更新日:2018/02/11
『介護保険とは』介護が必要になった時に助けてくれる心強いものです
超高齢化社会を迎え、いつ、どんなときに、自分や家族、身近な人に介護が必要になるかわかりません。介護保険制度とはそんな時に手助けてくれる心強い味方です。介護保険制度とは、どんなものかをわかりやすく説明していきたいと思いますので、理解してうえで活用してください。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 介護保険に関する全情報まとめをわかりやすく解説します
- 介護保険制度とは
- 介護保険制度の基本理念
- 介護保険制度の対象者とは
- 介護保険制度の仕組みとは
- 第1号被保険者の介護保険料
- 第2号被保険者の介護保険料
- 介護保険の要介護認定とは
- 要介護認定の目的
- 介護保険の要介護認定申請の流れ
- 介護保険の要介護認定の区分
- 要介護認定の手続き・申請の流れ
- 介護保険で受けられる介護サービスの説明
- 居宅サービスの内容と利用料
- 施設サービスの内容と利用料
- 地域密着型サービスの内容と利用料
- 介護保険サービス利用時の自己負担
- 利用したサービスの1割を自己負担する
- 自己負担が高額になったとき
- 介護保険の自己負担限度額とは
- 介護保険の介護保険施設とは
- 介護保険施設の種類と特徴
- 介護保険施設と民間運営施設の違い
- 介護保険の介護医療費保険料控除とは
- 介護医療費控除の対象となる契約とは
- 介護医療費控除の控除金額
- 介護医療費控除の手続き方法
- まとめ
目次
介護保険に関する全情報まとめをわかりやすく解説します
介護状態になったときに受けられる保障としては、公的な介護サービスの利用料金の9割もしくは、8割を公費でまかなう(現物支給)という形で、保障を受けることができる公的介護保険と、公的介護保険とは別に、民間の介護保険に加入をしていれば保険金という形で、保障を受けることができる民間の介護保険との2種類があります。
今回は、一般的に利用されている公的介護保険に関することを、なるべくわかりやすく説明させてもらいます。
まずは、介護保険とはどういうものかを簡単に説明致しましょう。
公的介護保険は税金をはじめ、国民全員が40歳になった月から65歳未満(第2号被保険者)までの介護保険料と、65歳以上(第1号被保険者)の介護保険料を財源として、介護が必要になった場合に適切な介護サービスが受けられるように支える仕組みで、日本では1997年(平成9年)12月に介護保険法という法律が制定され、2000年(平成12年)4月に施行されました。
公的介護保険で受けることができる保障とは・・・
市区町村に申請して、要介護者、要支援者の認定を受け、介護サービスを利用した場合には原則として1割もしくは、2割の自己負担で公的介護サービスが受けられます。
介護保険では、要介護度に応じて受けられる介護サービスは決められていますので、要介護度が認定されたのちは、「どんな介護サービスをどういった事業所で受けるか?」についてケアプランが作成され、ケアプランに基づき介護サービスの利用が開始されます。
居宅サービスを利用する場合は、利用できるサービスの支給限度額が要介護度別に定められており、限度額の範囲内で介護サービスを利用した場合は、1割もしくは2割の自己負担ですが限度額を超えた場合には、超えた分が全額自己負担となります。
公的介護サービスを受けるためには・・・
- 要介護認定の申請を市区町村へおこないます。
- 市区町村から認定調査・主治医意見書を依頼がなされます。
- 認定調査・主治医意見書をもとに審査判定がおこなわれます。
- 介護度の認定が実施され、認定されない場合は非該当となります。
- 要介護認定は7段階に分けられます。
- ケアマネジャーなどにて介護(介護予防)サービス計画書を作成します。
- 公的介護サービスの利用が開始できます。
これから、もう少しくわしく説明していきたいと思います。
介護保険制度とは
『介護保険制度とは』について説明致します。
高齢化の進展に伴い要介護高齢者の増加、介護期間の長期化など、介護ニーズはますます増大してきましたが、その一方で、核家族化の進行、介護する家族の高齢化など、要介護の高齢者を支えてきた家族にも変化生じて、老人福祉や老人医療の制度での対応が困難な状況となったため、平成12年4月に高齢者の介護を社会全体で支え合う、介護保険制度が創設されたわけです。
