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その区分変更をする前に、必ず知っておくべき介護保険上のルール

介護保険認定を受けている方の状態が変化したときには、区分変更申請を行うことで要介護度を見直すことができます。この記事では、介護保険における区分変更申請の具体的な方法とルールについて詳しくお伝えします。絶対に注意しておくべきことも見逃さないでくださいね。

介護保険の要介護・要支援認定の区分変更に関する情報まとめ

介護保険の要介護・要支援認定を受けているが、前回調査のときと比べて状態がずいぶん変わってしまった。

そんなときには、次の更新時期を待たずに「区分変更申請」を行うことで、介護度を変えられる可能性があります。


この「介護保険区分変更申請」のシステムと、実施時の注意点についてお伝えします。


介護保険の要介護・要支援認定の区分変更申請とは

介護保険サービスは、介護度によって受けられるサービスの種類や上限額が異なります。

よって、介護保険の区分変更申請は


「状態が変わって必要な介護量が増えた(減った)から、それに見合ったサービスを使いたい」


という意図で実施されるのが本来の姿です。



でも実際は、区分変更の動機はそれだけではありません。


まずは、よくある区分変更の「本当の」動機ベスト3をお伝えします。



  • 1位:状態が悪化して介護量が増えた



区分変更の本来の使い方ですね。


最も多いのは、骨折などにより早急に介護保険サービスを増やす必要がある場合。


またケガや病気でなくても、認定期間中に少しずつ機能低下することも多くあります。


急に認知症が進んで目が離せなくなった、というのもよくあるパターンです。



  • 2位:更新で介護度が下がってしまった

区分変更の、もはや公然ともいえる裏技的使い方です。


介護保険の更新をしたら要介護2から要介護1になってしまった。


このままじゃ介護保険サービスを減らさなきゃいけないけど、それは困る。


というような状況です。



認定結果が不服であったとき、本来は「不服申し立て」の審査請求をする必要があります。


煩雑な手続きを経て、決定した介護度を取り消してもらわなければなりません。


しかしこの不服申し立ては、なんと結果が出るのに3ヶ月以上を要します。


一方で区分変更の結果が出るののは、原則として1ヶ月以内。


悠長に待ってはいられないため、ほとんどの方は迷わず区分変更を選びます



  • 3位:状態が改善した/更新申請で重くなってしまったから元に戻してほしい

介護度を軽くしてほしい」という区分変更もときどきあります。



介護度は、とにかく高けりゃいいってものでもありません。


要介護の方なら介護度が上がるとデイサービスなどの1回の単価が上がってしまいます。


不当に高い介護度のために、ムダなお金を払いたくはないですよね。



また要支援1と要支援2はサービスのほとんどが1ヶ月単位の定額制です。


これはデイサービスやヘルパーを何回使っても同じ料金ということ。


(ただしサービスを提供する側が許す限りの範囲です)


つまり要支援1→2になってしまうと、もともと少ししかサービスを使うつもりがない方にとっては大幅な損失になってしまうのです。  


介護保険の要介護・要支援認定の区分変更申請に必要なもの

介護保険の区分変更申請に持参するものです。

要介護認定・要支援認定等申請書(区分変更)


申請書は窓口にあるので持っていかなくても良いのですが、事前にダウンロードも可能です。



介護保険被保険者証


もし紛失しているときには窓口でその旨を伝えましょう。



医療保険被保険者証のコピー(第2号被保険者のみ)


第2号被保険者とは40歳から64歳までの方のことです。



マイナンバーカードまたはマイナンバーが分かる書類


介護保険の申請書にはマイナンバーを書く欄があります。


しかし、もし分からない場合でも他に問題がなければ受理されることが多いでしょう。



身分証明書


マイナンバーカードそのものがあれば、それが身分証明書にもなります。


ない場合は運転免許証・パスポート・身体障害者手帳など写真入りのものが望ましいでしょう。 


写真なし(健康保険証など)なら2点必要な場合もあります。



本人以外の代理人が提出する場合は、さらに以下のものが必要です。



委任状


書式は問いません。


自治体によっては不要な場合もあります。



代理人の身分証明書


やはり運転免許証など写真入りのものがベターです。



印鑑


代理人が申請するときには、押印が必要な場合があります。


本人のものと代理人のもの、両方用意しましょう。


次に、区分変更申請までに調べておくことや決めておくことです。 



主治医の氏名(できればフルネーム)・診療科


主治医の診察を受けている医療機関の名称・所在地・電話番号


特定疾病名(第2号被保険者のみ)


区分変更の理由


大体の認定調査の希望日


※その他に、主治医の最終診察日や入院・施設入所歴を書く場合もあります。


介護保険の区分変更の認定有効期間

区分変更申請で認定された介護度の有効期間は、標準として6ヶ月間。

しかし認定審査会(介護度を最終決定する会議)の判断で、3ヶ月~12ヶ月まで設定可能です。


月途中の申請であった場合は、その月の月末までの期間+有効期間となります。 


認定有効期間の開始日

介護保険の区分変更の場合、基本的には有効期間の開始日は申請日です。

つまり介護度が上がる予定の区分変更なら、申請書を出したその日からサービスを増やすことも可能です。


しかしその結果として介護度が上がらなかったら、超過分は全額自己負担になりますのでくれぐれもご注意ください。


また郵送申請の場合は、「申請日=ポストに投函した日」となる自治体と「申請日=役所に届いた日」となる自治体があります。


郵送で記入ミスがあれば、さらに時間をロスします。


特に急ぎである場合は直接窓口に行くことをおすすめします。


介護保険の区分変更申請の結果対処法

介護保険の区分変更申請結果を受けて、市区町村はどのような対処を行うのでしょうか。

特に、あり得ないとは言い切れない「不本意な結果」が出た場合について考えてみましょう。




変更申請が却下される場合

区分変更申請が「却下」という形になるのは以下の場合です。

  • 元の認定の要介護(要支援)状態区分から変更がないと判定された場合
  • 非該当(自立)と判定された場合
  • 要介護者からの状態の重度化等を申請理由とする変更申請で、要支援と判定された場合
  • 要支援者からの状態の軽度化を申請理由とする変更申請で、要介護と判定された場合

