更新日:2017/11/28
介護保険の訪問介護、同居家族もサービスを受けることは可能か?
在宅(居宅)の介護保険の訪問介護は、利用者の自宅等に訪問介護員がうかがいサービス提供をします。これに関して「同居家族もサービスを受けることは可能か?」という質問をよく耳にします。はたして同居家族は介護保険サービスを受けることは可能なのでしょうか?
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 同居家族がいても介護保険の訪問介護サービスを利用する事は可能なのか?
- 介護保険の訪問介護サービスを利用できるのは要支援、要介護認定を受けた方のみ
- 介護保険の訪問介護サービスには2種類ある
- 身体介護とは:入浴の手助け、着替えの手助け、おむつ交換など
- 生活援助とは:掃除、ゴミ出し、洗濯、買い物、薬の受け取り、料理など
- 同居家族がいる場合でも訪問介護サービスを受ける事はできるのか
- 身体介護は同居家族の場合でも受ける事ができる
- 生活援助は基本同居の場合は受けられない
- そもそも、同居家族の定義は何なのか?
- 同居と別居の違いを解説!
- ただし、同居家族が要介護状態の場合は介護サービスを受ける事ができる
- まとめ
目次
同居家族がいても介護保険の訪問介護サービスを利用する事は可能なのか?
訪問介護は、ホームヘルパーと呼ばれる訪問介護員が、要介護認定を受けた利用者の自宅等に行き、介護保険に定められている訪問介護サービスを提供するというものです。
訪問介護は、利用者が自宅で受けることのできる介護保険サービスであるため、初回の介護認定申請において何らかの要介護認定を受けた利用者が、初めての介護保険サービスとして利用するケースも多くあります。
また自宅でサービスを受けるという性質から、自宅に利用者の家族がいる状態でサービス提供される場合もあります。
このように「初めての介護保険サービス利用」と「自宅で受けることができる介護保険サービス」という性質から、利用者やその家族から「同居家族がいても、介護保険の訪問介護サービスを利用する事は可能か?」という質問が多くあります。
これに対する答えですが、一概に「利用できる」「利用できない」とは返答できません。
なぜなら「同居家族がいても介護保険の訪問介護サービスを受けることができる場合とできない場合の両方がある」からです。
この記事では、「介護サービスの種類って何?」「同居家族の定義とは何?」といった基本的な話から、「家事援助はしてくれたりするの?」とか「」
介護保険の訪問介護サービスを利用できるのは要支援、要介護認定を受けた方のみ
要支援や要介護の認定を受けた人が、住み慣れた環境で継続的に文化的な生活を行うために、ホームヘルパーの方が訪問介護サービスを行うのです。
介護認定を受けるための申請をしたけど非該当(自立)だった方は、介護保険の訪問介護サービスは利用できません。
介護保険の訪問介護サービスには2種類ある
それは「身体介護」と「生活援助」です。
利用者は、この身体介護と生活援助を組み合わせて、1回の訪問介護サービスの中で受けることが可能です(詳しくは、担当のケアマネージャーに確認してください)。
利用者にとっては1回の訪問介護で、身体介護と生活援助の両方を組み合わせてサービスを受ける(利用する)ことが可能ですが、介護保険の算定上は、身体介護と生活援助は明確に分ける必要があります。
そのため、サービス利用に対する請求書には、例えば「身体介護でいくつ(数字が記入されます)」「生活援助でいくつ(数字が記入されます)」というように、区分けされて表記される場合があります。
下記では、介護保険の訪問介護サービスにおける「身体介護」と「生活援助」に対して、各々の内容をご紹介してありますので、ぜひ参考にしてください。
なお、詳しくは担当のケアマネージャーに確認していただくことをおすすめします。
利用者や同居家族が「身体介護」「生活援助」と思っていたことが、実は違っていた、という場合もあり、この点については介護サービス計画を作成するケアマネージャーが専門家です。
場合によってはケアマネージャーから担当の訪問介護事業所に内容を確認し、「身体介護」にあてはまるものと「生活援助」にあてはまるものを分けていきます。
身体介護とは:入浴の手助け、着替えの手助け、おむつ交換など
- 排泄介助(トイレ介助、おむつ交換など)
- 自宅の浴室・浴槽を使用する入浴介助