その介護保険制度では、それまでの老人福祉制度でみられた、市区町村が介護サービスの種類や提供機関を決める措置を、利用者本人の選択により公的な介護サービスを受けることや、サービスの種類などの内容を自由に決めることができるようにあらためられたほか、老人医療では介護を理由とする一般病院の長期入院が問題化され、長期に療養する場が不十分となってきたため、長期的に介護療養が可能となるように、社会全体で支える体制を構築し、高齢者の自立した生活を支えることで、介護が必要になっても地域で安心して暮らせることを目的としています。
わかりやすく説明すると・・・
介護保険とは介護が必要な人が適切なサービスを受けられるよう、社会全体で支え合うための制度で、介護サービスを受ける必要が出て来た場合、介護サービス料の1割負担のみで必要な支援を受ける事ができるようになっています。
※年収などによって2割以上の負担となるケースもあります。
介護保険の実地主体は市区町村となり、加入者が保険料を出し合い、そこに税金からのお金をプラスして運営されており、比率としては保険料と公費(税金)が50%ずつになっています。
介護保険制度の基本理念
介護保険の基本理念をわかりやすく説明すると、次のとおりになります。
〇自己決定の尊重
行政や専門職は、高齢者本人の決定を情報提供やサービス給付で支援しますが、決定権はあくまで本人にあるとする考え方です。
〇生活の継続
今までと同じ生活を継続できるように支援体制をつくることが重要であるとする考え方です。
在宅での生活が最も望ましいのですが、施設に入所する場合でも可能な限り家具などの持ち込みを行うことにより、これまでの生活の継続性に留意する必要があります。
〇自立支援(残存能力の活用)
高齢者の障害や疾病というマイナス面に着目するのではなく、残存能力の活用を支援し、自立した生活が送れるようにする考え方です。
〇社会保険方式
納めた保険料に応じてサービスや給付金受けることができるという考え方です。
給付と負担の関係が明確な社会保険方式が採用されています。
介護保険の基本理念は、上記の4項目から成り立っているといっていいでしょう。
介護保険制度の対象者とは
では『介護保険制度の対象者とは』だれになるのでしょうか?
それをこれから説明します。
介護保険制度の対象者とは・・・
簡単にわかりやすく説明すると、65歳以上の第1号被保険者と、40歳から64歳までの医療保険加入者の第2号被保険者になります。
もう少し詳しく説明すると・・・
第1号被保険者は、原因を問わずに要介護認定または要支援認定を受けたときに介護サービスを受けることができます。
第2号被保険者は、加齢に伴う決められた16種類の特定疾病が原因で、要介護あるいは要支援の認定を受けたときに、介護サービスを受けることができるとされています。
従って、16種類の特定疾病以外の事故による障害や、病気などが原因で介護が必要になった場合には、介護保険の対象外となってしまいます。
当然ながら介護保険料を納めていない39歳以下の人は、たとえ要介護状態になったとしても介護保険を利用することはできません。
介護保険制度の仕組みとは
つぎに『介護保険制度の仕組みとは』について説明していきます。
運営主体は・・・
- 市区町村が保険者として制度を運営しています。
介護保険の財源は・・・
- 40歳以上の国民全員が介護保険に加入し、決められた介護保険料を納め、半分が加入者の保険料、残り半分は国や都道府県、市区町村の税金などの公費でまかわれています。
公的介護サービスを受けることができる対象者は・・・
- 原則的には、40歳以上の介護保険料をおさめている介護状態になった住民です。
- もう少し説明すると、65歳以上の方は、市区町村の保険者が実施する要介護認定において、介護が必要と認定された場合に、公的介護サービスを受けることができます。
- また、40歳から64歳までの方は、介護保険の対象となる16種類の特定疾病により、介護が必要と認定された場合のみ、公的介護サービスを受けることができます。
- 介護サービスを受ける場合は、介護サービス料の1割もしくは2割(一定以上の所得者の場合)の負担で利用できる仕組みです。
市区町村の事業として・・・
