民間介護保険が必要ない人、必要性の高い人は?介護保障のデメリットから考える

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民間介護保険は公的介護保険と違い、現金給付されます。毎月積み立てすることで、生命保険料控除などの恩恵があり、将来に向けて備えられます。ただし、給付されないケースもあるため、加入の際には保険商品をしっかり吟味して、給付条件等を確認することが大切です。

このページではみなさんがあまりなじみがないかもしれない「民間介護保険」について解説します。

▼この記事を読んで欲しい人
  • 70歳を超えるご本人様
  • 親御さんが70歳になりそうな方
  • 介護にかかるお金について知りたい方
  • 民間介護保険のメリット、デメリットを比較したい方

目次を使って気になるところから読みましょう!

結論:民間介護保険が必要ない・いらない人



40歳になると介護保険に加入し、毎月健康保険料とは別に介護保険料を徴収されるようになります。

それとは別に民間介護保険という商品があるのをご存知でしょうか。


それでは公的な介護保険と民間介護保険、両方に加入すべきなのでしょうか?


実は民間介護保険に加入すべき人と不要な人がいます。

今回はどういう人に民間介護保険が必要で、どういう人に民間介護保険が必要ないか解説します。

必要ない人をまとめると以下になります。
  • 親またはご自身の年齢が70歳以上だが貯蓄が500万円以上ある人
  • 貯蓄が500万円以上無いが親またはご自身の年齢的に介護のためのお金を貯められそうな人
それでは、民間介護保険が必要ない人を紹介します。なお、それを考えるうえで(本当に必要ないか)参考になるデータを下に記載します。

民間介護保険と介護保険の違い


介護保険の種類公的介護保険民間介護保険
加入義務義務義務ではない
給付方法現物、サービス現金
給付額要介護度に応じる自由に設定可能
保険給付対象者要介護認定を受けた方
(40歳~65歳は特定疾病のみ)
対象は保険会社によって異なる
税金の控除社会保険料控除生命保険料控除

参考になるデータを3つお示しします。


◆ご自身が介護保険を使う確率は?

年齢介護保険を使う確率(%)
40~640.4
65~692.9
70~745.8
75~7912.7
80~8426.4
85~59.8


「介護や支援が必要な人の割合はどれくらい?|リスクに備えるための生活設計|ひと目でわかる生活設計情報|公益財団法人 生命保険文化センター」

より

このことからわかるように、日本の平均寿命まで生きれば、おおよそ半数の人が介護保険のお世話になるのです。


◆介護にかかる費用


介護にかかる費用を計算するとこのようになります。


  • 介護にかかった毎月の費用:平均8.3万円 
  • 介護にかかった一時的な費用(介護用ベッドの購入など):平均74万円 
  • 介護期間:平均5年
  •  合計:8.3万円×12ヶ月×5年間=498万円

このことから一時的な費用を除いても自己負担額だけで約500万円介護に必要になるということです。


2021(令和3)年度
表紙4 表紙1
生命保険に関する
全国実態調査
〈速報版〉
より

親またはご自身の年齢が70歳以上だが貯蓄が500万円以上ある人

上の計算で示したように、介護にかかる費用は約500万円です。


そのため、すでに貯蓄として500万円以上介護用に用意できる場合、新しく民間介護保険に加入する必要性は少ないと言えるでしょう。


500万円というのは公的介護保険(加入義務あり)で、保険適用がある状態での金額です。


70歳以上の場合、介護状態になる確率が高くなりますが、500万円あれば平均的な介護費用には対応できると考えられます。


もちろん、平均以上のクオリティの高い介護サービスを希望される場合は、もっと貯蓄が必要なので注意しましょう。


そのため、クオリティの高い介護サービス希望する場合は、民間介護保険が不要とまでは言い切れないかもしれません。

貯蓄が500万円以上無いが親またはご自身の年齢的に介護のためのお金を貯められそうな人

被保険者予定の方がまだ若く、被保険者予定の方が介護保険を使う確率が高くなる、70歳以上になる頃には500万円貯められている自信がある人は入る必要ないかもしれません。


