介護保険の要介護認定、有効期間はいつまでか?人によって違うのか?

介護保険の要介護認定を受けた場合、有効期間はいつまでなのでしょうか?みんな一緒なのか、それとも違うのでしょうか?そもそも有効期間はどのように決めるのでしょうか?その仕組みを知らないと、場合によっては適切な介護保険サービスを利用できない場合もあり注意が必要です。

介護保険の要介護認定の有効期間について解説します

介護サービスを利用するために要介護認定を受けて結果が届いたけれど、認定の有効期間はみんな一緒なのか?。そもそも有効期間ってどうやって決めているのか?


初めて要介護認定を受けられた方はこのような疑問をお持ちになるのではないでしょうか。


今回は、介護保険の要介護認定で設定される有効期間について詳しくまとめました。

要介護・要支援認定有効期間が国によって定められている

40歳以上の方なら誰もが加入する介護保険。 

この介護保険を利用して介護サービスを受けるには、住所がある市区町村で要介護認定・要支援認定を受ける必要があります。 


交付された介護保険被保険者証を見ると、認定された要介護度・要支援度の下の欄にいつからいつまでという日付が記載されています。

これは、「今回認定した要介護度で受けられるサービスはこの期間の間だけですよ」という意味になります。


この要介護認定・要支援認定で出された要介護度の有効期間は、申請した人が一律に同じ期間が設定されるわけではありません。

介護保険の更新期間には有効期間がある

介護保険法では申請する区分によって、設定する有効期間が定められています。

 要介護・要支援認定には申請区分が3つあります。


  •  新規申請・・初めて申請をする場合 
  • 区分変更申請・・有効期間満了前で合っても、要介護状態の程度が大きく変わった場合 
  • 更新申請・・有効期間満了後も要介護状態が続くと見込まれる場合、引き続き認定を受けたい場合

要介護度の有効期間は原則12ヶ月(1年)

更新申請の場合の有効期間は原則として12ヶ月です。

ただし、市区町村が認める場合は、3ヶ月~24ヶ月の間で、月を単位として市区町村が定める期間とされています。

したがって、介護保険の更新申請後の有効期間は必ずしも原則どおりの12ヶ月とはならない可能性もあります。

新規申請の場合の有効期間は原則として6ヶ月です。

ただし、こちらも区市町村が認める場合は、3ヶ月~12ヶ月の間で、月を単位として区市町村が定める期間とされています。


上記でご紹介した、もう1つの申請区分である区分変更申請の場合の有効期間は、新規申請と同様、原則として6ヶ月です。

こちらも市区町村が認める場合は3ヶ月~12ヶ月の間で、月を単位として市区町村が定める期間とされています。

介護保険の有効期間は最長で24ヶ月(2年)

介護保険の有効期間は、上記のとおり最長で24ヶ月となります。

更新申請の場合に適用される最長期間となります。


上記と重複する内容にはなりますが、ご注意いただきたい点は、最長24ヶ月が適用されるのは現行の法律では更新申請に限ります。

新規申請と区分変更申請の場合は、24ヶ月という有効期間は適用されません。

ただし新規要介護指定を受けた方は有効期間が短い

介護保険の要介護認定を新規申請し、新規で要介護指定を受けた方の有効期間は、更新申請で要介護指定が更新された方に比べて短いです。

新規要介護指定を受けた方の有効期間が短いのには理由があります。


新規で要介護認定を申請するケースで多いのは、病気等により突発的に介護が必要になった方(またはその家族)が申請する場合や、病状が落ち着かない状態(急性期等)で申請する場合です。


病状が落ち着いていない状態は、介護が必要な状態であることには変わりありませんが、良くも悪くも病状が変化していく可能性が高く、あわせて介護の必要度も変化する可能性が高いです。


したがって、新規要介護指定を受けた方の有効期間は短く設定されているのです。

新規で要介護認定を受けた人の区分変更認定の有効期間は6ヶ月

新規で介護保険の要介護認定を受けた人の有効期間は原則6ヶ月となっています。


ただし、上記で記載したとおり、新規申請の場合は3ヶ月~12ヶ月の間で、区市町村が定める期間で有効期間で指定されます。


したがって、最短の3ヶ月で初回の有効期間が指定される可能性もあるので、新規申請をした方(またはその家族)は、初回の要介護度の確認と併せて有効期間も必ず確認してください。


要介護度と有効期間は、申請時に役所等に提出した介護保険者被保険者証に印字され郵送されてきます。

区分変更認定の有効期間の上限は12ヶ月(1年)