- 平成27年4月からは介護保険の予防給付(要支援の方に対するサービス)のうち介護予防訪問介護と介護予防通所介護が介護予防・日常生活支援総合事業として、市区町村の事業として実施され、要支援者と基本チェックリストで支援が必要と判断された事業対象者に対して、必要な支援を行うサービス事業と、65歳以上の方に対して体操教室等の介護予防を行う一般介護予防事業があります。
第1号被保険者の介護保険料
この章とつぎの章では、介護保険料についてわかりやすく説明していきたいと思います。
● 第1号被保険者とは・・・
- 日本国内の市区町村内に住所を有する65歳以上の方です。
● 介護保険第1号被保険者保険料とは・・・
- 第1号被保険者の介護保険料は、標準は9段階ですが、市区町村や特別区ごとに、収入によって段階別に、基準額や保険料率が独自に決められています。
- 1人当たりの基準額=65歳以上の人が利用する介護保険サービスの費用を市区町村に住所がある65歳以上の人数で割った額
※上記のように、第1号被保険者が利用する介護保険サービスに必要な費用を、第1号被保険
者数で割ることにより、一人当たりの保険料基準額を算出します。
- 介護保険料=基準額×所得段階別係数
※更にこの基準額に所得段階別に応じた係数をかけて、介護保険料が決まります。
※保険料は介護保険法に基づいて、3年に1度は見直しが実施されていますが、毎回値上がって
おり、平成37年度には、全国平均で8,165円(厚生労働省HPより)になる見込みです。
● 介護保険第1号被保険者保険料の納付方法とは・・・
- 第1号被保険者の保険料は、医療保険の保険料とは別に納付し、納付方法は年金からの天引きの特別徴収と口座振替または、納付書による納付の普通徴収があります。
○年金からの天引きの場合
- 老齢・退職年金等の年額が18万円(月額1万5千円)以上の人は、2か月ごと(2月・4月・6月・8月・10月・12月)に支払われる年金から、年金支払いごとに2か月分の保険料が天引きされます。
○口座振替、納付書による金融機関への納付(普通徴収)の場合
- 老齢・退職年金等の年額が18万円(月額1万5千円)未満の人は、市町村の定めた納期ごとに口座振替または納付書により、市町村が定める金融機関に納めます。
第2号被保険者の介護保険料
- 日本国内の市区町村内に住所を有する40歳以上65歳未満の国民健康保険、健康保険、船員保険、各共済組合等の被保険者、組合員、加入者及び被扶養者です。
● 介護保険第2号被保険者保険料とは・・・
- 保険料の計算の方法や額は、加入している医療保険によって異なります。
○健康保険等に加入している場合
- 介護保険料=(標準報酬月額+標準賞与額)×介護保険料率
※保険料は標準報酬月額及び標準賞与額に介護保険料率をかけて計算します。
※保険料率は、医療保険の保険者ごとに定められます。
政府管掌健康保険は、1.5%、健康保険組合は組合ごとに決定
※保険料は原則として事業主が半額負担します。
○国民健康保険に加入している場合
- 介護保険料=所得割+均等割+平等割+資産割
- 所得割:被保険者または世帯(市町村による)の前年所得を受けて決定する
- 均等割:世帯の被保険者数を受けて決定する
- 被保険者平等割:被保険者の資産に応じて計算
- 世帯別平等割:1世帯ごとに計算資産割
※この場合の介護保険料は、居住地である市区町村が、所得割や均等割など4つの項目の組み合
わせを独自に決めて計算します。実際には各市区町村で計算方法は異なります。具体的な計
算方法については、居住している市区町村に確認してください。
※保険料は所得や資産等に応じて異なります。
※保険料の半額は、国庫が負担します。
※世帯主が、世帯員の分を負担する義務があります。
● 介護保険第1号被保険者保険料の納付方法とは・・・
- 第2号被保険者の介護保険料は、医療保険の保険料として一括して徴収されます。
○職場の健康保険に加入している場合
- 健康保険料に加算して、給与等から天引きさかれます。保険料は会社と被保険者が半額ずつ支払います。会社は労働者負担分の介護保険料を計算し、その額を給与や賞与から差し引き、その旨を給与明細や賞与明細に記載します。
○国民健康保険に加入している場合
- 世帯ごとの年間保険料(税)を世帯主が国民健康保険に納付します。
介護保険の要介護認定とは
この章では『介護保険の要介護認定とは』ということを、なるべくわかりやすく説明していきたいと思います。
要介護認定を簡単にいうと・・・
