更新日:2023/01/24
低解約返戻金型終身保険の基礎と活用方法【わかりやすく解説】
近年、各保険会社が展開している様々な生命保険の中でも、特に、低解約返戻金型の生命保険が幅広い年齢層の方の間で注目を集めていますが、低解約返戻金型生命保険が実際にはどのような保険商品なのか、ご存じない方も多いのではないでしょうか。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 低解約返戻金型終身保険ってどんな保険?
- 生命保険の低解約返戻金型終身保険の仕組み
- 低解約型返戻金型終身保険の商品内容について
- 低解約返戻金型終身保険の活用法①相続対策
- 生命保険料控除で所得控除を受けることができる
- 受け取った保険金は「一時所得」扱いとなり、税金がかけられにくい
- 低解約返戻金型終身保険の活用法②長期的な資産運用
- 低解約返戻金型終身保険の活用法③学資保険
- 低解約返戻金型終身保険の4つのメリット
- メリット①:通常の終身保険よりも保険料が安い
- メリット②:支払い満了時に解約返戻率が大幅に上がる
- メリット③:貯蓄性がある
- メリット④:病気や介護などにも対応している
- 低解約返戻金型終身保険のデメリット
- デメリット①:満期までに解約してしまうと解約返戻率が低い
- デメリット②:保険の契約内容の変更を簡単にはできない
- 【シュミレーション】低解約返戻金型終身保険の利用例
- 大学入学金などの学資保険として使う場合のシュミレーション
- 葬儀費用のために使う場合のシュミレーション
- まとめ:生命保険の低解約返戻金について
目次
低解約返戻金型終身保険ってどんな保険?
家族ができると定期保険のような生命保険はもうすでに加入していると答える方は多いと思いますが、終身保険はこれからという方はいらっしゃるはずです。
ただ終身保険も多くの種類があるため、どれを選んでよいかわからないという方も多いでしょう。
とはいえ保険の種類を理解していけばしていくほど不安になってきて、不安感にあおられてしまいすすめられるがまま保険に加入してしまうと、保険貧乏になってしまう可能性もあります。
そうならないためにも、終身保険においてはお得で貯蓄もできる終身保険を備えておいてはいかがでしょうか。
そこでこの記事では低解約返戻金型の終身保険の最大活用法を詳しく解説していきます。
- 低解約返戻金型終身保険の仕組み
- 活用法①
- 活用法②
- 活用法③
- 4つのメリット
- デメリット
- 利用例
低解約返戻金型の終身保険が気になる方や加入を検討されている方は、この記事を参考にしてぜひ最後までご覧ください。
生命保険の低解約返戻金型終身保険の仕組み
低解約返戻金型終身保険はその名称のとおり低い・解約・返戻金の名称を組み合わせていて、払込期間中の中途解約は「解約返戻金」が低い終身保険となっています。
そのためもしも払込途中でどうしても解約したり契約変更をした時には、元本割れをしてしまいますので契約時には注意しておかなければなりません。
ただその分保険料が安く設定されていたり、保険料の払込期間を終えるとその後の返戻金は通常の終身保険と同じですから、単純に考えても通常の終身保険よりかなりお得になりますよね。
そして保険料の払込期間が終了した後は、どんどん返戻率が高くなるため貯蓄性も高まり楽しみとなります。
このような仕組みとなっている低解約返戻金型の終身保険にはその他どのような特徴があるのか内容について詳しくみていきましょう。
低解約型返戻金型終身保険の商品内容について
その中でも低解約返戻金型終身保険は払込期間満了後の解約返戻率のよさから、特に生命保険を使って貯蓄をしたい人に注目されています。
解約返戻金が低いのは終身期間ではなく、保険料払込期間に限られています。
通常の終身型生命保険より支払う保険料が割安で、保険料払込期間満了後の解約返戻率は比較的高く設定されています。
契約時から解約返戻金は、払込保険料累計をかなり下回った状態からスタートします。
しかし保険料払込期間が終わると、7割程度だった返戻金は一気に急増。
その後、さらに緩やかに増えていく形となります。
最終的な解約返戻率で比べると、通常の終身保険に比べて低解約返戻金型終身保険はかなりお得な商品といえるのです。
低解約返戻金型終身保険の活用法①相続対策
平成27年1月の相続税法の改正にともない相続税が増税されたのは、記憶に新しいところ。
しかし遺産を生命保険金という形で受け取った場合は、その金額によって相続税は非課税となります。
生命保険非課税の対象金額は
500万円 × 法定相続人の数=非課税限度額
となっています。
なお保険金の受取人が法定相続人ではない場合は、非課税対象とはなりません。
受取人が法定相続人であるかどうかの確認をしておきましょう。
