介護保険料の未納を続けると?3つのペナルティーと対応方法を解説!

(公的)介護保険料が未納な場合、未納の期間に応じて3段階のペナルティーが科されます。介護保険料を支払うことが困難な場合には、必ず未納のままにせず、市役所に相談し減免の手続きを受けるようにしないと、将来必要な介護サービスが受けられない恐れがあります。

介護保険料の未納が続くとどうなるのか

3年に一度の介護保険制度の見直しが行われる度に、介護保険料は引き上げられています。

年金のみでの生活など、経済的に介護保険料の支払いが難しいという方も多いことでしょう。

しかし、この介護保険料の未納が続いた場合、どのようなペナルティーが科せられるのでしょうか?

詳しく解説していきましょう。



給付制限や法的措置を取られる場合がある

介護保険制度とは、国民が介護を必要とする人を支えるために施行された制度で、40歳になれば必ず介護保険に加入する義務が生じます。

介護と聞くと自分には関係ないと思われるかもしれませんが、日本国民であれば加入義務が課せられるれっきとした制度ですので、制度を支えるための大切な財源である介護保険料の未納が続いた場合、その未納期間に応じて介護保険の給付制限や、最悪の場合法的措置を取られることもあります。

介護保険料の”未納期間”別のペナルティー

介護保険料が未納の状態が続くと、段階に応じて保険者(市町村)が納付を促すためにペナルティーを科してきます。


以下では、

  1. 1年以上未納の場合
  2. 1年6か月以上未納の場合
  3. 2年以上未納の場合

の3段階に分けてご説明しますが、もちろん1年以上未納の状態になる間にも、市町村から督促状が届いたり、市役所の担当者が直接訪問するなどの対応がとられます。


※市役所の担当者は、未納の事実の確認や納付について促すほか、介護保険料減免の制度についても説明してくれます。


督促状については、原則納付期限以降20日以内に督促状が発行され、未納の保険料のほかに督促手数料、延滞金がかかります。

督促手数料の相場は保険者(市町村)により異なりますが、70円から100円くらいのことが多いです。


延滞金というのは、要するに金利です。

本来支払うべき時期(納付日)の翌日から計算され、その実質年利は、未納期間が1か月未満の場合には約7%、1か月を超える場合には約14%となっている保険者(市町村)が多いです。

1年以上滞納した場合

介護保険料を1年以上滞納した時期から、段階的にペナルティーが科されます。


まず、第一段階(1年以上未納の場合)では、介護保険料の支給方法が変わります。


通常であれば介護保険サービスを利用した場合、所得額などに応じてサービス費の自己負担割合が1割、または2割負担分相当額のみを支払えばよいところを、いったん全額を自己負担することを求められます。


例えば、20万円分の介護サービスを利用した場合、通常ならば2万円または4万円の自己負担でよいところを、いったん20万円全額を支払わなくてはなりません。


しかしまだこの第一段階であれば、払戻しの手続きをすることで後日9割または8割相当額が払い戻されます。

この制度を「償還払い」といい、償還払い支給のためには、未納分の介護保険料を支払う必要がある場合があります。

1年6ヶ月以上滞納した場合

未納の時期が1年6か月を超えると、ペナルティーは第二段階になります。


上記のペナルティーに加え、後日申請すれば払い戻されることになっている金額が一時的に差し止めになることがあります。


そして、差し止められた払戻し予定金は、未納分の介護保険料の支払いに充てられることになります。


例えば、先ほどの例でいえば、未納分の介護保険料(督促手数料や延滞金を含めた金額)が8万円ある場合には、本来支給される18万円から、この未納分の金額が引かれた10万円のみが支給されるということになります。

2年以上滞納した場合

さらに未納期間が長引き、2年以上となった場合には、ペナルティーは第三段階に達します。


この三段階目のペナルティーでは、上記のペナルティーに加え、介護保険サービス費の自己負担率が3割に引き上げられます。


上記の例でいえば、20万円の介護保険サービスを利用した場合、通常ならば2万円のみ(1割負担の場合)を負担すればよいところを、6万円負担しなくてはならなくなります。


さらに、先ほど述べたように、この払い戻されるお金は償還払いとなるので最初にサービス費全額を負担しなくてはなりません。


ここで、例えば保険料未納分が10万円あった場合には、次のように計算されます。


償還払いによる支給分の計算:20万円×7割(3割負担のため)=14万円

未納分の控除:14万円-10万円=4万円


となり、わずか4万円しか支給されません。


この状態は基本介護保険料の未納状態が解消されると基本の利用者負担割合の1割(または2割)に戻りますが、介護保険料の未納がある一定期間に達した場合にはその分が時効となり、ペナルティーとして自己負担割合が3割負担の期間が延長される場合があります。