『介護が必要な必要量を示す尺度』で、どのくらい介護サービスを行う必要があるかを、ランク分けして判断しているのですから、介護保険を利用して公的な介護サービスを受けるためには、市区町村から要介護認定を受ける必要があります。
要介護認定には、状況に合わせて要介護1から要介護5までの5段階と、介護は必要ではないものの日常生活に不便をきたしていると認めた、要支援1と要支援2の2段階があり、合計7段階に分類されています。
その7段階の要介護認定とは・・・
- 要支援1
- 要支援2
- 要介護1
- 要介護2
- 要介護3
- 要介護4
- 要介護5
※要支援1・要支援2は生活機能が低下し、その改善の可能性が高いと見込まれる状態です。
※要介護1から要介護5は、介護サービスが必要であるという状態で数字が大きくなるほど、
より介護が必要であることを表しています。
※要支援と要介護の違いは定義だけではありません。実際に受けることができる介護サービス
の内容や費用も異なってきます。
要介護認定の目的
要介護認定とは・・・
介護保険による給付を受けるための有無や、介護保険による給付を受ける際の介護状態をランクわけをおこない、介護度の区分ごとに利用料に限度額をさだめて、公的な介護サービスが適切に受けられるように、保険者である各市区町村が介護認定の判定をおこない、生活をする上で他人の手助けがどれだけ必要なのかを、大まかな区分で示しているのが要介護認定です。
要支援と要介護の違い・・・
要支援と要介護では状態や目的などが変わってくるため、使える公的な介護サービスも異なってきます。
○要支援の場合
- 大部分ではまだ自立した生活が可能で、現状を維持することで介護状態を防ぐために、支援を要するというケースがこれに当たります。
- 現状の心身機能の維持、改善を目的とした介護予防サービスが利用できます。
- まだその必要はないとして、電動ベッドや車いすなどの福祉用具のレンタルを利用する事ができませんし、夜間の訪問介護も利用できません。
○要介護の場合
- 人の手による支援がなければ生活ができない段階と判断されるケースです。
- 生活の支援が目的となる介護サービスが利用できます。
- 以前は介護度2以上だった特別養護老人ホームなどの受け入れ要件が、近年は原則として介護度3以上となった事など、介護度によっては希望する公的介護サービスが対象外とされる事もあります。
介護保険の要介護認定申請の流れ
実際に介護保険で公的な介護サービスを受けるには、どうしたらよいのでしょか?
この章では、介護保険の要介護認定までの流れを、厚生労働省の資料をもとに、なるべくわかりやすく説明したいと思います。
① 要介護認定の申請
- 介護保険によるサービスを利用するには、要介護認定の申請が必要になりますので、お住まいの市区町村の窓口で要介護認定(要支援認定を含む。以下同じ。)の申請をしましょう。
② 認定調査・主治医意見書
- 市区町村等の調査員が自宅や施設等を訪問して、心身の状態を確認するための認定調査を行います。
- 主治医が市区町村の依頼をうけ、心身の状況について主治医意見書を作成します。
- 主治医がいない場合は、市区町村の指定医の診察が必要となります。
③ 審査判定
- 調査結果及び主治医意見書の一部の項目はコンピューターに入力され、全国一律の判定方法で要介護度の一次判定が行なわれます。
- 一次判定の結果と主治医意見書に基づき、介護認定審査会による要介護度の二次判定が行なわれます。
④ 認定
- 市区町村は、介護認定審査会の判定結果にもとづき要介護認定を行ない、申請者に結果を通知します。
- 申請から認定の通知までは原則30日以内に行ないます。
- 認定は要支援1・2から要介護1~5までの7段階および非該当に分かれています。
●認定の有効期間
- 新規、変更申請:原則6ヶ月(状態に応じ3~12ヶ月まで設定)
- 更新申請:原則12ヶ月(状態に応じ3~24ヶ月まで設定)
※有効期間を経過すると介護サービスが利用できないので、有効期間満了までに認定の更新申
請が必要となります。
※身体の状態に変化が生じたときは、有効期間の途中でも、要介護認定の変更の申請をするこ
とができます。
⑤介護(介護予防)サービス計画書の作成
- 介護(介護予防)サービスを利用する場合は、介護(介護予防)サービス計画書(ケアプラン)の作成が必要となります。
