無職の方でも関係ある!介護保険料の決まり方と関連する手続き

無職であっても、第2号被保険者で生活保護受給者であるなどの例外的な場合を除き、介護保険料の支払い義務はあります。介護保険料は多くの保険者(市町村)では、所得割と均等割りによって決定されます。それでも支払いが難しい無職の方は、減免制度や猶予制度を利用しましょう。

無職の場合は介護保険料を支払わなければいけないのか

超高齢社会の到来に備え、2000年に設立された介護保険制度は、40歳以上の方は原則として誰もが加入することになっています。

無職の方の場合も、基本的に40歳になると介護保険に加入するので、介護保険料が発生します。


したがって、「自分には関係ない」ということはなく、介護保険の仕組みや介護保険料に関する事項は知っておくべきなのです。

介護保険料は40歳以上であれば無職でも支払わなければいけません

例外は、40歳以上65歳未満の方で生活保護の需給を受けている方です。

生活保護の認定を受けると、その人は介護保険から脱退するので、介護保険料が発生することはありません。


※この場合、介護保険による支給を受けることはできませんが、その代わり介護扶助といって、生活保護の方専用の支給を受けることができるので安心です。


それ以外の方は、たとえ無職であったとしても介護保険料を支払う義務が原則として生じます。


※例外は、被災した場合や失職・廃業などによって収入が激減した場合や、生活が困窮している場合で、介護保険料が減免されます。


介護保険料の計算方法




無職であっても、介護サービス利用者間の平等性の観点から、介護保険料を支払わなくてはなりませんが、もちろんその金額は人によって違いがあります。

それを説明するために、まず以下の4つの概念を押さえましょう。



  • 所得割
  • 均等割
  • 平等割
  • 資産割


所得割とは、所得に応じて決定される金額のことです。

均等割りとは、被保険者の人数に応じて均等に決定される金額のことです。


平等割とは、1つの世帯に対して平等に決定される金額のことです。

資産割とは、(固定)資産の評価額に基づいて決定される金額のことです。

介護保険料の計算式

計算式は、以下の通りです。

(介護保険料)=(所得割)+(均等割)+(平等割)+(資産割)


ここで、注意ですが保険者(市町村)は、この4つすべてを入れる必要はなく、この4つのうちからいくつかを選び、組み合わせることで介護保険料を決定しています。


※よくある例:所得割と均等割(のみ)を組み合わせて介護保険料を決定。


※また、上記はあくまで40歳以上65歳未満の方(第2号被保険者)の方の計算式です。


65歳以上の方(第1号被保険者)の方の場合は、保険者(市町村)ごとに決められた基準額をもとに、本人の所得や世帯の所得により原則6段階の区分に分けられ、その区分ごとの保険料率に応じて介護保険料が決定されます。


※65歳以上の方は、生活保護受給者であっても介護保険に加入するため、一応介護保険料が発生しますが、その介護保険料は生活扶助に加算されるので、実質的な負担はありません。

昨年から無収入で無職の場合

上の計算式をより具体的に見てみましょう。

まず、所得割について。

所得割は、基準所得金額×税率で決定されます。


去年から無収入で無職の場合には、この計算式に基づき所得割は0になります。

次に、均等割りですが、これは無職かどうかにかかわらず課されます。

その次の平等割も、同様に課されます。


最後の資産割ですが、固定資産(償却資産を除く)を保有している場合には、課されます。


上記のよくある例に当てはめれば、所得割と均等割の合計になるので、去年から無職・無所得の場合には、均等割のみとなります。


逆に言えば、無職の方であっても、均等割分は支払わなくてはなりませんので、これまでと同じだけ払わなければなりません。


※後述の減免の事由に該当する場合はこの限りではありません。

今年になってから無職になった場合

今年になってから無職になった場合には、後述の介護保険料減免の事由の1つである「失業などにより前年の所得が大幅に減少した場合」に該当します。

したがって、保険料は減額となりますが、所得の減少割合に応じて4分の1から2分の1減額なので、この場合全額免除にはなりません。


保険料は割安になるものの、支払わなければならないのでご注意ください。


※この場合は、介護保険料の納付猶予制度も利用できます。

保険料の徴収方法

保険料の徴収方法は、2種類あります。

  • 会社の医療保険などに加入している場合には、医療保険料と併せて給料などから天引き
  • その他の方の場合(国民健康保険)は、納付書または銀行引き落としによる納付

前者の場合、介護保険料の未納という事態は基本的に発生しませんが、後者の場合は気を付けていないと未納になる場合があるので気を付けましょう。

※納付が遅れると、督促手数料や滞納期間に応じた金利が付く場合があります。

納付書または銀行引き落とし

無職の方の場合には、会社の医療保険には加入していない(扶養に入っている場合は除きます)ので、後者の納付書または銀行引き落としによる納付となります。

無職だから介護保険が支払えないという言い訳は通じない




上記のように、無職の場合でも、安くなるとは言え、原則として介護保険料を支払わなければなりません(例外は生活保護の場合)。

このように、無職の方でもある程度の介護保険料を負担しなければならない理由としては、無職であっても将来介護保険サービスを利用する可能性が高いからです。


また、保険者(市町村)が支出する介護保険費用は、年々増加傾向にあり、今後さらに強硬的な徴収方法・ペナルティーが採用される可能性もあります。

銀行預金などが差し押さえられる可能性がある

介護保険料を支払わなかった場合には、(所定の手続きを踏んで納付猶予となった場合などを除き)ペナルティーが科されます。



例えば、要支援・要介護認定を受けて介護サービスを利用するようになったとしても、最初の支払いの際にはいったん全額(ふつうは1割または2割負担)を支払わなくてはならなくなったり、自己負担割合が3割に引き上げられたり、などになります。


また、預貯金等がある場合には、それらを差し押さえ、介護保険料の納付に充てられることもあります。


突然の差押えを防ぐために

とはいえ、生活に困っている無職の方からも容赦なく徴収するといったことはありません。

そのような、介護保険料を支払えないやむを得ない事由としては、次の3種類があります。



  • 被災
  • 失職などによる世帯収入の激減
  • 生活困窮


上記の場合、介護保険料の全部または一部が減免されます。

これらに該当すると思われる方、介護保険料の納付が難しいとお考えの方は、そのままにせず、お住まいの市町村の介護保険課に相談に行きましょう。


また、上記のように生活保護を受給できるような状態になった場合は、介護保険料を支払わなくてよくなるので、そのような無職の方は、お住まいの市町村の生活保護課に相談に行きましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

確かに、介護保険料は年々増加傾向にあり、大きな負担となるのは事実です。


しかし、それを差し引いても、1割または2割負担で公的な介護サービスや助成を受けられることは、魅力的です。


将来、誰しも高齢者になり、介護する側から介護される側になります。


その時になって、必要な介護サービスが受けられないなどの事態にならないよう、無職の方であっても納付手続きまたは減免・猶予手続き行われることをお勧めします。

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