介護保険サービス利用者に対するアセスメントの重要性について

介護保険のサービス提供をするうえで重要になってくるのがアセスメントです。今回は、なぜ介護保険においてアセスメントは重要なのかを中心に解説していきます。また介護保険事業者のアセスメントで欠かせないポイントについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

介護保険のアセスメント(評価や価値)の重要性とは

そもそもアセスメントという言葉には、評価や価値という意味があります。

介護保険におけるアセスメントは課題分析」などと呼ばれることがあります。


介護保険のアセスメントは、利用者が、介護サービスを受けるときの心身機能の評価をし、その利用者の介護上の課題はどこにあるのかを分析し、その情報を家族や介護保険サービス関係者で共有します。


したがって、介護保険のアセスメントは、利用者が介護保険上のサービスを適切に受けるためにはとても重要な指標となります。

面接と相談を受けた後のわかりにくいアセスメントとは

しかし、当該利用者やその家族と面接したり相談を受けた後にアセスメント内容を関係者に展開すると「わかりにくい」と指摘を受けてしまうことがあります。

面接と相談を受けた後のわかりにくいアセスメントとは、簡単に言うと「利用者像が見えないアセスメント」です。


アセスメントは、アセスメントした職員だけが知っていればよいというものではありません。


当該利用者を介護関係者皆で支えるための重要な情報になるため、アセスメント内容がわかりにくいと、家族や実際にサービス提供に携わる職員が困ることになってしまいます。

アセスメントシートや目標達成シートを活用し介護者にわかりやすく説明する

アセスメントをした職員は、その内容を家族やサービス事業所の職員などにわかりやすく展開する必要があります。


なぜなら、利用者の介護はアセスメントをした職員1人で担うわけではないからです。


利用者の状況にもよりますが、家族や介護保険サービス事業所の職員など複数の介護者が、利用者を介護し、利用者の生活を支えていきます。


したがって「アセスメントをとった職員はわかっている」ことを、「アセスメントに行かなかった多くの職員など」に、その利用者の利用者像が浮かぶようにアセスメントをした内容を展開する必要があります。


アセスメントをした職員は「実際に介護をするのは誰なのか」を意識したアセスメントの展開を心がけてください。

アセスメントした内容をわかりやすく家族や職員に展開するツールとしてアセスメントシート目標達成シートなどがあります。


アセスメントシートや目標達成シートを活用することで、当該利用者のどのようなところが介護をするうえでの課題なのか、当該利用者は短期目標や長期目標として何を目指しているのかがわかりやすくなります。

介護保険事業者のアセスメントで欠かせないポイント

では、介護保険事業者のアセスメントで欠かせないポイントを5つ、解説いたします。

ポイント1:訪問前に事前情報をしっかりと収集する

介護保険事業者が行うアセスメントで大切なポイントの1つは「訪問前に事前情報をしっかりと収集する」という点です。

介護保険事業者が、当該利用者のアセスメントをするために訪問する際は、すでにその時点で当該利用者およびその家族等の基本情報がわかっていることが多いです。


アセスメントにかかる時間は、当該利用者の状態や性格、アセスメントをするために訪問する職員の面接技術などによって、短時間で済む場合もあれば長時間におよぶ場合もあります。


短時間で済む場合はよいのですが、1時間以上の長時間に及ぶと利用者や家族が疲れてしまう、訪問した職員も事業所に戻る時間が遅れ既存のサービスに影響を及ぼすなど、アセスメントが長時間に及ぶことはデメリットの方が多くなります。


したがって、すでに知り得ている情報を改めて聞くといった良い意味で無駄を省くことも、アセスメントを取る面接技術としては重要です。


したがって介護保険事業者の職員が、利用者のところへ訪問してアセスメントを取る場合は、事前情報をしっかりと収集してから訪問に行くということが大切なポイントの1つになります。

ポイント2:「一緒に考えていく」という意識をしっかりともつ

介護保険事業者が行うアセスメントで大切なポイントの2つめは「(利用者が抱える介護上の課題などを)一緒に考えていく」という意識と職員の姿勢です。

介護保険事業者の職員で、アセスメントを行う際に、職員自身の価値観を利用者につい押し付けてしまったり、利用者が望まないサービスを、職員が良かれと思ってサービスに組み入れてしまうといったケースがあります。