- 要支援1・要支援2の介護予防サービス計画書は地域包括支援センターに相談し、要介護1以上の介護サービス計画書は介護支援専門員(ケアマネジャー)のいる、県知事の指定を受けた居宅介護支援事業者(ケアプラン作成事業者)へ依頼します。
- 依頼を受けた介護支援専門員は、どのサービスをどう利用するか、本人や家族の希望、心身の状態を充分考慮して、介護サービス計画書を作成します。
⑥介護サービス利用の開始
- 介護サービス計画にもとづいた、さまざまな公的な介護サービスが利用できます。
上記ようにな流れで介護認定がすすめられ、公的介護サービスの利用ができるようになります。
介護保険の要介護認定の区分
要支援・要介護認定は7段階に区分されており、その区分に応じて介護保険給付額や使えるサービスの種類や内容、支給限度額が変わります。
介護保険の要介護認定の区分と目安は下記のとおりです。
区分 | 目安 |
---|---|
自立 | 日常生活は自分でできる 介護保険での介護は必要ない |
要支援1 | 日常生活はほぼできる 介護予防のために少し支援が必要 |
要支援2 | 日所生活に支援が必要 要介護にいたらず機能が回復する可能性がたかい |
要介護1 | 立ち上がりや歩行が不安定 日常のなかで排泄や入浴などに部分的な介助が必要 |
要介護2 | 自力での立ち上がりや歩行が困難 排泄や入浴などに一部または全部に介助が必要 |
要介護3 | 立ち上がりや歩行などが自力ではできない 日常においても排泄、入浴、衣服の着脱など全面的な介助が必要 |
要介護4 | 日所生活能力の低下がみられる 排泄、入浴、衣服の着脱などに日常生活全般において全面的な介助が必要 |
要介護5 | 日所生活全般において全面的な介助が必要 意志の伝達も困難 |
要介護認定の手続き・申請の流れ
- 要介護認定の申請
- 認定調査・主治医意見書
- 審査判定
- 認定(要介護・要支援・非該当)
- 認定結果の通知(申請から30日以内)
- 介護(介護予防)サービス計画書の作成
- 介護サービス利用の開始
詳しくは『介護保険の要介護認定申請の流れ』の章を参照ください。
介護保険で受けられる介護サービスの説明
① 居宅サービス
利用者が自宅に居ながら、サービスを受けることを希望した場合、居宅サービスが提供されます。
● 訪問系
- 訪問介護(ホームヘルプサービス)
- 訪問入浴介護
- 訪問看護
- 訪問リハビリテーション
- 居宅療養管理指導
● 通所系
- 通所介護(デイサービス)
- 通所リハビリテーション(デイケア)
● 短期入所(ショートステイ)系
- 短期入所生活介護(ショートステイ)
- 短期入所療養介護(ショートステイ)
● その他
- 特定施設入居者生活介護
- 福祉用具貸与
- 特定福祉用具販売
- 住宅改修
② 施設サービス
利用者が施設入所を希望した場合、施設サービスが提供され、大別すると下記の3種類です。
- 指定介護老人福祉施設
- 介護老人保健施設
- 指定介護療養型医療施設
③ 地域密着型サービス
市区町村によって指定された事業者が、その市区町村に住む利用者を対象として行うサービスで、要介護状態になった高齢者が、これまでどおり住み慣れた環境で、地域住民と交流を持ちながら、介護サービスを受けられるようにすることです。
小規模で運営される地域密着型のグループホームなどに入居できる他、24時間対応が可能な介護職員による定期巡回サービス、認知症の高齢者だけに特化したケアなど、柔軟なサービスを受けられる点も特徴です。
④ 支援サービス
利用者が適切なサービスを利用できるように、利用者の依頼を受けて、ケアマネジャーや保健師などがケアプラン(居宅サービス計画)を立てたり、連絡調整をしたりします。
居宅サービスの内容と利用料
居宅サービスの内容
- 訪問介護 (ホームヘルプサービス)
- 訪問入浴介護訪問看護
- 訪問リハビリテーション
- 居宅療養管理指導
- 通所介護 (デイサービス)
- 通所リハビリテーション(デイケア)
- 短期入所生活介護(ショートステイ)
- 短期入所療養介護(ショートステイ)
- 特定施設入居者生活介護
- 福祉用具貸与
- 特定福祉用具販売住宅改修
居宅サービスの利用料
居宅サービスを利用する場合は、利用できる1ヶ月あたりの支給限度額が要介護度別に定められ、支給限度額の範囲内で居宅サービスを利用した場合は、1割または一定以上所得者の場合は2割の自己負担ですが、支給限度額を超えて居宅サービスを利用した場合は、超えた分が全額自己負担となります。
