介護保険でのサービス利用には、最初に契約書による契約が必要です!

介護保険でのサービスを利用には、利用前に契約が必要です。事業を提供するうえで必要な重要事項説明書、並びに契約に必要な介護保険利用契約書を説明後、重要事項説明書と介護保険利用契約書にて契約を交わさなければ、利用開始できない仕組みに介護保険制度はなっています。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

介護保険利用契約契約書とサービス内容説明書及び重要事項説明書の役割の違い

まず最初に、介護保険でのサービスを利用したい場合は、サービスを提供する指定事業者との間に、重要事項説明書と介護保険利用契約書へ同意して、契約を交わさなければいけません。


介護保険利用契約書は、提供する介護サービスに関する権利義務について記載する必要があり、「サービス提供全体の基本となる項目」を定めています。


つまり、介護保険のサービスを提供する事業者側と、サービスの提供を受ける利用者側との色々な決まりごとのなかで、重要な点を定めている書類ということになります。


また、介護保険での重要事項説明書は、「サービスの種類ごとの個別事項」を定めています。


つまり、契約書以外で提供する介護サービスについて、介護保険のサービスを提供する事業者側の細かな内容を記載した書類ということになります。




サービス内容の詳細をすべて契約書に記載しては、わかりづらくなってしまいます。

契約書には簡潔に記入しておき、詳細は重要事項説明書に記載する方法や、契約書に「別紙サービス内容説明書記載のサービスを提供する」と記載し、サービス内容説明書を添付するなどで、契約書をわかりやすくする場合もあります。


介護保険利用契約書の記載内容

介護保険利用契約書として、できれば下記の項目が記載してあった方がよいでしょう。


  • 契約の目的
  • 契約期間と更新
  • 計画書の作成と変更
  • サービスの提供内容の記載と保管
  • 緊急時の対応
  • 居宅介護支援事業所または提供事業所との連携
  • 機密保持
  • 個人情報の取り扱い
  • 賠償責任
  • 利用者負担金及びその変更
  • 利用者負担金の滞納
  • 契約の終了
  • 利用者の解約権
  • 契約終了時の援助
  • 苦情処理
  • 利用者代理人
  • 裁判管轄
  • 契約外事項
  • 協議事項

記載項目は多くありますが、契約書はできるだけわかりやすくまとめるようにしてください。


上記の項目を利用契約の際に説明し、同意を得て、相互の署名、捺印後、各一部ずつを保管します。



でも、サービスを利用する側としたら、どのようなサービスをどの期間、どのくらいの金額で受けることができるのかという点が一番気になりますよね。


介護保険が提供するサービスの内容

介護保険では、介護保険サービスを利用する事業所ごとに、提供側と利用者側で契約を結ぶ必要があります。

介護保険での契約は、介護のためのサービスの提供を目的とする契約、福祉用具のレンタルを目的とする契約、介護目的の改築を目的とする契約などに分類することができます。 


さらに施設入所を伴うサービスについては、施設入所契約と個別の介護サービス供給契約との複合体となっているケースもあります。


介護保険で提供できるサービスは、大きく分けると「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の3つとなります。


「居宅サービス」には、


・ 訪問介護 

・ 訪問入浴介護 

・ 訪問看護 

・ 訪問リハビリテーション 

・ 居宅療養管理指導 

・ 通所介護 

・ 通所リハビリテーション 

・ 短期入所生活介護 

・ 短期入所療養介護 

・ 特定施設入居者生活介護 

・ 福祉用具貸与 

・ 特定福祉用具販売


「施設サービス」には、


・ 介護福祉施設サービス

・ 介護保健施設サービス 

・ 介護療養施設サービス


「地域密着型サービス」


・ 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 

・ 夜間対応型訪問介護 

・ 地域密着型通所介護 

・ 療養通所介護 

・ 認知症対応型通所介護 

・ 小規模多機能型居宅介護 

・ 認知症対応型共同生活介護 

・ 地域密着型特定施設入居者生活介護 

・ 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 

・ 複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)


以上が介護保険給付として利用できるサービスです。


回数増減時は、事業所もしくはケアマネージャーに相談すれば解決します。また、利用のキャンセルは、利用の事業所に早目の事前連絡が必要です。その他にも苦情時は、損害賠償は、など不明な点もあると思います。


