更新日:2018/01/21
うっかり忘れに注意!介護保険の要介護認定の更新はご存知ですか?
介護保険の要介護認定には有効期限があります。更新申請の際は、新規認定と同じような手続きが必要です。更新を忘れた場合、介護保険サービスを受けることができなくなります。ここでは介護保険の要介護認定についての更新手続きの流れや必要書類を解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
介護保険の要介護認定・要支援認定の更新に関する情報まとめ
介護保険は40歳以上の方は全員が加入するサービスで、申込手続きもなければ更新手続きもありません。
ただし要介護認定については有効期限があります。当初認定調査で認定された介護が適当であるか、現在の被保険者の状態はどの様になっているのかを定期的に確認する仕組みとなっています。
確かに有効期限の間に心身の状態が変化してしまうということは充分考えられます。そのままの介護度のままでは必要なサービスが十分に受けられなくなってしまう恐れがあります。
そのために有効期限を設けて定期的に更新をする仕組みとなっています。
サービスは使っていないとか、ケアマネジャーに任せておけば大丈夫と思っている人は、ご注意ください。もし忘れてしまうと面倒な手続きが増えることになりますので、手続きの流れやタイムスケジュールをよく覚えておいてください。
要介護認定の有効期間
介護保険の被保険者が介護が必要な状態になったとき、お住いの市区町村に要介護認定を申請しますが、その要介護認定の有効期間は、新規の認定で6ヶ月、更新の認定で3~24ヶ月となっています。
詳しくは介護保険証をご確認ください。介護保険証の2ページ目の上から3段目に有効期限が記載されています。また2ページ目の下の段にも認定審査会の意見及びサービスの種類の指定欄があり認定の有効期限が短縮または延長された場合のコメントが記載されています。
引き続き介護サービスを利用したい場合は、認定の更新申請が必要です。
要介護認定の申請から認定までに約30日かかる
更新の手続きだから、すぐできるだろうと考える方も多いと思いますが、そうではありません。
更新の手続きは新規認定申請と同様の認定手続きが行われますので、申請から認定までに約30日かかります。そのため早めに更新申請の手続きをすることをお勧めします。
更新申請は認定有効期間満了の60日前まら申請可能
更新申請は、認定有効期間満了の60日前から申請できます。早めに書類を準備しておく方がよいですね。
介護保険の要介護認定・要支援認定の更新の流れ
更新申請についても基本的な流れは新規申請と同様です。
①認定申請 ②訪問調査 ③審査(一次判定・二次判定) ④認定となります。
①認定申請
要介護認定を受けるには、まず居住する市区町村へ申請を行います。
申請窓口は各市町村によって異なりますが、介護保険課等の名称が一般的です。窓口がわからない場合は、総合案内で手続き内容をお伝えすれば案内してもらえます。
申請は本人または家族が申請しますが、指定居宅介護支援事業者や介護保険施設の介護支援専門員による代行申請も可能です。市区町村の窓口に必要書類を添えて提出します。
提出をしたら介護保険資格者証を受け取ってください。申請時に提出した被保険者証は、認定結果が出るまでは市区町村に預けたままになります。その間に被保険者証が必要となったとき、被保険者証の代わりに介護保険資格者証を提示します。
②訪問調査
申請書類の受付が完了すると、調査員による訪問調査が行われます。聞き取りにより現在の生活状況の確認が行われ、どの程度の介護が必要かに関する情報が集められます。調査員は市区町村の担当職員、あるいは委託を受けたケアマネージャーが行います。
また訪問調査に加え、主治医への意見書作成が依頼されます。ここで申請者本人の心身の状態が確認されます。主治医がいない場合は市区町村から指定された医療機関で診断を受ける必要があります。
③審査
第一次判定としてコンピュータによる必要な介護サービス時間が算定されます。申請や訪問調査等のデータをもとにどのくらいの介護が必要であるかを計算します。その後、第二次判定として介護認定審査会において、介護の要不要、および要介護状態の判定が行われます。審査会は医療・福祉・保健に関する有識者によって構成される組織です。
④認定
介護認定審査会の結果、以下いずれかの区分によって通知が届きます。
- 非該当(自立)
- 要支援(1~2)
- 要介護(1~5)
この通知結果により、受けられるサービスが異なります。この結果に不満がある場合は、都道府県の介護認定審査会へ再考を申し立てることも可能です。