介護度 | 支給限度額 |
---|---|
要支援1 | 50,030 円 |
要支援2 | 104,730 円 |
要介護1 | 166,920 円 |
要介護2 | 196,160 円 |
要介護3 | 269,310 円 |
要介護4 | 308,060 円 |
要介護5 | 360,650 円 |
施設サービスの内容と利用料
施設に入所して介護サービスを受けるシステムで、介護サービスの料金は定額制です。
施設サービスの内容
- 指定介護老人福祉施設
- 介護老人保健施設
- 指定介護療養型医療施設
施設サービスの利用料
介護保険施設に入所している場合には、1割または一定の所得以上の場合は2割の利用者負担に加えて、食費及び居住費(滞在費)についても負担していただきます。
個室、多床室〔相部屋〕など住環境の違いによっても自己負担額が異なりますが、居室費及び食費は、国があらかじめ定めている標準的な額を指す基準費用額がありますので、どの施設でも食費や居住費は個室タイプの違いこそあれど、基本的には同じくらいの水準となっています。
ただし、食費に関しては療養食などが必要な場合別途サービス加算がつきますので、基準費用額の4万1,400円(日額1,380円)よりも高くなることがあります。
(注)実際の費用は施設と利用者の契約により異なり、下記の食費や居室費のほかにも、負担額に理美容代などの日常生活費・各種加算が含まれることとなります。
食費の基準費用額(日額)
基準費用額(日額) | |
---|---|
食 費 | 1,380円 |
居室費の基準費用額(日額)
居室費 | 基準費用額(日額) |
---|---|
ユニット型個室 | 1,970円 |
ユニット型準個室 | 1,640円 |
従来型個室 | 1,150円 |
多床室 | 840円 |
下記のものは、全額自己負担(保険適用外)です。
- 入所者が選定する特別な居室または食事の提供を行った場合の費用
- 理美容代
- 日常生活でも通常必要となる入所者負担が適当な費用
地域密着型サービスの内容と利用料
地域密着型サービスの内容
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 夜間対応型訪問介護
- 地域密着型通所介護
- 認知症対応型通所介護
- 小規模多機能型居宅介護
- 認知症対応型共同生活介護(高齢者グループホーム)
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)
- 介護予防認知症対応型通所介護
- 介護予防小規模多機能型居宅介護
- 介護予防認知症対応型共同生活介護
地域密着型サービスの利用料
施設に入居した場合の料金は、要介護度ごとに決められた額を支払う定額制、自宅で暮らしながら受けるサービスの料金は、居宅サービスと同様に利用した分だけの利用料金を支払います。
利用者の負担分は、いずれの場合も1割または一定の所得以上の場合は2割となっています。
介護保険サービス利用時の自己負担
- 要介護状態区分ごとに定められた支給限度額の枠内で利用することができます。
- 介護サービス費用の9割または8割は介護保険から支給されますので、利用者負担額は原則としてかかった費用の1割もしくは、一定以上の所得以上の場合は2割を支払うこととなります。
- なお、支給限度額を超えてサービスを利用した場合は、全額(10割)自己負担となります。
要介護認定を受けている人が施設サービスを利用する場合
- 介護保険施設に入所している場合には、1割または一定の所得以上の場合は2割の利用者負担に加えて食費及び居住費(滞在費)についても負担していただきます。
- 要介護1~要介護5の方が利用できるサービスです。
- 介護サービス費用は、施設区分・要介護などで異なります。
- 実際の費用は施設と利用者の契約により異なり、理美容代などの日常生活費・各種加算など必要に応じて利用料金に含む場合があります。
下記のものは、全額自己負担(保険適用外)となります。
(1)入所者が選定する特別な居室または食事の提供を行った場合の費用
(2)理美容代
(3)日常生活でも通常必要となる入所者負担が適当な費用
利用したサービスの1割を自己負担する
これまでにわかりやすく説明していますので、すでに理解されている方も多いとおもわれますが、もう一度確認したい方のために、この章で再度説明しておきます。