その場合、ご自身で貯金などをしないといけません。


みなさんが若く、被保険者予定の方の介護が20年後に始まるとした場合、月2万円、つまり年間24万円貯めていけば、20年間で500万円近く貯金できます。

これなら民間介護保険は必要ないでしょう。


そのため500万円丸々介護費用として準備できる場合、新しい民間介護保険が必要ないと考えられるのです。

逆に民間介護保険の必要性が高い人・必要か検討すべき人



逆に民間介護保険に入る必要がある人、加入を検討すべき人はどのような人なのでしょうか?

それは、必要ないケースのです。

つまり、

  • 介護に充てられる貯金が500万円ない
  • すでに本人またはご家族が70歳以上(いつ介護になるかわからない)
  • このまま生活していくと、なかなかお金がたまらず、介護が必要な時期に500万円貯まらない
という場合です。現金500万円がなく、将来を展望しても貯まらない場合、民間介護保険に入り、介護費用の負担・不安を軽減させるという必要性が高くなります。

民間介護保険のデメリット



民間介護保険にメリットがある一方でデメリットもいくつか挙げられます。デメリットが多い感じるなら、民間介護保険は必要ないかもしれません。

具体的なデメリットは以下になります。

  • 全ての介護費用を賄えないかもしれない
  • 商品の支給条件が原因で保険金が出ない場合も
  • 高齢での加入になるため加入できない可能性が高いかも
  • 保険料が高くなりやすい
  • 介護保険を提供している民間企業がまだ少ない

全ての介護費用を賄えないかもしれない

介護に必要な費用は約500万円ですが、民間介護保険に加入し、要介護状態になった場合の一時金は100万円~200万円が相場です。

もちろん、ありがたいのですが、介護に必要な全額を民間介護保険の保険金で賄えないかもしれません。

そのため、保険だけに頼らず、ある程度預金などで現金を準備しておく必要があるでしょう。

商品の支給条件が原因で保険金が出ない場合も

公的介護保険についてはは、すべての方に対して、要介護度に応じて介護サービスが受けられる仕組みになっています。

しかし、民間介護保険の給付条件は商品により異なります。 

病気の種類や事故の性質によって、要介護認定を受けたからといっても、必ずしも現金給付が受けられないかもしれません。


ケガの保険(傷害保険)で負傷しやすい職業(スタントマン等)の場合、保険に入れない、あるいは保険料が高い、保険給付の条件が限られるケースに似ています。

高齢での加入になるため加入できない可能性が高いかも

医療保険もそうですが、健康状態などによっては加入できないケースがあります。

すでに大きな病気をしている人や認知症などの診断を受けていて、将来的に介護が確実なケースなど、あるいはすでに70歳を超えているケースなどは、民間介護保険に加入できない可能性があります。

保険料が高くなりやすい

保険は加入者が支払い積み立てている保険金で運営されています。生命保険や医療保険の場合、若いころから加入する人も多く、保険料の原資がある程度潤沢なので、保険料がある程度抑えられます。


しかし、民間介護保険の場合、若い世代が入ることは少ないと考えられます。


病気やけがのリスクは感じていても、自分が介護を受けるということについて実感がないからです。


公的介護保険も65歳から適用ですから、それえより若い世代はそもそも「介護保険」という言葉自体知らないかもしれません。


こういったことから、介護状態になりやすい高齢者が支払う保険料で運用するので、「広く薄く」ではなく「狭く深く」保険料を徴収することになり、保険料が高くなりやすいです。

介護保険を提供している民間企業がまだ少ない

生命保険や医療保険に比べ、民間の介護保険商品を提供している企業は多くありません。

公的な介護保険の方が普及しており、民間の介護保険については現状では普及が進んでおりません。

死亡保障などが減る場合もある

民間の介護保険で気を付けたいのが、介護以外の保障が含まれているタイプの保険です。


死亡や高度障害、特定疾病や入院などの保障をひとまとめにして契約をしています。


そのうちのどれかの保険金が支払われた時に、全ての保障が終わってしまったり、他の給付金が減らされたりする場合があります。

民間介護保険のメリット



そもそも、苦労して毎月のお金をねん出して、民間介護保険に加入するメリットは何なのでしょうか?

