養老保険の保険金って税金がかかるの?相続対策方法も解説します!

養老保険は満期保険金か死亡保険金どちらかを受け取ることができ、「所得税」「相続税」「贈与税」のいずれかの課税対象となります。一般的に養老保険は相続対策には不向きであると言われていますがその理由と、相続対策として有効にできる方法をご紹介します。

養老保険の満期金や死亡保険金にかかる相続税の軽減方法について

養老保険とは、満期まで存命でも、途中で亡くなってしまっても保険金が支払われるという手厚い保障の生命保険です。


そのため多くの人に選ばれていますが、この商品で相続税を軽減したいと考えている場合、注意しなければならないポイントがあります。


ここでは満期保険金と死亡保険金、それぞれの課税のされ方の違いや相続税の軽減方法などについて分かりやすく解説します。

養老保険の満期金や死亡保険金は基本的に課税対象

まず、養老保険で保険金が支払われる2つのケースについて確認しましょう。


ひとつは契約終了時点で被保険者(保険の対象となる人)が存命である場合です。 この時、満期保険金が受取人に支払われます。 


もうひとつは契約期間中に被保険者が死亡した場合です。 この時、死亡保険金が受取人に支払われます。 


養老保険の満期保険金も死亡保険金も、基本的には課税対象ですが、状況によって違いがあります。


保険契約者(保険料の負担者)が満期保険金受取人である場合、自分で支払った保険の満期金を自分で受け取るため一時所得として所得税の対象となります。

課税対象となる金額の計算方法は

  • (受け取った満期保険金の金額-支払った保険料の総額-50万円)×1/2

です。これは、支払った保険料から増えた利益の分が50万円以下である場合非課税になるということを意味しています。


例1

  1. Aさんが加入した養老保険に総額200万円支払った
  2. 20年後に満期を迎え、240万円の満期金を受け取った
  3. 利益は40万円
  4. 利益が50万円を超えていないため税金はかからない

例2

  1. Bさんが加入した養老保険に総額1,000万円支払った
  2. 20年後に満期を迎え、1,200万円の満期金を受け取った
  3. 利益は200万円
  4. (1,200万円-1,000万円-50万円)×1/2=75万円が課税対象

このように、利益が50万円を超えているかどうかが課税されるかどうかのポイントになります。

所得税が課税されるBさんの場合は、契約から20年経過しているため確定申告が必要になりますが、保険期間が5年以下の場合、源泉分離課税といってあらかじめ税金が差し引かれた金額が満期金として支払われます。


保険契約者と満期金受取人が異なる場合、自分が保険料を支払って第三者に満期金を贈与しているため贈与税の対象になります。


死亡保険金の場合は保険契約者、被保険者、保険金受取人の関係によって税金の扱いが変わります。


例3

  1. Cさんは自分が保険契約者かつ被保険者、妻を死亡保険金受取人にした養老保険に加入した
  2. 保険期間中にCさんが死亡した場合、妻が受け取る死亡保険金は「みなし相続財産」とされ相続税の課税対象となる(非課税枠あり、後述)

例4

  1. Dさんは自分が保険契約者、妻が被保険者、自分を死亡保険金受取人にした養老保険に加入した
  2. 保険期間中に妻が死亡した場合、一時所得として所得税の課税対象となる(前述の通り、利益50万円まで非課税)

例5

  1. Eさんは自分が保険契約者、妻が被保険者、子を死亡保険金受取人にした養老保険に加入した
  2. 保険期間中に妻が死亡した場合、子が受け取る死亡保険金は贈与税の課税対象となる。

このように、状況がそれぞれ違っても、基本的には何かしらの課税対象となります。

しかし事前に対策をすることで税金が軽減されたり非課税になったりするのでしっかりと理解しておきましょう。

養老保険は相続税対策に向いていない?

一般的に相続税対策に向いているのは終身保険であると言われています。


では養老保険で相続税対策というものは可能なのでしょうか?