介護保険制度では、公的介護サービスを利用した際に発生するサービス費用の、9割または8割が介護保険から支給されますので、利用者の負担額は原則として、かかったサービス費用の1割もしくは一定の所得以上の場合は2割となります。
なお、支給限度額をこえた場合や食費、居住費、日常生活費などサービス費以外の費用については、全額自己負担となりますので注意が必要です。
自己負担が高額になったとき
介護保険の自己負担が高額になったときは・・・
高額介護サービス費として、同じ月に利用したサービスの、1割もしくは2割の利用者負担の合計額(同じ世帯内に複数の利用者がいる場合には、世帯合計額)が高額になり、一定額を超えたときは、市区町村へ申請することにより超えた分が後から支給されます。
- ただし、施設入所・入院中の食費・居住費(滞在費)・日常生活費などは含まれません。
- 要介護度に応じた支給限度額を超えたサービス利用料、福祉用具購入費、住宅改修費などは対象外です。
介護保険と医療保険の自己負担が高額になったときは・・・
高額医療・高額介護合算制度として、同一世帯内で介護保険・国保など医療保険の両方を利用して、介護と医療の自己負担額が下記の限度額を超えたときは、市町村への申請することで超えた分が払い戻されます。
- 同じ世帯でも、それぞれが異なる医療保険に加入している家族の場合は合算できません 。
- 自己負担額を超える額が500円未満のときは支給されません。
介護保険の自己負担限度額とは
居宅サービスを利用する場合は、利用できるサービスの量(支給限度額)が要介護度別に定められています。 1ヶ月あたりの限度額の範囲内でサービスを利用した場合は、1割(一定以上所得者の場合は2割)の自己負担です。 1ヶ月あたりの限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分が全額自己負担となります。
介護認定されれば、介護サービス利用時に介護保険を適用することができますが、無料でサービスを受けれるわけではありません。介護保険が適用される費用については、自己負担の割合は、1割か2割のいずれかになります。
まず、65歳以上の被保険者のうち所得上位20%に相当する160万円以上の人を基準として判定します。
次に、合計所得金額が160万円以上であっても、単身世帯での実質的な所得が280万円に満たないケースや、2人以上世帯にいて所得が346万円に満たないケースについては、その負担能力を考慮して1割負担にしています。
介護保険の介護保険施設とは
いずれも、要介護の認定を受けた人が対象で,入所時にかかる費用はなく、介護にかかる費用に居住費や食費を加えても、月額費用は総じて割安になっていますが、特に特別養護老人ホーム(特養)では料金が割安で終身の入居も可能なため、多くの人が待機しているとされています。
また、都市部と地方では需要に差があるようです。
利用料金もユニット型個室が採用されたことで、費用は高めのところも出てきています。
介護保険施設の種類と特徴
- 特別養護老人ホーム
- 老人保健施設
- 介護療養型医療施設
特別養護老人ホームの特徴
- 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設 通称:特養)は公的な介護保険施設で、入居基準は要介護度3以上となっています。
- 食事・入浴・排せつ介助などの身体介護、清掃・洗濯など日常的な生活支援、リハビリ、レクリエーションなどの介護サービスを受けることができ、重度の認知症の方の受け入れも行っています。
- 看護師は、日中はいますが夜間配置の義務はないため、医療ケアを常時(夜間も)必要とする方の対応は難しく、入居不可となるケースもあります。
- 部屋のタイプがユニット型個室となっている「新型」と従来型個室・多床室からなる「旧型」があり、現在新築で建てられているのは原則として「新型」です。
- 月額費用は「新型」で15万円前後、「旧型」は10万円前後で、初期費用はかかりません。
- 入居の順番は申し込み順ではなく、介護度以外に家族状況なども考慮して必要度が点数化され、緊急度の高い方が優先されます。
- 待機者は非常に多く、地域によっては入居まで数ヶ月~数年かかると言われています。
介護老人保健施設の特徴
- 介護老人保健施設(通称:老健)は病院と自宅の中間的な位置づけで、退院後すぐの在宅生活が難しい要介護1以上の方を対象に在宅復帰を目指す介護保険施設です。