生命保険料控除で所得控除を受けることができる
1年間に支払った生命保険料額をもとに控除額が計算され、結果として所得税や住民税を安くすることができます。
生命保険料控除には新旧2つの制度があります。
旧制度は、平成23年12月31日以前に契約した生命保険が対象。
そして新制度は、平成24年1月1日以後に契約した生命保険が対象です。
それぞれ対象となる保険や控除額が異なるのでご注意ください。
自分が入っている保険がどちらに当てはまるかわからなければ、保険証券に書いてある契約日を調べましょう。
また保険会社から送られてくる控除証明書にも明記されているはずです。
新制度・旧制度合わせて、最大で所得税120,000円・住民税70,000円の控除を受けることができます。
受け取った保険金は「一時所得」扱いとなり、税金がかけられにくい
つまり相続財産が何千万円もあるような場合には、節税効果は薄いといえます。
このような場合は、生命保険金を相続財産とはせずに一時所得とすることで、非課税枠を利用するより税金を少なくすることができます。
「子供が親に生命保険をかけ、親の死後に子供が保険金が受け取る」
という形にすれば、受け取った生命保険金は子供の一時所得となります。
相続税の税率は、もらう財産が多いほど高くなる仕組みとなっています。
相続人1人の受け取り金額が5千万円を超えると、税率は30%~なんと最大で50%まで上昇するのです。
相続するだけで半分も持っていかれるなんて、これはどうにか食い止めたいですね。
そこで一時所得の登場です。
もし生命保険金を一時所得して受け取った場合、税率は25%より高くなることはありません。
子供が毎月支払う保険料を父から子供へ贈与すれば、 相続財産を事前に移動することになるので相続税を節税できることになります。
親から子供への贈与は、 生前贈与の非課税枠を活用しましょう。
結果として、かなりの節税となるはずです。
低解約返戻金型終身保険の活用法②長期的な資産運用
そして死亡時の保障のみならず、資産運用としても活用できる商品です。
低解約返戻金型終身保険の活用法③学資保険
終身保険の契約者を親にしておき、支払期間を子供の中学や高校卒業時(15年後や18年後)といった比較的短期間に設定するのです。
例えば払込期間を15年と設定すると返戻率は100%を超え学資保険を上回りますから、その後3年間据え置いて子どもが18歳になって受取ればさらに返戻率はアップします。
払込終了後に、まさに大学入学資金の学費が必要となるタイミングで解約返戻金を得ることができます。
さらに30年後ともなればまさかの120%を超える返戻率の解約返戻金を受取ることができます。
詳しい返戻率のシュミレーションは記事の下の方で解説します。
低解約返戻金型終身保険の4つのメリット
さて、ここで低解約返戻金型終身保険の特筆すべきメリットについてお伝えします。
お金がたくさんある人にとっても、あまりない人にとっても、低解約返戻金型終身保険には魅力がいっぱいなんです。
そのメリットは主に以下の2つになります。
- 通常の終身保険よりも保険料が安い
- 支払い満了時に解約返戻率が大幅に上がる
- 貯蓄性がある
- 病気や介護などにも対応している
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
メリット①:通常の終身保険よりも保険料が安い
低解約返戻金型終身保険では、月々の保険料が一般的な生命保険と比較してもかなり安価になっています。
そのため月々の保険料として支払うことができる金額が少ない方や、保険料をできるだけ抑えたいといった方には最適の生命保険でもあります。
メリット②:支払い満了時に解約返戻率が大幅に上がる
低解約返戻金型終身保険の特長の一つとして、生命保険の支払満了後の解約返戻率の急激な上昇があります。
低解約返戻金型終身保険は、支払期間中のみ返戻率を低利率で抑えています。
支払い終了後には、返戻率が元本をはるかに上回ります。
低解約返戻金型の返戻率は、ほとんどの商品で支払満了と同時に一気に上昇します。
その後、一年ごとに利率は緩やかに上がっていきます。
メリット③:貯蓄性がある
メリット④:病気や介護などにも対応している
- 要介護状態になったときや三大疾病などの重大な病気を患ったときに、
死亡保障並みの給付金が支払われる - 以降の保険料払込が免除となる
商品にもよりますが、多くの商品ではこういった状況をカバーできるようになっています。
低解約返戻金型終身保険のデメリット
さて、良いことばかりに見える低解約返戻金型終身保険。
しかしそこには、低解約返戻金型ならではのデメリットもあるのです。
デメリットは主に以下の2つです。
- 満期までに解約してしまうと解約返戻率が低い
- 保険の契約内容の変更を簡単にはできない