大きくは以下のメリットがお示しできます。


  • 介護でかかるお金の不安を軽減できる
  • 公的介護保険で保障されない若い年齢でも保障される可能性がある
  • 生命保険料控除を利用できる
  • 現金で保険金が支給される

それではメリットを見ていきましょう。

介護でかかるお金の不安を軽減できる

介護は病院やデイサービスなどで受けるリハビリ等の実際の介護以外にもお金がかかります。


タクシー代、おむつ代など日常的なお金だけでなく、バリアフリーに自宅を改装するための福祉住環境工事など、まとまった支出も予定されます。


どんな病気や障害になるかわからないので、まとまったお金を程度に応じて受け取れる民間介護保険は、とてもありがたいものになります。

公的介護保険で保障されない若い年齢でも保障される可能性がある

公的介護保険が適用されるのは40歳からです。しかし、40歳~64歳までの人が介護保険サービスを受けられるのは、特定疾病などに限られています。


それ以外のケガや病気で介護が必要になった場合、公的介護保険サービスが受けられません。

また、20代、30代で病気やけがで介護が必要になるケースは、公的介護保険の対象外です。


公的介護保険で保障されない若い年齢でも、介護保障を受けられるのは民間介護保険のみです。

リスクは低いかもしれませんが「万が一」に備えると、民間介護保険が必要ないとは言い切れないかもしれません。

生命保険料控除を利用できる

民間介護保険は年末調整や確定申告の際の「生命保険料控除」の対象になります。

ただし、生命保険料控除は、他の医療保険や生命保険と合算して、複雑な公式によって求めます。

その上限は年間5万円であり、支払った民間介護保険の金額がそのまま収入から控除されるのです。

課税所得が大きく減るわけではありませんが、もし医療保険の支払額が少ないなら、十分民間介護保険によって支払う税金を少なくすることができます。

現金で保険金が支給される

民間介護保険の保障は現金給付になります。


介護にはさまざまなお金がかかるため、現物支給や実際のサービス以外に使えるのはありがたいです。

また、保険金なので使用使途は限定されませんし、領収証の保管や使途の報告義務などもありません。


お金はいくらあっても困らないので、安心の給付がなされる民間介護保険は十分に検討する価値はあるでしょう。

民間介護保険または民間の介護保障の世帯加入率

データ元:生命保険に関する全国実態調査


  • 世帯全体・世帯主の加入率

世帯 世帯主 
平成30年14.1% 10.5% 
平成27年15.3% 11.8% 
平成24年14.2% 10.8% 
平成21年13.7% 11.1% 
平成18年16.1% 12.9% 


  • 配偶者の加入率


配偶者 
平成30年 7.8% 
平成27年 7.9% 
平成24年7.6% 
平成21年6.2% 
平成18年7.3% 


世帯年収別の民間介護保険または民間の介護保障加入率

世帯年収世帯 世帯主 配偶者 
不明 6.9% 5.2% 3.4% 
200万円未満 8.1% 4.4% 5.0% 
200~300万円未満 8.5% 6.1% 4.7% 
300~400万円未満 13.5% 8.7% 7.9% 
400~500万円未満 14.7% 10.5% 7.5% 
500~600万円未満 17.7% 16.1% 7.2% 
600~700万円未満 16.4% 12.5% 10.4% 
700~1000万円未満 22.4% 17.5% 12.2% 
1000万円以上 12.2% 10.0% 7.2% 