- 入居期間は原則3~6ヶ月ですが例外もあります。
- 食事・入浴・排せつなどの身体介護、医師・看護師による医療的管理、理学療法士などによるリハビリテーションなどが提供されます。
- 費用は4人部屋で9~12万円前後、2人部屋・個室は特別室料が加算されます。
- 初期費用はかかりません。
介護療養型医療施設の特徴
- 介護療養型医療施設は、医学的管理が必要な要介護1以上の方を対象にした介護保険施設です。
- 食事・入浴・排せつなどの身体介護、医師・看護師による医療的管理、理学療法士などによるリハビリテーションなどが提供されます。
- 入居者100人に対し3人の医師が配置される医療機関で、淡吸引、カテーテル、経鼻栄養といった医療ケアが充実しています。
- 費用は4人部屋で9~17万円前後、個室は特別室料が加算されます。
- 初期費用はかかりません。
介護保険施設と民間運営施設の違い
介護施設の種類はさまざまですが、それらはすべて民間運営の施設と公的施設に大別されます。
公的施設
- 公的施設は、国や地方公共団体、社会福祉法人などが運営している介護施設です。
- 国が補助金を出して設立されていることから入居費用や月額利用料などが抑えられており、生計状況によっては補助を受けることもできます。
- 公的な介護施設としては、介護保険施設や福祉施設があります。
公的施設は費用が民間運営の半額以下になる場合もあり手ごろで、入居時における入居一時金が不要ということもあって、待機者も多く入居条件にも制限があるため、なかなか継続的に長期の介護を受けられる物件は少ないのが現実です。
民間運営の施設
- 民間運営の施設は、文字通り民間企業によって運営されている介護施設です。
- 運営しているのは主に訪問介護事業や通所介護事業などを行っている会社で、近年では医療法人が運営しているケースもあります。
- 豊富なサービス内容や職員の数など、民間ならではの特徴で差別化を図っています。
- また、民間運営の施設はそれほど比較的入居しやすいというメリットもあります。
- 主な施設として有料老人ホームがあります。
公共運営と比べると、多少費用は高くなりますが、比較的早く入居が可能で、介護付き有料老人ホームやグループホームなどの民間の介護施設は選択肢の幅が広く、入居者目線に立ったサービスや独自の介護方針で最新のケアが受けられるところなどそのバリエーションも豊かです。
また、多彩なサービスや料金体系が充実しています。
介護保険の介護医療費保険料控除とは
ここからは、介護医療保険料控除の対象となる保険に加入している場合、年末調整や確定申告で控除が可能となりますので、介護医療費保険料控除について説明していこうと思います。
介護医療保険料の控除とは、平成22年度税制改正によって新設された比較的新しい控除制度のことです。従来までの生命保険料の控除や個人年金保険料の控除と同様に、平成24年1月1日以降契約された介護保険医療の保険料も控除されるようになりました。
介護医療費控除の対象となる契約とは
入院・通院等にともなう給付部分にかかる、主契約保険料や特約保険料が対象となると、考えればわかりやすいのではないでしょうか。
介護医療費控除の控除金額
- 年間払込金額が20,000円以下 :払込保険料の全額
- 年間払込金額が20,001円~40,000円 :(払込保険料×1/2)+10,000円
- 年間払込金額が40,001円~80,000円 :(払込保険料×1/4)+20,000円
- 年間払込金額が80,001円~ :一律40,000円
介護医療費控除の手続き方法
この申告書には保険料控除証明書の原本を添付して提出しますので、申告書にホチキスで留めるか、裏側に糊で貼りつけて下さい。
なお、年末調整に間に合わなかった場合や、退職等で年末調整を受けられない場合には、確定申告で控除を受けることができます。
もちろん自営業者の方なども確定申告時に、申告して控除を受けてください。
まとめ
高齢者が増加するなか、関係ないとかまだ元気そうだから大丈夫とか思っていませんか?
いつ身近な人に介護が必要になるかわかりません。
今回は、これから介護に関わる可能性のあるすべての人に向けて、介護保険制度の仕組みや介護保険で受けられるサービスの内容、利用するために必要な要介護認定などについて、ながながとわかりやすく説明してきましたが、きっとあなたのお役にたてるものだと思っています。