遺族年金だけでは不足する!?収入保障保険の必要性と考え方を現役FPが解説!

収入保障保険は、被保険者に万が一のことがあった場合に、保険金をまるで給料のように毎月受け取れるタイプの保険です。その収入保障保険の人気が激変しています。原因は、遺族年金制度の改正です。収入保障保険のニーズを根底から覆す遺族年金制度の改正について、まとめました。


前提知識
  • 遺族年金・・・国民年金または厚生年金の被保険者が亡くなった際に残された家族に支払われる年金制度のこと。
  • 収入保障保険・・・被保険者が亡くなった、または高度障害状態になった際に保険期間が終わるまで年金形式で保険金が支払われる生命保険の1種。

国民年金や厚生年金に加入している配偶者が亡くなってしまい遺族年金を受け取ることに、、
そんなとき、生活費は本当に遺族年金だけで足りるでしょうか。

実は遺族年金だけで生活費を賄える人は少ないです。
やはり、年齢を重ねるにつれ出費や税金が増えるため以前想定していた金額では生活が苦しくなります。

だからこそできるだけリスクの少ない準備を事前にしておく必要があります。
配偶者や出費のほとんどを支えている人に何かあった時に備えられる選択肢が多くあります。

その1つが収入保障保険です。
今回は事前にセーフティネットとなる遺族年金と収入保障保険の2つの関係性から概要までまとめているので、ぜひ参考にしてください。

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収入保障保険が遺族年金によって妻たちからの人気を失っている理由とは?

収入保障保険は、まるで亡くなった人のかわりに毎月給料のように保険金が振り込まれるということで、大変人気がある保険のひとつです。

ところが、妻が加入する保険としての魅力が一気になくなる出来事がありました。


それが、遺族年金制度の改正です。

もともと収入保障保険が妻たちから必要とされていた理由について

もともと、妻が収入保障保険に加入する目的や動機は、遺族基礎年金が父子家庭に制度的に対応していなかったことにありました。

遺族基礎年金の受給要件として、「死亡した者によって生計を維持されていた、(1)子のある妻と(2)子」となっていました。


つまり、妻に万が一のことがあった場合、遺族は「子のある夫と子」であるため、夫は遺族基礎年金を受給することができませんでした。


そこで、それを補完する意味で、遺族基礎年金が出ないかわりにお金を年金方式で受け取れるよう、妻が収入保障保険に加入するケースが多かったわけです。

遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金がある

ここで遺族年金について、簡単におさらいしておきましょう。


遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の加入者が死亡した場合に、その加入者の遺族が受け取ることができる年金です。


遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があり、加入者が国民年金か厚生年金のどちらに加入していたかによって、どちらかまたは両方の年金を受け取ることができます。


基本的に、国民年金は個人事業主、厚生年金は給与所得者(サラリーマン)が加入する制度となっています。


遺族年金には、亡くなった人の年金加入状況、遺族の年齢などの条件が設定されています。

遺族基礎年金とは?

遺族基礎年金とは、国民年金に加入している人が亡くなった場合に、その遺族に支給される年金です。遺族基礎年金を受給できるのは、国民年金加入者、または、老齢基礎年金の資格期間を満たしている人が死亡した場合です。 

ただし、18歳未満の子供がいること、国民年金の保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が、死亡するまでの年金加入期間の3分の2以上あることが条件です。また、死亡した月から数えて直近1年以内に、国民年金保険料の未納がないことも、条件となっています。

年金額は年額で779,300円ですが、これは国民年金保険料を完納(未納が一か月もない)場合で、未納がある場合はその月数に応じて、年金年額も減額されます。また、そもそも保険料の支払い期間が10年に満たない場合は、受給資格がありません。

遺族厚生年金とは?

遺族厚生年金とは、厚生年金の加入者が亡くなった場合に、その遺族に対し支給される年金です。遺族厚生年金は、厚生年金加入者が死亡した場合で厚生年金の保険料納付期間が2/3以上ある場合、 老齢厚生年金の受給資格が25年以上ある方が亡くなった場合が給付要件となっています。

遺族基礎年金と違い、18歳未満の子供がいない場合でも受給できることが、一番の特徴です。

年金額は、本来受け取る予定だった老齢厚生年金の3/4です。月額報酬(標準報酬月額といいます)によって決められた厚生年金の保険料の金額によって、年金額も変わります。

遺族基礎年金が2014年4月に改正されたことが収入保障保険の妻たちからの人気を失った原因!


2014年4月に遺族基礎年金の改正が行われました。それにより、万が一のことがあった場合に年金が支給される条件が変わりました。そしてそれが、収入保障保険の人気下降に大きく影響したと言われています。

対象が「子のある妻」から「子のある配偶者」となり、妻の死亡保険金の必要性が下がった

具体的に何が変わったのかというと、遺族基礎年金の対象者です。改正前は、遺族基礎年金の受給者は「死亡した者によって生計を維持されていた、(1)子のある妻と(2)子」でしたが、改正後は「死亡した者によって生計を維持されていた、(1)子のある配偶者と(2)子」となりました。

「妻」が「配偶者」に変更されたことで、大きな変化が起こりました。それは、改正前までは、妻が死亡した場合は、夫には遺族基礎年金が支給されなかったのが、改正により支給されることになったのです。

遺族基礎年金の改定により、妻の収入保障保険の必要性が低下

これにより影響を受けたのが収入保障保険です。遺族基礎年金の改正前なら、妻が死亡した場合年金がおりないので、その分の保障として収入保障保険に加入する人が多かったのですが、妻が死亡した場合でも夫に遺族基礎年金が支給されるように改正されたため、収入保障保険の必要性が低くなったわけです。

まとめ

遺族基礎年金制度の改正により、妻が死亡した場合夫に遺族基礎年金が支給されるようになりました。

改正前は、妻の死亡保障の目的で収入保障保険が人気でしたが、改正により収入保障保険に加入する必要性がかなり薄まり、一気に人気がなくなりました。

生命保険は必要なの?と疑問をお持ちの方はぜひこちらをお読みください。

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