世帯主年齢別の民間介護保険または民間の介護保障加入率

世帯主年齢 世帯世帯主配偶者
~29歳 12.2% 10.2% 6.1% 
30~34歳 17.4% 14.1% 10.9% 
35~39歳 15.0% 12.6% 8.7% 
40~44歳 16.1% 15.2% 6.1% 
45~49歳 15.1% 13.9% 7.7% 
50~54歳 20.6% 17.6% 10.3% 
55~59歳 20.9% 17.1% 12.1% 
60~64歳 14.2% 7.3% 9.7% 
65~69歳 10.3% 6.1% 7.1% 
70~74歳 10.3% 5.6% 6.9% 

在宅介護と施設介護の違いとは?それぞれのデメリットを紹介

介護には大きく分けて「在宅介護」「施設介護」の2種類があります。「在宅介護」は自宅で介護士や家族が介護を行うもので、「施設介護」は老人ホームなどの施設に入居して介護士などから介護サービスを受けるものです。



在宅介護のデメリット1:夜間には必ず介護が必要になる

在宅介護のデメリットとして、夜間の介護があげられます。居宅サービスを部分的に利用するとしても夜間の介護が必ず必要となります。ショートステイなどを利用し負担を軽減することもできますが、利用日数の制限や、限度額の制限があります。

在宅介護のデメリット2:介護者に対する心労被害が最も高くなりうる

家族が介護をする場合、相手への愛情や責任感から、すべてを自分でやろうとして、うつ病になったり体調を崩したりするケースがあります。老老介護や介護離職の問題が社会問題になっています。
このような介助者は実際に多く、心身共に疲れ果ててしまうケースがあります。

在宅介護のデメリット3:近隣住民や公共施設などに迷惑をかけるリスクがある

認知症の高齢者の徘徊などで近隣住民に迷惑をかけたり、交通事故や鉄道の事故を引き起こしているケースも新聞やニュースで見受けられます。常に目を離さずにおくということが現実的には難しく、こうしたリスクが在宅介護にはあります。

施設介護のデメリット1:費用が圧倒的に高い

施設介護のデメリットは、やはり費用の高さです。在宅介護に比べると圧倒的に高くなります。老人ホームなどの介護施設は、介護体制は整っている代わりに、費用については高くなるというデメリットがあります。

施設介護のデメリット2:入居したにもかかわらず退去する場合も

入居したにもかかわらず退去していまう場合もあります。家族が一生懸命施設を探しても本人が「やっぱり自分に合わない」と退去してしまうケースもあります。

在宅介護と施設介護の違いとは?それぞれのメリットも知っておこう

在宅介護と施設介護のデメリットを先にお伝えしましたが、メリットも是非知っていただきたいと思います。

自宅介護のメリット1:自由度が高く選択肢が広い自宅介護

在宅介護のメリットは、自由度が高く選択肢が広いことです。自宅介護であれば「自分が介護に避ける時間」や「どこまで他のサービスを使用するか」などの選択肢が広くなります。家族だけで行うと負担は大きいですが、外部サービスをバランスよく取り入れることで負担を軽減することができます。

施設介護のメリット1:常に専門家が見守っていてくれる

施設介護のメリットは、常に専門家が見守っていてくれることです。どの家族も介護の経験が豊富にあるわけではありませんし、医療に関する知識も同じです。経験豊富な専門家が見守っているという安心感が施設介護にはあります。

施設介護のメリット2:介護者本人の気持ちが楽になる

介護者本人の気持ちが楽になる点もメリットとして挙げられます。在宅では介護する家族の負担感だけでなく、介護されている本人も「申し訳ない」「迷惑をかけている」と感じていることが多いです。施設に入り、家族と離れる寂しさもありますが、こうした負担感が減り、また施設内で気の合う仲間や趣味などに巡り合うこともあります。

民間介護保険が必要ないか迷ったらマネキャリに相談!



民間介護保険について、必要ないかどうか普段意識することも少ないので、判断つかないという人も多いかもしれません。

迷われたときは、「マネキャリ」に相談してください。

経験豊富な専門家が的確なアドバイスをします。

まず、自分だけで必要ないと考えずに遠慮なく「マネキャリ」までお問い合わせください。

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