- 清拭(入浴ができない利用者の身体を拭いて清潔保持などをする)
- 食事介助
- 服薬介助(薬は、訪問介護員が取り扱いできる範囲に限ります)
- 移乗介助
- 起床、就寝、更衣などの介助
- 体位変換
- 通院や外出時の介助(見守りを含む)
生活援助とは:掃除、ゴミ出し、洗濯、買い物、薬の受け取り、料理など
- 掃除、ゴミ出し
- 洗濯
- ベッドメイク
- 料理
- 買い物
- 衣類の整理、補修
- 薬の受け取り
同居家族がいる場合でも訪問介護サービスを受ける事はできるのか
同居家族がいても、その家族が働きに出ていて日中は一人といったパターンもあり、ヘルパーさんの身体介護も生活介護も受けたいという家族の方は多いかと思います。
それでは、下記で詳しく解説していきます。
身体介護は同居家族の場合でも受ける事ができる
なぜなら、身体介護に含まれるサービス内容は、介護の専門職でないと提供できない内容が多く含まれており、家族(失礼な言い方になってしまいますが「介護の素人」)のような専門知識や技術を持っていない方では、提供が難しいサービスがあるからです。
また訪問介護に限らず、在宅(居宅)の介護保険サービスの目的には「同居家族の介護負担を軽減する」という内容を含むものが多くあります。
訪問介護の身体介護もまさにそのとおりで「同居家族を介護の専門家が助ける」という意味合いが含まれています。
そのため、訪問介護の身体介護は、同居家族がいても受ける事ができるサービスになります。
生活援助は基本同居の場合は受けられない
ただし、基本であり、同居家族がいても介護保険の訪問介護の生活援助として受けることができる場合があります。
(詳しくは次の段で解説いたします。)
生活援助に含まれる内容は、利用者と同居の家族であれば、家族の生活の範囲でできる内容が多いです。
また、介護認定を受けていない同居家族が、例えば同居家族自身の買い物を訪問介護員に依頼するなど、家族の単なる便利屋のような訪問介護の利用のしかたは介護保険で認められていません。
そもそも、同居家族の定義は何なのか?
介護保険制度で不利にならないように同居と別居の違いについても確認しましょう。
同居と別居の違いを解説!
一般的に、下記のようになっています。
- 別居:一度、家屋の外(道路や私有地、マンションの廊下等)に出なければならないところにお互いが住んでいること。
- 同居:同一家屋に住んでおり、台所や浴室等が共有であること。
これだけではわかりにくいかと思います。
同居の判断に関しては、玄関・居室・台所・浴室等といった物理的な居住環境で判断されるようです。
ただ、同一敷地内の別棟に住んでいるなど、生活の実態を勘案して同居家族とするようなパターンもあるようです。
ただし、同居家族が要介護状態の場合は介護サービスを受ける事ができる
ただし、例外として、同居家族がいても生活援助サービスを受ける事が許される場合があります。
それは「同居家族が要支援や要介護の状態にある場合」です。
近年、高齢者夫婦世帯などに多く、高齢の夫婦両方ともが何らかの要介護認定を受けており、両方ともが家事などを行うことが困難な場合、介護保険の訪問介護における生活援助を、同居家族が受ける事が可能になります。
同居家族が要支援や要介護などの介護認定を受けて、生活援助サービスを受ける場合は、同居家族の介護保険サービス分として明確に区分けされる事が基本となります。
詳しくは担当のケアマネージャーに相談し、同居家族が受ける生活援助の内容などを確認していただくことをおすすめします。
まとめ
介護保険の訪問介護において、ホームヘルパーさんが提供できるサービスは「身体介護」と「生活援助」の2種類あります。
「身体介護」は同居家族が受ける事ができる訪問介護のサービス内容で、「生活援助」は基本は同居家族は受けられない訪問介護のサービス内容です。
しかし、同居家族が要支援や要介護など、何らかの要介護認定を受けている場合は、同居家族も生活援助サービスを受ける事が可能です。
同居家族が、介護保険の訪問介護における生活援助サービスを受けられるかどうか、詳しくは担当のケアマネージャーに確認してください。
担当のケアマネージャーが決まってないけど、希望する訪問介護サービスの内容は、同居家族が受ける事ができるサービスなのか知りたい方は、お住まいを管轄する地域包括支援センターなどで相談にのってもらうことができますので、ぜひ活用していただくことをおすすめします。