収入保障保険の保険金は一括で受け取れる。税金の違いに要注意

収入保障保険は、保険金を年金方式で受け取るタイプの保険ですが、一括で受け取ることはできるのでしょうか。また一括受け取り場合、受取金額はどうなるのでしょうか、また、収入保障保険の契約関係によって違ってくる税金の種類についても、わかりやすく解説します。

収入保障保険の保険金を、分割ではなく一括で受け取れないのか

収入保障保険は、被保険者に万が一のことがあった場合に、被保険者に代わって毎月給料のように保険金が支払われるというのが特徴の保険です。

しかし、父親が死亡し、ちょうどそのタイミングで子供が進学するためのまとまった資金が必要といった場合は、年金方式ではなく一括で受け取りたいこともあるでしょう。


そういった場合、収入保障保険において、一括での受取を選ぶことはできるのでしょうか。


収入保障保険は一括受取可能、ただし一部は対象外

収入保障保険は、保険金の受け取り方として、基本的には年金方式で受け取りますが、それ以外に、全額一括方式、一部一括方式でも受け取れます

全額一括方式は、文字通り毎月年金方式で受け取ることをせずに、一括で受け取る方法です。


また、一部一括方式は、年金方式と全額一括方式の間をとったような方法で、まず一部を一時金で受け取った後に残りを年金方式で受け取る方法と、年金方式で受け取っていたものを途中で残りを一括で受け取る方法の2つがあります。


受取方法については、保険会社によって取り扱いに差がある場合があるので、契約前に確認しましょう。

収入保障保険の一括受け取りは、年金形式より受け取れる金額が少ないというデメリットに注意!

では、収入保障保険の保険金を年金方式で受け取る場合と、一括で受け取る場合とでは、受け取れる金額に違いはあるのでしょうか。



少なくなる理由としては、保険会社が収入保障保険の保険金を年金方式で支払う場合、未払い分を運用して増やすことができるため、死亡保険金受取人にも多く支払うことができますが、一括で支払う場合は運用して増やすことができないため、年金方式よりも少なくなることが挙げられます。

また、収入保障保険の保険金を一括受け取りする場合の税金の種類について知っておこう


収入保障保険の保険金を一括受け取りする場合の税金は、年金方式で受け取る場合とは異なります。

契約者と受取人が同じで、被保険者が異なる場合は、所得税(一時所得扱い)

収入保障保険の契約者と受取人が同じで被保険者が異なる場合の一括受け取り保険金は、所得税(一時所得)の対象となります。


たとえば、夫が契約者で、妻に収入保障保険をかけて、受取人が夫の場合で、妻が死亡して夫が受け取る保険金は、一時所得となり、給与所得等と合算されて課税されます。

契約者と被保険者が同じで、受取人が異なる場合は、相続税

収入保障保険の契約者と被保険者が同一で、受取人が異なる場合、一括受け取りでは相続税の対象となります。


たとえば、夫が契約者で自分に収入保障保険をかけて、受取人が妻の場合で、夫が死亡して妻が受け取る保険金はみなし相続財産とみなされ、相続税の対象となります。



契約者と被保険者と受取人が異なる場合は、贈与税

収入保障保険の契約者、被保険者、受取人がすべて異なる場合の保険金は、贈与税の対象となります。


たとえば、夫が契約者となり妻に収入保障保険をかけて、受取人が子供の場合で、妻が死亡して子供が受け取る保険金は贈与税の対象となります。

一括受け取りにすることで、税金が少なくなる

収入保障保険の契約者・被保険者が同一で、受取人が異なる場合は、前述のとおり、一括受け取りの保険金は、相続税の対象となります。

死亡保険金には、500万円x法定相続人の数という非課税枠があるため、実質的には相続税がかからないケースもあります。


非課税枠よりも死亡保険金のほうが大きい場合でも、相続税には、3,000万円+600万円x法定相続人の数という基礎控除があり、実質上相続税がかからないことも多いです。


また1次相続の場合は、配偶者の相続分が法定相続分以内であれば相続税がかかりませんし、法定相続分を超えても、1億6,000万円までは相続税がかかりませんから、相続税がかからないケースのほうが多いです


しかし、年金方式で受け取る場合は、次年度以降の保険金は所得税(雑所得)の対象となるため、金額は別として、実際に税金が発生するケースがほとんどです。


このため、税金だけで比較した場合、一括受け取りのほうが有利といえます。


まとめ

収入保障保険の保険金は、基本的には年金方式で受け取りますが、一括方式で受け取ることも可能です。


一括で受け取った場合、年金方式で受け取る保険金の総額よりも、受け取れる金額は少なくなることに注意が必要です。


また、一括で受け取る場合は、契約関係によって課税される税金の種類も変わってきます。


税金だけで比較した場合は、一括受け取りのほうが有利です。

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