生命保険の解約返戻金や満期保険金には税金がかかる?計算方法まで解説!

生命保険の解約返戻金には税金がかからないケースが多いことを知っている人は少ないです。この記事では、解約返戻金に所得税や贈与税などの税金がかかるケース・かからないケースを説明します。確定申告の必要性や税計算の方法も紹介しますので、ぜひご覧ください。

内容をまとめると

  1. 生命保険の解約返戻金にかかる税金は、受取人と保険料支払い人の関係によって種類が変わる
  2. 所得税の場合、50万円の基礎控除があるので、課税される場合は少ない
  3. 贈与税の場合110万円以下の場合は課税対象にならない
  4. 以上より、解約返戻金で税金がすごくかかるということはとてもレアケース
  5. 解約返戻金や生命保険の心配事は、保険のプロに聞いてみよう
  6. 今なら、マネーキャリアで、簡単に予約ができます!

生命保険の解約返戻金や満期保険金に税金はかかる?


生命保険の解約時に受け取る解約返戻金や、満期時に受け取る満期金に税金がかかることがあるのはご存知ですか?


解約返戻金は「生命保険を保障期間の途中で解約することで受け取るお金」を指します。積立型の保険を解約すると、積み立てていた部分が返戻されます。このお金が解約返戻金です。


生命保険の保障期間が終了する時のことを「満期」と言い、満期を迎えることで受け取ることができるお金を「満期保険金」 と言います。満期保険金が受け取れる代表的な保険は養老保険や学資保険です。


満期が無い終身保険や、積立金が無い掛け捨て型の保険では満期保険金や解約返戻金を受け取ることはできません。


こちらでは、解約返戻金や満期保険金を受け取る時の税金について解説します。


解約返戻金、満期保険金受取時にかかる税金はこのようになります。

解約返戻金
満期保険金
保険料支払い人=受取人保険料支払い人≠受取人
かかる税金所得税(一時所得)
住民税
贈与税


保険料を支払った人が解約返戻金や満期保険金を受け取る場合は、所得税(一時所得)が課税され、保険料を支払った人と受取人が違う場合は、保険料を支払った人から受取人への贈与とになされ、贈与税が課税されます。


それぞれどれくらいの課税がされるのか、以下で詳しく解説します。

保険料支払人と返戻金受取人が同じとき:所得税

保険料支払人と返戻金や満期保険金受取人が同じ時は、受け取った金額が所得と見なされ、給与所得などと合算して総所得を求めます。


所得額に応じて所得税、住民税を納付するため、所得税(一時所得)と住民税が課税されると言えます。


一時所得を計算する場合、

  • 支払った保険料は経費として差し引くことができる
  • 50万円の特別控除がある
  • 所得に合算するのは一時所得額の1/2のみ

こちらの3つのポイントに注意しましょう。


例えば、保険料支払人が250万円の保険料を支払って、350万円の満期保険金を受け取った場合の一時所得の計算はこちらです。

  • 受取額:350万円-支払保険料:250万円=100万円
  • (100万円-特別控除:50万円)×1/2=25万円

一時所得額は25万円となります。この25万円を他の給与所得などと合計して、所得税や住民税の計算をします。一時所得を計算した結果、一時所得額が20万円以下になる場合は確定申告をする必要はありません。


もし、他の一時所得があれば、すべて合算した後に特別控除を引いて計算するので、注意しましょう。


満期保険金を一時金ではなく年金形式で受け取る場合は、一時所得ではなく雑所得となり、計算方法が異なります。

保険料支払人と返戻金受取人が違うとき:贈与税

保険料支払人と返戻金や満期保険金受取人が違う時は、保険料支払人から受取人への贈与と見なされ贈与税が課税されます。


贈与税は月1日~12月31日の1年間に受け取った金額の合計に対して贈与税額を計算します。


贈与税には110万円の控除があるので、1年間に受け取った贈与額の合計が110万円を超えたときに課税の対象となります。


受け取るお金が贈与税の対象となる場合、受取人は保険料を支払っていません。そのため、解約返戻金や満期保険金の額から基礎控除の110万円を控除した額に贈与税率を掛けて計算します。


贈与税率はこちらです。

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円


例えば、夫が保険料を支払った養老保険の満期金500万円を、妻が受け取った場合は、

  • 受取額:500万円-基礎控除額:110万円=390万円
  • 390万円×20%-控除額:25万円=53万円

このような計算式となり、53万円の贈与税を納税する必要があります。

難しい場合は保険のプロに無料で相談してみるのもおすすめ!

