介護に必要な福祉用具は介護保険を使えば費用を安く抑えられます

公的な介護保険制度では、一人ひとりの身体状況に合わせた福祉用具を原則1割負担で購入したり、レンタルすることが出来ます。今回はどのような福祉用具が介護保険で利用できるのか?どのようにして利用することが出来るのか?その価格帯も併せてご紹介します。

介護保険でお得に購入レンタルできる特定福祉用具

病気や加齢で床からの立ち上がり・起き上がりなどが難しくなった、一人では歩くのが困難というときに、福祉用具を利用するとこれまで出来なかったことができるようになります。

福祉用具というと車いすや介護用ベッドを思い浮かべますが、他にも沢山あることはご存知でしょうか?

では、実際に介護保険で利用できる福祉用具にはどのようなものが含まれているのか詳しくご紹介します。

特定福祉用具とは

介護保険では、介護が必要な方が福祉用具を購入した場合、購入費を補助する制度があります。この制度を「特定福祉用具販売」といいます。

特定福祉用具とは、入浴や排せつなどにおいて利用者の肌に直接触れるものでレンタルにはなじまない介護用品などを指します。


例えば、ポータブルトイレや入浴用椅子などがあります。




介護保険で特定福祉用具を1割負担で購入できる

介護保険制度では、この特定福祉用具販売も他の介護サービスと同じように1~2割の自己負担で利用できます。

背もたれやひじ置きが付いている標準的なポータブルトイレは1万円~3万円と安いとは言えない価格です。しかし、介護保険制度を利用し特定福祉用具として購入すると、1割なら1000円~3000円、2割だと2000円~4800円分だけ負担します。 


給付を受ける流れは以下の通りです。

  1. まず、市区町村から指定を受けている福祉用具販売事業所で利用者が全額自己負担で購入します。
  2. 住んでいる市区町村役場の介護保険担当窓口に申請を行います。
  3. 申請が認められれば、9割(もしくは2割)分の金額が払い戻されます。


支給対象者

この特定福祉用具販売は、介護保険制度で要支援1・2または要介護1~5と認定された方のみが利用できます。

利用限度額

介護保険制度で特定福祉用具を購入できる金額には限度額が設けられています。

毎年4月1日~翌年3月末日までの1年間で要支援度・要介護度に限らず10万円の利用限度額になります。


ただしこの利用限度額を超えた分は自己負担となります。また、原則として同じ種目の商品の購入は出来ませんので、注意が必要です。

特定福祉用具で購入できるもの

特定福祉用具販売で購入出来るものには、どんなものがあるか具体的に説明します。

腰掛け便座、特殊尿器

腰掛便座には4つのタイプがあります。
  • 腰掛式便座に変更するもの

和式便器の上にのせて腰掛タイプとして使える便座で、立ち上がりが困難な方に適しています。

価格 3,000円~7,000円


  • 補高便座

洋式便器の高さが合わず立ち上がりが困難な場合に、便座の高さを補うための便座です。

温水洗浄便座に補高機能を加えたタイプもあります。

価格 8,000円~7,5000円


  • 立ち上がり補助便座

立ち座りの動作が楽に行えるよう、電動またはスプリングなどにより便座が昇降する機能が付いています。取り外し式のアームサポートが付いているタイプ、便座の昇降が垂直または傾斜するタイプがあります。

価格 100,000円~190,000円


  • ポータブルトイレ

トイレがベッドのある居室から離れている、尿意や便意を感じてからトイレに移動するまで間に合わないという方が居室で利用できる簡易トイレです。

消臭や高さ調整、シャワー、暖房など色々な機能が付いたポータブルトイレがあり、ニーズに合わせて選択できます。

価格 6,000円~10,000円(ひじ置き無しタイプ)

   10,000円~26,000円(標準・ひじ置きありタイプ)

   25,000円

入浴補助具、簡易浴槽

入浴に関しての特定福祉用具は次の通りです。  

  • 入浴用補助用具

入浴の際に座位を安定させるための椅子(シャワーチェア)や浴槽の出入りを安全に行うための浴槽用手すり、深い浴槽への出入りで使用する浴槽台、介護者の腰痛やすべり予防の入浴用介助ベルトがあります。