それぞれについて、詳しく紹介していきます。
デメリット①:満期までに解約してしまうと解約返戻率が低い
低解約返戻金型終身保険の最大のデメリットは、支払い期間中に解約すると大きく元本割れをおこしてしまうことです。
終身保険では、十数年以上の長い支払期間を設定することが多いでしょう。
しかしもし支払期間中に急にまとまったお金が必要になって中途解約したなら、どうなるのでしょう。
そのときには悲しいほどに元本を大きく下回った解約返戻金しか受け取ることができません。
これが低解約返戻金型最大の弱点なのです。
デメリット②:保険の契約内容の変更を簡単にはできない
低解約返戻金型終身保険は、とにかく早期解約が難しい商品です。
では、別の生命保険に変更したい場合にはどうしたらいいのでしょう。
そのときには元本割れを承知で解約するか、低解約返戻金型終身保険に加えてさらに別の保険も契約するか。
このどちらかを選ぶしかありません。
【シュミレーション】低解約返戻金型終身保険の利用例
ではここで例を用いて低解約返戻金型終身保険利用方法などをみていきます。
まず加入からの年数と保険金額を決めます。そうすると毎月の保険料がいくらかということがわかります。
そこから返戻率を出すために計算式に当てはめるのですが、最初に契約から払込終了までの払込保険料総額を計算してみましょう。
次に解約返戻金を調べます。解約返戻金は設計書等に書かれてありますし、HPでも確認できるでしょう。
解約返戻金額÷払込保険料総額×100=解約返戻率となります。
この計算から返戻率の高くなったところのタイミングで解約できれば貯まった資金を有効活用できるはずです。
大学入学金などの学資保険として使う場合のシュミレーション
低解約返戻金型終身保険を上手く活用して大学入学金などの学資保険の代用として使えるかどうか、実際の受取額などがどのくらいになるのかシュミレーションしてみましょう。
たとえば契約者年齢が30歳、保険料の払込期間を10年とした場合で大学入学時に合わせて18年後に受取ると仮定してみます。
そうすると下の表のとおり払込保険料も受取額もさほど変わらないということがわかりますが、一番の大きな違いは死亡保険金の額です。
これは保険料を払込んだ後の金額となっていますが、低解約返戻金型終身保険の場合は契約したその日からいつ亡くなったとしても240万円を受取ることができ、学資保険の場合は払込済保険料相当額となります。
低解約返戻金型終身保険 | 学資保険 | |
---|---|---|
加入年齢 | 30歳 | 30歳 |
払込期間 | 10年 | 10年 |
払込保険料 | 192万円 | 191万円 |
受取額 | 195万円 | 200万円 |
返戻率 | 102% | 105% |
死亡保険金 | 240万円 | 191万円 |
葬儀費用のために使う場合のシュミレーション
次に低解約返戻金型終身保険の活用法として将来の老後資金や葬儀費用として使えるかどうか、実際の受取額などがどのくらいになるのかシュミレーションしてみましょう。
低解約返戻金型終身保険の場合働いている世代のうちは万一の保障として、退職した後は解約返戻金を老後の生活資金や自分が亡くなった後の葬儀費用として備えることができます。
30歳時に契約したとして保険金額を500万円で設定した場合どのくらい受取ることができるかみてみましょう。
70歳 | 80歳 | |
---|---|---|
払込期間 | 30年 | 30年 |
月々の保険料 | 10,920円 | 10,920円 |
累計保険料 | 3,931,200円 | 3,931,200円 |
解約返戻金 | 4,571,800円 | 4,755,700円 |
返戻率 | 116% | 120% |
上記の表をみていただければ置いておくだけで解約返戻金が増えていることがわかります。
まとめ:生命保険の低解約返戻金について
ここまで低解約返戻金型の終身保険の最大限の活用法を解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
低解約返戻金型終身保険はもちろんメリットばかりとはいきませんが、 その使い方によっては非常に価値のある保険商品といえますし、資産運用や遺産相続の手段の一つとして活用することができます。
- 低解約返戻金型終身保険は解約返戻金が低く設定されているため保険料も安く設定されている
- 活用法①は相続税対策ができる
- 活用法②長期的な資産運用ができる
- 活用法③学資保険の代用ができる
- 保険料が安かったり貯蓄性があるなど4つのメリットがある
- 早期解約をすれば損をするなどのデメリットがある
- 利用例は学資保険や葬儀費用
生命保険の選び方が気になるという方はぜひこちらを読んでみてください。