよね。
両親以外でも契約者になれる学資保険が増えているのは、そんな時代のニーズに答えた結果なのでしょう。
甥や姪、孫のために学資保険を検討する際には、以下のことに気をつけましょう。
- 契約者(叔父や叔母、祖父母など)と被保険者(子ども)の関係が3親等以内であれば、学資保険に加入できる
- 学資保険を検討するときは、契約者と被保険者(子ども)の年齢や気をつける
- 学資保険を検討するときは、両親に相談し承諾を得てからにする
- 学資保険を検討するときは、返戻率や貯蓄性も考える
- 学資保険の契約者と受取人が違う場合は、贈与税の対象となる。
最近では、祖父母が契約者になることを見越して、契約年齢を70歳代まで引き上げている学資保険もあります。
払込免除不担保の特約を付ければ、年齢も健康状態も気にせず加入できるので、特約が付けられるJA共済の子ども共済は、祖父母の方におすすめです。
契約者と受取人が違うと贈与税の対象となりますが、受け取り金額を年間110万円以内に抑えれば控除の対象となるので、上手に利用していきたいものです。
条件や内容をよく検討し、甥や姪、孫の将来に備えるよい学資保険を選びましょう。