更新日:2017/11/03
困っているのに、介護保険の要介護認定で非該当と判定されたら…。
介護保険を利用するために行う介護認定申請。判定される介護度により受けられるサービス種類や量が変わりますが、中には非該当と判定される場合もあります。何らかの支援を必要とされる介護保険サービスには「非該当」の高齢者を、地域で支援しようという動きが進んでいます。
目次を使って気になるところから読みましょう!
介護保険の要介護認定で非該当になってしまった場合どうなるのか
申請を行うと、訪問して行われる認定調査が行われ、その認定調査の結果からコンピューターで導き出される「一次判定」と、「主治医意見書の記載内容」の二つを踏まえた上での、保健医療福祉の学識経験者が行う判定会議を経て、介護が必要と考えられる度合いに応じて、要介護状態の要介護1から要介護5の5区分、要支援状態の要支援1と要支援2の2区分、そして「非該当」の、合わせて8つの状態に区分されて、申請からおおよそ30日以内に、結果が通知されます。
「非該当」とは、介護を必要とする対象にならない、つまり「自立」できている状態と判定されたということになります。
非該当になると介護保険サービスを受ける事はできない
「非該当」と判定されることは、「自立できている状態」と判定されたことで、そのこと自体は、喜ばしいことではあるのですが、非該当と判定された状態では、介護保険サービスを利用することはできません。
正確に言えば、介護保険サービスを行う事業者と契約はできますが、仮にサービスを受けた場合、その「費用の全額が自己負担」になるということになり、あまり現実的ではありません。
ただし要介護認定が非該当であった場合にも利用できるサービスがある
確かに、介護保険制度始まって以来なじみのある、介護保険サービスは利用できませんが、非該当と判定された方でも利用できるサービスはたくさんあります。介護に関わるそれらのサービスは、大きく分けて二つに分類され、「地域支援事業サービス」と「保健福祉サービス」と呼ばれています。
地域支援事業サービスとは
保健福祉サービスとは
地域支援事業サービスの3本柱
その3つの柱は、
- 介護予防・日常生活支援総合事業
- 包括的支援事業
- 任意事業
と呼ばれています。
介護予防事業
内容としては、介護予防・生活支援サービ事業(訪問型サービス、通所型サービス、配食、介護予防支援事業など)と一般介護予防事業(地域の実情の把握、介護予防活動の普及・啓発、地域介護予防活動支援事業、地域リハビリテーション活動支援事業など)の二つの事業に大別されます。
介護予防・生活支援サービス事業は、非該当と判定された方の中で、基本チェックリストでサービス事業対象者(生活機能に低下が見られ、要支援状態となるおそれがあるとされた高齢者)と、要支援と認定された高齢者とが利用することができ、このことにより要支援と認定されたり非該当と判定されたりを繰り返すような比較的自立度の高い方でも、認定の変更での切れ目をつくることなく、同じサービスを利用できるようになりました。
またこの事業のサービス提供の担い手として、既存の指定を受けた介ション専門職の関わりができるようになり、地域の介護予防体操教室護事業所だけでなく、NPOやボランティア団体、地域住民などのサービス提供が可能になるなど地域全体で高齢者の地域での生活を支える仕組み作りが行われています。
また一般介護予防事業に含まれる地域リハビリテーション活動支援事業により、早い段階でのリハビリテーションの視点の導入が図られ、健康体操教室などでの専門性を持った指導、地域ケア会議での助言など、以前に比べて介護予防事業全体的に、専門性の高いものが開催できるようになってきています。
包括的支援事業
任意事業
介護保険の要介護認定が非該当になっても再申請をする事ができる
はじめての申請でも、見直しをかけるための再申請時でも、申請を出した日から、認定がおりることを見込んで、サービスの利用をすることが可能ですが、非該当と判定されるとサービス費用の全額が自己負担になるので注意が必要となります。
まとめ
要支援・要介護状態と判定された場合も、ご自身の希望される生活や、必要とするサービス内容について、地域包括支援センターの職員や、居宅介護支援事業所の介護支援専門員(ケアマネジャー)と、よく相談することが大切となりますが、非該当と判定された場合は、受けられるサービス(介護予防・日常生活支援総合事業など)が、介護保険サービスに比べてまだなじみが薄い分、よりしっかりと、ご自身の希望される生活について地域包括支援センターや市町村の高齢者介護・福祉の窓口に相談する必要があります。
介護保険サービスも地域支援事業サービスも保健福祉サービスも、高齢者の方が、住み慣れた地域で安心して生活できるよう創設されたサービスです。
介護するご家族も、介護される高齢者も、そしてサービスに関わる介護従事者も、みなが安心して制度を利用して生活できるよう、サービス内容や目的を理解し、節度ある利用を心がけることで、地域での生活を守るとともに、介護保険制度をも守っていくことが必要と考えられます。