介護保険料の未納には”時効”がある

介護保険料の未納期間に応じてペナルティーが科せられ、その後未納分を支払うことでペナルティーが解消されますが、実は介護保険料の未納には時効というものがあるのです

介護保険料未納の時効とは『2年』と定められており、この2年を過ぎた分については支払うことはできず、時効が成立した介護保険料は未納が確定されます。

ここで、介護保険料を支払わなくてよくなった!と喜んではいけません。

この未納が確定されたという事実は市区町村に記録され、今後要介護認定を受ける際に過去10年以内に未納が確定した介護保険料がある場合には、その滞納期間に応じて一定期間の間介護保険サービス費の自己負担割合が1割から3割へと引き上げられることになります。

介護保険料の支払い方法に注意‼︎

介護保険料の支払い方法には、65歳以上の第1号被保険者の場合

  • 特別徴収(年金からの天引き)
  • 普通徴収(納付書による支払い)

の2種類があります。


特別徴収とは、年間年金額が18万円以上支給されている方などが対象になります。

特別徴収の場合、支給される年金から介護保険料がすでに天引きされているので、払い忘れなどはまず起こらないでしょう。


一方、普通徴収というのは年間年金額が18万円以下の場合や年度途中で65歳になった方、年度途中で新しい居住地に引っ越した方などが対象で、納付書または銀行振替によって自分で支払わねばならず、保険料の支払いをうっかり忘れていると未納になることがありますので注意が必要です。


また、40歳以上65歳未満の第2号被保険者の場合も、加入している健康保険の健康保険料とともに介護保険料は納めることになっているので、こちらも払い忘れなどは起きにくいでしょう。

介護保険料の支払いが困難な場合は他の選択肢を

介護保険料の未納に対するペナルティーについてお話してきましたが、やはり保険料の未納が生じる前に何かしら対策を取ることをおすすめします。

経済的に保険料の支払いが困難であるのならば、以下のような対策方法もありますので、ぜひ参考にしてみてください。

介護保険料の減免額

経済的な理由でどうしても介護保険料の支払いが難しい場合には、そのまま滞納を続けるのではなく、まずは市区町村の市民税課や担当部署へ相談しましょう。

一定の要件に当てはまれば、介護保険料の減免措置を受けることが可能となり、保険料を滞納せずに済むようになります。

生活保護の申請

生活保護の受給への抵抗が強く、受給資格があるにも関わらず申請を拒んでいる方も多いことでしょう。

しかし、どうしても介護保険料の支払いが困難であれば、生活保護の申請を考えてみてはいかがでしょうか。

生活保護を受給することができれば、介護保険料分も支給額に上乗せされ、介護保険料を支払うことができるようになります
そうすることで、将来介護保険サービスを利用した際には未納があったからと介護保険の給付制限を受けるなどのペナルティーを回避することができます。

コラム:高齢者の介護保険料未納が社会問題になっている

厚生労働省が発表した平成28年度介護保険事務調査の結果によると、介護保険料の未納に対する
滞納処分を科せられたのは、13,000人以上いるとのことです。

現在高齢者の方の介護保険料未納が社会問題となっていますが、その背景として介護保険料の引き上げがあります。

介護保険制度が開始した2000年度の介護保険料は月に2,629円でしたが、高齢者の増加に伴い介護保険料はだんだんと引き上げられ、2015~2017年度ではひと月の全国平均介護保険料は5,514円とおよそ2倍となっています。

このまま介護が必要な高齢者が増加の一途を辿れば、10年後の介護保険料はなんと8,000円台にまで引き上げられると言われています。

このように、現役を退いて年金のみの生活を送っている高齢者にとって、引き上げられる一方の介護保険料の負担はかなりのものとなっていることでしょう。

介護保険制度の見直しでは、高齢者の大きな負担となっている介護保険料・保険料未納問題についても改善が必要となってくるのではないでしょうか。

まとめ




いかがでしたか。

介護保険料の未納が続いていることで受けるペナルティーは重く、これがまた新たな社会問題になっています。


前述のように、介護保険料を支払うことが困難な場合には、必ずそのままにはしないで、市役所に相談・減免の手続きを行うことを強くおすすめいたします。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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