相続における養老保険の扱いと、注意点について解説します。

養老保険の相続税評価について

養老保険の満期金を保険契約者本人が受け取り(一時所得)、その後死亡した場合はその満期金の分は預金として全額相続税の対象になります。


また死亡保険金は被相続人が死亡した後に保険会社から受取人に支払われるため、遺産ではないと考えられます。しかし実質的には保険会社を通じて被相続人の資産が受取人に移っているため、「みなし相続財産」という考え方をするのです。

養老保険は満期を迎える前までは相続対策として機能している

養老保険の契約期間中に被保険者が亡くなった場合は、死亡保険金が支払われます。

これは受取人固有の財産だと考えられ、「みなし相続財産」という扱いをされます。


「みなし相続財産」には一定額まで相続税がかからないという制度があり、非課税枠の計算方法は

  • 500万円×法定相続人の数

です。つまり、妻と2人の子供がいる男性の場合、

  • 500万円×3人=1,500万円

までの死亡保険金については相続税を支払う必要がないのです。


このように、養老保険は満期前であれば、相続対策として有効であると言えます。

養老保険が相続対策にむいていない理由

養老保険は生にも死にも対応できる非常に便利な保険ではありますが、相続対策には向いてないと言えます。なぜなら、養老保険には生きている限り必ず満期が来てしまうからです。

満期を迎えると死亡保険金の相続税非課税枠である「みなし相続財産」がなくなってしまう

養老保険は満期を迎えると満期保険金が支払われ、契約が終了します。


満期後に被保険者が死亡しても、死亡保険金は支払われないため当然「みなし相続財産」として非課税枠を利用することができません。

満期保険金は遺産分割協議の対象となるため、分割対策にもならない

死亡保険金は受取人固有の財産であり、遺産分割協議の対象外になりますが、満期保険金は、支払われた時点で単なる「現金」扱いになります。


「現金」は相続税の課税対象になる上、誰かの固有の財産であるとは言えないので誰が相続するのか改めて決めないといけません。




養老保険で相続税を節税するには「生前贈与」を利用しよう

養老保険で相続税対策を考えているなら、「生前贈与」を利用するということも可能です。

生前贈与とは、資産を遺したい相手に生きているうちに贈与するという方法です。


通常贈与を受けた人には贈与税が課税されますが、年間110万円までの贈与は非課税であることを利用します。


  1. 親から子に年間110万円以下の現金を贈与する
  2. 子はその現金で保険料を支払い、「親を被保険者」「自分を保険金受取人」にした養老保険に加入する
  3. 死亡保険金も、満期保険金も、相続税の対象外となる

この場合、子は親から贈与された自分名義の現金で保険料を負担し、親に保険をかけていることになります。

つまり、死亡保険金も、満期保険金も、自分で支払った保険から受け取るわけなので相続とはみなされないのです。


ただし、一時所得として所得税の課税対象になりますが、前述したとおり一時所得は支払った保険料から受け取った保険金を引いた利益分が50万円を超えない限り非課税です。

まとめ

養老保険の満期保険金と死亡保険金の税金と相続時の扱いについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか?


ここまでの内容をまとめると

  • 満期保険金や死亡保険金は、「所得税」「相続税」「贈与税」いずれかの対象になる
  • 「所得税」は利益が50万円以下なら非課税
  • 死亡保険金は「みなし相続財産」となるので500万円×法定相続人の数までは非課税
  • 養老保険は保険期間中は相続対策として有効だが、満期を迎えると効果がなくなる
  • 年間110万円以下の現金を生前贈与し、贈与された人が保険料を負担する形で相続対策をすることは可能

以上のように言えます。


相続対策のつもりで加入したのに効果がなかった!ということがないように、保険契約者・被保険者・受取人の関係には気を付けて、加入を検討しましょう。

生命保険の選び方が気になるという方はぜひこちらを読んでみてください。
この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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