思った以上に費用がかさむおむつも、介護保険で給付が受けられるの?

介護保険ではサービス費のみ対象でおむつや食事代は支給されないことが原則ですが、ある一定条件を満たせばおむつも給付されるというのは本当か?おむつは毎日使う物なので費用がかさんでしまいます。介護保険でのおむつの給付内容を調べてみました!

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

介護保険によるおむつサービスの概要を説明

失禁などのため、常時おむつ着用が必要な在宅での寝たきりや認知症を患っている高齢者の方に対しておむつの給付がされています。これは各市町村が行っている介護保険による助成制度となります。

給付されるものは、紙おむつや尿取りパッドなどで、指定された業者から自宅に配達されるようになっています。もしくはある条件ではおむつ代の助成がされることもあります。

助成の方法はこの配達によるおむつ給付の『現物給付』と自分でおむつを購入した場合に市町村から助成金が出る『現金給付』の二つがあります。ですがほとんどの市町村では現物給付のみでの方法が取られています。

各市町村によりおむつ給付のサービス内容はさまざまですので、給付内容や給付金額が細かく異なりますので注意が必要です。おむつ給付のサービスを受けようとする場合には、必ず自分の住んでいる地域の自治体に確認するようにしてください。

介護保険のおむつ給付対象となる方

このおむつ給付対象となるのは、主に介護保険にて要介護認定を受けた高齢者の方です。

そしてこのおむつ給付対象は在宅で介護を受けている方のみが対象となっており、介護保険施設へ入所している方は対象となりません。介護保険施設入所者への助成はまた後ほど説明します。

65歳以上で要介護認定1~5を受けている方

65歳以上の介護保険の要介護度3以上の方で、おむつが日常的に必要な方が対象となっています。しかし、要介護度1か2であっても、医師による身体状況確認書によりおむつの必要性が認められた場合には要介護度1か2の方でも給付対象となることもあります。

3歳以上で身体障害者手帳1~2級を受けている方

介護保険の要介護認定を受けていない人でもおむつ給付を受けられることがあります。
それは、在宅で寝たきりの身体障害者手帳1~2級を所持している方や18歳未満で発症した脳原性の重度四肢機能障害などにより、排せつの意思表示が困難で常時紙おむつが必要な方なども対象となります。月に定められた上限額分のおむつが現物支給とされる場合が多いです。上限額を超えた分は自己負担となります。

この対象も地域によって異なりますのでまずは市の担当課まで問い合わせてください。

施設内での介護保険おむつ給付の内容

介護保険でのおむつ給付の対象は原則として在宅での介護を対象としています。なので対象者が病院や施設に入院・入所した場合には給付は止められてしまいます。

しかし、対象者が定められた条件に当てはまれば、おむつ給付を受けることが出来る地域もあります。この場合は現物支給ではなく、現金支給となります。

介護保険のおむつ支給の支給額

この支給額も地域によって異なりますが、介護度別にだいたいの平均支給額は5,000円~10,000円となっています。
要介護度4や5の方では8,000円の支給額としている地域が多く見られます。

介護保険サービスでおむつ交換をヘルパーが行ったときの負担金額

介護サービスの費用は地域によって単価が異なっています。ここでは、例としてある地域の地域単価から在宅にてヘルパーがおむつ交換をした場合の費用を算出してみます。

まず、介護には身体介護と生活介護があります。生活介護とは利用者の身の回りの援助をすることになります。利用者の心身状態では困難な箇所の掃除や洗濯、また料理などを介助します。
おむつ交換は身体への介助なので、入浴介助などと同じ身体介護となります。

身体介護の費用一覧です。(1割負担の場合)
  • 20分未満・・・165円
  • 20~30分未満・・・245円
  • 30分~1時間未満・・・388円

ヘルパーによる「20~30分未満のおむつ交換」が1日2回行われた場合、一週間では245円×2回×7日=3,430円となります。

1か月ですとおよそ13,000円ほどかかることになります。




介護保険によるおむつ給付の申請・給付の流れ

おむつの給付を受けようとする場合、市役所の保健福祉課や地域包括支援センターが窓口となっています。もしくは自分の担当ケアマネージャーに相談するのもいいでしょう。
申請には申請書と印鑑が必要です。しかし、給付の方法によって申請の仕方が異なりますので注意してください。

まず、現物支給の場合、役所に現物支給申請書を提出します。その後給付が決定したら決定通知とおむつ購入用のパンフレットが送られてきます。そのパンフレットの中から希望の商品を選び、電話などで注文することが出来ます。
現金給付の場合は、自分自身でおむつを購入し、購入した際のレシートを申請書に添付して役所に助成申し込みを行います。おむつを購入した際には必ずレシートを受け取るようにしてください。

納入業者と相談する

おむつを購入できる業者は市町村などですでに決められています。パンフレットなどを参考に、自分の希望するおむつを相談することも出来ます。また、途中で納入業者を変更することも出来ますが、その際には新たに申請書の提出が必要な場合があります。

おむつは自分で買いに行くとなると一つのパックでも大きく、重さもあります。このように自宅に配達してもらえるということは、介護での負担を軽減することが出来ますね。

必要書類を揃え各区高齢者障害支援課に申請する

おむつ給付の申請に際し必要な書類は、おむつ給付の申請書や配偶者などがいる場合は調査の同意書、介護保険被保険者証の写しなどです。これらの必要な書類を揃え申請書に添付することで、各区高齢者障害支援課に申請することが出来ます。

地域によって必要書類は異なる場合がありますので、事前に必要な書類を確認するようにして下さい。

各区高齢者障害支援課から通知が来る

おむつ給付の申請後、高齢者障害支援課にて審査され給付決定か否かが決まります。その結果は通知書にて送られてきます。

給付が決定された場合には、給付決定通知書とともにおむつのパンフレットやおむつ券などが支給されます。

おむつ券によるおむつ購入と介護保険料給付の流れ

おむつ給付サービスはおむつを自宅へ配達されるのとは別に、チケットを支給され、おむつをそのチケットで購入するという給付方法もあります。


例を挙げてみますと、東京の荒川区では給付対象者に毎月2,000円分のチケットを3枚支給しています。そして区が認めた事業所や薬局でおむつを購入することが出来ます。

このチケットによる介護保険給付額は地域によってさまざまで、平均で月5,000円としている地域が多いです。

介護保険によるおむつの医療費控除

傷病により、おおむね6カ月以上にわたり寝たきり状態にあると認められ、医師から必要と認められた紙おむつなどの購入費医療費控除の対象となります。
医療費の合計が年間で10万円、または所得金額の5%を超えた場合に申告すると、税金の一部が返還されます。

申告するために必要な書類は、おむつを購入した際には領収書をもらい、きちんと保管しておきましょう。この領収書には、おむつ代であることと、使用者の名前が記載されていなければなりません。
そして主治医に発行してもらう「おむつ使用証明書」が必要です。介護保険の要介護認定を受けている場合は、2年目以降の申告ではおむつ使用証明書の代わりに、主治医意見書の内容を使用することが出来ることもありますので、市町村に確認するようにしてください。

まとめ

在宅での介護となると、介護サービス費用以外にもさまざまな出費が必要となってきます。このおむつについてもそうです。


毎日使うものですし、使い回すことが出来ない紙おむつは、月々の出費としては思っている以上の金額となります。その毎日必要な物が給付されるというサービスならばぜひ利用したいと思うに違いありません。

まずは給付内容はどのようなものか、給付を受けられる対象であるかなどを調べ、毎月の介護にかかる費用が少しでも抑えられるようにしましょう。

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