サービス内容のなかで、利用回数の増減時や利用キャンセル時、苦情窓口、損害賠償などの対応等々は、介護保険利用契約書、サービス内容説明書、重要事項説明書に記載されていると思いますので、確認しておいてください。


介護保険のサービスを提供する時期

提供する時期については、基本的に契約日以降とされています。

また契約の有効期限は、介護保険でのサービスの場合、介護認定の有効期限までとしています。当然ながら介護保険でのサービスを継続する場合においては、介護保険の介護認定更新をおこなうわけですから、介護認定が受けられたのち、自動的に介護保険利用契約書も更新されるのが一般的です。


介護認定を受けることができないあるいは、入院等で長期間サービスの利用ができないなどが発生した場合の契約はどうなるのか?

他の違ったサービスを利用する場合、契約の解除が必要なのか?


色々な状況が発生する可能性があると思われます。

その場合の契約の終了や解除などが、規定してあるかを確認する必要があるでしょう。


ただ、事業者からの解除については制限的にしなければなりません。


なぜならば、介護保険という公的システムを実施している以上、「介護認定にもかかわらず、正当な理由なくサービスの提供を拒否することはできない。」と決められているからです。


介護保険のサービスにかかる金額



介護保険サービスの対価となる金額については、介護保険給付であれば自己負担分の1割もしくは2割、その他自費分である食費、居住費などをいつどのような方法で、いつ支払うかを契約書内で明確にしてあることが必要です。


介護保険給付費の計算方法


言葉で表すと・・・

サービスごとに定められているサービス単位数に、地域ごとに設定してある単価(1単位当たりの金額。一般的には1単位=10円)を乗じた金額となっています。


計算式で表すと・・・

単位数(規定単位数)×単価(1単位の金額)=介護保険給付費


計算例で表すと・・・

単位数=1,000 単位単価=10円 の場合、

1,000×10=10,000 で10,000円となります。


介護保険給付での自己負担分


言葉で表すと・・・

介護保険給付費に介護保険給付の自己負担割合である、1割もしくは2割(市区町村において個人ごとに決定済み)を乗じた金額となります。


計算式で表すと・・・

介護給付費×自己負担割合(1割もしくは2割)=自己負担金額


上記の計算例で表すと

10,000円×0.1=1,000 で1,000円となります。


介護保険給付費で賄われる部分の金額(自己負担分を除く)以外の食事や買い物の代金、自己都合での急なキャンセル、施設での居室料、水道光熱費など介護とは認められないものは、自費での負担となります。


自費扱いの部分についても、契約書などに記載してければトラブルの原因になりかねません。


介護保険契約の際に注意すべきこと

居宅介護支援事業者やサービス提供事業者などと契約書を交わす際には、以下のようなことに注意しましょう。


項目注意点
契約の目的契約の目的となるサービスが記載されているか?
契約の当事者利用者と事業者との間の契約になっているか?
指定事業者都道府県あるいは市区町村から指定されている事業者か?
サービス内容利用者の状況にあったサービス内容や回数か?
契約期間要介護認定の有効期間に合わせた契約期間となっているか?
負担金自己負担金や自費の要否などの内容が明記されているか?
解約利用者の解約が認められる場合及びその手続きが明記されているか?
損害賠償サービス提供時損害が発生した場合の賠償義務が明記されているか?
秘密保持個人並びに家族の秘密や個人情報が保持されるようになっているか?


契約書を交わされる場合、必ず不明な点などをたずねて、誤解がないように十分納得されたうえで、契約書に署名、捺印されることをおすすめいたします。


以下は北九州市のページに搭載してある、「契約時のチャックポイント」です。


○ 重要事項説明書の交付を受け、くわしく説明を受けましたか? 

 ※ 重要事項説明書は、サービスの内容や利用料といった大切なこ

   とをまとめたものです。 

 ※ 事業者は、重要事項について、利用者に説明することが義務付

   けられています。 

○ 事業者は、県知事の指定を受けていますか? 

○ ホームヘルパーなど、直接介護をしてくれる人は、資格を持って

  いますか?

