個人年金保険の年金受取時にかかる雑所得と押さえておくポイント

個人年金保険の年金を受け取る時には税金(雑所得や贈与税)がかかります。しかも、面倒なことに契約内容や年金の受け取り方によって、かかってくる税金が異なります。ここでは個人年金保険の加入形態から、加入形態の違いによってかかる雑所得の違いも併せてご説明していきます。

個人年金保険の受け取り時に、雑所得扱いとなる2つのケースとは?

生命保険会社の個人年金保険に加入されている方は多いと思いますが、その年金を受け取るときには税金(雑所得)がかかります。そして、契約内容や年金の受け取り方によって、かかってくる税金が異なります。税金のかかり方についてのポイントは、「誰が保険料を支払って(契約者)」、「誰が年金を受け取るのか(年金受取人)」ということです。大きく分けて以下の2つのケースに分けることができます。


ケース①個人年金保険の契約者と年金受取人が同じである場合

ケース②個人年金保険の契約者と年金受取人が異なる場合


それではこれから、二つのケース別に契約者と年金受取人の関係性と税金のかかり方を説明していきましょう。

ケース1:契約者と受取人が同じで、年金受け取りであるお金

個人年金保険の税金のかかり方の一つ目のケースとして、まず、「個人年金保険の契約者と年金受取人が同じ人の場合」からみていきましょう。


個人年金保険の契約者と被保険者、そして年金受取人が同一人物の場合は、年金受取人に対して、毎年受け取る年金に対して、所得税(雑所得)がかかります。

ケース2:契約者と受取人が異なり、年金受け取りであり、2年目以降に受け取るお金

個人年金保険の税金のかかり方の二つ目のケースとして、「個人年金保険の契約者と年金受取人が異なる場合」についてもみていきましょう。


ここではわかりやすいように、個人年金保険の契約者を「夫」、被保険者を「夫」、個人年金保険の受取人を「妻」として説明をします。

この場合、年金受取人である「妻」に対して、年金開始時点で年金受給権の評価額に、贈与税がかかり、毎年受け取る年金に所得税(雑所得)がかかります。なお、年金受給前に被保険者(夫)が死亡した場合は、一時金で死亡給付金(死亡保険金)が支払われます。


このように保険料を支払った人(契約者)と年金を受け取る人(年金受取人)が異なる場合、たとえ夫婦間のやり取りでも「贈与税」がかかり、大きな税金がかかる可能性もありますので、基本的には契約者と年金受取人は同じにしておくのが良いでしょう。

雑所得の金額の計算方法とは?

雑所得の金額の計算をする際に注意するべきことは、年金受取金額がそのまま所得額になるわけではないので、大きな金額の個人年金保険に加入していない限り、多額の税金を払うことはないと思いますが、具体例を参考に計算してみましょう。

総収入金額から必要経費を差し引いた金額

雑所得の計算式としては、以下の計算式にあてはめられます。



雑所得=

「総収入金額(毎年受け取る年金額)-必要経費(払い込み保険料のうち受け取る年金額に対する金額)」

具体的な雑所得の計算例

それでは、具体的に雑所得の計算方法をみていきましょう。

ここではわかりやすく「契約者」と「年金受取人」が同じ場合の事例をご説明したいと思います。


例えば、さきほどの計算式に具体的な数字をあてはめてみましょう。


「総収入金額(86万)-必要経費(72万)=14万(雑所得)」


上記の場合ですが、雑所得の計算方法は、その年に受け取った年金額(86万円)から必要経費である保険料(72万円)を差し引いた額となり、雑所得は14万円となります。


仮にこの雑所得が25万円未満の場合は、源泉徴収はされません。もし、年金以外に所得がなければ、基礎控除の範囲内(38万円以下)となり、所得税はかかりません。25万円以上の場合は、保険会社が雑所得の10.21%(※1)を所得税として源泉徴収を行います。


」なお、源泉徴収額は確定した税額ではありませんので、雑所得として他の所得と総合して確定申告し、過不足を精算する必要があります。所得の状況によっては税金が還付される場合もあります。

雑所得は20万円までは税金が控除される

年金年額が20万円を超える場合には、保険会社から税務署あてに「年金支払調書」の提出が義務付けられているため、支払調書によって税務署は誰がいくら年金を受け取ったかを把握しています。


また、「個人年金の契約者と受取人が異なる場合」には、金額にかかわらず支払調書の提出が行われています。

個人年金を受け取っている場合には確定申告を忘れずに個人年金を受け取っている場合には、確定申告を行っていないと税務署から連絡が入る場合がありますので受け取っている間は申告を忘れないようにしましょう。

個人年金保険の受け取り金額以外の所得も合わせて20万円であることに注意

ただし公的年金などの収入が400万円以下で、公的年金などに係る雑所得以外の所得が20万円以下の場合は確定申告しなくて良いようになっています。 逆にいうと、個人年金保険の受け取り以外の所得があって、その所得が20万円以上ある場合は、確定申告をして不足分の税金を納める必要がでてくる場合があるので、注意が必要です。

個人年金保険を受け取っていても確定申告が不要な人の特徴

個人年金保険を受け取っていても、雑所得の確定申告が必要のない方もいます。具体的には、年末調整を行っているサラリーマンの方や、専業主婦など、所得が38万円の配偶者控除額以下の方がこれに該当します。

年末調整をされているサラリーマンで、雑所得が20万以下の方

個人年金保険を受け取っていても雑所得の確定申告が必要ないのは、継続して安定した給与所得のあり年末調整をされた人、つまりこれにはサラリーマンが該当します。雑所得とは別に生計のもとになるような安定した給与所得という収入があり、その収入が年末調整をされている場合で雑所得が20万円以下の場合は確定申告しなくても問題ありません。

専業主婦など、所得が38万円の配偶者控除額以下の方

さらに、専業主婦の場合配偶者特別控除がありますので、1年の所得が38万円までであれば確定申告は不要です。


ただし配偶者控除は今後なくなる可能性もあるので、専業主婦で雑所得がある場合でも確定申告が必要になるときが来るかもしれません。38万円以上の所得があると、配偶者の受けられる控除が配偶者控除から配偶者特別控除となり控除額が減ってしまうこともあります。


ちなみに配偶者特別控除は76万円までですので、それ以上稼ぐと配偶者控除が受けられません。とは言うもののその分稼いだほうがお得という話もあります。会社によっては家族手当などの制度があり、その条件が配偶者控除と足並みをそろえている場合があります。それらの制度も確認しながら損にならないように収入額を調整していくようにしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。契約者と受取人が一致している場合は受け取る年金を雑所得として考えて、一致していない場合は贈与税がカウントされるということでした。また、雑所得にかかる所得税についてもサラリーマンや専業主婦などで、確定申告の必要がないケースもあることがわかりましたね。自分は確定申告の必要があるのか。また、ある場合はいくらかかるのかが分かったかと思います。しっかりと理解して、損をしないよう、また申告漏れがないようにしたいですね。


この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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