住んでいる地域によって違う介護保険料。全国平均はどれくらい?

高齢化が進むにつれ介護保険料も上昇しており、保険料の全国平均も制度見直しの度に過去最高額となっています。現在の保険料全国平均額は介護保険制度開始時と比べ2倍近くに膨れ上がっています。これからの介護保険料はどのように増えていくのかを解説します。

介護保険料の全国平均はどのくらいなのか

介護保険料は3年ごとに「保険者」である市区町村によって「介護事業計画」に基づいて見直されており、全国平均ではおよそ5300円~5500円ぐらいとなっています。
これは65歳以上の第1号被保険者に課せられる保険料で、40歳~64歳の第2被保険者の保険料は、毎年国が一人当たり平均していくら負担するかを定めています。そして介護保険料を医療保険料と一緒に徴収します。
この第2被保険者の介護保険料の全国平均もおよそ5300円となっています。

2015年時点での介護保険料の全国平均

2015年時点の介護保険料は全国平均5514円です。前回の事業計画期間の2012~2014年度の全国平均は4972円だったことと比べてみると、10.9%の増加になっています。
そして団塊世代が後期高齢者となり、国民の4人に一人が高齢者となる10年後の2025年の全国平均は8200円ほどと推計されています。

このように、介護保険料の全国平均額を見てみると、保険料見直し毎の上昇率も高く、将来的には保険料1万円時代がやってくるのではと懸念されています。

介護保険料の全国平均の傾向

介護保険開始時の2000年には、介護保険料の全国平均は2911円でした。前会期では全国平均は4972円でしたが、今期の2015年以降からついに介護保険料が5000円台を突破してしまいました。
このことから、介護保険料が見直されるたびに保険料の全国平均は値上がりする一方であることが分かります。
そして来年度の介護保険料の見込額が明らかになり、なんと全国平均額は5500円を超えると見込まれています。もちろん過去最高の保険料となります。

これからも高齢者世代が増え続け、介護費用の増大により介護保険料は上昇し続ける傾向にあります。

介護保険料は増加傾向にある

急激に高齢化社会が進み、介護保険の費用は増大の一途を辿っています。そのため介護保険料も増加する一方です。

財務省はこの介護保険制度の均衡を保つため、介護報酬の引き下げや一部利用者の自己負担額を1割から2割へと引き上げるなどの対策を取ってきました。
高齢者が増えることにより、介護や医療にかかる費用はどんどん膨れ上がり、私たちが現在負担している税金や保険料だけでは間に合わなくなっているのです。
そこで新しく財源を補うため、2017年に介護保険制度が改正された内容では、まずは介護サービスの自己負担額2割負担者のうち、特に収入が高い人は負担割合を3割へと引き上げられました。
そして納める保険料に影響がある人は、第2被保険者でその収入によって保険料が増額されることになりました。しかし収入が少ないからと言って保険料が減らされるという訳でもなく、給料や報酬に比例して負担が増えていくというものです。

介護保険料は高齢化と共に増加し続ける

今後の日本も高齢化は進んでいきます。2025年には、人数の最も多い団塊世代が後期高齢者となり、介護が必要な高齢者が一気に増えると言われています。
介護保険制度がこのままいくと、2025年の介護保険料の全国平均はおよそ8000円を超えると予想されています。

介護保険料を支える世代への保険料負担はこれからますます増えていきます。

介護保険料には地域差がある

介護保険料は自治体によって高齢者数や要介護者数、そして介護サービスの費用が違うので保険料に地域差が生まれます。介護が必要な高齢者が多い自治体に住んでいる人の保険料は高くなり、介護費用の少ない自治体では保険料は安くなるということです。

地域差は最大3.1倍にもなる

現在介護保険料の全国平均は5514円で、最も高い地域は奈良県の天川村で8686円、最も低い地域は鹿児島県の三島村で2800円となっています。その差は6000円で地域差は3.1倍となります。

この最も保険料が高い奈良県天川村は、人工1600人のうち、65歳以上の人口が4割を超え、介護施設に入所している高齢者も多いのです。さらに前期に財政安定化基金から1800万円を借り入れたことにより、その返済も重なり保険料が増加してしまったのです。
そして最も保険料が低い鹿児島県三島村は3つの島からなる小さな村で、人口はわずか400人です。この村の人口もほぼ高齢者が占めていますが、みんなが元気に島暮らしを続けたいと健康維持に努めているとのことです。そのおかげか提供する介護サービスも少なく済み、保険料が抑えられているのです。
この三島村の介護保険料は、介護保険開始時の全国平均2911円とさほど変わらない保険料を維持しています。

イメージとしては、高齢者が多い地域では介護費用がかかり、保険料も上がると思われがちです。

しかし、このように介護予防などに取り組むことによって介護が必要ない、または利用する介護サービスを最小限にすることで介護保険料を抑えることが出来るのです。

このまま闇雲に介護保険料が上昇していくのをただ見ているのではなく、自治体や地域が一丸となって高齢者の健康維持に努め、保険料について考えていくことも大切なことです。


このまま介護保険料の増加が進むと

介護保険制度は3年ごとに見直され、その度に介護保険料は増加しています。現在の保険料全国平均5514円は制度開始時の全国平均2911円と比べるとおよそ2倍近い額となっています。

しかし、高齢者の増加に介護費用が追い付かず、公費で賄うにも限界が見えてきました。そこで次期の2018年度の制度改正ではこの不足分を補うため、あることが見直されることとなりました。


まずは介護サービス利用者の負担額の見直しです。現在費用の一部自己負担している割合を引き上げ、財政確保を図る考えです。

そして注目すべきは保険料の支払い年齢の引き下げです。今は40歳以上の人が支払っている介護保険料ですが、さらなる保険料の増加やこれから現役世代が大幅に減少し財源が確保できなくなることへの対処として、保険料支払いの対象を30代や20代にまで引き下げることが論点にもなっています。

今まで介護保険を他人事として考えていた30代の若者たちも、保険制度を支える側に回ることになるかもしれないのです。

公費負担が増えれば将来世代への負担が増えていく

介護保険では、保険給付額の50%は公費(税金)で賄われており、残りの50%は40歳以上の国民が介護保険料として負担しています。


しかし、要介護認定率の増加やそれに伴う介護サービスの増大によって、介護保険事業計画で見込んだ保険給付額の金額を上回る場合(資金不足による赤字の発生です。)、県が管理している「介護保険財政安定化基金」から貸し付けを受けることになります。この借入金は次の計画期間の3年間で償還しなければならず、そのための費用は介護保険料へ上乗せされてしまいます。

このようなことが続くと、介護保険を支える次世代への負担が増えていくばかりとなります。

まとめ

人口の多い団塊世代が後期高齢者になり始める2020年代には、介護費用はさらに増えることになります。今現在30代以下の若い人たちにとって、介護保険料は生活に特に関わりがないのでまだ先のことだと思うかもしれません。

しかし、さほど遠くない未来に、この増加し続ける介護保険料への壁に当たることとなります。今からでも、将来のために「介護保険制度」について調べておくことは、なにも早すぎるということはありません。 

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