銀行の終身保険販売はトラブル続出、知っておきたい真相とは

銀行で販売されている終身保険で、トラブルが続出しています。銀行といえば信用が命。そんな銀行が販売する終身保険で、なぜトラブルが発生しているのでしょうか。巻き込まれないために知っておきたい銀行の事情や販売手法などについて、まとめました。

銀行で勧誘される終身保険についてトラブルが増加

生命保険に加入するのは、保険会社の営業社員からという時代は終わり、銀行も終身保険をはじめとして、さまざまな生命保険を販売している時代です。銀行といえば抜群の信用力がありますから、生命保険の販売についても法令を遵守し、きちんと行っているというイメージをお持ちの方も多いでしょう。しかし、実際にはトラブルが増加している現実があります。

独立行法人国民生活センターから注意喚起情報が発表

こういった現状を鑑み、ついに独立行政法人国民生活センターが、注意喚起情報を発表しました。国民生活センターのHPにも「銀行窓口で勧誘された一時払い終身保険に関するトラブル-高齢者への不適切な勧誘が急増中-」という報道発表資料が公開されています。

実施の理由(ワケ)

国民生活センターが注意喚起情報を発表した理由は、あまりにも、銀行が販売する一時払い終身保険のトラブルの増加が目立ってきたからです。国民生活センターが把握している情報によると、トラブルは、

  • 銀行から「預金より利回りの良い商品」と勧誘されることが多い
  • 顧客は保険であるという認識がない
  • そもそも一時払終身保険は元本保証の商品ではない
  • 顧客は元本割れする認識もない
  • 顧客はいざ解約する時になって初めて、契約したのは保険であり元本割れをすることも認識

といった内容がほとんどのようです。

高齢者がトラブルに遭うケースが多い

日頃から付き合いのある銀行の行員から、預金よりも利回りが良いと一時払終身保険を巧みに勧誘されて、自分にとって必要かどうか、リスクはどこにあるのか等、しっかり加入判断ができて、不要ならはっきりと断ることができる高齢者が、果たしてどれくらいいるでしょうか。


高齢者になると、記憶力や理解力などが低下して、保険や金融商品の加入や購入について、正しい判断ができなくなる場合もあります。そのような高齢者に対して何の配慮もなく、契約に持ち込むケースが、トラブルの大きな原因のひとつになっています。 


銀行でのトラブルの要因は


銀行での一時払終身保険の販売でトラブルとなる要因は、いくつか指摘されています。

預金と誤解するような勧誘手法

いくら利回りが高いとはいっても、一時払終身保険は預金ではなく保険です。加入後あまり年数が経っていないときに解約をすれば、元本割れします。そういったリスクの情報をはっきり伝えず、まるで銀行預金であるかのように勧誘する手法は、トラブルの主要因です。

保険の営業であることを告げない営業手法

銀行の窓口、ないしは銀行の行員が営業することで、保険であることをカモフラージュして営業するのも、トラブルを招いている要因です。まだまだ銀行が本格的に保険を売っているというイメージは、世の中に浸透しきっているとはいえません。「今提案しているのは保険です」と銀行側が敢えて明言しない限り、顧客側は混同するのもやむを得ません。

クーリングオフの説明不足

保険契約はクーリングオフの対象となっています。
「クーリング・オフに関する書面を受け取った日」または「申込日」のいずれか遅い日から、その日を含めて8日以内(10日、15日、30日等に延長している生命保険会社もあります)であれば、申込みを撤回することができます。

出典: http://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/life_insurance/life_insurance_q10.html

保険契約を締結する際には、クーリングオフについて説明した書面を必ず交付することになっています。

銀行が販売する一時払終身保険のトラブルは、このクーリングオフを顧客が把握していれば防げたものもありますが、銀行側によるクーリングオフの説明が不足していたことで、クーリングオフ制度が有効に機能しなかったケースもあります。

銀行で勧誘される”一時払い終身保険”のトラブルと注意

銀行が販売する一時払終身保険で発生しているトラブル例とは、どのようなものでしょうか。

事実とは異なった”元本保証”

定期預金が満期になって、次はどこに預けようかというケースはよくあります。そこで銀行から「利回りが良い金融商品」として一時払終身保険を提案されるわけですが、「元本保証がある」という説明を受ける場合があるということです。実際には、加入後数年程度で解約すれば元本割れしますから、虚偽の説明ということになります。

支払った保険料が”解約返戻金”を下回る可能性の説明不足

提案されているものが預金ではなく、保険であることを顧客側が認識している場合でも、支払った保険料が解約返戻金を下回る可能性があることを、きちんと説明されていない場合があります。もし、元本割れする可能性を知っていたら、加入しなかったという人も少なくありません。

消費者の意向に沿わない保険商品の販売

たとえば3年後に使おうと思っている、まとまったお金がある場合、定期預金などで運用するのが一般的です。それにもかかわらず、銀行側の都合で、そのお金で一時払終身保険に加入してしまい、契約後3年で解約をすると損をすると言われ困っているというケースがあります。

銀行や保険会社は”終身保険”が今や一番の稼ぎ頭

これほどトラブルが多発している背景には、終身保険が銀行や保険会社にとって大きな収益源になっていることが挙げられます。

本当に一時払い終身保険が必要かの確認も

銀行から一時払終身保険を勧められたら、まず本当に自分に必要なのかどうかを確認しましょう。一時払終身保険は預金ではなく保険です。保険は必要ですか。

トラブルに遭った場合は消費生活センターへ

それでも自分の意に反して、一時払終身保険に加入してしまい、トラブルに巻き込まれてしまった場合は、自分だけで解決しようとせずに、消費者センターへ相談しましょう。消費者センターが絡むと、トラブル解決にあたって銀行側も強引な手法をとりづらくなります。

まとめ

銀行は一時払終身保険を、あたかも利回りの良い預金のように販売し、トラブルになるケースが多発しています。一時払終身保険は加入後少なくとも数年間は必ず元本割れします。

そのようなリスクもきちんと説明されないケースも多いのです。銀行から勧誘されたら、元本割れのリスクを負ってまで加入が必要なものか、必ず確認しましょう。


万が一加入し、対処に困った場合は、消費者センターに相談しましょう。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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