更新申請受付期間に変更申請した場合

要介護2の方が更新申請受付期間(期限日の60日前〜期限日)に、介護度を上げる目的で区分変更申請をした場合について考えてみましょう。

  • 結果:要介護2(変わらず)

区分変更申請は却下となります。


しかしこの新しい「要介護2」を次の更新申請の結果とみなして、有効期限の翌日から次の有効期間をスタートさせます。


これを「みなし更新」といいます。


  • 結果:要支援2

恐ろしいことですが、むしろ結果が下がってしまった。


しかも要介護/要支援の壁を越えてしまっている。


このときも却下という形になります。



この場合は「要支援2」を新規申請の結果として、有効期限の翌日から次の有効期間をスタートさせます。


要支援者からの軽くしたい区分変更申請で要介護と判定された場合も同様となります。


※ただし、この対処は自治体によって異なる場合もあります。



  • 結果:要介護1

下がってはいますが「要介護内の区分で変更された」ので却下とはなりません


「おっしゃる通り区分変更したでしょ?文句ある?」って感じですかね… 


通常の区分変更と同じく、申請日から結果が有効となります



この場合は今までのサービスを継続中でしょうから、結果を知った時点ですでに10割負担が発生している可能性が高いのです。


ある意味これが一番始末が悪いといえます。



さて、ここからは更新申請受付期間でないときに区分変更申請した場合を考えていきます。


元の認定の要介護(要支援)状態区分から変更がないと判定された場合

サービスが足りないから増やすために区分変更申請したのに、

「あなたは今のままが適切なサービス量ですよ」


と判断されてしまったような場合ですね。


申請は却下という形になり、介護度も認定期間もそれまでのものが持ち越されます。



要介護者からの状態の重度化等を申請理由とする変更申請で、要支援と判定された場合

サービスが足りないから増やすために区分変更申請したのに、


「あなたは今でも使いすぎ!要支援で十分じゃないですか」


と言われているということですね。



例としては要介護1から上げようとして要支援2になったような場合です。



これは前出の通り却下なのですが、その後の対処は市区町村により以下の3つに分かれます。



⑴却下なのでこの申請自体をなかったことにする


介護度は今までの要介護1を持ち越し、認定期間も今まで通りとする。



⑵区分変更申請だから、要支援2という結果を申請時までさかのぼって適用させる


認定期間はそこからスタートとする。



⑶却下とし、保険者の職権により要支援2という決定が下ったその日からの適用とする


認定期間はそこからスタートとする。



なぜこんなにも市区町村によって対処法が異なるのでしょう。


それは国が決めた介護保険法について、各保険者(市区町村)ごとに解釈が異なるからです。



ただし、そもそもこういった状況におちいること自体がかなり珍しいのです。


市区町村の担当職員ですら、「どう対処するべきなのか知らない」ということが多いでしょう。


中には「うちでは絶対にそういう状況にしないため、二次判定で結果を調整している」


という自治体もあるくらいです。


要支援者からの状態の軽度化を申請理由とする変更申請で、要介護と判定された場合

これは逆のパターンですが、結局は同じことです。

申請自体をなかったことにするか、


結果の適用を申請時までさかのぼらせるか、


決定時から適用とするか。 


各自治体により判断は異なるのです。


更新認定の結果が出た後に変更申請する場合

更新したら介護度が下がった、まずい!と区分変更する人はとても多いもの。

この時点でまだ認定期間が満了していなかったら、すぐに区分変更申請をすれば、先に届いた結果は無効となります。



要介護1の人が更新で要支援2になり、区分変更したときのことを考えてみましょう。


その変更結果で市区町村の対処は異なります。



  • 結果:要介護2

もともとの介護度である要介護1からの区分変更が認められた形となります。


適用は申請日にさかのぼります



  • 結果:要介護1

望み通りなのですが、形としてはもともとの要介護1からの変更が却下されたことになります。


前出の「みなし更新」となり、適用は期限日の翌日からとなります。



  • 結果:要支援2

要介護/要支援の壁を越えたので却下という形になります。


適用は期限日の翌日からとなる場合が多いでしょう。 


まとめ

今回はかなり難しいお話をしました。

恐らくそこらのケアマネジャーにも把握できていないことです。


ただ、これだけは覚えておいてください。



「安易な区分変更は、リスクが高すぎる」



区分変更の失敗はそれを許した、もしくは理解できなかったケアマネジャーの責任ともいえます。 



最後に、元認定調査員から「区分変更の認定調査を受ける際のコツ」をお伝えします。


ご参考にしてください。



・区分変更の目的を明確にする。 


・絶対に家族とケアマネジャーが立ち会う。 


・できれば担当ケアマネジャーだけではなく、認定調査に慣れたベテランケアマネジャーを連れてきてもらう。 


・調査一週間前から家族が献身的に世話をする。背中を流す、爪を切る、着替えを手伝う等。


・家族は「さあ、普段会わないのでよく分かりません」は厳禁!堂々と断言する。


・「区分変更に失敗したら一家が崩壊する」と泣き落とす。調査員も人間です。


・主治医に根回しをしておく。



他にも数えきれないほどあるのですが、今回はこの辺で…。 


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