すでに介護保険の要介護認定を受けている方が、区分変更申請をした場合、認定の有効期間の上限は12ヶ月となります。

ご注意いただきたい点は、更新申請した方が更新後の有効期間が24ヶ月であったとしても、有効期間の途中で状態変化等の理由で区分変更申請した場合です。


区分変更申請後の要介護度が変化すると(介護度が軽くなっても重たくなっても)、有効期間は上限12ヶ月と短くなります。


よくある間違いとしては、区分変更申請後も有効期間が24ヶ月残っていると勘違いして、更新申請を忘れてしまうケースです。


有効期間満了の約2ヶ月前には、市区町村から介護保険の要介護認定有効期間満了にともなう更新申請のお知らせが郵送で届きます。


しかし、郵送物をよく見ずに捨ててしまったというケースも実際にありますので、区分変更申請後に要介護度が変化がした方は、有効期間を忘れてしまわないように、そして更新申請をし忘れないように注意してください。

要介護認定の有効期間がこれから3年になる

現行の法律では、介護保険の要介護認定の有効期間は最長24ヶ月(2年)となっております。

しかし、この要介護認定の有効期間がこれから最長36ヶ月(3年)になる可能性が出てきました。


この要介護認定の有効期間を最長で36ヶ月(3年)にする案は、厚生労働省で開催されている社会保障審議会の介護保険部会で2016年度に概ね了承された方針です。

市区町村の事務負担を軽減するための施策

なぜ、介護保険の要介護認定の有効期間を最長で3年にする方針となったのか、これには理由があります。

理由の1つは、要介護認定に関する市区町村の事務負担が増えてきており、その負担を軽減する為の施策です。


日本は超高齢化社会の加速と、医療の発達によって助かる生命が増えた為、介護保険の要介護認定を申請する方も年々増え続けています。


申請する方の中には、要介護認定に指定されない方(認定非該当)も含まれているので、申請件数は、要介護認定を受けている人数よりも相当数多いのが実情です。


この事務を担っているのは、市区町村の介護保険課などの職員であり、年々増え続けている要介護認定の申請に関する事務が相当負担となっています。


したがって要介護認定の有効期間を最長3年にすることによって、例えば今まで更新申請は最長2年だったサイクルが伸びるので、市区町村の事務負担を軽減することができる仕組みとなるのです。

有効期間が3年になることの注意点

介護保険の要介護認定の有効期間が3年になる事で、認定を受けている方は注意しなければいけない点が発生します。

現在の法律では、要介護認定の有効期間は最長2年です。

これは言い変えると「2年ごと、要介護認定を受けている方の状態を見直してもらえる」ということであり「要介護状態が悪化した場合でも、2年で再び適正な要介護度の指定を受けることができる」ということです。


有効期間が3年になると、仮に要介護状態が悪化したとしても、何もしなければ3年経たないと更新申請することができないということになります。


介護保険の仕組みとしては、要介護度が高い方がより多くの介護サービスを受ける事ができます。


また、介護度によっては受ける事ができない介護サービスも存在します。


基本的には、介護度が重たければ(最重度である要介護5など)ほぼすべての介護保険サービスを受けることができますが、介護度が軽いと(要介護1や、要介護状態になる前段階である要支援1や要支援2など)受ける事ができる介護保険サービスが限られます。


したがって、有効期間内に「介護の手間が増えるようになった」等、要介護状態が悪化したと思われる場合には、区分変更申請をする事が大事になってきます。


要介護状態が悪化したと思っていても、区分変更申請をしなければ、仮に有効期間が3年となった場合は、3年もの間、要介護度が変わらないということになり、要介護状態の悪化にともなって受けたいと思っていた介護保険サービスを受ける事ができない可能性も出てきます。


より適切な介護保険サービスを受ける為にも、要介護状態が悪化したと思われる場合は、区分変更申請をして、より適切な要介護度への変更を認めてもらうことをおすすめします。

まとめ

介護保険の要介護認定の有効期間について、ご紹介いたしました。

要介護認定の有効期間は人によって違いがありますが、ポイントの1つは要介護認定を受ける為の申請区分は、新規、更新、区分変更の3区分あるという点です。


特に「介護の手間が増えた」等、要介護状態が悪化したと思われる場合には、区分変更申請をしてより適切な要介護度への変更を認めてもらい、利用できる介護保険サービスの種類と量を増やすようにしておくことをおすすめします。


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