介護保険による住宅改修の手続きの流れをわかりやすく解説します

(公的な)介護保険の認定を受けた人は、一定の条件を満たし、きちんとした手続きの流れを踏めば、介護保険による住宅改修費の助成をうけることができます。住宅改修の流れとしては、打ち合わせと工事前及び工事後の書類提出が重要です。

介護保険の住宅改修の流れ



介護保険には、公的な介護保険(40歳以上になれば誰しも加入する)ものと、民間の保険会社が販売している介護保険(加入は任意)がありますが、本項では、前者について解説します。

また、住宅改修自体についても、次の2種類があります。



  • 介護保険を利用しての住宅改修
  • 自己負担での住宅改修


自己負担で行う場合は、もちろんいつでも行うことができます。

一方で、介護保険による住宅改修は、一定の条件はありますが、その条件を満たし、所定の流れに沿って手続きをすれば1割、または2割負担で行うことができます。

介護保険で住宅改修を9割負担してもらえる

まず、大前提として介護保険の対象になっている必要があります。

具体的には、要支援・要介護になっている必要があります。


※例外的に、申請中でも介護保険による住宅改修を行うこともできますが、本項のテーマではないので割愛します。


1割負担か、2割負担かは合計所得金額によって決まります。

2割負担の人は、以下の条件を満たす人です。

自己負担額が増加する条件は、「年間所得が160万円以上であること。ただし、これは収入の種類や家族構成などによっても異なる。」ということである。


また、より具体的な例として


  • 単身世帯:介護サービス利用者の年間給与所得が160万円(年金収入のみなら280万円)を超える場合になります。ただし、年金収入とその他の合計所得金額の合計が280万円未満なら、1割のままです。
  • 2人以上の世帯:2人以上の世帯の場合、世帯収入が346万円を超えると自己負担が2割となります。ただし、夫の年金収入が280万円、妻の年金収入が66万円で世帯収入が346万円となった場合、夫は2割負担となります。


1割負担の人は、上記に該当しない人です。

なお、介護保険には要支援・要介護の等級によって利用できる限度額が決められていますが、住宅改修はこれとは別枠になり、等級にかかわらず一律20万円(実質18万円、16万円までの支給)となっています。


※この枠についても、例外規定があり、要介護等級が3以上上昇した場合や引っ越しした場合にはリセットされることがありますが、これについては別稿で述べましたので、そちらをご覧ください。


ところで、介護保険による給付を受ける場合には、やむを得ない場合を除いて、工事を行う前に手続きをしておかなくてはなりません。


たとえ、工事の内容が条件を満たしていたとしても、ちゃんとした流れを踏んでいないと、給付が受けられないのでご注意ください。

実際に工事に移るまでの流れ

ところで、給付の受け方には次の2種類があります。



  • 償還払い
  • 受領委任払い


償還払いとは、要するに後払いのことです。

つまり、工事が完了したらいったん全額を自己負担し、その後給付を受ける、というものです。


受領委任払いとは、保険者が受領委任契約をしている業者に工事を依頼するといった条件を満たした場合においては、当初から1割(2割)負担で工事費用を支払う、というものです。


つまり、どちらを利用するかによって用意する必要のあるお金が違うのです。

また、手続きの流れや提出書類も多少異なります。


以下では、償還払いを原則としつつ、必要に応じて受領委任払いの手続きの流れもご説明します。


そのうえで、大まかな流れは、以下の通りです。

  1. 利用者がケアマネージャーなどに住宅改修の相談する。
  2. 見積書を工事会社に依頼する。
  3. 事前申請をする
  4. 工事を行う
  5. 支給申請をする
  6. 審査の上、支払いを受ける


