その差3.1倍!介護保険料の高い地域と低い地域。何が起きてるの?

近年、介護保険料は国全体で上昇しています。高齢化の進展で要介護者の数が急増しているためです。また被保険者が支払う介護保険料の高い地域と低い地域の格差も拡がっています。介護保険料の高い地域では何が起きているのか、どのような対策が必要か考えてゆきます。

年々高くなっている介護保険料についての情報まとめ

介護保険料が年々高くなってる・・・そんな風に感じている人も多いのではないでしょうか。

平成12年に開始された公的介護保険制度ですが、介護保険サービスの利用者増加に伴い、被保険者が支払う保険料も徐々に高い水準になってきております。介護保険料の改定ごとに、65歳以上の高齢者が支払う介護保険料を増額する自治体が多くなっています。


開始当初は全国平均で2911円でしたが、近年では6000円以上になっている地域もあります。制度開始から10数年で大幅に値上がりしていると言えるでしょう。

介護保険料は高いのか安いのか?

介護が必要な状態となり、要介護認定を受け、介護サービスや介護予防サービスを受けるとき、利用者は1割から2割の自己負担額を事業者に支払います。残りの9割または8割は介護保険から事業者に支払います。その介護保険費用は50%を公費が、残り50%を介護保険の被保険者が介護保険料として支払っています。

40歳以上65歳未満の人(第2号被保険者)は、健康保険料と同時に介護保険料を支払います。65歳以上(第1号被保険者)の場合は年金から自動的に差引、もしくは個別に市区町村に納入します。


高齢化が進み、介護サービスを必要とする人数も増えていることから、介護保険料が高いのもやむ得ないことであるとはわかっていながらも、例えば年金生活者の場合、毎月5000円や6000円も引かれてしまうと、生活に影響がでてしまうのではないでしょうか。


実際、基礎年金の平均受給額は5万円程度です。5000円以上の介護保険料に加え、75歳以上であれば後期高齢者医療制度の保険料も天引きされています。5万円の年金から数千円から1万円以上も保険料が天引きされ、さらに消費税も増税が予定されています。このままこうした傾向が続けば、高齢者が安心して生活できるための医療福祉制度が反対に高齢者の生活を圧迫するという皮肉な結果になってしまいます。



介護保険料が高くなっている理由

介護保険料が高くなっている理由は何でしょうか?

介護保険財政を考えると、収入は以下の2点です。


一つは先程も述べましたが、介護保険制度の財源は公費から50%、残り50%を被保険者が支払う介護保険料で賄っています。さらに公費の50%については、国が25%・都道府県が12.5%・市区町村が12.5%をそれぞれの税収から負担しております。


もう一つは保険料は収入によって金額はさまざまですが、40歳になるとすべての国民が負担する仕組みとなっております。40歳以上の高い年齢層の人口が多ければ多いほど収入は増えることになります。


支出は大きな要因としては一つです。そしてとても大きな影響を持ちます。


それは、高齢者の数が多ければ、収入も増えることになるのですが、一方で介護サービスを利用する人が増えるということです。特に要介護認定者の数が多かったり、介護施設で生活を送る人の割合が高い自治体では、介護保険料も高い状態になりやすくなります。

介護保険料は市区町村によって違います、最も高いのは?

ちなみに介護保険料の高い市町村は以下の通りです。

順位自治体保険料
1奈良県天川村8686円
2福島県飯舘村8003円
3奈良県黒滝村7800円
3岡山県美咲町7800円
5福島県双葉町7528円

奈良県天川村については、保険料が高い原因について、病気やケガなどで施設へ入所する人が急激に増えたことや、基金が底をついたことなどによると説明しております。もともと人口の少ない地域の場合では、こうした影響が大きく保険料に影響します。


福島県飯館村・双葉町については、帰宅困難地域に住んでいた人などには保険料や自己負担分の減免の特例が今のところありますが、特例措置が終了したときには介護保険料を支払えない人が増えるのではと懸念する声があります。


介護保険料の低い自治体は以下の通りです。

順位自治体保険料
1鹿児島県三島村2800円
2北海道音威子府村3000円
3北海道中札内村3100円
4福島県檜枝岐村3340円
5北海道興部町3500円

介護保険料はほとんどの自治体で上がっている

前回2015年の介護保険料の改定時には、およそ9割の自治体で介護保険料が上昇しました。据置又は減額となったのはわずか1割で、国全体で高齢化が進んでおり、介護サービスの利用が、介護保険料収入を上回っている様子が伺えます。

増加額もその前の改定が行われた2012年から3年前から1000円を超える自治体もあり高齢化のスピードも上がってきているのかもしれません。

介護保険料が最も高い自治体と、最も低い自治体の地域格差は最高で3.1倍

介護保険料の自治体による差も生まれてきております。

都道府県別の平均でみると、一番低いのは埼玉県の4835円。反対に高いのは沖縄県の6267円です。


市区町村別でみるとその差はさらに大きくなります。保険料基準額が最も高いのは、奈良県天川村の8686円、反対に低いのは、鹿児島県三島村で2800円。高い市町村と低い市町村の差は約3.1倍と地域格差は大きくなっています。

介護保険料の上昇にストップをかけるための3つの選択肢

このように介護保険料は上昇が続いており、このまま続けば介護保険制度が崩壊する危険性もあります。どうすれば介護保険料の上昇にストップをかけることができるのでしょうか?

ここでは3つの対策について考えてみます。

  1. 公費の割合を増加させる
  2. 介護保険の対象となるサービスを縮小する
  3. 自己負担額を引き上げる

公費の割合を増加させる

公費の割合は、現在介護保険財政の50%を負担しています。

そのうち国が25%・都道府県と市町村がそれぞれ12.5%づつです。


国の財政状況や、今後の社会保障費の増大を考えると負担を増やすということは現実的には考えにくいかもしれません。仮に割合を増やしたとしても税収の伸びで賄える範囲を超えると、借金として残ります。すなわち高齢者の介護のための財源を将来の世代に負担させることとなります。

介護保険の対象となるサービスを縮小させる

介護保険制度が始まってからの推移を見ていると、介護保険サービスの利用が増えているのは、介護度の高い層というより、比較的介護度の低い層というデータが得られています。介護度1~2、要支援1~2の層です。

この層については、サービスを縮小しても、介護度の高い層に比べると実際の影響は少なく抑えられると考えられており、軽度要介護者へのサービス見直しが進んでおります。


例えば特別養護老人ホームへの入所基準は要介護3以上となったり、要支援1~2については地域支援事業への移行が進んでおります。こうした流れは今後も続くものと考えられます。


自己負担額を引き上げる

自己負担額の引き上げについては、従来1割負担が原則でしたが、年金収入が280万円以上などの条件の人は、負担割合が2割に上がっております。今年の介護報酬改定においても、さらに高い3割負担となる条件が示されるとの情報があります。収入に応じた自己負担増というのは、致し方ない措置と言えるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

介護保険料は年々上がっており、年金生活者にとって高い介護保険料が生活を圧迫し始めております。一部地域では制度の存続が危ぶまれるような水準に近付いております。本当に必要なサービスを適正に提供しているのか、また介護が必要な状態にならないようどのような取り組みが必要なのかなど、行政だけでなく地域や事業者も含めて真剣に考えてゆかねばなりません。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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