解約返戻金や満期保険金の税金は、他の所得や贈与によっても変わります。そのため、自分で計算するのは難しく感じるかもしれません。


そのような場合は、保険のプロであるファイナンシャルプランナーに相談しましょう。


ファイナンシャルプランナーはお金の専門家で、保険についても詳しく、幅広い相談に対応できます。「現在の加入状況だと受取時にどのようになるか」など、先々を見据えた相談も可能です。


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生命保険の解約返戻金の所得税のかかり方


計算の要点は、解約金全額ではなく利益分のみが課税対象であることです。また保険料より解約金額が多いときでも、控除制度を利用すれば非課税にできる場合があります。


解約金を一時金形式で受け取ったときの所得税計算について以下のとおり説明します。

  • 50万円分の控除ができる
  • 50万円以上でも課税額は微少

控除や計算式が理解できれば、税金がほとんどかからない理由がわかります。

利益が50万円以内なら非課税になる

解約金を一時金形式で受けとると、50万円の控除が受けられます。例として以下の条件で計算してみます。

  • 契約者:夫
  • 受取人:夫
  • 返戻率:110%
  • 保険料総額:410万円
  • 解約返戻金:451万円

解約返戻金と保険料の差額が41万円になり50万円未満のため所得税はかかりません。

451万円(解約返戻金)-410万円(保険料総額)=41万円<50万円(控除額)

この場合9万円のマイナスになっていますが、この年の一時所得金の合計がマイナスになったとしても0円として考えます。
この場合の確定申告については記事の後半で解説しています。

もう少し詳しく仕組みを見ていきましょう。返戻率が100%だったとすると利益は生まれませんので課税対象にはなりません。


返戻率が101%のときは保険料の総額が5,000万円でないと50万円の差額になりません。109%でも600万円程度の支払いが必要。


つまり、返戻率110%以上の高利率、保険料総額も500万円程度でなければ課税対象にはなり得ないのです。

利益が50万円以上の場合の計算方法は(利益)÷2×所得税率

解約金による利益が控除額の50万円を超えるとき、次の計算式で課税額を算出できます。

(解約返戻金ー保険料総額)×1/2×所得税率=課税金額

先ほどと同じく例を挙げてみましょう。

  • 契約者:夫
  • 受取人:夫
  • 返戻率:115%
  • 保険料総額:500万円
  • 解約返戻金:575万円
このとき、解約金による利益は75万円です。控除額である50万円を差し引くと、25万円。税率が20%だとすると、25×1/2×0.2=2.5万円が所得税です。

一時所得は総合課税の対象です。総合課税とは給与所得や事業所得など、対象となる所得の合計額で税率が決まる仕組みのことを言います。

税率は総合課税によって決まり、5~45%の範囲で変化します。しかし上記のとおり高返戻率であったり、支払った保険料が高額だったりしないと50万円の利益になることはありません。

税区分が所得税の場合、税金はかからないことがほとんどで、かかかっても少額であることがご理解いただけたでしょうか。

解約返戻金の一時所得金に確定申告は不要?マイナスの場合は?


解約返戻金による利益があるときは基本的に確定申告の必要があります。しかし会社勤めの人やアルバイト・パートの人は、給与所得以外の所得が20万円以下の場合、確定申告をしなくても大丈夫です。


ここで重要なのは解約返戻金による利益だけで確定申告の必要性は決まらない点です。たとえば一時所得金が20万円以下であっても、雑所得が15万円あったりすると合計額が35万円になるため確定申告が必要です。


また2か所以上の会社からの給与がある人で、一時金と年末調整がされていない給与の合計額が20万円を超える場合も確定申告の必要があります。

解約返戻金を受け取り、確定申告が不要な場合

以上のことなどをまとめ、確定申告が不要な場合は以下の通りです。

  • 基本的に確定申告をする必要がない人で、給与以外の所得が20万円以下の場合
  • 他の一時所得と合計した一時所得金額がマイナスとなる場合
2つ目の、解約返戻金を受け取った場合、一時所得の計算を行い、マイナスとなる場合については次に解説します。