以下、具体的に見ていきます。

理学療法士やケアマネージャーとの打ち合わせ

ケアマネージャーとは、利用者が必要な介護サービスを受けられるように、ケアプランの作成や必要なアレンジを行う、いわば介護保険制度の大黒柱です。

担当のケアマネージャー等がいる場合には、彼らに相談し、打ち合わせをします。

いない場合には、保険者(市町村)に直接問い合わせることになります。


そのうえで、何が必要な工事なのか、その工事は介護保険による給付を受けられるのか、などについて打ち合わせを行います。

住宅改修事業者との打ち合わせ




住宅改修事業者とも打ち合わせを行います。

そこで、見積書・工事図面など、事前申請の流れの中で必要な書類を作成することになります。


なお、住宅改修事業者は、通常膨大な数がありますが、どの業者がおすすめなのかについては、ケアマネージャーとの打ち合わせの中で決定します。

見積書・工事図面の作成

これらの書類は、事前申請の際、必須の書類となります。

また、住宅の所有者が被保険者本人以外の場合には、所有者が改修について承諾したことを確認できる書類(承諾書など)ももらっておく必要があります。


なお、受領委任払いを希望する場合には、この時点で住宅改修費の受領を委任する住宅改修事業者の誓約書をもらっておく必要があります。

市町区村の介護保険窓口に住宅改修の申請をする

必要な書類を提出して手続きを行います。


なお、やむを得ない場合には、この時点で行う手続きを工事後に行うこともできますが、原則としてこの時点で手続きを行っている必要があります。


※提出に必要な書類の種類や書式が、前述の償還払いと受領委任払いとでは、異なりますのでご注意ください。

工事に着手する

その後の実際の工事の流れは、業者によって異なります。

なお、工事前と工事後を比較するために、日付入りかつ同じ角度からの写真の提出を求められることがあります。


業者が基本的には撮ってくれるでしょうが、ご自身でも一応撮っておくとよいでしょう。


保険金が支給されるまでの流れ

工事後の流れとしましては、

  • 工事代金の支払い
  • 保険者(市町村)への申請
  • 給付を受ける


というものになります。

※償還払いの場合です。

業者への支払い

業者へ支払う金額は、ここまで行ってきた手続きの流れによって異なります。

償還払いの場合には、ここで工事代金の全額をいったん支払います。

受領委任払いの場合には、工事大金の1割または2割を支払います。


ここで、支払ったときに受け取る領収証や工事内訳書は、この後の手続きの流れで不可欠なので、紛失しないようにしましょう。

市区町村の介護保険窓口に保険金を申請

提出が必要な書類は、下記のとおりです。


  • 住宅改修に要した費用に係る領収書
  • 工事費内訳書
  • 住宅改修の完成後の状態を確認できる書類(便所、浴室、廊下等の箇所ごとの改 修前及び改修後それぞれの写真とし、原則として撮影日がわかるもの)
  • 住宅の所有者の承諾書(住宅改修を行った住宅の所有者が当該利用者でない場合)

もちろん、市町村により工事の前後で必要な書類が多少異なることがありますので、各市町村の介護保険窓口に確認が必要です。

支給される

必要書類を提出したら、審査の上、支給されます。

※受領委任払いの場合は、すでに残りの割合を保険者(市町村)が支払っているため、この流れの時点では支給されません。

申請前に注意すべきこと

申請前には介護保険サービスの自己負担割合に注意しましょう。


介護保険サービスの自己負担割合は、所得金額によって異なります。


介護保険制度が始まってから、自己負担割合は原則1割とされていましたが、2015年8月の介護保険改正にて、一定以上の所得がある方の自己負担割合が2割に引き上げられました。


さらに2018年8月の介護保険改正では、2割負担の人の一部の方は3割負担に引き上げられます。

住宅改修は介護保険証と同一住所に限られる

とりわけ限度額のリセットを受ける場合には、介護保険章の住所変更の手続きの流れを踏んでいなければなりません。


また、居宅が複数ある場合には、介護保険証上の住所にあるものに限定されます(別荘などの改修には支給されません)。


費用は償還制

上述の通り、費用は原則として償還制です。

ただし、例外として受領委任払いを選択することができます。


どちらを選ぶかによって、必要な手続きの流れが異なるので気を付けましょう。

まとめ


いかがだったでしょうか。

とりわけ、公的な助成を受けたい場合は、手続きの流れを把握しておくことはとても重要です。


ケアマネージャー等は、こうした手続きをきちんと踏めるように必要な助けをしてくれますが、ご自身でも把握されておりますと、より円滑にものごとが進むでしょう。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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