しかし、それでは利用者本位のサービスとは言えません。


介護保険事業者が行うアセスメントにおいては、アセスメントを担当する職員は職員自身の価値観を伏せて、良い意味で冷静に「(利用者と)一緒に考えていく」という意識をしっかりともつことが大切になってきます。

ポイント3:意見の食い違いが無いように具体的に話を聞く

介護保険事業者が行うアセスメントで大切なポイントの3つめは「意見の食い違いが無いように具体的に話を聞く」という点です。

介護保険事業者の職員が行うアセスメントは、専門職によって行われる場合がほとんどです。


そのため専門職としての価値観を、知らず知らずのうちに利用者や家族に押し付けてしまっている場合があります(決して悪気があるわけではないのですが)。


また、より具体的に利用者や家族の話を聞かないと、介護保険事業者の職員の思い込みで、例えば「利用者が自分で立ち上がることができると言っていた」のに実際は「手すりにつかまって、立ち上がり時には軽介助しないと立ち上がることができなかった」などの食い違いが生じる場合があります。


このように意見の食い違いがあったりすると、実際の介護サービス提供において職員から「事前に聞いていた話と違う」といった苦情が出ることもあります。


介護保険サービスにおいて、主はあくまでも利用者であることを忘れてはいけません。


法律上できないこともありますが、まずは利用者が中心であり、その利用者の要望を傾聴し、意見の食い違いが無いように具体的に話を聞いていくことが重要です。

ポイント4:理由を考えながらアセスメントをする

介護保険事業者が行うアセスメントで大切なポイントの4つめは「理由を考えながらアセスメントをする」ことです。

アセスメントをすると、利用者や家族が抱える介護上の課題が見えてきます。


アセスメントをする職員は「利用者がどのように、そのような状態に至ったのか」「家族は何に困っているのか」等の理由を考えながらアセスメントすることが大切です。


理由を考えながらアセスメントすることは、アセスメント後に提供する介護サービスの質の向上にもつながります。

ポイント5:介護保険利用者宅への訪問時のマナーを守る

介護保険事業者が行うアセスメントで大切なポイントの5つめは「介護保険利用者宅への訪問時のマナーを守る」という点です。

利用者宅へ訪問する職員は、その利用者の個人情報や本当は他人に知られたくないようなことなど、多くの守らなければいけない情報を目にしたり耳にしたりします(守秘義務にも通じます)。


また介護保険事業者の職員に意外とありがちなのが、利用者や家族とフレンドリーになりすぎて、言葉づかいが乱れたり、不必要な頂き物(菓子折りなど)をしてしまうといったことです。


利用者と介護サービスを提供する介護保険事業者の間が良好な関係性であるにこしたことはありません。

しかし、利用者と介護保険事業者は親族でもなければ友人でもありません。


利用者と事業者という良い意味で一定の線を引き、マナーを守り、節度ある態度でアセスメントをする必要があります。

アセスメントでよくある悩みや疑問

介護保険事業者が行うアセスメントでよくある悩みや疑問には次のようなものがあります。

アセスメントする職員は参考にしてください。

  • 職員側が緊張して、当該利用者のニーズをうまく聞き出せなかった。
  • 利用者や家族が、どうも本音で話をしてくれていないと感じる(特に初回アセスメントの場合は、人間関係の構築ができていないので、仕方がないと理解してください)。
  • 利用者や家族の話が長くなりすぎて、必要なアセスメント情報を十分に聞いてこれなかった。
  • アセスメントシートや目標達成シートを活用して、他の職員に利用者の情報を展開したが、職員から「もっとこんなことを聞いてきてほしかった」と言われてしまった→これに対してはアセスメントに行く前に、意見を言いそうな職員に「絶対に聞いてきてほしいことはある?」など問いかけをしてからアセスメントに行くとよいでしょう。
  • どこまで他の職員にアセスメントした情報を展開してよいかがわからない→基本的にはすべての情報を展開するように心がけてください(なお情報を知りえたすべての職員に守秘義務があることも必ず伝えてください)。

まとめ

介護保険のアセスメントの重要性、また介護保険事業者のアセスメントで欠かせないポイントについて解説いたしました。

介護保険のアセスメントは、利用者が介護サービスを適切に受けるためにとても重要です。


アセスメント内容が当該利用者の実情と大きく乖離してしまうと、利用者、家族、サービス提供に携わる職員皆が困ることにもなりかねません。

今回触れた内容が、実際にアセスメントを担当する職員などの参考となれば幸いです。



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