個人年金保険を解約した場合、解約返戻金の税金の負担はどうなるのか

個人年金保険の解約返戻金には条件を満たした場合、税金がかかります。また、本人が受け取るかどうかで税金の種類が異なり、契約の内容によっては金融類似商品と扱われ、課税方法が変わります。さらに個人年金保険料が所得控除の対象の場合、解約後は税金が増える場合もあります。

個人年金保険の解約返戻金を本人が受け取る場合の税金

多くの場合、保険料負担者と解約返戻金の受取人は一致していると思われます。個人年金保険は、「契約時に定めた一定の年齢に到達すると年金が支払われる」という契約内容の民間年金保険です。このような商品の性質上、契約期間が長期間のため、途中で解約するということも起こりえます。そうすると解約返戻金が発生するのですが、保険料負担者と解約返戻金の受取人は一致している場合、この解約返戻金が収入とみなされ税金が課せられることになります。

解約返戻金の受取人が保険料負担者本人の場合は一時所得扱い

個人年金保険を解約し、その解約返戻金を本人が受け取る場合は、一時所得として所得税の対象です。原理的には、契約者が個人年金保険契約に基づいて保険料を支払い、保険会社がそれを運用し、利益を上乗せして契約者に返還するのが個人年金の仕組みです。本人が支払った以上の利益を得たのであれば、それは所得税の対象となるのです。

実際は解約返戻金が一時所得として税金がかかることはほとんどない

個人年金保険を解約しても、実際にはそれほど多くの返戻金は戻ってきません。保険会社は保険料から運営コストを差し引きますし、短期間では運用益もでないからです。一時所得の税金は、まず、解約返戻金(収入)から支払ってきた保険料(経費)を差し引きます。これがプラスでなければ、税金はかかりません。これがプラスでも、この金額から特別控除の50万円を引き、更にそれを二分の一した額が課税額となります。


つまり、まとめると、個人年金保険の解約返戻金の一時所得は、

(解約返戻金 - 保険料総支払額 - 50万)* 1/2 = 一時所得

と計算されます。


  1. 返戻率が100%を超えないと、税金はかからない
  2. 解約返戻金 - 保険料総支払額がプラスであっても、50万以上のプラスの場合以外は、税金はかからない

個人年金保険は中途解約の場合で、返戻率が100%超えることは多くはないので、多くの場合、一時所得として税金がかかることはありませんので、安心してください。


しかし、確定個人年金保険を5年以内に解約した場合は、金融類似商品とみなされ、源泉徴収課税をされます。詳しくは、この記事の後半で説明しますので、そちらを参照してください。

個人年金保険解約返戻金を保険料負担者本人以外が受け取る場合の税金

個人年金保険の契約者と受取人が別である場合もあります。例えば、収入の多い夫が、収入の少ない妻の老後のために個人年金保険を契約しているような場合です。このような場合に解約して、その解約返戻金を妻(契約者本人以外)が受け取った場合、今度はその人が収入を得たことになり、税金の対象となります。

保険料負担者と受取人が異なる場合は贈与税

個人年金保険を解約してその返戻金が発生し、それを本人以外が受け取った場合、この受取人は何一つ出費をしてはいません。契約者が契約期間に支払った保険料を、受取人が、解約返戻金という「プレゼント」でもらったような形になります。つまり、個人年金保険契約者から受取人に解約返戻金相当の贈与があったとして、贈与税の対象となるのです。

保険料負担者と受取人が異なる場合は税金がかかることが多い

一般に、贈与とは、もらう側がほとんど何も負担しないのにたまたま手にする収入とされます。そのため、税金としてはあまり控除枠が大きくありません。贈与税の基礎控除額は110万円です。この金額を超えると税金の対象となります。同じ個人年金保険を解約して、解約返戻金の金額が同じであっても、本人が受け取る場合の所得税よりも、多くの税金を支払うこともあります。


税金

個人年金保険の解約で普段の税金が増える可能性に注意

個人年金保険の保険料も所得税の生命保険料控除の対象です。保険料の払い込み期間が10年以上あるなど一定の条件を満たしていれば、一般の生命保険料と別枠で個人保険年金料控除が受けられます。そのため、支払った保険料にかかる税金が節税できます。ところが、個人年金保険を解約してしまうと、生命保険料控除に該当する所得控除がなくなってしまいます。そして、支払う税金の額が増えることになってしまいます。

平成23年以前の契約の場合

契約時期が平成23年以前の個人年金保険については、所得控除は5万円まで認められています。年間10万円以上保険料を支払っている場合に5万円の控除が認められます。もし所得税の税率が20%だとすると5万円×20%で1万円の税金がお得になっているわけです。もし、個人年金保険を解約すると、この生命保険料控除枠を利用できなくなり、毎年の税金が増えることになります。

平成24年以後の契約の場合

契約期間が平成24年以降の契約については、所得控除の上限は4万円です(この年から、生命保険料控除に「介護医療保険料控除」が加わったため、従来の控除枠が少し小さくなりました)。平成23年以前の契約でも、契約内容を平成24年以降に変更した場合はこちらの控除枠に該当します。少し減りましたが、それでも所得税を節税する効果はあります。個人年金保険を解約すると、この分の税金の額が増えることになります。

金融類似商品とみなされる可能性も要注意

一般に、保険は金融商品ではありません。死亡や病気、あるいは老後資金がかさむ等のリスクに備えるためのものだからです。しかし、養老保険や個人年金保険など貯蓄性の高い保険では、その境目が微妙になることもあります。これらの保険が一定の条件に当てはまる場合は、金融商品に類似したものとして税金が課せられます。

個人年金保険が金融類似商品とされる場合とは?

金融類似商品とみなされる恐れがあるのは、「一時払い」で、「有期年金」や「確定年金」で受け取るタイプの個人年金保険を「5年以内」で解約する場合です。逆に言えば、これらに当てはまらなければ金融類似商品とはみなされません。保険料が月払いや年払いである場合や、一時払いであっても終身年金である場合は該当しません。

金融類似商品とみなされた場合、源泉分離課税となります

金融類似商品として取り扱われた場合、税金は利子所得同様に20%となります(内訳は所得税15%、住民税5%、復興特別所得税を含める場合にはと20.315%)。保険会社から受け取る前に源泉分離課税で徴収されます。銀行などに預けていた預貯金の利子が既に税金を差し引かれているのと同じです。

まとめ

個人年金保険を解約し、解約返戻金を受け取ったときの税金には、本人が受け取った場合の所得税、本人以外が受け取った場合の贈与税、金融類似商品とみなされた場合の所得税などのパターンがあります。解約返戻金にかかる税金だけでなく、いままで生命保険料控除のために節税できていた税金を、今後ずっと払っていくという負担も考えなくてはなりません。

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