介護保険の要介護認定・要支援認定の更新に必要なもの
- 要介護認定・要支援認定等申請書(更新)
- 認定調査事前確認書
- 介護保険被保険者証
- 医療保険被保険者証(第2号被保険者(40歳から64歳まで)の方のみ)
- 本人確認資料(使者として家族が申請する場合も含む)
介護保険の要介護認定更新申請が期限切れしてしまった場合の対処法
有効期限の更新申請を忘れた場合、当然ですが介護保険のサービスを利用することができなくなってしまいます。もし期限までに更新を行わなかった場合は、また新たに新規取得の手続きが必要となります。いままで利用していたケアプランは利用できなくなり、暫定的なケアプランで対応することになります。
ただその場合、今までの介護度に比べて介護度が低くでる場合もあります。介護保険の限度を超過してしまうと自己負担額が大きくなります。
そのため暫定のケアプランでは必要最小限のサービスで利用しておかなければなりません。更新を忘れると大変ですね。
介護保険の要介護認定・要支援認定の更新前に調べておくべきこと
- 本人の所在地(施設の名称、郵便番号、所在地、電話番号など)*認定調査を受ける場所
- 主治医の氏名(フルネーム)、診療科
- 医療機関の名称、郵便番号、所在地、電話番号、最終診療日
- 特定疾病名(第2号被保険者(40歳から64歳までの方)のみ)
第二号被保険者の場合、厚生労働省が指定する16の特定疾病の名称の記入が必要です。病名は以下の通りです。
- がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靭帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗しょう症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患(外傷性を除く)
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
更新時の注意点
直近に本人所在地が変わる可能性がある場合は、変更先について認定調査事前確認書に詳細を記入しておいてください。
また昼間連絡の取れる電話番号を必ずご記入ください。
また更新の際に、心身の状態に大きく変化がある場合はその旨をあらかじめ担当者に伝えましょう。更新手続きというより、区分変更認定の手続きになるかもしれませんが、少しでも早く認定が必要な場合などは、この機会に相談しておきましょう。
ときどきあるのは病院からの退院の場面です、病気や入院生活でADLに大きな変化があり、従来の介護度では対応できない場合です。ガン末期も同様です。ある時期までは介護度としては比較的軽度ですが、状態の変化が急激な場合があり、ヘルパーや訪問看護、福祉用具など必要なサービスが大きく変わります。こうした事情で認定調査を早めてほしい場合など個別に相談するとよいでしょう。
要介護認定・要支援認定の更新申請が必要ではない人
要支援1・2で、ヘルパーとデイサービスのみを利用されている方や介護保険サービスを今後利用する予定のない方は、介護保険の更新申請は必要ない場合があります。お住まいの市区町村または地域包括支援センターへお問い合わせください。
まとめ
介護保険の認定事務が非常に煩雑で市区町村(保険者)の負担になっているとの指摘がでているのです。現在新規認定は原則6ヶ月ですが12か月まで、区分変更認定についても原則6ヶ月ですが12ヶ月、更新認定は原則12ヶ月ですが24ヶ月まで有効期間を延長することが可能です。
厚生労働省では更新認定の有効期間の上限を、現在の24ヵ月から36ヶ月に引き上げる、状態安定者については2次判定の手続きを簡素化することを可能とするなどを検討しています。
調査によると、新規・区分変更認定では、有効期間上限の12ヶ月を経過した時点で4割強の人で要介護度が変わっていません。これに対して、更新認定では有効上限の24ヶ月を経過した時点で6割の人で介護度が変わっていないのです。このため新規・区分変更認定と更新認定のバランスをとるために、要介護度が変わらない人の割合が新規・区分変更認定と同程度の4割程度となる36ヶ月にしてはどうかとの提案があったのです。こうした流れもありますので更新の際は各市町村のお知らせをよくご確認ください。
介護保険の更新についてみてきましたが、いかがでしたでしょうか。
更新申請は60日前から申請可能で、更新にはおよそ30日かかります。早め早めに準備を進めてゆきましょう。特にケアマネージャーとはよく打合せをして、サービスが途切れることのないように注意してください。