解約返戻金を受け取り一時所得金や雑所得がマイナスになった場合の確定申告

解約返戻金-払込保険料-特別控除額50万円

に税金が課税されることを確認してきました。

他の一時所得と合計した一時金所得がマイナスとなってしまった場合は、0円として考えます。

確定申告が必要なのは、一時所得がプラスの場合ですので、マイナスになってしまった場合、確定申告は不要になります。


また、解約返戻金を年金で受領した場合、「雑所得」となります。 

この場合でも他の雑所得との合計金額がマイナスとなってしまった場合、0円と考え確定申告は不要です。

生命保険の解約返戻金の贈与税のかかり方

解約金に贈与税がかかるのは保険料支払人と返戻金受取人が違うときだとお話ししました。所得税とは違い、贈与税は解約金自体が課税対象のため注意です。


贈与税の金額がいくらになるかの計算式は以下のとおりです。

贈与税額={解約返戻金ー基礎控除(110万円)}×税率

解約金が110万円以下のときは課税されません。税率は所得税に応じて10~55%の範囲で変化しますが、詳しくは国税庁のページをご覧ください。


式を見ればわかりますが、解約金の金額と贈与税額の控除額には結構な差があります。先ほどの例のように500万円程度の解約金が受け取れるとすると、110万円を差し引いた390万円に税率がかかった額を納税しなくてはなりません。


解約金の受取人はあとから変更できるケースが多いため、保険料支払人と別にしている人は保険会社へ変更の連絡をしてみるのもいいでしょう。その際は支払人と受取人を同じ人にして税区分を所得税にするのがおすすめです。

法人向け生命保険の解約返戻金に税金がかかる場合


法人生命保険でも基本的な考え方は個人契約と同じです。解約返戻金から保険料を差し引いた分の利益に法人税が課せられます。


生命保険を個人契約したときは解約金から保険料総額を引いた分に所得税がかかりましたね。法人契約の場合は所得税が法人税に置き換えられたパターンと解釈するとわかりやすいです。


ただし法人生命保険の場合、契約する生命保険のタイプによって簿記の内容と益金の額が変わります。一つ、支払保険料の1/2を事前に保険会社へ預けるタイプの生命保険を例に挙げてみます。


この生命保険では解約返戻金から預けていた保険料を差し引いた金額に法人税が課税される仕組みになっています。通常であれば支払保険料は1/2ではなく全額なので、解約返戻金からは保険料全額が差し引かれるはず。


しかし、今回の経理処理では預けた保険料を資産として計上するため、預けたお金がただ返ってきただけと解釈できるのです。このように、個人と違い法人の解約金の計算は少し複雑になっています。

参考:解約返戻金以外で生命保険に税金が関わるとき

解約返戻金以外にも、生命保険の契約をすると次のようなことが税金に関わってきます。

  • 保険料の支払い
  • 契約者の変更
  • 配当・給付金の受給
  • 保険金の受給
支払った保険料は生命保険料控除の対象となります。支払った保険料を申告すると最大10万円の控除が受けられるのです。生命保険料控除は確定申告を自身で追加して行う必要がある点だけ注意が必要です。

契約後の契約者変更も税金が関係します。契約者を変更したあとに解約返戻金を受け取ると、変更前の契約者が支払った保険料分の贈与税がかかることも。受取人は契約者と同一人物にしておくのがベターでしょう。

配当や給付金を受け取るときにも税金がかかりますが、受け取り方式により所得の種類はバラバラ。一時金形式での受給は一時所得、年金形式では雑所得となります。

所得の種類が違うと税金の計算も違うため、注意が必要です。

また保険金や年金を受給したときでも課税されます。死亡保険金の場合は契約者・受取人・被保険者の続柄によって税区分が違うため、こちらの記事が参考になります。

その他にも生存保険金であれば所得税(一時所得・雑所得)が、年金には所得税(雑所得)・住民税がそれぞれ課税されます。

まとめ


この記事では生命保険の解約金について以下のことを話しました。

  • 返戻金に税金がかかるのは保険料総額を超えたとき
  • 一時所得の控除額は50万円
  • 贈与税にも110万円の控除があるが、課税額は割高
  • 確定申告の対象者は給与以外の所得が20万円以上の人
  • 法人生命保険の場合でも課税対象は返戻金の利益分
  • 生命保険は返戻金以外にも控除や課税などが関わってくる
税区分が贈与税だと課税額が割高になるため、ご契約中の生命保険や終身保険は受取人を保険料支払人と同一にしておくことをおすすめします。

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