どうしても払えない。そんなときの味方、介護保険料の減免制度。

どうしても払えない。そんな状況になったらどうしますか?介護保険は能力に応じて介護保険料を負担することを前提としていますが、どうしても支払えない人に対しては、一定の原則の元に市町村による減免措置が講じられています。ここでは介護保険料の減免制度について解説します。

介護保険料の減免制度情報まとめ

介護保険は相互扶助の考え方に基づき、能力に応じて介護保険料を負担することを前提として成り立っている制度です。そのために、第1号被保険者の保険料については、所得によって15段階に分けて設定されています。


しかし、決められた保険料が、年度の途中で災害に遭ったり、生活を支える人が亡くなったり、収入が著しく減少したなどの理由で払えなくなった人については、申請に基づいて保険料が減免されます。

介護保険料の減免制度とは

介護保険料の減免制度とは、決められた保険料が、年度の途中で災害に遭ったり、生活を支える人が亡くなったり、長期期間入院するなどで保険料の納付が困難な方や、生活が困窮しているときに、介護保険料を減免・軽減する制度です。


減免制度は各市町村の条例によって定められており、要件や内容が異なる場合があります。また必ず申請が必要となりますので注意が必要です。

厚生労働省が出している介護保険料の減免3原則とは

介護保険料の減免制度は、各市町村が独自で運営していますが、介護保険制度の安定性を確保するため、厚生労働省は介護保険料の減免3原則を出しています。


保険料減免の3原則とは(1)「個別申請により判定」(2)「全額免除は行わず、減額のみ」(3)「保険料減免に対する一般財源からの繰り入れは行わない」というものです。


2015年の厚労省の保険料等に関する調査では、全国の保険者のうち低所得者への単独減免を実施しているのは498カ所(31.5%)で、そのうち3原則を遵守しているのは459保険者(92.1%)でした。

介護保険料減免の種類

介護保険料の免除


以下に該当する人は「介護保険料が免除」されます。正式には不要になる方です。


・海外居住者(日本国内に住所を有さない人)

・適用除外施設の入居者(身体障害者療養施設やハンセン病療養所など)

・短期滞在の外国人(在留資格1年未満の人)


介護保険第1号被保険者の減免


65歳以上の第1号被保険者の方は、次のような理由により保険料の納付が困難な人を対象に、保険料の徴収猶予や減免があります。


①災害により住宅等に著しい損害を受けた場合

②主たる生計維持者が(ア)死亡・長期入院(イ)失業(ウ)災害農作物の不作等により収入が著しく減少した場合

③生活が著しく苦しい場合

 上記③に該当するには、収入や預貯金額、不動産保有状況、扶養者など、条件を満たしている必要があります。(市町村により基準は異なります)


介護保険第2号被保険者の減免


40歳以上64歳の方で国民健康保険加入者の方は、第2号被保険者の介護保険料分は国民健康保険料と一緒に徴収されていますので、軽減制度に該当する場合は、医療分や後期高齢者負担分などの均等割額、平等割額なども一緒に軽減されます。

災害者減免

(要件)

主たる生計維持者の所有する住宅、家財またはその他の財産につき災害(震災・風水害・火災その他これらに類するものをいう)により受けた損害額がその財産等の価格の一定割合を超えるとき。


(内容)

被害の程度に応じて減免します。

死亡、長期入院などによる収入減少による減免

(要件)

主たる生計維持者が死亡したとき、重度心身障がい者の認定を受けたとき、または6カ月以上の入院をしたとき、もしくは継続して6ヵ月以上入院を要すると認められることにより、主たる生計維持者の当該年中の合計所得金額の見込額が前年の合計所得金額に比べ、一定割合以下に減少すると認められるとき。


(内容)

所得段階に応じて減免します。

失業などによる収入減少による減免

(要件)

主たる生計維持者が事業または業務の休止もしくは廃止、事業における著しい損失、失業等これに類する理由により、主たる生計維持者の当該年中の合計所得金額の見込額が前年の所得金額に比べ、一定割合以下に減少すると認められるとき。


(内容)

所得段階に応じて減免します。


災害農作物の不作などが原因の収入減少

(要件)

主たる生計維持者が干ばつ、冷害、凍霜害等による農作物の不作、不漁その他これに類する理由により、主たる生計維持者の当該年中の合計所得金額の見込額が前年の合計所得金額に比べ、一定割合以下に減少すると認められるとき。


(内容)

所得段階に応じて減免します。

第1段階から第3段階の生活困窮者

(要件)

介護保険料の賦課段階が第1段階から第3段階で、世帯の前年の収入金額が生活保護基準相当以下であるとき。未納の介護保険料がないこと。


(内容)

第1段階 2分の1減額します。


第2段階、第3段階 3分の1減額します。


(参考)

第1段階 生活保護等を受けている方、または老齢福祉年金受給者で世帯全員が市町村民税非課税の方


第2段階 世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金等の収入金額と合計所得金額の合計が80万円以下の方


第3段階 世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金等の収入金額と合計所得金額の合計が80万円を超え120万円以下の方



保険給付を受けることができなくなった方

(要件)

刑事施設等に拘束され給付制限を受けているとき。


(内容)

介護保険からの給付を受けることができなくなった期間は免除します。

介護保険料減免の対象者になる6つの条件

次の6つの条件すべてに該当する人は、介護保険料が減免されます。


・所得段階が第2段階または第3段階であること。


・世帯全体の前年の年間収入額が、次の金額以下であること。

 1人世帯 105万円

 2人世帯 140万円

   *世帯員が1人増加するごとに35万円加算

   *収入は年金だけでなく、給与収入、事業収入、仕送りなども合計します。

・市民税課税者に扶養されていない。

   *別居していても、市民税課税者から仕送りを受けている場合や市民税課税者の被扶養者となっている場合は、減免対象外となります。

・世帯の預貯金が160万円以下である。

・居住用以外の処分できる不動産を所有していない。


なお、具体的に該当しているかどうか不明な場合は、各市町村までお問合せください。


介護保険料の減免額

介護保険料年額が第2段階または第3段階から第1段階相当額へ変更されます。

ただし、9月1日以降の申請は申請月以降を月割計算した額を減額します。

介護保険料減免の申請方法

毎年8月1日から8月31日(但し、9月1日から翌年4月30日までの申請は、申請月以降を月割計算した額を対象とします)までに各市町村で、減免申請書と収入状況等申告書を記入してください。


申請受付後、金融機関への預金照会等の調査を行い、結果をお知らせします。

介護保険料の減免申請時に持参するもの

申請時に持参するもの


・世帯員全ての印鑑・預金通帳(前年1月1日~申請日の記載があるもの)

・世帯の収入が証明できる書類(年金額支払通知書もしくは年金証書・源泉徴収票・給与明細書など)

・健康保険証


参考:正確な情報が欲しいときは介護保険免除要綱を確認しましょう

介護保険料の減免は、各市町村の条例によって定められており、要件や内容、手続き方法が異なる場合があります。正確な情報については市町村の介護保険免除要綱を確認しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。


どうしても払えない。こんな場面は想像したくありませんが、現実に災害や病気などのリスクは、私たちの生活のすぐ近くに存在しています。


こうした制度を頭の片隅にでも置いておくことで、万一のときも落ち着いて生活を立て直してゆくことができるでしょう。


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