○ サービスの内容は、よくわかりましたか? 

○ サービスの内容は、あなたの希望に沿っていますか?

○ サービスの回数や曜日などは、はっきりしていますか? 

○ 料金の仕組みは、分かりやすく書いてありますか?

○ サービス内容の保険適用の有無 

○ 保険給付の対象となるサービスの利用料(利用者の自己負担は、

  原則として1割です)

 ※ 保険給付の対象とならないサービスの利用料(全額が利用者の

   自己負担となります)

 ※ 体調不良などの理由でキャンセルした場合の取り扱いについて

○ 契約する事業者には、苦情受付窓口はありますか?

○ サービスの内容や直接介護をしてくれる人の変更ができると書い

  てありますか? 

○ 事業者は、賠償保険に入っていますか?

○ 解約する場合のことが書いてありますか?


参考までに記載させていただきました。


重要事項説明書の記載内容

重要事項説明書には、介護保険利用契約書に記載された以外で、運営規定の概要、勤務体制、その他サービスを選択するのに必要とされる重要な事項の内容などが記載されています。

例えば、サービス内容と料金を詳細、苦情の受付方法、残置物の引取方法、緊急時の対応方法などが記載されています。


介護保険でのサービスを提供する指定事業所は、利用者へ重要事項説明書の内容を説明し、交付する必要があります。


運営規定の概要・勤務体制

提供の開始に際しては、あらかじめ利用申込者に対して、下記を記した文書を交付して説明を行い、同意を得なければなりません。

また、施設の見やすい場所に重要事項を掲示することが必要です。


(1)運営規程の概要

(2)職員の勤務体制 

(3)利用者負担 

(4)その他の利用申込者の選択に資すると認められる重要事項


と介護保険制度では規定してあります。


もちろん、介護保険の指定を受けているサービス提供事業所は、都道府県または市区町村に、重要事項説明書や運営規定、勤務体制などの書類を提出して確認後、許可を得ています。


サービスを受ける際には、知っておくことも大切です。

 

利用者がサービスを選択するのに必要な重要事項

重要事項説明書はサービスの提供の開始に際し、あらかじめ利用申込者またはその家族に対し、サービスを選択するために必要な重要事項について説明を行なうものです。

介護保険で介護を提供してもらう事業者や事業所が、どういうもので、どういうことを、どのくらいの費用で、実施してもらえるのか?

また、自分の状態や状況、希望にあった適切なサービスであるのかを決定するための重要な項目が記載してあります。


契約書とともに十分納得したうえで署名、捺印下さい。


特定施設サービス契約書の見方と特徴

特定施設サービスとは、 在宅サービスの1つですが、自宅ではなく介護保険の指定を受けた施設のことです。


介護付き有料老人ホーム

軽費老人ホーム

養護老人ホーム


上記の施設で暮らし、かつ、介護認定を受けた人が利用出来るサービスです。 介護計画が立てられ、それに沿って排泄や入浴、食事などの日常の介護が行われます。


契約書の見方は、「介護保険契約の際に注意すべきこと」の章ですでに述べていますので、参考にしてください。


介護保険制度は自立支援の理念の下、利用者の意思と選択を尊重した契約方式に基づきサービスを提供し、介護サービス利用者の権利を保障しています。


利用者の多くは高齢であり、気力、体力に衰えがみられ、契約締結に当たって必要な情報収集能力や、契約書の内容を理解できるだけの判断力が低下もしくは欠如している可能性があります。


契約締結の際は、利用者の特性に配慮した契約書や重要事項説明書の作成および説明が求められます。


まとめ

介護事業者が介護契約を締結する際には契約の核心部分を記載した契約書を作成し、重要事項説明書を作成して説明することで、利用後のトラブル防止に効果を発揮します。

なお、契約書、サービス内容説明書及び重要事項説明書は、モデル案がインターネット上に掲載してありますので、参考にするとよいでしょう。


また、契約される前に今一度、介護保険で介護を提供してもらう事業者や事業所を契約書やサービス内容説明書、重要事項説明書を十分確認され、自分の状態や状況、希望にあった適切なサービスで、適切な事業所であるのかを最終的に確認してください。


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