価格

シャワーチェア 6,000円~50,000円

浴槽手すり 5,000円~60,000円

浴槽台 7,000円~29,000円

介助用ベルト 3,000円~10,000円


  • 簡易浴槽

居室などで入浴が出来る簡易な浴槽で、空気式や折りたたみ式などがあり、取水や排水の工事が伴わないものに限られています。

価格 50,000円~160,000円 

移動用リフトのつり具

自力で移動が出来ない人をつり具を使用して持ち上げて移動する装置を移動用リフトと言います。 

移動用リフト本体はレンタルできますが、身体を包むシート(つり具)は購入の対象となります。

身体全体を包むシート型と脇の下と股の下にかかるセパレートタイプがあります。 

価格 38,000円~

介護保険で特定福祉用具のレンタルも1割負担でできる

これまでに挙げた特定福祉用具以外にも1割(もしくは2割)負担でレンタルが出来る福祉用具があります。

レンタル対象者

特定福祉用具販売と同じく、要支援1,2または要介護1~5と認定された方が対象となります。

ただし、要支援度・要介護度によって、レンタルできる種目、できない種目が決められています。

車いすや特殊寝台、床ずれ防止用具などは原則として要支援、要介護1の方はレンタルが出来ません。 

利用限度額

介護保険制度の福祉用具のレンタルは要介護度に応じた「区分支給限度基準額」の範囲内で利用できます。

区分支給限度基準額は利用する介護サービスを組み合わせた場合、1月当たり○○単位まで、と決められていて要支援度・要介護度によって異なります。 


また、福祉用具のレンタルは自治体やレンタル事業者によって価格が様々ですので、ここでは全国平均の価格を記載しています。

福祉用具でレンタルできるもの

介護保険制度を利用してレンタルできる福祉用具は多くあります。

車いすや電動ベッドなどが代表的ですが、理学療法士やケアマネージャー、福祉用具専門相談員が個人個人の身体状況に合った福祉用具を選ぶことが出来るようアドバイスします。 


では、どのような福祉用具があるか具体的に見ていきましょう。

車いす、車いす付属品

車いすは、自走用・介助用・電動車いすがあり、それぞれ個人の特徴に合わせてレンタルできます

価格 400~1200単位


車いす付属品とは、座面に敷くクッションやパッド、電動補助用品、車いす用テーブルなどがあります。

価格 100~600単位

特殊寝台、特殊寝台付属品

特殊寝台とは、サイドレールの取り付けが可能で頭部や脚部の傾斜角度が調整できるもの、床からの高さが調整できるものを指します。

価格 500~800単位


特殊寝台付属品には、サイドレールやマットレス、ベッド用手すり、スライディングボードなどがあります。

価格 50~500単位

床ずれ防止用具、体位変換器

寝たきりの方などが床ずれをおこさないよう予防するための福祉用具で、ウレタンやゲル、エアー式などがあります。

価格 500~1200単位 


体位変換器は、ご自分で寝返りが打てない方のために、空気パッド等を使って体位を換える用具です。

価格 100~800単位

手すり、スロープ

介護保険でレンタルできる手すりやスロープは工事を伴わないもので、廊下や階段、トイレ等に設置するタイプに限ります。

価格 200~800単位 


スロープは、段差を解消するもので工事を伴わないタイプに限ります。 

価格 100~2000単位

歩行器、歩行補助つえ

移動時に体重を支えることが出来るもので、固定型と交互型の歩行器があります。

価格400~単位


歩行補助杖は松葉づえや1点杖、多点杖などがあります。

価格50~150単位

認知症老人徘徊感知機器

センサーを使って認知症老人の屋外への外出を察知する機器で、マットレス型と設置型があります。

価格 700~1000単位

移動用リフト

移動用リフトは床走行式、固定式、据置式があり、ご自分で移動が出来ない方を機会を利用して移乗や移動を行います。リフト本体はレンタルが可能ですが、つり具の部分は購入対象です。

価格 500~2500単位 

住宅改修とは

介護保険制度では、利用者の身体状況に合わせて住宅の一部を改修した場合の補助があります。

手すりの取り付けや便器の取り替え、室内の段差解消、開き戸から引き戸への扉の取り替えなどがあります。

介護保険による住宅改修の自己負担割合

介護保険による住宅改修は一人生涯を通して20万円まで支給され、自己負担割合は所得に応じて1割もしくは2割の金額です。

ただし、要介護状態の区分が重くなった場合や転居した場合は再度20万円支給されます。

まとめ

介護が必要な方には欠かせない福祉用具ですが、公的介護保険制度では購入やレンタルにかかる費用を1割~2割で利用できます。

福祉用具は様々な種類がありますので、利用者の状態に合わせた福祉用具を利用することが重要です。

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